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今週のひとこと

経営者の人に対するポリシーのない

ところに、人材は育たない。





☆ 社員の募集・採用が上手くいかない。そんな時は・・・

10月は、内定式も終わり来春入社の受入れ準備が本格化したり、2018年入社の採用活動をはじめたりといった企業も多いのではないでしょうか。

「社員の募集で人が集まらず、困っている」。

このような相談を経営者や採用担当の方々からいただく機会が多いのですが、その際、私は次の3つのことをお聞きしています。

1つめは、ホームページの採用ページや社員募集のパンフレットが最新の情報に更新されているか、ということです。当然のこと、と思われるかもしれませんが意外と古い情報がそのまま、というケースも多いものです。採用ページを細部まで読み込んでいる真剣な方を逃さないよう、常に最新の情報を公開しておきましょう。

2つめは、他社には無い独自のアピールポイントをつくっているか。
求職者に自社の特徴や良さをアピールするためには、「具体性」が重要です。会社概要では社員数・年商といった数字で紹介することはもちろん、事業内容も難しい専門用語ではなく、分かりやすく説明することが大切です。また、事業部や階層ごとにモデル人材のメッセージを記載したりすることで、独自のアピールとなります。


最後、3つめは職場の様子がイメージできるか、ということです。
採用ページでは"アットホームで雰囲気の良い会社"という表現がよく使われますが、その言葉だけでは本当の良さは伝わりません。よりイメージしやすく伝えるためには、動画も活用するなどして働く社員の声で伝えることが効果的です。


採用で期待していた効果が得られない。そんな時はこれら3つのポイントを確認されてみてはいかがでしょうか。

コンサルティング戦略本部
アソシエイト
土井 舞





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事業承継に必要な3つのポイント


最近、事業承継にまつわる相談が増えている。それに伴い、「本当の事業承継」とは何なのかを考えさせられる機会が多い。というのも、全てではないが、いつまでも引き継ぎが終わらない企業や、相続手続きが終わっただけの企業が目に付くからだ。現社長が会長という肩書になっただけで、実権はいまだに会長が握っている企業も少なくない。

なぜ、完全に後継者へ引き継げないのか。その原因は、引き継ぐ側(現社長)、引き継がれる側(後継者)のどちらかにあるのではなく、双方にある場合が多い。

まず、引き継ぐ側は、あまりにも後継者に対する期待が大きい。自分と同レベル、またはそれ以上でなければ、安心して経営を任せられないが故に、いつまでも承継できないのである。

対して引き継がれる側は、自分に実力があると過信し、素直に現社長のアドバイスに耳を傾けない。そのため現社長と意見がぶつかり、犬猿の仲に発展するケースもある。

この問題を解決するポイントは、大きく次の3点だ。

1.コミュニケーションを多く取り、互いに認め合う場をつくる

2.引き継ぐ側は、後継者に大きな期待をしない。口を出さずに、やらせてみる

3.引き継がれる側は、案件を判断できるレベルになるまで、現社長から素直に学ぶ

ちなみに、ポイントの3点目の「案件を判断できるレベル」とは、「先代が黙ってうなずくレベル」を指す。

財産に関する承継(相続)は、時間とルールが解決してくれる。だが、事業を承継するには、この3点をクリアしなければならない。そしてクリアするには、相続にかかる以上の時間と、互いの心構えが必要である。無計画に行うと時間を無駄にしてしまう。

タナベ経営では創業以来、「経営者は事業が成功して50点、承継ができて100点」と提言し続けている。互いの課題を明確にし、10年スパンで承継スケジュールを立て、取り組むことだ。何事も「準備は繊細に」である。


■筆者プロフィール
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タナベ経営
コンサルティング戦略本部 東北支社長
深澤 宏 Hiroshi Fukasawa

大学卒業後、大手外食業を経て2001年タナベ経営入社。11年10月より現職。サービス、卸・小売業、建設・土木、機械加工製造業など1000社以上のコンサルティング実績を誇り、生産性向上を実現するトータルマネジメントシステム構築と現場一体のコンサルティングで高い評価を得ている。近年は事業承継やコストダウンによる利益体質強化、社風改革、社員のモチベーション向上などをテーマに多数の成果を挙げる。「クライアントの幸せを実現するコンサルティング展開」がモットー。





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既成概念にとらわれない主体性にあふれた人材を育成する


保志 代表取締役社長 保志 康徳 氏

「祈り」をキーワードに新しい市場を創出する

江戸時代から「会津漆器」で知られる会津若松。会津塗の技術は、仏壇・仏具にも生かされ産業として発展してきた。その会津若松で1900年に仏壇・仏具業として創業したのがアルテマイスター(登記社名=保志。以降、同)である。以来、販路を全国に拡大し、成長を遂げてきた。

しかし、核家族化や住宅事情・ライフスタイルの変化など、仏壇・仏具を取り巻く環境は著しく変わった。市場も縮小傾向に入り、かつての繁栄を望めなくなっていった。そんな時代の変化をいち早く察知し、新たな試みを推進してきたのが代表取締役社長の保志康徳氏である。

同社が掲げる理念は「我が社は豊かな心を創るをモットーに限りなき企業努力を続け世界の精神文化に貢献する」というもの。豊かな心を創るために従来の仏壇・仏具にとらわれない新しい商品づくりに挑んだ。

「伝統産業の悩みは市場の縮小です。これを打ち破るには新しい市場の創出しかありません。そこで打ち出したキーワードが『祈り』。仏教にとらわれず、新しい祈りの提案を目指しました」

保志氏がそう語るように、現代の生活にマッチするインテリアのような仏壇や、小さなオブジェを連想させるお守りなどを開発。同社が提供する祈りの形は、従来になかった市場を開拓した。

新しいモノづくりには人材育成が不可欠

同社の新しいモノづくりの背景には、新しい人づくりがある。既成概念を打ち破る商品開発には、「祈り」を理解して新しい発想で挑むことが不可欠だからだ。その手法の1つが外部のクリエーターとのコラボレーション。これにより、革新的な発想で次々と新製品を生み出すことができた。クリエーターと交流することで、社員が今までにないモノづくりを吸収していったのである。

そしてもう1つが社内の人材育成の仕組みづくり。その中心的な役割を担うのが「アルテマイスター・アカデミー」だ。社内アカデミー設立の狙いは、ベテランと若手社員の融合である。

「長年培ってきたベテランの技と柔軟な発想を持つ若手社員が融合すれば、新しいモノづくりができるはず。そんな狙いがありました」(保志氏)

手始めに取り組んだのは、OBが講師となって、若手社員を指導すること。すると、ベテランは若手の発想力に、若手はベテランの卓越した技術に、敬意を払う効果が生まれた。

その後、同アカデミーを体系化し、現在は大別して「必須コース」と「任意コース」を設定している。必須コースは、「新入社員訓練コース」「中途入社訓練コース」「考課者訓練コース」の3コース。それぞれのキャリアや職務内容に応じて基礎を学ぶ。

一方の任意コースには、「技能訓練道場コース」「個別支援コース」「生産管理の基礎コース」など5コースを用意。仏壇・仏具づくりに不可欠な技術の習得や、自己変革を目指す社員を対象にティーチングとコーチングを織り交ぜた支援を実施している。

社外研修を活用し社員の視野を広げる

社内教育とともに進めているのが社外研修への積極的な参加だ。タナベ経営の「幹部候補生スクール」「中堅リーダー革新セミナー」などへ社員を参加させている。

「私も以前、幹部候補生スクールを受講し、リーダーとしての基礎を学びました。タナベ経営が推奨する現場・現物・現実という『三現主義』を教えてもらえるのがありがたい。特に、営業職の人は学ぶことが多いと思います。参加した社員は行動力と思考力が身に付きました」と保志氏は話す。

また、社員間で感謝の言葉を贈り合う「ありがとうカード」の実施のほか、吹奏楽部・フットサル部などの各種サークル活動も活発になった。

社内外の研修で人材育成に取り組んだ成果は確実に表れている。例えば、仏壇・仏具づくりで余った木材を利用した商品「人と木」シリーズは、社員の提案をきっかけに開発が始まった。

「経営で大切なのは理念と手段を結び付けていくこと。そのためには、社員が理念をしっかりと理解していなければなりません。そういう意味で人材育成は経営の根幹に当たるものです」

新しい市場開拓とともに人材育成に注力し、成果を挙げた保志氏の言葉は力強い。

PROFILE

  • アルテマイスター(株式会社保志)
  • 所在地: 〒965-0844 福島県会津若松市門田町一ノ堰村東40
  • T E L : 0242-27-4380
  • 創業: 1900年
  • 資本金: 6080万円
  • 売上高: 30億6000 万円(2015年9月)
  • 従業員数: 309名(2016年1月)
  • http://www.alte-meister.co.jp/


タナベ コンサルタントEYE

日本の伝統産業を支える保志から見えてきたのは「温故知新」。どのような時代であっても、経営において「人づくり」を大事にしている。時代の変遷とともに従来の考え方や作業方法が変化していく中、現在は人材育成制度の1つである「アルテマイスター・アカデミー」やタナベ経営のセミナーを活用し、きめ細かな育成を実現。社員の働く環境をしっかりと整え、成長を支えることが、新商品の開発につながる自由な発想を生む秘訣(ひけつ)であろう。

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    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所