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今週のひとこと

部下とのコミュニケーションづくりとは、

争いを避けて良い人間関係をつくることではない。

善悪をハッキリさせ、向かうべき方向を部下と共有することである。





☆ 自分と向き合い、相手と向き合う

これは、クライアント企業のAさんと実際に行った会話です。

Aさん:浜西さん(筆者)。最近はもう自分のことなど目もくれずに、部下と関わっていますよ。部下のことを最優先で考え、毎日積極的に会話もし、悩みも聞いています。

筆 者:自分のことよりも、部下の方々と関わる時間を多く取っておられるのですね。

Aさん:はい。ただ、部下がなかなか協力してくれないんです。
何を考えているか分からないことも多く、私も最近は少し疲れてしまって・・・。


筆 者:最優先で部下との関わりに時間を割いたにも関わらず、思うように成果があがらないことや、心の距離が遠く感じることに少し疲れてしまってるのですね・・・。

日本には自分のことよりも他人を重んじ大切にする文化があり、自分のことはさておき、他人に尽くす人が多い。これは良し悪しではなく、日本特有の風土なのかもしれません。Aさんも、部下のことを思い、上記のような取り組みをされ、筆者もそれは素晴らしいことだと思います。
しかし、時には見方を変えてみる必要もあるのではないでしょうか。


「はたして、本当に相手と向き合うことができているのか?」。

相手と向き合うことができる人は、その前提として、自分自身としっかりと向き合うことができている人ではないでしょうか。
自分自身の感情をコントロールするのではなく、自分の感情に気付き、寄り添うことができるからこそ、相手の感情にも気付くことができるのです。


皆さんはいかがでしょうか。自分の感情を気にも留めず、相手と向き合っていませんか。
先輩・上司だから、管理職だから、役員だから、社長だから・・・。


自分と向き合うことができるからこそ、相手とも向き合うことができるのではないでしょうか。

マネジメントパートナーズ本部
主任
浜西 健太





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組織を活性化させる人材


人材が本気になると組織も強くなる

「本当に切羽詰まる状況にならないと、頭の中には入らないですよ」

先日、タナベ経営が主催した講演会に登壇された、H社のA社長の印象的な言葉である。現在、H社の経営は順調だが、以前はあと一歩で民事再生法の適用を申請するところまで赤字が膨らんでいた。

A社長はある日、取引銀行の融資担当者から呼び出され、「このままの状態では融資をやめざるを得ない」と言われたそうだ。倒産を回避するため、経営者が最低限知るべきことを学ぶように弁護士からもアドバイスを受けた。そんな危機的な状況下で勉強したときに思ったのが冒頭の言葉だったと、A社長は言う。

融資が打ち切られるかもしれないという極限の状況で、「経営者として最低限の知識は持ちなさい」と忠告されたことが、"本気"モードに切り替わるポイントになったそうだ。

A社長はその後もさまざまな苦労を重ねたが、経営についての知識を必死に学び、自社の経営に生かすことができるようになった。また、従業員への感謝の気持ちと解雇しないという責任感を持ち、情熱的な経営を実施することで、業績をV字回復させることができた。

A社長の体験を特殊なケースだと感じるかもしれないが、本気へと切り替わる瞬間は誰にでもあるだろう。本気に切り替わった人間は、少しのつまずきでは全くへこたれない強さを持っており、会社の成長エンジンになり得る。筆者はそう強く感じている。"本気の人材"が多く在籍している会社は、本当に強いのである。


部下が本気へと切り替わるポイントを知っているか

「褒められる」「恥をかく」「人に必要とされる」。人によって、本気へと切り替わるポイントは違う。A社長のように、危機感を持つことで本気になる人もいるだろう。自身の切り替わるポイントはどこにあるかを理解することで、本気になる環境を自分で準備できる。これは自分を成長させるために重要なことだ。

また、優秀な部下を育成するためには、部下が本気に切り替わるポイントを理解することも大切である。部下とのコミュニケーションを通して、そのポイントを見つけてほしい。

筆者が東証一部上場企業のT社で働くBさんにインタビューしたときのことを例として挙げる。Bさんは現場経験が長く、リーダーシップに定評があり、マネジメント能力も高かった。入社時のクレペリン検査やIQテストでも高得点を取っていたが、あまり経営について勉強してこなかったそうで、そのことについてコンプレックスを感じていたという。

そんなBさんは、抜擢(ばってき)人事で現場から本社へ異動したときに、本気になるきっかけがあったそうだ。本社には有能な人材が多く、現場での経験しかないことに劣等感があったBさんは、自分の居場所をつくることができなかった。

また、本社の同世代の同僚は、コミュニケーション能力や問題解決能力などが高く、知識も豊富で、尊敬できる人が多かった。Bさんは今までの自分は完全に井の中の蛙(かわず)で、「自分はできる」という思い込みが自身の成長を止めていたことに気付いたのだ。


本気になったBさんがまず始めたこと

Bさんは人事部に配属された後、どうすれば周りの人に追い付けるか人事部長に聞いたところ、「本を読みなさい。何でもいいから、気になった本を全て読みなさい」と言われたそうだ。同世代の人に追い付き、超えたいと考えたBさんは、月に20冊前後の読書生活を始めた。1カ月に20冊読むために、"仕事以外は全て読書"という生活を1年以上続けた。

半年後には、同僚らと対等に話ができるようになり、多様なプロジェクトに参画するようになった。本気モードに切り替わったことで集中力が増し、吸収力も上がったそうである。

今では中国に赴任し、店舗運営の責任者として活躍している。Bさんが責任者に就いた半年後には、中国全体で黒字転換の達成に成功し、縮小していた店舗数を増加させるという見事な成果を挙げている。

Bさんの人生で"本気で切り替わるポイント"は、ハングリー精神を感じさせてくれるイベントや、人との出会いであると結論付けられる。

もしも、Bさんのような「ハングリー精神を感じることで本気になる部下」の場合は、先に述べたような抜擢人事での異動や、外部の集合セミナーなどに参加させることで、井の中の蛙だと気付かせることが効果的である。また、向上心が強い部下は、活躍している人材と一緒に働かせ、ライバル意識を刺激することも有効である。

どうすれば、部下を本気にできるかを一概にいうことはできないが、部下とゆっくり面談し、過去の体験を詳しく聞くことで、ヒントを得られる可能性は高い。「あなたの人生のターニングポイントは何ですか?」「本気で取り組んだことは何ですか?」などの質問から深掘りし、部下のことをよく理解していただきたい。それをもとに、部下が力を発揮できる環境をつくることだ。

このような人材マネジメントは、国籍や人種を問わず結果を出すことができる。まずは、ゆっくり部下と2人だけで腹を割って話ができる場をつくり、コミュニケーションを取っていただきたい。


部下を本気にさせる4つのポイント

最後に、部下を本気にさせ、業績を挙げるために必要なことをまとめてみよう。

①部下が本気になるポイントを理解する
②適切な環境を用意する
③適切なアドバイス・サポートをする
④課題を明確にし、上記②③のサイクルをマネジメントする

自身と部下を本気にさせるポイントを知り、その環境をつくり出す。人材の本気モードを活用することで、組織を活性化し、成長エンジンとしてほしい。


  • タナベ経営 コンサルティング戦略本部
  • コンサルタント
  • 岡川 大記
  • Taiki Okagawa
  • 大手飲食店にて現場の店長から本社業務、海外出店まで幅広く経験。新店の立ち上げを国内外で合計50店舗以上行った新規出店の達人。タナベ経営入社後は「日本の中小企業を元気にする」を信条とし、食品製造・小売、外食産業の支援を中心に活躍中。顧客の心理を的確に捉える、国際派現場密着コンサルタント。





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お客さま第一主義を貫く100年企業
技術力とマトリクス経営で事業拡大


ヤマウラの施工例。左から、ヤマウラ エンジニアリング事業部駒ヶ根工場(長野県駒ヶ根市)、東横イン 佐久平駅浅間口(長野県佐久市)、米澤酒造(長野県上伊那郡)

長野県駒ヶ根市に本社を置くヤマウラは、東証一部上場の総合建設企業。創業以来受け継がれるモノづくりDNA と独自のマトリクス経営で、建設業の枠を越えた進化を遂げている。



時代の流れを読む先見性で成長

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ヤマウラ 代表取締役社長 山浦 速夫 氏
後発参入した建設事業において、現場に入り込んで自らが指揮し、どんな困難な工事も知恵と工夫でやり抜いてヤマウラを大きく飛躍させる。先進技術を次々と取り入れ、数値による経営改革を推進。強い技術者集団づくりを目指して資格取得を強力に推進し、技術に裏打ちされた最高の品質を提供することにより、今日の信用を築く。駒ヶ根商工会議所会頭。



仲宗根 タナベ経営主宰の「建設ソリューション研究会」にご協力いただきありがとうございます。ヤマウラは、総合建設業として公共の建築・土木、民間企業の社屋・工場、住宅、賃貸マンションなどの建築、土地活用の提案を行い、またエンジニアリング事業として水管理施設や産業機械、通信・制御装置の企画・設計・施工を行うというように、幅広く事業を展開されています。2016年で創業96周年を迎えられますが、その歴史はどのように始まったのですか?

山浦(速) 父の山浦清一が、長野県・岡谷の親戚の金物店に奉公した後、1920(大正9)年に駒ヶ根で山浦鉄工所を創業しました。当時としては近代的な鉄工所で、外国製の最新の工作機器を導入していました。当時、日本最大の輸出品は生糸。岡谷は日本一の製糸工業地帯だったことから、周辺の駒ヶ根も製糸産業が盛んでした。父は煮繭機(しゃけんき)やボイラー、乾燥機といった製糸機械に目を付け、製造や据え付けを手掛けていました。評判は広がり、近隣の山梨県や愛知県、和歌山県へも機械を納品していたと聞いています。

仲宗根 主要産業の波に乗り、事業を拡大したわけですね。

山浦(速) 製糸業以外にも、天竜川電力(現中部電力)が天竜川水系で初の発電事業として建設した水力発電所の下請けとして、操作橋の架設などにも従事しました。当時(1925年)から90年以上たった今も、操作橋は現役で使われています。

仲宗根 機械中心に土木へも事業を広げられました。

山浦(速) しかし、時代とともに必要とされるモノは変わります。終戦後は食品の包装やマッチの代用品として需要の高かった経木(きょうぎ)を削り出す丸剝機(まるはき)を製造、次いで製材業向けに高速度鋼(ハイス鋼)を刃先に付けた木工用刃物を開発しました。この製品は、切れ味や耐久性に優れていたことで売れ行きは好調でした。

仲宗根 人々が必要とする製品開発に注力されたのですね。

山浦(速) 社会に不足しているものを、使う人の視点で開発したことで評判を集めました。例えば、1950年に開発した井戸水をくみ上げる自動給水ポンプは、通常はモーターで駆動しますが、ピンを差し替えると手動で使える画期的な製品。当時は停電が多く重宝されました。しかし、ハイス付き木工用刃物や給水ポンプが県を越えて売れるようになると、大手企業が類似製品を大量生産し始めました。そうなると資本力の差があり太刀打ちできません。

タナベ経営 取締役 仲宗根 政則
タナベ経営 取締役 仲宗根 政則
1990年タナベ経営入社。2014年取締役就任。中小企業から上場企業まで数百社のコンサルティング・教育実績を持つ。特に事業戦略、収益構造改革、組織・経営システム革新に関するコンサルティングや次世代幹部人材育成で実績多数。著書に『未来志向型経営』(ダイヤモンド社)。

仲宗根 競争に巻き込まれると消耗戦に陥ります。どのような手を打たれたのですか?

山浦(速) 1950年代半ばから建築に軽量形鋼が使われ始めたのを機に、新たに軽量鉄骨を使った建築事業にも取り組みました。軽量鉄骨建築物のメリットは、従来の木造建築物と比べて柱が少なく広いスペースを確保できること。培ってきた機械製造や金属加工の技術を生かし、軽量鉄骨の養蚕ハウスを開発したところ、ヒット商品になりました。現在のプレハブのような組み立て式の小型建築物で、農家が組み立てることを考慮してネジなどの部品を多めに付属するなど工夫を凝らしました。当時、家の中で蚕を飼っている農家は、蚕の生育に合わせた住環境に悩まされていたので、各地の農協から注文が殺到。ここから事業が大きく広がりました。

仲宗根 建設業への本格的な参入を果たされたわけです。

山浦(速) 鉄骨建築のノウハウを生かし、伊那地方の有力企業の工場を数多く手掛けました。また、資金力の乏しい地元の中小企業には、工場建設のための融資制度の提案や工場用地の紹介からサポートするなど、お客さま第一で取り組みました。事業性も含めてお客さまが幸せになるお手伝いをする―。この姿勢を今でも大切にしています。

マトリクス経営で事業の多角化を進める

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ヤマウラ 取締役副社長 山浦 正貴 氏
入社以来、支店営業の最前線で活躍。松本支店、飯田支店で勤務の後、佐久支店長、駒ヶ根支店長を歴任。地域の長年の顧客との信頼関係を深める。人事制度再構築、BIM(BuildingInformation Modeling )の推進、基幹システム構築など数々のプロジェクトを取りまとめ、次の1 世紀へ向けた人材育成に力を注ぐ。

仲宗根 時代に合わせた事業開発を得意とされています。ポイントは何でしょう?

山浦(速) 創業以来、製品開発や資材の軽量化、システム化などを自前で行ってきました。こうしたモノづくりのDNAが受け継がれていることが挙げられます。また、社会が必要とするモノを提供し続けるためには、良いものをたくさん見て、聞いて、の中に詰め込んでおくとよいでしょう。私は勉強会や海外出張には必ず社員を同行させ、目に付いたもの、思い付いたことを口に出して共有しています。若手社員を同行させることで、私と同じものを見る力や気付きを養っていく。これはタナベ経営から教わりました。違った角度から見ることは大切ですが、同じ角度から見ることも非常に大切だと思います。

仲宗根 モノづくり企業という意味では、総合建設業となった現在も、技術開発を行うエンジニアリング事業部を持っている点が強みとなっていますね。

山浦(正) エンジニアリング事業部を持つことで、工場建設であれば建物に加えて生産設備も含めた提案が可能となります。ワンストップでサポートできれば、お客さまのメリットも大きくなります。実際に伊那食品工業(長野県伊那市)の工場では、建物はもちろん工場内に設置する自動搬送設備の設計・製造から携わり、メンテナンスまで行っています。また、橋梁関係でもエンジニアリング事業部の溶接技術や加工技術が強みとなっており、社内に蓄積された知識・技術を活用して合成床版を製作するなど、橋梁の建設に貢献しています。

盛田 技術力をベースに、独自工法による高機能鉄筋コンクリートの賃貸マンション『ブレインマンション』など差別化できる商品が育ちました。一方、事業が多角化すると経営は複雑になりますが、マトリクス経営で組織管理されています。

山浦(速) 基本は全員参加の経営と社内分社。損益は支店ごとの独立採算制です。これがマトリクスの縦軸となります。横軸には営業本部と技術本部があり、各支店の品質が統一されるように営業と施工を管理しています。

保科 ブレインマンションをはじめ、土地とテナントをマッチングする店舗開発、医師の開業支援、高齢者施設といった新商品も横軸で管理しています。商品が多様化すると、支店ごとに全ての商品知識や施工ノウハウを把握することは困難になります。そこで、専門的な部分は商品責任者であるチーフが本社から同行して対応することにより、限られた人材で広いエリアへの営業展開を可能にしています。マトリクス経営によって、ブレインマンションを突破口に長野県全域へ営業展開ができるようになりました。

仲宗根 拠点、商品、機能という3つの軸で管理することで、品質向上と規模拡大の両立が可能となるのですね。

本社前に設置している全長11mの水車(発電機)のモニュメント
本社前に設置している全長11mの水車(発電機)のモニュメント

業界に先駆けたIT化で生産性を高める

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ヤマウラ 取締役副社長 建設事業部長 兼
駒ヶ根支店長 兼 FC本部長
保科 茂雄 氏

1982年入社。伊那支店長、建築営業部長、営業本部長と営業畑を進み、主力の建設事業を統括する。山浦社長の右腕として商品開発、営業手法改革、組織改革などを断行。創業1世紀を締めくくり、次の1世紀につなぐ中期経営計画を山浦副社長と共に推進する。

盛田 IT化にも早くから取り組まれました。建設業は生産性が課題として挙げられますが、効率化に成功されています。

保科 長野県は南北200㎞に及び、地形的にも山岳で区切られた4つのエリアから成るため、支店間の移動は容易ではありません。この環境下でマトリクス経営を機能させるには、コミュニケーションツールの整備が不可欠でした。そこで、1994年にテレビ会議システムを、2008年にWeb会議システムを導入。現在、テレビ会議システムは3世代目となり、4Kの大画面モニターを利用しています。通信速度が速くて高画質ですから、フェース・ツー・フェースで行う場合と遜色ない打ち合わせができます。同じフロアで仕事をしているような距離感で、気軽に打ち合わせができる環境づくりを進めているのです。

山浦(正) 設計においてもIT化のメリットは大きいですね。紙の時代は意匠設計や構造設計、設備設計を別々にしており、施工段階で矛盾が発覚することもありました。現在は特にBIM(※1)に力を入れていて、共通のデータ上で設計できるようになり、図面同士の整合性が取りやすい。完成時の姿をあらゆる角度から細部まで検証することができ、生産性が格段に向上しました。設計者はもとより、営業や施工の担当者、協力事業者、そしてお客さまが施工前に確認することによって、完成後のメンテナンスに至るまで、将来起こり得る問題点を事前に把握して解決できます。実際に、ミス・ロス費用は大幅に減少しつつあります。
※1 Building Information Modeling の略称。コンピューター内に建てたバーチャルな建物の情報を、設計や施工、管理などの全プロセスで活用する方法

山浦(速) 問題を源流で止めてしまうことが大切。情報を共有し、営業や設計の段階で問題を解決することです。BIMのメリットとして3Dシミュレーションに目がいきがちですが、本質は初期段階での問題解決、まさにフロントローディング(※2)にあります。見積もりにおいても、原価は過去3カ月のデータをもとに積算するなど、常にコスト競争力のある原価と、適切な見積もり金額に注意を払っています。
※2 製品開発の初期工程(フロント)に負荷を掛け(ローディング)、設計品質を高めること

仲宗根 ミス・ロスの削減と、見積もり段階での適切な利益確保が、健全な財務体質づくりにつながっています。

人材こそ会社の財産信頼第一で100年企業へ

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タナベ経営 コンサルティング戦略本部 部長代理
チーフコンサルタント
盛田 恵介

2001年タナベ経営入社。SP(セールスプロモーション)部門にて営業経験を積んだ後、コンサルティング部門へ異動。セミナー責任者を経てコンサルティングに携わる。現在は、中堅・中小企業の次世代経営幹部育成や営業戦略構築から営業力強化に至るまで一貫してサポートし、業績アップに向けて日々、クライアントと共に戦っている。モットーは「顧客創造なくして、企業の成長なし」。

盛田 2014年に中期経営計画「NEXT100」を策定されました。次の100年に向けた人材育成のポイントをお聞かせください。

山浦(速) 技術集団をつくることが、モノづくり企業の基本ですね。ヤマウラには技術士が8名、一級建築士が50名、一級建築施工管理技士や一級土木施工管理技士がそれぞれ100名以上、電気工事・管工事・造園・舗装の一級施工管理技士を合わせると340名にもなり、その他コンクリート診断士など建設に関わる高度な専門知識を持つ有資格者が多数在籍しています。また、工場には厚生労働省が表彰した「現代の名工」が2名いるほか、若手社員に各種資格の取得を推奨し、技能オリンピック出場にも力を入れています。こうした取り組みを通して、技能・技術の伝承と品質のさらなる向上を目指します。また、国土交通省中部地方整備局発注の工事において、現在3年連続で「工事成績優秀企業」に認定されています。1年でもこの認定を受けるのは非常に難しいところを、3年連続というのは当社の人材が育っていて、技術力が高いことの証明ともいえると思います。

盛田 指定資格は昇格条件に入っており、学べる仕組みができています。経営幹部の育成についてはいかがですか?

保科 次世代幹部の育成を目指すジュニアボードを通して、40代を中心とする若手が活性化しています。中期経営計画の策定や勉強会を通して意識が変わってきましたね。さらに、タナベ経営の幹部候補生スクールへ参加したり、社内業務を通して管理会計に精通した人材を育成したりしています。

山浦(速) 一番うれしいのは、お客さまが社員の名前を挙げて褒めてくださること。高い品質でお客さま満足を実現する人材こそ宝ですね。そうした人材が増えると会社が少しずつ成長し、経営基盤が強くなっていきます。

仲宗根 2020年に創業100周年を迎えられます。今後の展望をお聞かせください。

山浦(正) ヤマウラはさまざまな事業を手掛けてきましたが、今後は事業を「深化」させていきたいですね。それには人材教育に注力して強い体質をつくり上げること。一方、IoTや国土交通省が推進する「i-Construction(アイコンストラクション)」(※3)、改正省エネ基準などの新しい動きが活発化しており、こうした動向に対応できないと企業は衰退していきます。「脱皮できないヘビは滅びる」というニーチェの言葉通り、新しいチャレンジが不可欠。「NEXT100」を通して、お客さまのニーズや時代の流れを先取りできる体質、経営基盤づくりに取り組んでいきます。
※3 国土交通省が推進する、測量・設計から施工、管理までをICT(情報通信技術)化し、建設現場の生産性向上を目指す取り組み

山浦(速) 大切なことは、簡単な方へ行かないことです。安く請けることは簡単ですが、それでは会社は発展しません。良い品質、価値ある商品を提供し続けることで、お客さまから信頼していただく。良い仕事は良いお客さまをつくります。おかげさまで、創業以来お付き合いが続く企業もありますから、これからもコツコツと積み上げていくことが大切ですね。

仲宗根 高い技術とお客さま第一主義が、マトリクス経営を通して次の世代に引き継がれています。事業をさらに深化させ、顧客・地域に愛されるオンリーワン企業として、次なる100年を目指してください。本日はありがとうございました。

●経営理念
わたしたちはお客様を大切にし
巾広い知識と高度の技術と創造性豊かな発想を持ち
地域の信頼を基盤に常に革新と努力によって
お客様のニーズに素早く対応し
お客様に社員一人一人が愛され信頼されて
地域社会の発展と企業の繁栄
社員の生活の向上を目指します


PROFILE

  • (株)ヤマウラ
  • T E L : 0265-81-6010(代)
  • 創業: 1920 年
  • 資本金: 28 億8849 万円
  • 売上高: 199 億4000 万円(連結、2015 年9 月期)
  • 従業員数: 326 名
  • 事業内容: 総合建設事業(建築・土木)、エンジニアリング事業
    http://www.yamaura.co.jp/
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    06-7177-4008
    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所