image1

image1

 

今週のひとこと

優秀な人材は、魅力ある経営者のもとに

集まる。経営者は夢を語ろう。





☆ まもなく就職活動本格化!会社の魅力を正しく伝えましょう

新卒採用では、採用スケジュールの短期化の影響で、企業・学生の相互理解が十分に行なわれないまま就職活動が進んでしまうケースが少なくありません。
筆者も、タナベ経営の採用チームのメンバーとして、いかにして会社の魅力をうまく伝えるかということに注力し、目標採用数の達成にチャレンジしています。


新卒採用時に気をつけなければいけないことは、母集団を増やすことだけに注力しては、本当に自社の求める人材を確保することが難しいということです。少人数であっても、関心を持ってくれた学生に会社の魅力を正しく伝え、アプローチすることが重要になってきます。

そのためにも、まずは「自社の"求める人物像"を言語化し、明確にすること」。そして、「自社の魅力を棚卸し、見える化すること」、これら2つのことに取り組んでみてください。先輩社員へのアンケート調査、活躍している社員の特徴分析など、方法は様々あります。

良く見せようとするのではなく、正しく伝えることです。
企業と学生、お互いが「選んでよかった」と思い、思われるための工夫をしてみてください。


経営管理本部
人事課 採用チーム
内沖 香織





consultant_reviewbanner

動かない営業パーソンを動かす方法


営業が動かない理由

毎年、年度別に立案したトップ方針をもとに部門ごとの計画が発表され、「前年比○%アップ、積極的な提案営業による受注拡大」などの目標を営業パーソンに対して設定している会社も多いだろう。しかし、「当事者である営業パーソンの自主的な動きが一向に見られない」という話をよく耳にする。

なぜ、営業パーソンに動きがないのか。それは、長年培ってきた経験により、ちょうど良い具合にルーティン化しているものを壊したくないからだ。今までと同じやり方では業績が下がることは分かっていても、現在のルーティンの中で解決しようとしているか、またはその振りをしているかのどちらかである。

このような状態に陥っている営業パーソンは、動く前に結果を予測し、新しい動きに対する対抗策を全力で打ち出してくる。

このように、自社の営業部門に対して大きな悩みを持っている経営者は少なくない。短期的なキャンペーンを開催し、高い目標とハイリターンを設定しても、新しい動きが生まれるというより、数字をうまく操作できる一部の営業パーソンだけが恩恵を受ける結果になってしまうのだ。かといって低い目標とローリターンでは、そもそもやる気を起こすのが難しく、ジレンマに陥ってしまう。

筆者は、経営者からそのような相談を受けた際には、営業パーソンが新しい動きをするための目的を、明確にすることが大切だとアドバイスしている。「自社のミッション(使命、理念)が見えない」「自社の中期ビジョンが分からない」という営業パーソンの声が多いからだ。目先の戦闘部分だけが先行し、会社の目指すべきビジョンがしっかり社員に浸透していないため、このような声が上がるのである。

そのため、まずは自社の強みを生かして解決できる「社会的な課題」を明確にする必要がある。そして、そこから得られる会社の業績と個人の業績を連動させる。筆者がコンサルティングを行った企業の例を挙げる。同社は、理念(ミッション)を再定義し、自社が解決できる課題を明確にして、ビジョンの浸透を徹底してきた。営業の戦闘力を強化する前にミッションとビジョンの浸透を図り、自社の考え方を根気強く植え付けたのである。これによって社内に帰属意識が芽生え、営業部門において「今、何をすべきか」を自分たちで考える変化が起こった。


営業部門を改革する3つの秘訣

目指すべきミッション・ビジョンを明確にしたら、次に営業部門の改革に着手する。その際に必要な3つの秘訣を紹介したい。

(1)起爆剤となる人物の選定と投入時期

ミッションを全社に浸透させるには、長い時間を要する場合が多い。そこで、トップと目線をしっかり合わせることができるリーダー候補を選定し、徹底的な浸透教育を行うことだ。
リーダーの選定に当たっては、今までの立場や過去の実績も大切だが、それよりも「トップの考えを理解し実行できる人物」かどうかを重視し、組織横断的に考慮する必要がある。
そして、選定したリーダーがトップの考えを理解したタイミングで、改革する営業部門に投入する。その後も選定したリーダーとトップとの定期的な接触時間を増やし、ある程度の権限も委譲していく。任せた後も後方からサポートできる体制を整える必要がある。このように、トップが先頭に立ち変革する姿勢をしっかり示すことが重要だ。

(2)大胆な顧客のシャッフルと新たな分野のインプット

2つ目は、大胆な顧客のシャッフルだ。これを実行しようとすると、必ず中堅・ベテランの営業パーソンから「この顧客は私が開拓したのだ」「担当を変えると数字がなくなってしまう」などの強い抵抗が出てくる。そのため、事前に主要顧客の独自調査や顧客別の採算分析を行い、客観的な課題を洗い出すことが不可欠となる。
また、顧客のシャッフル後のフォロー体制も必要だ。営業パーソンは既存のジャンルに傾倒し、新しい分野の勉強をしない傾向がある。それを解決する手段の1つとして社内勉強会の開催が挙げられる。顧客を引き継げない多くの理由は、属人化した営業体制にあるからだ。
それを防ぐ上でも、営業のノウハウや情報を共有化し、ブラックボックス化を防ぐ必要がある。具体的には、新人教育を目的とせず、実践的なテーマ別に営業パーソンがローテーションで講師を担当し、部署横断的に開催する。新しいことを覚える癖付けを行うのだ。

(3)自社の強みの明確化

自社の強みというテーマで話を聞くと「コア・コンピタンス」という言葉をよく聞く。コア・コンピタンスとは「自社で培ってきた個別のスキルや固有技術のうち、他社にはまねできない、競争のための手段として最も有効なもの」と定義される。
商品の寿命はますます短くなる一方であり、多様化する顧客のニーズにマッチした商品開発を継続して行うことは至難の業だ。結局、そのスピードに追い付くことができず、自社の商品がコモディティー化しているケースを多く見掛ける。
顧客の課題を解決するための「自社で培ってきた個別のスキルや固有技術」とは、自社の商品・サービスだけではなく、その業務プロセスや組織、人材なども密接に関係する。
そこで、自社の営業を軸とした自社内の関連・連動する工程をチェックし、強みに変えることができないかを検討する。営業そのものだけを強化して、単に見積書の提出数や受注率を追ってもなかなか成果は出ない。それでは結局、提案営業という名の単なる「御用聞き営業」になってしまう。

本当の提案営業を加速させるためのチームを編成するには、
(営業パーソン+自社内の関連・連動する工程)×部門をまたいだチーム
――が飛躍的な成果を生み出す大きな鍵となる。今一度、自社の営業を見直してほしい。

  • タナベ経営 コンサルティング戦略本部
  • チーフコンサルタント
  • 林崎 文彦
  • Fumihiko Hayashizaki
  • 営業部門での数多くの成功事例を生かし、クライアントの営業力強化を中心としたコンサルティングを展開。成果につながる実践的で具体的なアドバイスが高い評価を得ている。また、新規事業開発、ブランド戦略構築、幹部人材育成など、幅広い分野でも活躍中。







2_teamconsul

使命は「明日の活力になる事業」
郷土の自然を守り生かし、付加価値を追求して高収益を実現

201608_team-01
古酒をベースに造り上げる『琉球王朝』には固定ファンも多い(左) 辛口ながら麹(こうじ)の香りが豊かに広がる『多良川ブラウン』(右)

自己資本比率が約80%という強固な財務基盤を持つ琉球泡盛メーカーの多良川(たらがわ)。
沖縄県の離島、宮古島に本社を置く同社の躍進を支えるのは、手厚い待遇と活発な意見交換による「人づくり」と、業界の常識にとらわれない自由闊達(かったつ)な「商品づくり」である。


古酒の常識を覆す『琉球王朝』で成長

比嘉 まずは、多良川の事業概要をお聞かせください。

砂川(すながわ) 沖縄本島から南西へ飛行機で45分ほどのところに宮古島があります。その島の南東に位置する城辺町(ぐすくべちょう)砂川(うるか)(現宮古島市城辺字砂川)で、1948(昭和23)年に祖父が多良川酒造所を創業し、泡盛の醸造を始めました。当初は従業員5名ほどの家内工業的な会社だったそうです。
1980年に有限会社多良川酒造、1992年には株式会社多良川へ改組。2016年3月期の年間製造高は1升瓶に換算して33万本。年間販売高は32万本。貯蔵酒現在量は113万本です。従業員数はパートナー社員を合わせて41名。宮古島本社工場のほか、沖縄本島に玉城(たまぐすく)工場(南城市)と那覇支社があります。
2003年には、本社工場の近くにある洞窟をお客さま用の泡盛貯蔵庫とし、「ういぴゃーうぷうす蔵(※1)」と名付けました。お客さまが購入された泡盛を5年間寝かせ、「古酒(クースー)」へ熟成。誕生日や結婚記念、新築記念などの祝い事の席で振る舞う酒として好評を博しています。
※1 「ういぴゃー」は地名。「うぷうす」は「大きな穴」。「ういぴゃー森の大きな洞穴」といった意味

比嘉 多良川が大きく躍進された要因は何ですか?

砂川 きっかけになったのは、1986年に発売、2016年に30周年を迎えた古酒『琉球王朝』です。当時の泡盛業界において、古酒は「アルコール43度の高級品」という概念が確立していました。いわば、消費者にとって敷居の高い商品だったのです。しかし、古酒の良さをもっと広めたいという思いから、度数を30度に落とし、価格を抑えて発売。また、1升瓶が主流の時代でしたが、当時居酒屋で普及し始めていた卓上型の4合瓶を採用しました。
市場の評価は「味のバランスが良い」と上々で、宮古島はもちろん沖縄本島の南部までファンが広がり、売り上げを順調に伸ばしました。この琉球王朝のヒットが、当社を成長軌道に乗せたといえます。

比嘉 古酒のアルコール度数を43度から30度に変更することに対して、業界からの反発はなかったのでしょうか?

砂川 競合他社から「そんなことをすると古酒の価値が下がる」「43度でも十分売れる」などの非難の声が上がったそうです。しかし、当時の社長(現取締役会長・砂川佳一氏)は、強い意志をもって発売を敢行しました。
また、業界の先陣を切って『琉球王朝』のテレビCMを放映。沖縄本島でのニーズを高める一助になりました。

比嘉 多良川が成長した要因を3つにまとめると、1つ目は古酒に対する業界の常識を打ち破ったことが挙げられます。2つ目は30度の古酒を造ることで新たなマーケットを開発したこと。3つ目は周囲の非難に動じず商品開発を行ったことです。これらは学ぶべき点だと感じます。

201608_team-02
洞窟貯蔵庫「ういぴゃーうぷうす蔵」。 洞窟の中には全国の顧客から預かった泡盛が保管され、熟成の時を待っている

卓越した自己資本比率で利益を出す企業体質

201608_team-03
多良川 代表取締役社長 砂川 拓也 氏
1970年生まれ。大学卒業後、1994年に神戸市内の酒類卸へ入社し、ルート営業・営業企画などを担当。 退職後、宮古島に戻り1997年多良川入社。泡盛製造部に配属後、広島県の国税庁醸造研究所(現 独立行政法人酒類総合研究所)に出向し、1年間で酒造りの基礎を習得。多良川に戻り、製造・営業 を担当し、常務取締役、専務取締役を経て2004年より現職。

比嘉 次に、直近の業績をお聞かせください。

砂川 泡盛業界は出荷量が10年連続で減少する厳しい状況にあります。当社の2016年3月期の売上高は前年度より2.3%減少したものの、営業利益率と経常利益率は2年連続10%以上となりました。また、自己資本比率は、私が入社した当時は25%程度でしたが、約20年をかけて79.6%に引き上げることができました。

比嘉 注目すべきは自己資本比率の高さです。約80%ということは、外部環境の変化に左右されない企業体質を確立しているということです。「事業環境が悪化したから利益が出ない」といった話はよく聞きますが、多良川の数字を見ると、外部環境の影響を受けない企業体質を実現すれば、利益が出せるということがよく分かります。
業界の中では、どのようなポジションなのでしょうか?

砂川 泡盛メーカーは沖縄県内に46社あり、当社を含む上位10社で出荷高の7割を占めています。多良川は離島の泡盛メーカーですが、本島から離れていることをマイナス要素とせず、「宮古島だからおいしい酒ができる」と社員一同、確信しております。
宮古島はサンゴ礁が隆起した島で、山はありません。雨水は地下に浸透してサンゴのミネラルを豊富に含んだ硬水になります。この水を使うと発酵が促進され、おいしい泡盛ができるのです。宮古島には泡盛メーカーが6社ありますが、どこも宮古島での泡盛造りにこだわりを持っています。

受け継がれる多良川魂

比嘉 多良川には経営理念のほかに「多良川魂・川五訓」と「私たちの使命」があり、どれも素晴らしい内容です。社員の皆さんはこれらを唱和し、自分の行動や考え方の基軸としています。

砂川 株式会社に改組する際、当時の社長(佳一氏)が必要性を感じて作成したと聞いています。社員15名が宮古島のホテルに泊まり込んで1泊2日で完成させたそうです。手前みそになりますが、魂が入った素晴らしいものだと思っています。
経営理念には、「酒造りは生物の力を借りる仕事なので、自然の恵みを生かして地域の皆さんと一緒に生きていきましょう」という思いが込められています。多良川魂・川五訓には「川の流れのようにいつまでも進んでいきましょう」という会社のあり方が表現され、私たちの使命は「明日の活力になる事業をやる」と宣言しています。

比嘉 ロゴマークにも、思いが込められているのでしょうか。

砂川 「川」の象形文字と、人を表す「i」を表現しています。「いっしょに、いい時。」というキャッチフレーズの下にある「TARAGAWA」の「A」は、人が手をつないでいるようなデザインになっています。これは、経営理念、多良川魂・川五訓、私たちの使命を表しています。当社を100年企業とするため、これらをしっかりと活用するつもりです。

比嘉 社名を多良川酒造から、多良川に変更されました。

砂川 「酒造」を付けていると、その事業に縛られてしまうから変えたと聞いています。地域と共に歩んでいくという思いから、多良川にしたようです。

水で割らずにすぐ飲める『のみごろ缶ひやさっさ』
水で割らずにすぐ飲める『のみごろ缶ひやさっさ』

意見の出やすい環境と自由闊達な開発体制

比嘉 古酒では『琉球王朝』、スタンダードな泡盛では『多良川』や『多良川ブラウン』といったヒット商品をお持ちです。社長の商品開発に対する考え方をお聞かせください。

砂川 当社はメーカーなので、新商品の開発は使命と考えています。タナベ経営のセミナーや勉強会に参加し、不便・不満・不足といった「不」の付く課題を解決することが事業のテーマになると知り、商品開発にも反映させています。また、「こんな商品があったらいいな」「こんな大きさにしてほしい」というお客さまからの声に応えるのが社員の使命だという企業DNAもあります。
同様の方針で開発したのが、『のみごろ缶ひやさっさ』です。これは宮古島独特のお酒の飲み方である「オトーリ(※2)」用に低アルコール化した泡盛を、缶に入れた商品です。水で割る手間を省いてほしいとの声に応えました。
※2 御通り。車座になって泡盛を1 人1 杯ずつ回し飲みする飲み方。沖縄県の宮古列島で浸透している風習

比嘉 泡盛を水で割る「不便」を解消したわけですね。また、モンドセレクションをはじめ多数の受賞歴を誇っておられます。商品開発は自社の社員だけで行っているのですか?

砂川 そうです。創業以来、酒造りのノウハウはしっかりと蓄積してきました。また、自由闊達に開発に取り組む社風が醸成され、パートナー社員からも「こんな商品があったらいい」といった意見が出やすい環境が整っていると思います。

比嘉 活発に意見が出る環境づくりは大切です。

砂川 その一環として週1回、ランチを楽しみながら会議を行う「昼食会」を開いています。テーマは設けず、雑談の中からアイデアを探るというものです。玉城工場がある南城市の青年団協議会や宮古島の南西にある多良間島の小中学校PTAへの寄付、宮古島のクリーンアップ活動といった地域貢献の企画もここから生まれました。

技術・ノウハウを伝え、人を育てる

タナベ経営 コンサルティング戦略本部 沖縄支社長 比嘉 純弥 クライアント視点での情熱的なコンサルティングが持ち味。「企業と人の成長が何よりの喜び」という信条の もと、さまざまな企業の人材成長を実現。また、成長戦略から営業マネジメント、管理会計システム、業務 先行管理、人事制度、教育体系づくりまで、幅広い分野でも実績を上げている。観光ツーリズム成長戦 略研究会の戦略ドメインサブリーダーとしても活躍中。
タナベ経営 コンサルティング戦略本部 沖縄支社長 比嘉 純弥
クライアント視点での情熱的なコンサルティングが持ち味。「企業と人の成長が何よりの喜び」という信条のもと、さまざまな企業の人材成長を実現。また、成長戦略から営業マネジメント、管理会計システム、業務先行管理、人事制度、教育体系づくりまで、幅広い分野でも実績を上げている。観光ツーリズム成長戦略研究会の戦略ドメインサブリーダーとしても活躍中。

比嘉 収益力と付加価値の追求に対する取り組みについてお聞かせください。

砂川 収益構造については、私の社長就任時に原価率60%、粗利益率40%の体制は出来上がっていました。これを維持するために、毎月の会議で売り上げや利益の目標数値を設定し、翌月の会議で成果をフィードバックして改善点を探るようにしています。

比嘉 売り上げが少し減っている状況ですが、コスト削減にはどのように取り組んでいらっしゃいますか?

砂川 広告宣伝費を半減し、在庫管理を徹底して在庫を圧縮しました。その一方で、年2回の賞与以外に、決算で営業利益率が10%を超えた場合はその一部を均等割りして全社員に支給するようにしました。
2017年3月期は営業利益率10%維持が目標です。これくらいの利益を上げれば、次の一手となる投資ができるし、社員への還元や地域貢献も行えます。

比嘉 売り上げが減ると、まず人件費から削減するという企業が多い。しかし、多良川は人件費を維持したままで、会社の利益が出たら社員に還元する仕組みにしています。
多良川の決算書を拝見して感じたのは、変動費が全体の約29.2%と低いこと。一般的な食品メーカーの変動費は35~40%くらいです。逆に、多良川は固定費の割合が高い。ここから、多良川に好調をもたらしているのは、やはり「人」だと分かります。定着率が高いため、技術やノウハウが効率的に蓄積され、社風の醸成が進むのだと思います。人を残し、人を育てる――。これが多良川を躍進させた大きなポイントの1つでしょう。

現場にも顔を出し社員に思いを伝える

比嘉 会社の方針やビジョンをどのように社員へ伝え、徹底させているのですか?

砂川 期の初めの7月には本社に全社員を集め、全社および部門ごとの方針書を約束事として発表しています。「必ず実行するんだよ」というメッセージを込めて伝えているつもりです。毎月チェックして、実行できているかを確かめています。

比嘉 宮古島の本社に伺ったとき、砂川社長は現場によく顔を出していると感じました。トップが現場に行って、社員に「こうなってほしい」「こうしてほしい」といった要望を伝えることはとても重要だと思います。部門長に任せっ放しにせずに、ポイントごとに社長が現場を訪れ、意思を伝えていく。また、5Sにも力を入れて取り組まれています。

砂川 製造現場を持っているので、5Sに関心があり、比嘉さんに頼んで熱心に取り組む企業を訪問しました。フォークリフトを購入している関係から、トヨタ自動車の本社から視察に来てもらい、工場中心に改善提案をいただいたこともあります。これにより在庫が半減しました。5Sをやったおかげで、利益の出る体質に近づいたと感じています。

次の100年に思いをはせ、将来への投資にも意欲的

比嘉 確保した利益は、何に配分していますか?

砂川 新商品開発に重点を置いて投資しています。バイオ燃料の製造に必要な発酵技術を研究した際、宮古島の自然環境に適合した新しい酵母を発見しました。バニラのような香りを放つ成分が通常の酵母より6倍も多く含まれます。その酵母を使った泡盛造りに2011年から取り組み、近々、宮古島に特化した泡盛を発売する予定です。また、サトウキビの可能性を探る研究や、貯蔵施設を建設するための土地の取得も進めています。

比嘉 本格的な海外進出もスタートしました。

砂川 以前から台湾や香港には、沖縄県物産公社を通じて商品を出してきました。本格的な進出先として目を付けたのが北米です。ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨークの3都市に私が直接出向いて泡盛をPRしました。現地では日本酒ブームですが、泡盛はようやく認知され始めた段階。しっかり畑を耕して種をまき、10年後くらいには「泡盛といえば『琉球王朝』だね」と言われることを目指しています。

比嘉 砂川社長の「100年先の多良川をつくる」という思いをお聞かせください。

砂川 100年企業を目指して創業66周年に当たる2014年、「NEXT STEP TO FORWARD ~次の100年に思いをはせる」というキーワードを設定しました。そして、「会社が存続するためには、今、何をすべきか」を全社員で考える訓練を、今後も積んでいきます。

比嘉 自己資本比率約80%という強い企業体質に磨きをかけ、100年企業を目指してください。本日はありがとうございました。
※ 本記事は、2015年の「ファーストコールカンパニーフォーラム」対談をもとに再構成したものです

■ 経営理念
天、自然の恵みを活かし、人と時代に生きる。

■ 多良川魂・川五訓
川は、自ら活動し道を拓き常に前進する。
川は、すべてに合わせ堂々と素直に流れ続ける。
川は、時に激しくときにゆるやかに挑み時流を造る。
川は、豊かな文化を遠く広くはこび伝える。
川は、人々が集い安らぐくらしのふるさとである。
■ 私たちの使命
恵まれた郷土の自然を守り、活かし、ふれあいの喜びを広く知らしめ、
明日への活力と夢を育み、時代と共に歩み続ける。
ほがらか多良川


PROFILE

  • ㈱多良川
  • 所在地: 〒906-0108 沖縄県宮古島市城辺字砂川85
  • TEL: 0980-77-4108
  • 創業: 1948年
  • 資本金: 3000万円
  • 売上高: 8億2000万円(2016年7月期、予定)
  • 従業員数: 41名(パートナー社員含む、2016年6月現在)
  • 事業内容: 泡盛の製造・販売
  • http://taragawa.co.jp/
  • お問合せ・資料請求
  • お電話でのお問合せ・資料請求
    06-7177-4008
    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所