FCCマネジメントレター:2017年12月01日
今週のひとこと 絶えず革新と改善を求めて奮闘する習慣 を持とう。そうすれば、常識では想像も できないことが容易に実現できる。 |
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☆ "カイカク"を始めるには?
長時間労働の是正や、多様な働き方を選択できる「働き方改革」は、政府が旗振り役を務めており、その言葉は一般的になってきています。働き方改革を行うためには、時間当たりの業務効率の向上、すなわち "生産性の向上"が必要です。
OECD加盟35カ国中、2015年の日本人1人当たり労働生産性(GDP/就業者数)は22位。時間当たり労働生産性(GDP/労働時間)は20位です。この順位は1980年代からあまり変わっておらず、日本人の働き方は大きく変わっていないことが伺えます。その背景にあるのは、「24時間働けますか」の言葉どおり、"長時間労働=仕事ができる"という固定概念が、日本人の中に根強く残っているからではないでしょうか。
生産性を向上させるために、従来から取り組んでいる5S活動などに、新たなことを付加しようとすることが多いでしょう。しかし、その前に、新たなことを行う時間が今の業務時間の中にあるかをチェックしてみてください。当然ながら、現状の無駄を省き時間をつくることも大切ですが、時間外労働が当たり前になっている状況で、新たなことにチャレンジしたとしても前向きに取り組むことは難しいでしょう。"生産性向上"の取組みが逆に生産性の低下を招いてしまっては本末転倒です。
みなさんがプライベートで新しい家具を購入する際、まずは部屋を片づけ、その家具を置くスペースを確保するでしょう。"カイカク"を行う前には、はじめに現在の業務の棚卸しを行い、新たな取組みを実行するための時間をつくり出すことが必要です。
コンサルティング戦略本部
チーフコンサルタント
小出 哲央
新たなチームなくして新たなビジネスモデルなし
自由闊達に開発する組織をつくろう
社長の寿命<事業の寿命<会社の寿命の方程式が成立する「100年経営」に向け、自由闊達に開発する新たなチームデザインこそが、生産性の源泉となる。
「チーム力」で生産性を改革する
データによれば、国内企業382万社※1のうち100年以上続く企業は3万3069社※2と全体の0.87%にすぎません。会社を継続させることがいかに険しい道であるかが分かります。では、企業が生き残っていくには何が必要か。タナベ経営が社風に関するアンケート調査※3を実施したところ、会社が最も成長したのは創業者の時代であり、代を重ねるにつれて成長率が鈍化していくとの結果が明らかになりました。時間の経過とともにベンチャースピリットや創業の精神が薄れてしまうのは致し方ないことですが、企業が生き残るには新しいビジネスモデルやブランドの創造が不可欠。これらを生み出し続けるためには組織づくり、つまり「チーム力」が必要なのです。
チーム力に注目する理由はほかにもあります。今、国内の人材不足が深刻です。総務省「国勢調査」によると、2015年の生産年齢人口(15歳~ 64歳)は7728万人。それが2030年には約850万人減少して6875万人になると予測※4されており、企業にとって生産性の向上がますます重要になるでしょう。
ところが日本の労働生産性はOECD(経済協力開発機構)加盟35カ国中22位※5と、ギリシャよりも低いのが現実です。さらに、米国の調査機関が発表した「働きがいのある会社ランキング」(グローバル企業)※6を見ると、残念なことに上位25位以内に日本企業は入っていません。働きがいは生産性の鍵となります。タナベ経営では生産性の指標として「1人当たり経常利益年間300万円」を提言していますが、高い生産性を実現するには働きがい改革、働き方改革が必要です。国は働き方改革の推進に力を入れていますが、企業も真剣に取り組むべき時期を迎えているといえるでしょう。
また、チーム力のキーワードとなるのが「全員活躍」です。これを実現するには日本企業の組織構造という根本的な問題と向き合わねばなりません。成長を続ける企業はここに真正面から取り組んでいます。企業の組織デザインが変わり始めているのです。
例えば、国内の寒天市場でシェア8割を占める伊那食品工業(長野県伊那市)は、末広がりに成長を続ける「年輪経営」の実践によって48期連続増収増益を果たしたことで注目を集めました。私は同社の塚越寛会長と対談(本誌2017年8月号)した際、「創業10年目に研究室を立ち上げ、今日まで社員の1割を研究に充ててきた」と伺いました。
これは食品業界において非常に思い切った投資ですが、新市場開発やブランド化に成功したことで、同社は高い生産性を実現しています。こうした自由闊達に開発する組織、チーム力が必要とされているのです。チーム力次第で1+1 が3や4、5になるのです。
ビジネスモデルは、理念から生まれる戦略
では、そもそも企業におけるチームとは何か。タナベ経営では「理念・ミッションを共有し、顧客にとっての価値を高める継続的な全社員活動の単位」と定義しました。キーワードは「理念の共有」「顧客価値」「全員活躍」です。
私はさまざまな会社を訪問しますが、新入社員の方々と話していても「おや、トップと話しているようだ」と感じることがあります。トップと新入社員の話す内容が一致しているということは、経営理念やビジョンが組織全体に浸透している表れです。とはいえ、経営理念の浸透は簡単ではありません。全員で唱和しているだけでは浸透しないのです。
経営理念を徹底するには、自社の考え方をまとめた「ビジョンブック」の活用が有効です。創業の精神や背景を含めたストーリーとして伝えることで、経営理念の理解は深まります。さらに社員同士がビジョンブックを基に語り合い、確認し合って日々の業務で実践する。この繰り返しの中で浸透していくわけです。
真に成功する戦略とは理念から生まれたものです。「戦略は理念に従う」のです。従って、理念が組織やチームに浸透すれば、全社員の発想や活動そのものが戦略につながっていくことになります。
おのずと、顧客のために働くことがチームの目的となるのです。
「チームブランディング」という組織力
チーム力を高めるには、次の3つのステップを踏むことです。
(1)戦略推進力を高めるチームブランディング
第一のステップは、組織をデザインするところから始まります。ポイントは、顧客価値を追求するチームデザインであること。
参考になるのが、眼鏡レンズを製造・販売している東海光学(愛知県岡崎市)の事例です。売上高100億円、社員数400名の中堅メーカーである同社は、女性だけの商品開発チーム「女子開」を組織。このチームが開発したのが、パーソナルカラー理論に注目した『肌美人』『美美Pink』という商品です。特に美美Pinkは内閣府の革新的研究開発プログラム(ImPACT)で優秀入選アイデアに選ばれ(2016年)、NHKや女性ファッション誌でも取り上げられました。
同チームの研究開発により、従来の男性だけによる営業活動では決して得られなかった多くの新たなファンをつくったのです。現在、彼女たちは眼鏡販売店の「パーソナルカラーアドバイザー」として活躍。コンサルタントとしての役割も果たしているといいます。ちなみに東海光学の経営理念は「顧客第一主義」「全員参加の経営」「独自性の発揮」。納得です。
また、家具を製造する関家具(福岡県大川市)でも、社内の若手デザイナープロジェクトや女性社員を集めた開発プロジェクトを展開。若手社員や女性社員によるブランド開発が成長の原動力となり、創業以来48年連続の増収を続けています。
2社の事例は、市場や顧客と向き合うチームづくりによって新たなビジネスモデルやブランドが生まれている点、そして多彩なブランド戦略に合わせたチームが組成されている点で共通しています。専門領域を掘り下げていく過程で、専門領域が細分化されてブランドが増えていくという組織デザインです。これは、チームブランドが多角化(コングロマリット)していく可能性を広げます。新しいチームをデザインして、チームに投資することです。
人材活躍力を高める全員参加のチーム活動
(2)自己変革を続け全員参加・一人一人が活躍する
第二のステップは、一人一人が活躍できる、全員参加によるチーム運営が挙げられます。創業115年を迎える老舗企業の太田油脂(愛知県岡崎市)は、大手油脂メーカーの委託生産が中心の下請け型企業でしたが、自社ブランドのエゴマ油やオイルを開発。近年は自社ブランド製品の販売拡大で売り上げを伸ばしています。新ブランドの販促においては、女性社員によるチーム「あぶら部(A・BU・LOVE)」が一般消費者や地域における知名度向上に大きく貢献。一人一人が製品のPR担当として活動した結果、ブランディングに成功した好例といえるでしょう。
また、2002年設立のスターフライヤー(福岡県北九州市)は、大手航空会社とLCC(格安航空会社)との差別化を目指し、ES(社員満足)の向上に取り組みました。社員一人一人が活躍できる働き方改革を進めた結果、生産性向上に加えて、2017年の就職先人気ランキング※7で9位(九州・沖縄地域)に入るほどの評価を獲得しています。中期経営計画「"らしさ"の追求2020」を掲げ、理念や方向性を共有していることが全員参加の改革を進める原動力となっています。
チームのメンバーが方向性を共有すると改革スピードは格段に上がります。タナベ経営でも提言していますが、チームの推進力を高める上で企業内大学の活用は非常に有効です。働き方改革は、学び方改革でもあるということです。
組織が「One」になるチーム経営
(3)チームOne の運営システムをつくる
第三ステップは、顧客のために部門や階層の壁を越えて1つになる。これが「チームOne」です。日本の組織の多くは機能別の縦割り構造で、硬直化しています。ブランドやサプライチェーンが実現しているように、全ての機能が一体となって顧客へ向かっていく組織デザインが必要です。言葉を変えれば、チームのブランディング活動であるといえます。
このチームブランディング活動には、①顧客価値、②全員活躍、③ブランド化、④オープンイノベーション投資、⑤プロフィット、⑥活躍評価という6つの要素・条件があります。
顧客に向いて全員が活躍できるチームであり、ネーミングやロゴを活用して社内外に向けてブランド化していくこと。広く外部に知を求める対外的交流への投資を行い、チームKPI(重要業績評価指標)を設定して損益を管理することで、次の投資や活躍意欲を引き出す。そしてチームの活躍をしっかりと評価する表彰制度やインセンティブといった評価の仕組みを構築する。
一連のチームブランディング活動を通して、チーム力が養われていくのです。
オープンイノベーションとコミュニケーション投資
加えて、チームは高密なコミュニケーションが生まれると活性化します。そのためには外部連携、すなわち、オープンイノベーションという「共創思考」も含めて、3つの視点からチームへ投資することを検討すべきでしょう。
1つ目はOneミーティング投資。これは社内コミュニケーションを後押しするインフラ投資といえます。例えば、グループウエアやテレビ会議、スマートフォン、タブレットといったツールへの投資です。
2つ目は、オフィス環境への投資。オフィスの設計一つで思考が変わり、生産性が上がります。コミュニケーションが活性化するよう、オフィスそのものの環境を変えていくわけです。大手スナック菓子メーカーのカルビー(東京都千代田区)は、オフィスにフリーアドレス制を導入しています。さまざまなタイプの座席が用意されており、とてもユニークです。例えば、1人で集中するためにパーテーションで個室化された席や、打ち合わせをしながら仕事ができる3人席、より大勢でアイデアを出し合う円卓など、働く人が目的に合わせて選ぶことができます。非常に参考になるデザインです。
3つ目はIT投資。神奈川県の鶴巻温泉にある老舗旅館、元湯 陣屋(神奈川県秦野市)が有名です。同社は「陣屋コネクト」と命名した独自クラウドの導入によって、情報の見える化をはじめPDCAサイクルの高速化や顧客接点の増加などに取り組み、高い生産性を実現しています。IT化による業務の効率化は、社員の完全週休2日制や有休消化率100%などの働き方改革につながりました。働きやすい環境が整ったことで、以前は33%に上っていた離職率が3%まで下がっているそうです。
人事制度から組織をリデザインすることは、働きがいを高めて生産性にも影響を及ぼします。
もう1つ事例を挙げましょう。グループウエア開発を行うサイボウズ(東京都中央区)は、人材確保の観点から最長6年の育児・介護休業制度や、ライフステージに合わせて働き方を変えられる選択型の人事制度、副業解禁、留学や転職を認める育自分休暇制度、子連れ出勤制度、在宅勤務制度など多様な働き方改革に取り組んでいます。その結果、離職率は28%から4%以下へと劇的に改善し、今では社員の働きがいや生産性の向上に大きな成果を上げているそうです。
日ごろ、経営者から「優秀な人材がいない、人が足りない」という声を聞きますが、本当にそうでしょうか。 実は、高い能力を持った人材はすぐそばにいます。社内にいる人材の長所に気付いていないのです。顧客にとっての価値を高めるために、社員の強みや長所を探してつなぐことがチーム力の出発点です。ファーストコールカンパニーを目指し、新たなチームをつくり、チームに投資し、チーム力に磨きをかけて、新たなビジネスモデルやブランドを築いていきましょう。
※1 中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数等(2014年7月時点)の集計結果」2016年1月29日公表
※2 東京商工リサーチ「全国『老舗企業調査』」2016年12月2日公開
※3 タナベ経営「2017年企業経営に関するアンケート」(有効回答数:305名)
※4 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」<出生中位・死亡中位推計>
※5 日本生産性本部「労働生産性の国際比較(2016年版)」2016年12月19日発表
※6 Great Place to Work® Institute「World's Best Multinational Workplaces List」2016年10月26日発表
※7 マイナビ・日本経済新聞社「2017年卒マイナビ大学生就職企業人気ランキング」2016年5月12日発表
タナベ経営 代表取締役社長
若松孝彦
タナベ経営のトップとしてその使命を追求しながら、経営コンサルタントとして指導してきた会社は、業種を問わず上場企業から中小企業まで約1000社に及ぶ。独自の経営理論で全国のファーストコールカンパニーはもちろん金融機関からも多くの支持を得ている。関西学院大学大学院(経営学修士)修了。1989年タナベ経営入社、2009年より専務取締役コンサルティング統轄本部長、副社長を経て現職。『100年経営』『戦略をつくる力』『甦る経営』(共にダイヤモンド社)ほか著書多数。
子育てマーケットにアプローチし
子どもの保障で加入者数ナンバーワンを目指す
日本コープ共済生活協同組合連合会 × タナベ経営 SPコンサルティング本部
運営する日本コープ共済生活協同組合連合会(以降、コープ共済連)では、幼稚園でのイベントや母親向けの情報サイトなどを通じて子育てファミリーマーケットへアプローチし、将来を見据えた顧客の獲得を目指している。
くらしに必要な保障をより良い内容、より安い掛け金で実現
「自分の掛け金が誰かの役に立つ」という助け合いの精神のもと、生協(生活協同組合)の保障事業として1984年に誕生したCO・OP共済。加入者数は800万人を超え、JA共済(全国共済農業協同組合連合会)、全労済(全国労働者共済生活協同組合連合会)、都道府県民共済(全国生活協同組合連合会)と並ぶ大手4共済の1つに数えられるまでに成長した。
CO・OP共済の元受けであるコープ共済連は、2008年に設立された共済事業専門の生協連合会。もともとCO・OP共済は日本生協連(日本生活協同組合連合会)が運営していたが、07年に共済事業の兼業を規制した改正消費生活協同組合法が成立し、共済事業を分離する形でコープ共済連が設立された。現在、全国147の会員生協と全労済、日本生協連が加盟する。
CO・OP共済の強みは、組合員の声から生まれた商品開発だ。ほぼ毎年、商品の改定を行い、2016年度は月掛金100円の先進医療特約も実現。4年連続で顧客満足度第1位※を獲得するなど評価も高い。
「CO・OP共済の商品は他共済と比べると、決して先進的ではありません。他社商品との比較ではなく、あくまで『組合員のくらしに必要な保障を、より良い内容、より安い掛け金で実現する』というメリットを打ち出すことに注力しています」と話すのは、共済推進本部推進企画部推進企画グループの江森優氏だ。
宅配担当者や店舗の担当者など、顔なじみの担当者が勧めることによる親近感や安心感も新規加入への大きな要因になる。しかし、既存の組合員の高齢化から、新規加入者の数は伸び悩みの傾向にあるという。
今後の最重要課題は、新たな市場をどれだけ獲得できるか。そのためには重点となる層へのアプローチが急務となる。
※ 2016年度「JCS(I 日本版顧客満足度指数)」第5回調査、生命保険部門
後列右から榊原氏、江森氏、南波氏、前列右から関塚氏、滝山氏、
中央はCO・OP共済のキャラクター「コーすけ」
イベントを通じて園児と母親に直接アピール
2016年には、CO・OP共済事業としてタナベ経営のサポートのもと、強化したい子育てファミリー層への認知度向上、幼稚園とのコネクションづくりを狙い、試験的に複数の幼稚園で「モザイクアート」を作るイベントを開催した。
イベントはCO・OP共済のキャラクター「コーすけ」と一緒に、紙芝居などを通してリサイクルについて学んだ後、園児が持参した牛乳パックをちぎり、みんなで1 つのアート作品を完成させるという内容。当日、CO・OP共済の申し込み受け付けなどの活動は行っていないが、作品を近隣の生協店舗に飾り、撮影した記念写真を来店者にプレゼントするなど、子育て層を店頭に呼び込む役割も担っている。
イベントを手掛けた推進企画グループの関塚千尋氏は「そもそもCO・OP共済は、女性と子どもに優しい商品。普段、なかなか接点のない幼稚園の中に入って、直接会ってアピールでき、手応えを感じました」と話す。さらに、今後は全国でのイベント実施を計画している。その際は、特色の異なる各生協へのコンサルティングをタナベ経営に期待するという。
昔ながらの集合住宅などへのグループ宅配から、個別宅配へ変化し、組合員同士の交流や拡大が難しくなった今、「子育て層が一堂に会するイベントは、推進活動の一環としてふさわしい」と関塚氏。今後の課題には、イベント後の幼稚園との継続的な関係構築を挙げる。
2016年はコープ共済連が引っ張っていく形でイベントを開催したが、今後は全国のより多くの会員生協に主体的に取り組んでもらい、効果を検証しようとしている。
実施する上で、生協のロイヤルティーを子育て層にしっかり築き上げ、幼稚園との関係構築にもつなげていきたいところだ。
「2016年のイベントは第一ステップ。全国の生協が幼稚園と一緒にさまざまなイベントを組み、私たちは後ろから支える体制が理想です。タナベ経営にはアイデアやヒントをいただき、実績を積んでいきたいですね」(江森氏)
幼稚園で実施するモザイクアートのイベント。撮影した記念写真は店頭でプレゼントし、来店を促す
世帯の保障の中心を目指す
子どもの保障で加入者数ナンバーワンを目指すCO・OP共済が、2020年にありたい姿として挙げているビジョンは「加入者数940万人以上、加入世帯500万世帯」だ。
CO・OP共済の加入者や生協の店舗を長年利用する人は、店舗や宅配を通じ、子どもの頃から生協に親しんでいる人が多い。今の子どもたちが成人した時、同じように生協との接点が保たれているよう、各生協で取り組みを強化している。
「コーヒー1杯分のシンプルな保障」から始まったCO・OP共済は、さまざまな保障ニーズをカバーする商品ラインアップを増やし、"世帯の保障の中心"を目指している。また、消費者側の金融リテラシーが向上し、より専門知識が求められる中、お金やライフプランの専門知識を身に付けた職員や組合員、ライフプラン・アドバイザー(LPA)※の育成にも力を入れている。
加入者から多くの「感謝・ありがとうの声」が寄せられるのも、CO・OP共済ならではの強みだ。その数は年々増え続けている。総合マネジメント本部渉外・広報部広報グループの滝山麻里氏は、「担当者が丁寧で親身になってくれたというお言葉をよくいただきます。購買事業などで長年培った『安心・安全』というイメージ、信頼という土台の上に、商品が成り立っているのです」と話す。
共済金の申請書類に同封する折り鶴に対する感謝の言葉も多い。1992年ごろ、長野県の生協担当者がお見舞いの気持ちを折り鶴に託したことがきっかけに広まった活動だが、まさにCO・OP共済が掲げる「助け合いの精神」の象徴といえるだろう。
東日本大震災や熊本地震の際には、全国の各生協から災害支援物資を積んだトラックが集結した。コープ共済連も「異常災害見舞金」制度を適用し、職員が支援物資を携えて被災地へ訪問、組合員に支払いを行った。CO・OP共済の精神が息づくエピソードだ。
安心・安全という生協への圧倒的なイメージと信頼感、そして決してブレることのない助け合いの精神こそが、新たな試みを大いに後押しし、未来の顧客創造へとつなげていくに違いない。
※ CO・OP共済の「LPA養成セミナー」を修了し、保障やくらしのお金、ライフプランの専門知識を身に付けたコープの組合員や職員。相談者と同じ目線で、お金やライフプランの相談に乗ったり、学習会の講師を努める
PROFILE
- 日本コープ共済生活協同組合連合会
- 所在地 :〒151-0051 東京都渋谷区 千駄ヶ谷4-1-13 コープ共済プラザ
- TEL : 03-6836-1300
- 設立 : 2008年(事業開始は1984年)
- 出資金: 633億円
- 受入共済掛金(元受共済) : 1805億円(2017年3月期)
- 会員数 : 149会員(2017年3月20日現在)
- 事業内容 : 共済事業(コープ共済)、ライフプランニング活動の推進
- http://coopkyosai.coop/
SPコンサルティング本部
副本部長兼商品部長
脇阪 佳人
SPコンサルティング本部
東京本部 課長代理
藤本 拓郎
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