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今週のひとこと

できない理由を先に並べ立ててはいけない。

一歩でも前に踏み出すことを考えよう。

やれることからまず突破することだ。

☆ 最近、仕事に追われていませんか?

 近年のICT(Information and Communication Technology)の進展により、職場内外のコミュニケーションが容易になりました。
 以前は固定電話でしかできなかったことが、携帯電話やメールでもできるようになり、最近ではモバイルツールでテレビ会議ができるようになりました。

 一方、コミュニケーションが容易になったことで、自らが主体的に仕事と向き合う時間を確保するのが難しくなったと感じることはないでしょうか。
 朝、オフィスに着いたら、未読メールを読むことに追われたり、電話がたくさんかかってきたり、モバイルツールで会議場所の制約がなくなったことで会議の回数自体が増えたと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 このような状況を改善すべく、筆者は、仕事を進めるために次の2つのルールを設定しています。

1.前日の帰宅前に、明日1日に「これだけは着手する」仕事を決める。
2.朝オフィスに着いたら、「これだけは着手する」仕事に5分間だけ取り組む。

 ルールの「1」が、「これだけはやりきる」ではなく、「これだけは着手する」となっていることがポイントです。着手するだけでよいので、関連する資料をざっと眺めてみて、気持ちが乗らなければやめてしまいます。しかし、実際には気乗りしない仕事でも、とりあえず着手して資料を眺めたりメモを取ったりしていると意欲が沸いてきます。その勢いで、一気に完成に近い状態まで進められることもよくあります。

 最近、仕事に追われてやるべき仕事をやる時間がない、と感じておられる方は、一度この方法を試してみてはいかがでしょうか。

経営企画部
隅田 直樹

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企業改革の成否はタイミングで決まる


経営はバランスとタイミングが重要であるという。企業が持続的成長を実現するためには、改革のチャンスを逃さないようにしたい。

大きな変化を起こすタイミングとしては、社内外が納得する大義名分が必要であり、主に次の3つが挙げられる。

1.周年期

創業50周年や100周年など、企業成長の節目に当たるアニバーサリーイヤーは、何か新しいことを始めるきっかけとして社内外での納得性が高い。この機会を記念行事やキャンペーンだけで終わらせるのはもったいない。

2.承継期

組織において、社長が交代することのインパクトは絶大である。事業承継は「不易と流行」のバランスが大事で、時代の流れとともに変えなくてはならない部分が必ずある。大きな改革を断行するには、承継期は絶好のチャンスといえる。

3.転換期

新分野への進出や事業領域の拡大など、戦略上のターニングポイントを指す。その背景には技術革新や業界再編、法規制などの環境変化がある。リスクを恐れずに、中期ビジョンのような全社的な旗印を掲げて挑戦したい。

自社が3つのいずれかに当てはまるようであれば、会社として何らかの変化を起こすべきタイミングに来ているのかもしれない。

特に2020年の東京オリンピック・パラリンピック後は景気減退が予測され、業種・業界を超えた競争がさらに激しくなる。価格以外で選ばれる企業になるためには、他との差別化が不可欠だ。

差別化を図る手段の1つが"ブランディング"である。ブランディングとは企業のブランド力を強化する取り組みであり、単なる広告やプロモーション活動の類いではない。

ブランドイメージの刷新に合わせて、事業戦略の方向性や組織のオペレーション、人材の育成に至るまで、全てを変える必要がある。まさに全社員が取り組むべき企業改革に他ならない。先述の3つのタイミングであれば、さらに推進力が加わるだろう。

100年以上続いている企業は、ブランドが陳腐化しないように常に新たな価値を加えて磨き続けているものだ。ぜひ企業成長の節目であるタイミングを逃さず、改革に着手していただきたい。


平井 克幸  Katsuyuki Hirai

■筆者プロフィール
タナベ経営
コンサルティング戦略本部
副本部長
平井 克幸  Katsuyuki Hirai
経営者の参謀として、企業のさまざまな課題に精通する戦略コンサルタント。専門分野はブランディングをはじめ開発・マーケティングなど多岐にわたり、これまでに中堅・中小企業の成長支援を数多く手掛けてきた。著書に『タナベ流新規事業開発プログラム』(タナベ経営)がある。中小企業診断士。

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連動型人事制度で自ら考え、行動する人材を育てる


電設資材卸で北海道の発展に貢献

「商人は常に"ほほ笑み"をたたえていなくてはならない」。1926年、当時22歳だった三神一氏は、この思いを胸に札幌市で菓子店「エミヤ」(笑み屋)を開いた。後に北海道屈指の電設資材卸企業となったエミヤの始まりである。

戦後、需要があった電線の専門卸へと業態転換を図った同社は、北海道の開発に合わせて釧路や苫小牧、函館、小樽へと活動エリアを広げながら事業を拡大していった。さらに、2000年に三神司氏(以降、三神氏)が代表取締役社長に就任すると、ソリューション事業によって事業領域が広がっていく。

2002年に介護機器の販売・レンタルを主要事業とする介護福祉ビジネスへ参入。2009年には社内にオール電化推進室を立ち上げて、太陽光発電やオール電化を中心とするエコ事業の推進を図った。さらに、2012年には建築工事業の認可を受けて福祉住環境の改修を手掛ける住宅リフォーム事業へ進出。多角化を進めた結果、現在は売上高91億5000万円(2017年3月期)、126名の社員を擁するまでに成長を遂げている。

電設資材をメインに扱う同社にとって、介護や省エネ、住宅リフォームは畑違いの事業のようにも見える。しかし、全ての事業はミッションで貫かれている。

「当社の経営理念には『最適環境を創造し、社会に提案』という一文があります。介護や省エネといった社会的課題に対するソリューションの提案は、最適環境の創造につながる事業です」(三神氏)

時代に不足する商品・サービスを提供する。これは、菓子店の時代から受け継がれる同社のDNA と言ってもいいだろう。

中期経営計画やビジョンなど会社の根幹を次世代リーダーたちが作り上げる
中期経営計画やビジョンなど会社の根幹を次世代リーダーたちが作り上げる

独自の人事制度で一貫した社員育成を実現

「当社は創業91年を迎えましたが、長い間会社を続けてこられたのはお客さまからの信頼があったからこそ。社員の誠実な対応の積み重ねの結果です。今後さらに深い信頼関係を築いていくためにも、人材育成に力を入れてきました」(三神氏)

1993年に導入した人事制度は研修会資料を基に三神氏が自ら構築したもので、等級ごとに必要とされる研修や資格、評価、給与を連動させた職能資格制度である。運営開始以降も状況に合わせた改良を続けており、ここ数年は入社3年までの社員に対するサポートを強化すべく、タナベ経営の新入社員セミナーへの派遣など社内外を問わず研修機会を増やしてきた。また、タナベ経営の幹部候補生スクールも活用し、将来のエミヤを担う人材の育成に力を注ぐ。

社員育成において大きな力となっているのが、現会長の三神純一氏が社長時代に始めたQC活動だ。10名ほどのチームに分かれて、与えられたテーマに関する報告書を毎月提出するもので、「PDCAを回すことで社員の能力が高まり、ミス削減や5Sに効果がある」と三神氏も活動の効果を高く評価する。今では、さまざまな問題に対して「みんなで解決していこう」という企業文化が出来上がりつつあるとのことだ。

理想は「社長がいらない会社」

エミヤ 代表取締役社長 三神 司氏
エミヤ 代表取締役社長 三神 司氏

ソリューション事業という新たな成長エンジンを手にした今、三神氏の目はエミヤの次の時代を見つめている。2014年からスタートした中期経営計画プロジェクトの最大の目的は、次世代リーダーの育成。三神氏や幹部社員もアドバイザーとして同プロジェクトに加わっていたものの、若手メンバーが作成した計画を「ほとんど直さずに採用した」(三神氏)という。

「自分たちで作った計画ですから、目標達成に対する意欲は高くなります。また、担当業務を超えて会社全体を見渡す視点が養われたこともプロジェクトの大きな成果でした」(三神氏)

メンバーを替えながら同プロジェクトを続けているが、2017年度のプロジェクトから三神氏は外れ、40代を中心とするメンバーとアドバイザーを務めるタナベ経営に計画策定を託している。

「理想は、『社長なんていらない』という会社です。社長は方向性を示すだけで、社員が実現までの具体策を考える。アイデアがどんどん出てくるような会社を目指しています」(三神氏)

9年後に100周年を控えた今、自ら成長する企業を目指して三神氏がまいた種は確実に実りつつある。社員とともに躍進を続けるエミヤが、快適環境の創造に向けた歩みを緩めることはない。

PROFILE

  • ㈱エミヤ
  • 所在地 :〒003-0030 北海道札幌市 白石区流通センター7-8-1
  • TEL : 011-890-0838㈹
  • 創業: 1926年
  • 資本金 : 8000万円
  • 売上高 : 91億5000万円(2017年3月期)
  • 従業員数 : 126名(2017年6月現在)
  • 事業内容 : 電気設備資材卸売、電気設備工事、機械器具設置工事、住設建材施工販売、介護事業(レンタル・販売・住宅改修)
  • http://www.emiya.com/

 タナベ コンサルタントEYE  
地域に根差す電設資材商社であるエミヤは、創業から間もなく100年を迎える。会社の歴史・伝統にあぐらをかかず、事業領域を広げ、自社の使命として、「最適環境」(トータルプランニング)の提案で社会問題の解決に取り組んでいる。この常に新しいことへ挑戦し続ける姿勢こそ、エミヤの成長の源泉だ。その原動力は、社員一人一人の全社に対する取り組みである。それぞれが自分の役割を認識し、「みんなで解決していこう」という企業文化をベースに、地域の社会問題解決に大きく貢献していくことは間違いないだろう。

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    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所