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今週のひとこと

方針を全員に徹底させよう。

自らの役割が明確になった時、

人はイキイキと仕事をする。

☆ リーダーシップは幹部社員だけのもの?

 「リーダーシップ」という言葉を聞くと、リーダーである部長や課長などの立場の人だけに求められる特別な能力と思われるかもしれません。
 筆者は中堅企業の人材育成ご担当者と話をする機会が多く、「課長にもなるとリーダーシップの教育は必要であるが、若手社員にリーダーシップは必要ない」ということを、よく耳にします。本当にそうでしょうか。筆者の経験からすると、リーダーシップは組織に属するメンバー一人ひとりが持たなければいけない能力だといえます。なぜなら、一人ひとりがリーダーシップを発揮することで、組織全体の活性化につながるからです。
 なお、ここでいうリーダーシップとは先頭に立って指示命令する、いわゆる古いスタイルのリーダーシップではありません。いま必要とされているリーダーシップとは、自部門や担当している業務において、自身の言動や行動で他のメンバーを巻き込み、動かしていくリーダーシップです。

 この話をすると、「若手社員にそのようなことを言っても、リーダーシップは発揮できない」という人材育成ご担当者もおられますが、新卒メンバーでもリーダーシップは発揮できます。それは、大学時代のサークルでの部長、アルバイトでのリーダー、部活のキャプテンなど、それまでの人生で何らかの組織・チームでリーダーシップを発揮する機会があったはずだからです。

 筆者が所属するチームでは、「オールリーダーシップ」を掲げ、幹部陣だけでなく、一般社員や若手社員も、与えられた仕事に対して成果の上がる方法や仕組みを自分で考え、チームのメンバーを巻き込み、導くリーダーシップを発揮しています。色々なプロジェクトチームをつくり、そこには階層に関係なくメンバーを配属することで入社1年目のメンバーでも、そのプロジェクトではリーダーとして発言します。
 一方、ベテラン社員は若手社員が活躍するためのサポート役としてリーダーシップを発揮しています。つまり、全員が活躍する仕組みが大切なのです。

 今こそ自社のリーダーシップのあり方を再確認し、全社員がリーダーシップを発揮して活躍できる組織デザインにしてみてはいかがでしょうか。

経営コンサルティング本部
コンサルタント
谷口 尚史

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環境変化スピードに対応する「OODAループ」


1.PDCAの弊害

あらゆるビジネスシーンで使われているPDCA(Plan・ Do・Check・Action)は、勘や経験に頼った不合理な意思決定や計画を、合理的かつ効率的にするために生まれた手法である。しかし、計画(P)段階で十分な検討を重ねることなく設定された目標(KPI)をスタートラインとした場合のPDCAは、成果につなげることもできず、むしろ現場が疲弊する要因となってしまう可能性がある。

また、PDCAは高速サイクルで回していくことに重きが置かれているが、当初の計画が現場と乖離していたならば、計画の転換が必要である。しかし、それには労力だけでなく、多くの時間が必要となる。環境変化のスピードがますます速くなってきている現代のビジネスシーンでは通用しない可能性があるのだ。

2.OODAループとは

多くの企業で「OODA(ウーダ)ループ」と呼ばれる意思決定プロセスが注目されているのをご存じであろうか。OODAループは米国で生まれたビジネスメソッドで、もともとは朝鮮戦争時、ある米国空軍パイロットが提唱した方法である。

「観察(Observation)・情勢判断(Orientation)・意思決定(Decision)・行動(Action)」と目標を達成するための要素を4つの段階に分けて成功に導く方法であり、この点はPDCAと同じ。PDCAとの大きな違いは、観察がスタート段階となっていることだ。市場や顧客の状況をしっかりと観察・把握した上で、やるべきことが決められるため、PDCAサイクルの欠点であった計画時の現場との乖離を防ぐことができる。また、上意下達の計画ではなく、ボトムアップの計画であるため、モチベーションを高めることにつながる。

3.PDCAとOODAの使い分けの必要性

OODAループはPDCAサイクルを回す以上に柔軟な発想、臨機応変な対応を可能にすると考えられる。しかし、対象となる社員のステージにより使い分ける必要もある。業務経験の未熟な人に対してOODAを導入してしまうと、最初の観察(O)において観察すべき対象が分からないために、情勢判断・意思決定ができない。そのステージの社員であれば、上司としっかり相談して計画策定できるPDCAサイクルの方が有効である。それに対して経験豊富な次のステージの社員にとっては、OODAを導入する方が機動性を高めることができるだろう。

PDCAとの相違点や、自社への適用性、社員の意識やステージレベル、効果などを十分に考えた上で、OODAを導入してもらいたい。


経営コンサルティング本部 副本部長 戦略コンサルタント 種戸 則文

■筆者プロフィール
タナベ経営
経営コンサルティング本部 副本部長 戦略コンサルタント
種戸 則文 Norifumi Taneto

事業戦略・マーケティング戦略構築を得意とし、ビジョン構築からマネジメントシステムづくりまで、幅広い分野でのコンサルティングを展開。現場第一主義での真しん摯しなコンサルティングで、多くのクライアントから高い信頼を得ている。

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若手を育成・抜擢し、挑戦する風土を育む


明治創業の老舗企業
多角経営で事業を拡大

献立付き食材キットを宅配する「ファミリーセット」で全国に知られるタイヘイ。同社は今年で創業138年目を迎える老舗企業(1880年創業)でもある。もともと江戸時代から続く酒造業であったが、第11代当主太田平左衛門がみそ・しょうゆの醸造業へ転換した。

現在はしょうゆや麺つゆなどを製造・販売する食品事業、施設や寮・個人宅へ食材を宅配する食材事業、カット野菜を提供するフレッシュデリカ事業、水畜産物加工のフード事業など食品4事業の他、印刷、信販の6事業を展開。グループ会社は70社に上る。

まったく異なる分野の多角経営に見えるが、献立表の印刷、食材の支払いサポートなど、いずれも「食」にひもづいて始まっている。「豊かな暮らし」を目指し、時代のニーズに応じながら柔軟に事業拡大を続けた結果なのである。

「常に新しいことに挑戦し、活力ある企業を目指す」を経営理念の一節に掲げる同社は、その実現に向けて社員の人材育成に注力している。特に重視するのが、「これをやりたい」という意思やチャレンジ精神を持ち、自発的に挑戦できる人材の育成である。

例えば、グループ会社の女性社員の発案で始まった葬儀ビジネスは、同社に根付く"挑戦する社風"を象徴する好事例だ。3年前に事業化し、現在、業績は好調を維持している。

そんなチャレンジ精神が旺盛な人材を育てるため、同社は20代で営業所長、30代でグループ会社社長や役員と、年齢にかかわらず活躍できる環境を与えている。外部の人材ではなく、伝統や理念を受け継ぐプロパー社員中心に役員を構成するのも、同社の人事の特徴だ。

特選しょうゆ「平左衛門」をはじめ、しょうゆのラインアップが充実
特選しょうゆ「平左衛門」をはじめ、しょうゆのラインアップが充実

献立付き食材の配送サービスは、幅広い客層の支持を集める
献立付き食材の配送サービスは、幅広い客層の支持を集める

タイヘイ 総務部 次長 河野 利之氏
タイヘイ 総務部 次長 河野 利之氏

学ぶべき内容を受講生の課題から設定

次世代リーダー人材の育成に向け、タイヘイは2015年からタナベ経営との取り組みを開始。次世代経営者育成研修や、タイヘイ本体・グループ会社から20代、30代の次世代幹部候補を集めたリーダー研修を実施している。

同社のリーダー研修のスタイルはユニークだ。全10回のカリキュラムのうち、内容が決まっているのは初回のみ。初めに「リーダーとしてのあるべき姿」の認識を共有した後、課題や学ぶべき内容についてディスカッションし、次回以降のカリキュラム内容は受講者の課題を踏まえて設定する。決められた内容の研修を受講するのではなく、担当する事業やキャリアの異なる受講者の共通課題をテーマに設定し、弱みを克服しつつ、強みを強化するのがこの研修の特徴である。

また、研修直前に太田健治郎社長は受講者と個別面談を行い、研修への意欲や問題意識を直接吸い上げる。トップ自らが受講生と対話する機会を設け、"挑戦しやすい土壌づくり"を後押ししている。

次世代経営者研修やリーダー研修の受講生の中から、実際にグループ会社の社長も誕生している。特に、食堂委託会社の社長となった30代社員は、研修で学んだ知識や対人関係などのスキルを生かしながらリーダーシップを発揮し、業績向上につなげているという。

さらに、女性幹部の育成に向けて、リーダー研修で積極的に女性を登用。次世代経営者研修を受講した女性メンバーからは、すでに部長が誕生している。

横のつながりを育む機会に

研修で得られる効果は、人材育成だけではない。研修の場が事業部間やグループ企業のメンバーと話す機会になり、研修を通じて横のつながりが生まれている。互いの情報を共有することで事業部間やグループ企業間で折衝がしやすくなり、製品開発や顧客開拓でシナジーが生まれつつある。

持続的に成長する企業の原動力は、まぎれもなく"人"である。その人材の育成に注力し、伝統を引き継ぎつつ、挑戦する風土を育み、柔軟かつ多角的に拡大してきたタイヘイ。同社は現在のスタイルでリーダー研修を継続し、モチベーションやスキルの向上、交流の場として活用していく考えだ。今後は自己申告制で受講メンバーを募るなど、研修の活性化策も検討している。

「与えられた仕事で満足するのではなく、外に目を向け、『これをやりたい』と挑戦する意欲や強い思いを大事にしてほしい。新規事業案やアイデアを発信してもらえれば、実現できるように後押ししていく。自分から積極的に挑戦する気持ちを大切にして、夢をかなえてほしい」(総務部次長の河野利之氏)

PROFILE

  • タイヘイ㈱
  • 所在地 :〒289-2144 千葉県匝瑳市八日市場イ2614
  • TEL : 03-3656-3111(本部)
  • 創業: 1880年
  • 資本金 : 6000万円
  • 売上高 : 1195億円(2016年12月期)
  • 従業員数 : 2387名(2016年3月現在)
  • 事業内容 : 醤油などの製造販売、業務用食材「クッキングデポ」や家庭向け献立材料「ファミリーセット」の納入、魚介・畜産類の加工(フード事業)、カット野菜提供などの提供、印刷事業、信販事業
  • http://www.taiheig.co.jp/

 タナベ コンサルタントEYE  
食品製造・加工・卸売から印刷、信販、旅行まで幅広く事業を展開し、現在もさまざまな戦略を駆使しながら、成長し続けているタイヘイ。国内マーケット縮小への危機感から、事業シフトや新規事業開発に取り組み、経営理念の具現化へ常に挑戦している。
理念を実現させるのは「人財」。特にタイヘイは組織・チームを動かすリーダーにフォーカスし、体系的な研修運用に取り組んでいる。輩出された人財は子会社社長や主要なポストに就き、戦略推進の役割を担っている。こうした"人づくり"へ注力するタイヘイのこれからの成長に、期待せずにはいられない。

経営コンサルティング本部 部長 チーフコンサルタント 盛田 恵介
経営コンサルティング本部 部長
チーフコンサルタント
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人材採用研究会

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