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9月6日、北海道・胆振地方を震源とする強い地震が発生いたしました。
被災された皆さまに謹んでお見舞い申し上げますとともに、被災地の一刻も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

今週のひとこと

こうなって欲しいという、あるべき姿を

まず明確にしよう。わが社の経営理念、

行動基準、期待される社員像に沿って、

指導基準をしっかり持とう。

☆ 「新入社員も、そのうち分かる」は勘違い!?

 今年の3月から4月にタナベ経営が全国24会場で開催いたしました「新入社員教育実践セミナー」の参加者約2,000人に、就職活動から内定後までの実態についてアンケート調査をしたところ、会社側の思惑とは少し異なる学生の本音が垣間見えました。

 採用活動において経営者や採用ご担当者は、自社の社会的意義や事業に対する熱い想いをどれだけ伝えられるかに力を注いでいるかと思いますが、当の学生たちはどう感じているのでしょうか。
 「会社説明会で知りたかったことは何か?」という質問をしたところ、「仕事内容」(66.0%)という回答が最も多く、次いで「社風・雰囲気」(53.9%)、「給料」(21.0%)と続きました。上位二つの回答は前年と同様でしたが、前年3位だった「事業内容」よりも、「給料」「福利厚生」が上位になっており、これまで以上に自分の日々の職場生活に直結する内容に目が向いている様子がうかがえました。

 一方、「会社の説明会のプログラムにあったら良かったと思う内容は何か?」という質問に対しては、「社員との座談会」(40.9%)、「映像での仕事紹介」(26.8%)、「一日インターンシップ」(26.4%)などが上位を占め、採用する側が伝えたい会社の理念やビジョンよりも、リアルな職場生活の実態を聞きたいようです。

 今年の新入社員が入社してから、もうすぐ6ヵ月。経営者や教育ご担当者の皆さまは、新入社員にどのようなメッセージを発信してこられたのでしょうか。「理念やビジョンの大切さも、そのうち分かる」と割り切っていると、分かる前に退職しかねないのが、今の若者です。これまでのやり方で伝わらないなら、伝わるやり方に変えなければ、気付いた時には手遅れになってしまいます。新入社員が何を求め、何を受け入れるかに目を向け、そこにストレートにアプローチしていきましょう。

レポートの詳細はこちら

戦略総合研究所
FCCアカデミー
紺谷 知史

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米国シリコンバレーリポート

2018年5月、タナベ経営代表取締役社長・若松孝彦が、米国シリコンバレーのテック系企業を中心に訪問した。

今なおスタートアップ企業が日々生まれ、投資家が新しいアイデアを求めて集まるシリコンバレー。今回は訪問内容の一部をご紹介したい。


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Comet Labs

まずは、サンフランシスコを拠点に、有望なスタートアップや技術に投資を行っているComet Labsの共同創業者であるAdam Kell氏の話を伺った。Comet Labs は2015年に設立されたベンチャーキャピタル/インキュベーターである。特に初期段階のAIロボティクス分野への投資を行っている。

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共同創業者のKell氏は、フォーブスが将来有望な30歳未満の30人を選んだ「30アンダー30」(製造業&エネルギー分野)に選出されたこともある

「これまでの技術が発展してきた歴史を見ても、新しい技術が台頭してくるときにはまずインフラが構築されます。それに合わせて新しいアプリケーションが出てくるという順番があると思います」とKell氏。

「インターネットもスマートフォンも同じ。AIも同じ順序(で発展していく)でしょう。そして、AIをサポートするインフラの発展自体が、これまでに比べてより広範にわたって行われると見ています。例えば、高速通信をサポートする5Gなどがインフラとして構築されています」(Kell氏)

「5Gの他に、インフラとしてはどのようなものが挙げられますか」という若松の問いに対して、「専用アプリのチップやセンサー、衛星打ち上げに絡んだ技術。基本的には物理的な環境をサポートするための、あらゆるインフラ技術を含みます」とKell氏。この用途に特定すれば、マシン間のコミュニケーションでは、ブロックチェーンが重要だという。

「インフラの分野では既存の企業が新たな分野としてスタートアップするのか。新たな企業が新たな分野としてスタートアップしていくのが多いのか」という問いに対しては、両社のミックスであるという。例えば、インテルは最近インフラとして使える技術を持っている3つの会社を買収し、新しい分野に備えている。同社のような規模の大きなプレーヤーが開発していくパターンが多いだろうと同氏はみている。

「クラウドコンピューティングもインフラの一つに挙げられますが、この分野は規模の経済がかなり有効に働くため、今後はスタートアップよりもアマゾン・グーグルなど既存の大きな企業が牛耳っていくでしょう」とKell氏。

また、技術の変遷の歴史を見ると、何らかの技術が生まれて、それが台頭した初期は数少ないプレーヤーが差別化を図り、収益を独占するが、(今のAI・ロボティクス分野では)比較的早い段階で技術が普遍化し、誰もが使えるようになってきているという。2013~14年にドローンの活用が始まったが、今は誰でも買えるようになっている。それほど、新技術が実用化・普遍化されるペースが速いのだという。

AI、ロボティクス分野は注目度が大きい分、資金も集まりやすい。「これから新たに台頭してくるインフラ技術は追い風になっていくでしょう」(Kell氏)

話題の自動化についてはどうか。製造現場でデジタル化を行う場合、必ず現場に「今は測定できていないけれど、測定することができれば役に立つと思うデータは何か」と聞くのだという。例えば生地を作るメーカーなら、生地の編み目の数を数えれば、糸の消費量や作業の量などを割り出すことができて便利だろう、といった意見が挙がる。

データの取得が終わったら、ネットワークにつなぐのが次の工程だ。すると、材料の残り具合などが分かる。そこまでデータが集まってくると、自動的に必要な材料をオーダーするということが3つ目のステップとなる。

自動化を進める時に難しいのが、データを集めただけではインフラの構築に費用がかかること。例えば自動運転車は1分間に何ギガバイトという情報を生成するため、データだけがあふれると扱いきれなくなり、余分な作業が発生する。「そうなると次のレイヤーを作ってネットワークでつなぐことが必要ですが、価値が生まれるのは自動化できた段階。そこにたどり着くまでには時間もお金もかかるので、結果をすぐに求める大企業にとっては取り組むのが難しいかもしれません」とKell氏。

Comet Labsが過去に支援した事例をいくつか紹介したい。

3次元で正確に自分の位置が把握できる技術を持つ高性能のドローン。

高感度の指先センサー。温度センサーも搭載しており、どれだけ熱を吸収するかを調べることによって、触れた素材の特徴がわかるほどの性能だという。これを生かして、まるで本革のような手触りのフェイクレザーを開発したりしている。

デジタル式電動工具(カッター)。きれいな円などの図形を、フリーハンドで切り取るスキルがなくてもカットできる。切りたいイメージを紙にプリントしておくと、工具のカメラがそれを読み取る。あとはガイド通りにマシンを動かせば手軽に美しいカットが実現する。

あらゆる音を聞き分けられるセンサー。工場などで発生する音を聞き分けることでエラーを見分けることができる。現場で機械の音を聞いたり、織機の編み目の数を音で数えたりといった用途が考えられる。

既存の衛星地上基地(アンテナ)をネットワークでつなぎ、アンテナを自前で用意しなくても衛星通信を使えるようにしたシステム。アンテナを独自に建てるのには多くの費用がかかるが、このシステムを使うと世界の30以上のアンテナを安価に使用することができる。アンテナを貸し出す側は、現在使用していない帯域だけを開放するため、有効利用できる。

Microsoft

出迎えてくれたのはテクニカル・ソリューションズ・プロフェッショナルのGarth Honhart氏。サポートとサービスの両方に携わっている。

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サポートとサービスの掛け持ちのような立ち位置というHonhart氏

「Microsoftは商品戦略・サービス戦略以外にどういったところに力を入れているのか」という若松の問いに対し、「クラウドに力を入れています。Surfaceのようなデバイスも作っていますが、どちらかというと他のメーカーがWindowsをサポートする商品を作るときに、最高のデバイスができるようにプッシュしています」とHonhart氏。

職場でGoogleやサイボウズなどが提供するグループウエアを使っている企業も多いだろう。Microsoftの提供する『Microsoft Teams』も、従業員間のチームワークを高める機能が多数盛り込まれている。チームチャットやオンライン会議、電話や顧客情報の共有管理などだ。手軽にチームでコミュニケーションを取れて便利だが、Honhart氏は「ハッシュタグ以上の機能を持っているシステムを提供する時は、(システムの使い方の)トレーニングを用意する方がよいと考えています。そうしないと、システムとして提供しているのに、使ってもらえないということが発生するからです。使ってもらうことが、一番大切ですから」と強調する。

ユーザーのシステム利用を助けるため、同社ではCustomer Success Manager(CSM:カスタマー・サクセス・マネジャー)と呼ばれる職務を2017年より設けた。法人向けのサポートを行う部門で、企業のビジネスゴールを支援・推進するサービスの活用方法を提案するだけでなく、その後も定期的にクラウドサービスの利活用状況を各種レポートに基づき定量的に検証することで、カスタマーの最終的なゴール達成を支援するというものだ。

社風について、Satya Nadella氏がCEOに就任した2014年以降、「失敗してもよい。素早くそこから学ぶ」という風土に変わったそうだ。また、同社はこのところ米国で広まりを見せている「NoRating(評価をしない)」という人事評価制度を採用しているので、失敗をしたからといってそれが即座に個人の評価に反映されることはないという。

LinkedIn

「ビジネス版のSNS」と説明されることも多いLinkedInは、2002年に共同創業者であるReid Hoffman氏によって開発され、翌年5月5日に正式リリースされたサービスだ。現在、全世界でおよそ5.6億人が利用しており、約60%が米国外からの登録である。LinkedInには誰でも無料で登録でき、これまでの職歴や自分の有するスキルなどを掲載する。自分の経歴やスキルを企業にPRできる一方、その情報を基に企業側が検索し、自社に加わってほしいスキルや経歴を持つ人材に連絡を取ることもできる。日本国内では約210万人ほどの利用者がいる。

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LinkedInのビジネスモデルは、採用ソリューション、広告ソリューション、個人向けのプレミアムプラン(購読料)の3つの収益源から構成されている。2016年12月、LinkedInは米国Microsoftによって262億ドルで買収された。

現在は、CEOのJeffWeiner氏を筆頭に、Yahoo!、Google、Microsoft、TiVo、PayPal、Electronic Artsで実績を持つ役員によって運営されているLinkedIn。2015年にオンラインの教育プログラムを提供していたLynda.comを買収し、個人の能力を高めるためのラーニング分野にも力を入れている。

「企業が抱える人の問題としては、業務上で必要とされるスキルと従業員の現在持っているスキルにギャップがあったり、リーダーシップの能力を開発する必要があったり、また新しい課題を与えて従業員のモチベーションを高め、離職率を抑えたい、ということもあります。そのような課題を解決するためにラーニングシステムを活用していただいています」と話すのは教育分野を担当するMatt Clugston氏。

ラーニングの主な目的について、「変化の激しい時代、自分の持っているスキルがあっという間に陳腐化してしまうという現実があります。(私たちは)継続して新しいスキルを得る必要があり、それをサポートするサービスです。スキルにはプログラミングなどのハードスキルと人との接し方やチームワークというようなソフトスキルがあり、両方のコンテンツを用意しています。」とClugston氏は説明する。現在は6000種類ほどのオンラインコースを有しているという。

「自分がスキルアップすると感じられれば離職率が下がるといわれており、私たちはこのようなサービスを提供しています。また、講師がいて、一斉に学ぶというよりは、オンラインで各自が好きな時間に学べるという方が使われる率が高まっています」と同氏。

ラーニングには大きく2種類があるという。「ちょっとこれが分からない」というときに行う2分程度の短い学習「マイクロラーニング」と、しっかり時間をかけて学ぶ「マクロラーニング」というものである。今米国ではマイクロラーニングに注目が集まっているようだ。

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シリコンバレーのテック系企業では、福利厚生の一環でランチを無料で提供しているところも少なくない。LinkedInでもヘルシーなサラダやサンドイッチ、コーヒーなどを提供

Khan Academy

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無料で、誰でもどこからでも教育コンテンツを利用できる「Khan Academy」。話を聞かせてくれたのはシニア・インターナショナルプログラムマネジャーのShao氏

サンフランシスコから少し南下した、気候の良い地域「マウンテン・ビュー」に拠点を設けるのは「Khan Academy」。オンラインのラーニングサービスを提供しており、登録者数は全世界で7000万~9000万人ほど。月に2時間以上使用するアクティブユーザーの数も100万人だ。「算数」「数学」「理科」「歴史」といった教科から、「コンピュータープログラミング」「ミクロ経済」「マクロ経済」や「SAT」などの統一テスト対策、「貯金の仕方、予算の立て方」「賃貸物件と購入物件はどっちが得?」という一般向けのコンテンツまで、登録さえすれば誰でも無料で学習することができる。

全年齢を対象としているが、メインターゲットは5~24歳の若年層。現在36以上の言語でサービスを提供している(言語により対応教科は異なる)。個人で学ぶこともできるが、学校などの集団単位で使用することも可能だ。コーチ(先生)を登録すると、コーチは自分の指導する児童・生徒の学習状況をWeb上で把握することができる。

「教材は全て内部で作成しています。博士号を持った担当者が、専門知識や(博士号を取る過程で得た)教える経験を生かしてコンテンツ作りをしています」と説明するのは、シニア・インターナショナルマーケットマネジャーのIrene Shao氏。

驚いたことに、Khan AcademyはNPOであり、資金は全て寄付金で賄われているのだ。寄付者にはバンク・オブ・アメリカやビル&メリンダ・ゲイツ財団をはじめ、Google、ウォルト・ディズニー・カンパニー、AT&Tなどが名を連ねている。

Khan Academyは2005年、創業者でCEOのSalman Khan氏が、自分の従兄弟を手助けするために作ったのが初め。同氏は現在も、動画コンテンツを自ら手掛けているという。Salman氏はMITの3つの学位と、ハーバードのMBAを持つ。

近日開催の海外視察のご案内

尖端技術研究会

尖端技術研究会
人材不足で悩まれている製造業さま向け、尖端技術で人材不足を吹き飛ばせ!

第3回(2019年1月27日~2月1日)シリコンバレー企業視察

人不足×先端技術 = 人員数半分でのビジネスモデルづくり
今現在の労働力が35%も減る時代に向けて、先端技術を導入した経営・ビジネスモデルのあり方が求められています。問題が表面化する前に、先だって先端技術を取り入れ自社のビジネスモデルを変革する。その為にも、先端技術を中心に現地・現物・現品を生で視察し、自社への活用方法を共に考えましょう。

「尖端技術研究会」の詳細はこちら

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世界の最新ビジネスモデルを学ぶ!シアトル&ポートランドビジネスモデル視察ツアー

ビジネスモデルイノベーション研究会
世界を支えるライフスタイルイノベーションをアメリカ2大都市で体感する

2018年10月28日~11月3日:シアトル&ポートランド・ビジネスモデル視察

ワシントン州シアトルとオレゴン州ポートランドは、世界のライフスタイルにイノベーションを起こし続けている様々な企業・ブランドが存在しています。シアトル・ポートランドの2大都市を回り、ライフスタイルにおいての優秀企業数社やベンチャー企業、地元密着の秀逸なビジネスモデルを有した企業を視察・訪問し、イノベーションの風土を体感することで自社の革新のヒントを掴んでいただきます。

「ビジネスモデル視察ツアー」の詳細はこちら

各種資料請求・お問合せはこちら

デジタル化を促し「患者に選ばれる歯科」をサポート
vol.31 デンツプライシロナ × タナベ経営 SPコンサルティング本部

どんなに健康的な生活を送っていても、生涯でまったく歯科医師の世話にならない人はいないだろう。
「一生の友達」である大事な歯を、歯科医師と共に救ってくれる世界最大級の歯科医療機器・歯科材料メーカーが「デンツプライシロナ」だ。
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イメージングシステム( 上 )、 CAD/CAM(右下)など最新の デジタル機器や治療器具(右上) で歯科医療をサポート
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デジタル機器や治療器具(右上)
で歯科医療をサポート
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世界最大級のデンタルソリューションカンパニー

デンツプライシロナ・グループは米国ペンシルベニア州に本社を置き、世界120カ国で事業を展開する歯科医療機器・歯科材料のグローバルメーカーである。米Dentsply Internationalとドイツの歯科用機器専門メーカー・Sirona Dental Systemsの合併により発足した(2016年2月)。

そして2017年1月、両社の日本法人(デンツプライ三金、シロナデンタルシステムズ)が合併して誕生したのが、「デンツプライシロナ株式会社」(本社・東京都港区、北本優子社長)だ。

これによって、同グループは従業員数が約1万5000名、売上高は約38億ドル(4256億円、2017年1月現在)となり、名実ともに世界最大級のデンタルソリューションカンパニーとなったのである。

歯科の未来の鍵を握るデジタル化への対応

日本の歯科医院を取り巻く経営環境は厳しい。歯科医師数(2016年)は10万4533人※1、歯科診療所数(同)が6万8940施設※2と、10年前(2006年)に比べ7335人・1548施設が増加した。特に、都市部で集中しており、例えば東京都の歯科診療所数(約1.1万施設)は、都内のコンビニエンスストア店舗数(5000~6000店)よりも多いといわれる。競合がひしめく中、日進月歩の歯科医療技術を取り入れ、患者の確保に努め続けなければ、すぐ他の歯科医院へ患者が流れてしまう。

こうした歯科業界では今、これまでのアナログな様相から一変し、デジタル化の波が押し寄せている。「CAD/CAM」「CT(コンピューター断層撮影装置)」「マイクロスコープ(デジタル顕微鏡)」という3つが、現代の歯科医師の"三種の神器"と呼ばれるまでになっている。

例えば、虫歯にかかり歯に詰め物をする際、従来は歯型から歯科技工士が1つずつ手作業で詰め物を作るのが一般的だった。患者にとっては、歯型をとるのに1回、詰め物を詰めるのに1回と、最低でも2回以上の通院が必要となっていた。

しかし、CAD/CAMを使えば、まず口腔内カメラで歯をスキャニングし、読み込んだ歯の3D画像から、CADを使って詰め物の形状をデザインする。そのデザインをもとにCAMで詰め物を作ることが可能だ。通常の虫歯治療の場合、CAD/CAMを活用すれば、その日のうちに治療を終える「ワンデイトリートメント」も可能になる。

「今は患者さんがインターネットやクチコミなどで、評判や歯科医の考え方、その理念まで調べてから歯科を選ぶ時代。情報や知識が豊富な患者さんが増える中、歯科医の技術もさることながら、機器や設備を備え、最新技術にも対応している歯科こそ、患者さんにとって『信頼できる』存在であり、そういう歯科に患者さんが集まっていく」(デンツプライシロナのマーケティング本部イベントマネジメントマネージャー・長谷川安男氏)

現在、歯科用のCAD/CAMは世界で4万台、日本では3000台と、徐々に普及が進んでいる。歯科医院にとって他院との差別化の意味でも、CAD/CAM活用の重要性は高い。同社はこうした歯科医療のCAD/CAMを、前身時代を含め30年も前から販売するデジタル歯科のパイオニアだ。当然ながら、製品に対する歯科医師の信頼も他社に比べて圧倒的に高いのである。

デンツプライシロナ マーケティング本部 イベントマネジメントマネージャー 長谷川 安男氏
デンツプライシロナ マーケティング本部
イベントマネジメントマネージャー 長谷川 安男氏

実際に見て、触れて、体感してもらうことを重視

代理店経由で自社製品を販売するデンツプライシロナにとって、代理店の営業担当者とのコミュニケーションの密度は、同社製品の売り上げを左右する。そのため、営業担当者向けの製品勉強会を頻繁に開催。説明は必ずフェース・ツー・フェースで実施し、言葉で説明するだけでなく、営業担当者にも必ず実際に見て、触れて、体験してもらうようにしている。「自分で体感したことだと、歯科医師に伝える時も実感を持って説明できるので、製品の良さが伝わりやすい」(長谷川氏)からだ。

代理店のフォローに加え、歯科医師への情報提供にも精力的に取り組む。同社は大規模な総合展示会から自社独自の展示会まで年間200回以上もイベントに出展し、歯科医や関係者へ自社製品の情報を発信。また、製品情報だけでなく、開業前の歯科医師向けセミナーや著名な医師らによる講演など、学びの場も積極的に提供している。

製品情報だけでなく、歯科医師にとって有益な情報や、勉強会・講演会などアカデミックなコンテンツも充実させながら、長期的な視野で信頼関係を築くことが狙いだ。

SPグッズでブランドイメージを伝える

同社がタナベ経営SPコンサルティング本部に初めて販促物の製作を依頼したのは2016年のこと。シロナデンタルシステムズとデンツプライ三金の合併が決まり、デンツプライシロナとして初出展となる同年7月の展示会で大々的にアピールしようと思案していたとき、ちょうどタナベ経営との出会いがあった。

「当社のブランドイメージにぴったり合うものを提案してもらえるので助かります。2016年の展示会の時も、『こういうブースにするので、それに合うグッズが欲しい』と写真を見せながら説明すると、当社のイメージに合う一番良いものを提案してくれました。こうした提案力は他社にはないのでありがたいですし、社内でもすんなりと話が通りました」

それ以降、同社の販促物は様変わりした。例えば、展示会などで配布するペンは従来、本社からの支給品だったり、場合によっては国内の各拠点で個別に発注・製作したりすることもあったという。一方、タナベ経営が製作した場合、「グッドデザイン賞」受賞品など、まずペン自体にこだわりがある。さらに、ブランドイメージのビジュアルを記した台紙を必ず同封するため高級感があり、ブランドの世界観も伝わりやすい。

また、卓上タイプのオリジナルカレンダーにも工夫があふれる。例えば、使用時に両面とも同じ月のページが見えるようにしている。これは、受付で患者とスタッフの双方が見やすいように、との配慮からだ。クオリティーの高さと使いやすさが好評となり、2018年カレンダーは合計約2万部を製作した。

ブランドイメージを伝える販促物が充実
ブランドイメージを伝える販促物が充実
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発注の仕組みを構築したことも大きい。従来は担当部署が取りまとめ役となり、全国12拠点の発注数を集約して業者へ依頼し、担当部署から拠点へ発送する流れだった。だが、現在は全国拠点からタナベ経営に直接発注する仕組みへ変更。これにより、担当部署の負担軽減はもちろん、発注から納品までのスピードが上がった。

国内人口が減少する中での"歯科医過剰"状態という現状を踏まえると、従来の延長線上の経営では今後の見通しが厳しい。歯科の未来を見据えた上で、総合的なデンタルソリューションを提供するデンツプライシロナが担う役割は大きい。その強みを発揮しながら、今後も「患者に選ばれる歯科」を力強く支え続けていくに違いない。
※1 厚生労働省「平成28年(2016年)医師・歯科医師・薬剤師調査」
※2 厚生労働省「平成28年(2016)医療施設(動態)調査」

PROFILE

  • デンツプライシロナ㈱
  • 所在地 :〒106-0041 東京都港区麻布台1-8-10 麻布偕成ビル (東京本社)
  • TEL : 03-5114-1001(代)
  • 設立: 2017年
  • 資本金: 6億8080万円
  • 従業員数: 600名(グループ全体1万5000名)
  • 事業内容 : 歯科医療機器、歯科材料の輸入・製造・販売およびサポートサービスの提供
  • http://www.dentsply-sankin.com/dentsplysirona/


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    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所