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今週のひとこと

「人材活躍」とは、その人の価値を発見

することだ。一人ひとりの長所や個性を

見抜いて生かしてこそ、人も会社も

伸びてゆく。

☆ 入社5年以内の離職率が高い企業が実施すべき3つのこと

「入社5年以内の若手社員の離職率が、なぜか高い。今の働く環境は、そこまで厳しくないはず。我々の時代はもっと大変だった」。
 企業を訪問する中で、よく聞く言葉の1つです。入社1年以内での離職が多い場合は、採用時のミスマッチという可能性が高いのですが、会社にある程度の期間所属した上で、離職の選択をする入社2年目~5年目の離職が率が高い企業は、何が課題なのでしょうか。

 社員がイキイキと働く企業が実践している3つの取り組みから、解決の糸口を紐解いていきます。

1.企業ビジョンに個人のビジョンをすり合わせる機会を設けている

 ここでのポイントは、企業のビジョンを個人の行動計画にまで落とし込むことと、行動した結果を振り返る機会を持つことです。行動に移し、そのPDCAを回すことで、ビジョンのすり合わせができている状態と言えます。企業ビジョンに個人のビジョンをすり合わる機会を設けるメリットは3つあります。
 1つ目は、会社でのキャリアビジョンを描けるようになること、2つ目は、企業ビジョンをより意識した行動ができるようになること、最後3つ目は、全体から部分をみる視点が養われることです。これはストレスマネジメントにも有効な施策です。

2.働き続けられる環境を確立する

 企業では多様な価値観を持つ社員が働いています。社員が結婚、育児、介護といったライフプランを踏まえて働き続ける上で、何が課題となるのかを的確に捉えることが求められます。

3.活躍できる環境を創造する

 日常の業務においてだけではなく、違った環境を生み出すことも有効な取り組みの1つです。例えば、タナベ経営では社内でジュニアボード(経営革新システム)を通じて、経営参画をさせることで、社員が活躍できる環境を創造しています。

 これら3つの取り組みを行うことは、若手社員の離職を防ぐだけでなく、全社員の活躍にも繋がります。今は、個を生かして組織を活性化させる時代です。
 皆様の企業は、社員の多様な価値観を生かせていますか。

経営コンサルティング本部
コンサルタント
森 優希

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"まるごとイノベーション"を目指して「あたらしい」を生み出そう

タナベ経営が提唱している「ファーストコールカンパニー宣言」の一つである「顧客価値のあくなき追求」。「モノ余りでコト不足の時代」にますます専門化していく顧客価値へどのように対応すべきなのか。

本物以上に「本質」を追求する

私たちは今の時代を「モノ余りでコト不足の時代」と認識して提言し続けてきました。供給過剰な「モノ」ではなく、供給不足な「コト(価値)」にフォーカスして、そこへ戦略投資をしよう、という意味です。

課題先進国と呼ばれる日本企業の事業戦略は、本物以上に「本質」を追求すべきなのです。「事業」は、「事(こと)」の「業(わざ)」と書きます。日本語はよくできています。事業とはコトなのです。特に日本国内では、事業の「本質」を追求できた会社が「成長」し、追求できない会社、追求が浅いままの会社は「衰退」します。

会社を変身させるには、「顧客への提供価値」である強みを追求しながら「経営理念以外は全て変える」気概が必要です。それは同時に、経営理念の本質以外はやらない、ということも意味します。結果、顧客価値の転換に合わせて、会社を「まるごとリフォーム」「まるごとリノベーション」して、「あたらしい会社」を生み出すことになるのです。

皆さんの会社はどうでしょうか。「事業セグメンテーション」や「新規事業」「M&A」「組織名称や再編」「会社ホームページ」など、この3年で何を変え、何が変わりましたか。あたらしい価値は加わりましたか。

なぜ、"まるごとイノベーション"なのか

『日本経済新聞』でも取り上げていましたが、流通業のモデル企業であるイトーヨーカ堂の直営部門の売上高が、ある会社に逆転されることが確実になりました。それは「ドン・キホーテ」です。年商は両社とも約8000億円なのですが、2桁成長のドン・キホーテが逆転するそうです。

流通業の価値観からすれば、ドン・キホーテの戦略(圧縮陳列)は業界の非常識です。しかも、顧客ターゲットは、人口減少の「若者」。流通業界の常識がすでに変わっているということです。そう考えると、どちらの方が流通の常識だったのか、と疑いたくなります。

ポスト2020における経済変化の本質は「価値の転換」です。これはあらゆる業界で起こる可能性があります。競争環境が激変しているのです。例えば、「銀行 VS アマゾン(流通)」「自動車 VS Google(自動運転)」「ホテル VS Airbnb(エアビーアンドビー)」といった、これまで考えられなかった同業ではない分野からのライバルが次々と出現しています。いつも言い続けてきたことではありますが、「同業種」「うちの業界」発想からは真の戦略が出なくなっているということなのです。

繰り返しますが、「事業」という字は「事(こと)」の「業(わざ)」と書くのです。

事業の本質を求めることができる経営理念をいくつか紹介しましょう。

創業者であるフィル・ナイトの自伝『シュードッグ』(東洋経済新報社)が話題になった「ナイキ」のミッションです。

「To bring inspiration and innovation to every athlete in the world.」
(世界中の全てのアスリートにインスピレーションとイノベーションをもたらすこと)

またキッコーマングループの経営理念は、次の通りです。

1.「消費者本位」を基本理念とする

2.食文化の国際交流をすすめる

3.地球社会にとって存在意義のある企業をめざす

カルビーグループの企業理念は、

「私たちは、自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかなくらしに貢献します。」

顧客価値のあくなき追求は、顧客の未来を変えるほどの「あたらしい価値」を生み出します。そのために、事業の出発点でもある経営理念すら、いま一度、翻訳し直す必要があるのです。その翻訳過程で、事業そのものを見直し、あたらしい価値を付け加えてみてください。いつの時代も「戦略」は「理念」に従うのです。

変わり続けてこそ100年経営は完成する

長寿企業は今日までなぜ生き延びてきたのでしょうか。「企業は環境適応業」といわれるように、企業規模の大小の違いに関係なく、時代の環境変化に合わせて自社を変化させることが求められます。

帝国データバンクの「"本業"の現状と今後に対する企業の意識調査」(2015年)では、創業(設立)時と現在とを比較した本業の変化を紹介しています。【図表1】の左の円グラフは、創業時と比較した本業の変化です。47.7%が「変化した」と答えています。右の円グラフは、今後10年間で本業が変わる可能性です。47.8%が「可能性はある」と回答しています。
【図表1】創業(設立)時と比較した本業の変化と、今後10年間で本業が変わる可能性

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※母数は有効回答企業1万867社
出典:帝国データバンク「"本業"の現状と今後に対する企業の意識調査」(2015年7月)

このように、歴史の長さにかかわらず、環境や顧客の価値変化に合わせ、本業を変えて対応してきた企業が生き残っていると言えます。

例えば、京都にある島津製作所は創業143年。連結売上高3765億円、従業員数は1万1954名の会社です。「科学技術で社会に貢献する」という社是の下、「見えないものを見えるように、分析のできないものを分析できるようにする」ことに商品開発軸を置いています。

1909年より医用機器事業、1936年より航空機器事業、2008年より産業用機器事業を展開。祖業の分析技術から周辺技術を増やし、技術と技術の融合で新しい技術を生む。それが、新しい事業開発につながっているのです。

同社の現在の事業構成は、祖業の計測機器事業が60%、その他の事業が40%です。祖業をやめるのではなく、生かし、それを進化させる経営技術に長けている会社が生き残る。自社の事業の本質、専門的価値の拡大、それが「あたらしい」をつくるのです。

「あたらしい」を生み出す5つの戦略

「あたらしい」ことを生み出す開発環境への対応ポイントは5つあります。

1つ目は、「デジタル技術」です。デジタル技術でイノベーションが起きやすくなった、開発へ取り組みやすくなった、と言えます。これまではできなかったことができるようになる、ということです。

【図表2】にもあるように、既存の技術や現場と「AIやIoT、ロボットなどのデジタル技術」がつながって新しい製品やサービスが生まれているのです。私たちのライフスタイルがデジタル化、デジタル技術を駆使することで開発力が高まるのです。

【図表2】全ての分野で、革新的な製品・サービスが創出(共通基盤技術×産業コア技術×データ)

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出典:経済産業省「新産業構造ビジョン」(2016年4月27日)より加工して作成

スマートフォンは、日本で71.8%(総務省「情報通信白書(2017年版)」)まで普及しました。通信速度は2020年をめどに今の4Gから5Gにアップする予定であり、ますますスピードが高まります。これからは、写真ではなく動画の時代になります。テレビとインターネットの境がなくなっていきます。タナベ経営も「FCCアカデミー」というクラウドを使った教育プログラムを提供していますが、5Gになると教育価値そのものが変化し、なおかついっそう高まるでしょう。

2つ目は、「海外のビジネスモデルや規格を取り入れることで日本の変革スピードを加速させる」。海外のビジネスモデルやスタートアップ企業のアイデアを日本企業に取り込むことで、まだまだイノベーションを起こすことができるのです。

米国・シリコンバレーをはじめ世界先進のスタートアップ企業は次元が違ってきています。ものすごく速いスピードで成長しています。IPO(株式公開)ではなく、大企業への技術の売却意思が80%を占めています。海外のモデルや規格を取り入れるチャンスなのです。

3つ目は、「優秀な人材が集まる会社になる」ため、「多様な人材」「多彩な人材」を採用し活躍するシステムを導入し、「ダイバーシティー&インクルージョン経営」を推進。イノベーションを起こす経営環境を整備することです。イノベーションの源泉は人であり、人の多様性がイノベーションを起こします。

これにより事業展開スピードがアップしています。イノベーションも自前主義という価値観ではスピードが上がりません。自前でいろいろと試行錯誤をしている間に、マーケットを逃してしまいがちです。事業の成功確率以上に、展開スピードを上げることがこれからのイノベーションのポイントです。それにはオープンイノベーションへの取り組みが不可欠なのです。顧客、取引先、仕入れ先、異業種、大学などオープンに取り組むべき対象企業は多くあるはずです。

最後、5つ目は「異質とつながってあたらしい価値」をつくることです。キーワードは、「×(クロス)」することであります。皆さんの会社もさまざまなつながりをデザインし、イノベーションの可能性をもっともっと広げる必要があります。

シリコンバレーに本社を構える「Plug and Play(プラグ&プレー)」は、世界に26の拠点を持ち、世界中のスタートアップ企業を総合的にサポートするアクセラレーターです。施設の提供や投資家、弁護士、大学などの人脈の紹介、投資家に対するプレゼンテーションのアドバイス、マーケティングなどの事業支援、直接投資などを行っています。240社以上の世界的大企業をパートナーに、毎年400以上のスタートアップ支援を実施しています。昨年(2017年)に日本法人も設立しています。

このアクセラレーターは、リソースが欲しい起業家と大企業や投資家をつなぐ存在です。今は、業界に特化したアクセラレーターや、機能に特化したアクセラレーターなど、さまざまなものが世界中に誕生してきているのです。

要するに、中堅・中小企業もこのスタートアップ環境の中に入るべきです。このような会社ともつながることで、「オープンイノベーション」がさらに加速します。

これまで述べてきた、「①デジタル技術、②ビジネスモデルや規格の輸入は日本の変革スピードを加速させる、③ダイバーシティー&インクルージョン経営の推進、④オープンイノベーション、⑤異質とつながってあたらしい価値をつくる、という「5つの戦略」を意識して、開発環境を整備していきましょう。

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「経営理念以外は全て変える」くらいの意気込みで「まるごとイノベーション」に臨む覚悟が必要なのです。

「まるごとイノベーション」は組織戦略

会社に新しい風を吹き込むためには、中途半端な部分変更ではなく、内部を一気に変えることが必要です。そうすることによって変革スピードが上がります。中途半端な変更は社内から抵抗され、失敗するケースも多いのです。冒頭にも申し上げた通り、「経営理念以外は全て変える」くらいの意気込みで「まるごとイノベーション」に臨む覚悟が必要なのです。変えるべき項目と視点は、【図表3】の通りです。

【図表3】内部で変えるべき項目と視点

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イノベーションを起こす"あなた"のリーダーシップ

ここまで紹介してきたケースは、誰が実践、実現しているのでしょうか。「あたらしいコトを生み出す顧客価値の追求」のリーダーは誰なのか。

政治家ですか、官僚ですか。違いますよね。「経営者」であり「企業家」たちのリーダーシップなのです。ここでも日本語はよくできています。社会という言葉をひっくり返すと"会社"になります。会社が社会にイノベーションを起こす最も効果的かつ、効率的な単位なのです。有名な経済学者のヨーゼフ・シュンペーターは、「新しいことを行うイノベーションは企業家が起こす」と言っていました。

イノベーションを起こすのは、会社であり、そこにいるリーダー一人一人なのです。要するに、『FCC REVIEW』を読んでいただいている皆さんですね。

いつの時代も人がイノベーションの起点であり、かつイノベーターなのです。

アップルの創業者スティーブ・ジョブズは、「創造性とは、ものごとを結び付けることにすぎない」と言いました。

「つなぐイノベーション」を今すぐ実行し、顧客をワクワクさせ、元気にするような、「あたらしい価値」を創造していきましょう。

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タナベ経営 代表取締役社長
若松孝彦
タナベ経営のトップとしてその使命を追求しながら、経営コンサルタントとして指導してきた会社は、業種を問わず上場企業から中小企業まで約1000社に及ぶ。独自の経営理論で全国のファーストコールカンパニーはもちろん金融機関からも多くの支持を得ている。関西学院大学大学院(経営学修士)修了。1989年タナベ経営入社、2009年より専務取締役コンサルティング統轄本部長、副社長を経て現職。『100年経営』『戦略をつくる力』『甦る経営』(共にダイヤモンド社)ほか著書多数。

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価値を「魅せる化」する ~従業員と顧客を魅了する企業とは~


一向に減らない"魅力不足の会社"

食品の原材料メーカーM社は卓越した開発力を有しており、業界内で評価が高い。高水準の社員処遇と生産性を実現する高収益企業だ。就活生の間では採用枠の空き待ちという人気企業である。

企業の本質は、顧客(社会)が期待する仕事と従業員のやりたい仕事が一致し、会社が期待する高い生産性を実現することにある。それは社会性と人間性と生産性が一致し、人(社員・顧客)を魅了する企業価値を創り上げることだと言い換えてもよい。

だが、企業の実態はどうか。利益率は伸び悩みを続け、入社3年以内の離職率も依然として高止まり傾向にある。多くの企業は収益効率の低下とスピード離職に歯止めをかけられない「魅力不足の会社」だと言っても過言ではない。

冒頭のM社のような、顧客と社員を魅了する企業はどのように創り上げていくべきなのだろうか。

価値の「魅せる化」を体系的に捉える

まず、企業が顧客を魅了するには「価値の魅せる化」が必要だ。すなわち、自社が顧客に提供すべき価値(=顧客価値)を見つけ、自社のみが提供できる価値(=提供価値)を打ち出すことである。顧客にとっての魅力を発見して顧客価値を明確にするとともに、提供価値を創り出す自社の魅力創りを行うという両方が必要となる。要は「価値の魅せる化=魅力の発見×魅力創り」である。

顧客にとっての魅力は何か、その魅力をどう創り込むか。その着眼について、食品関連企業をケースに述べていく。

食品関連企業における顧客価値は、大きく6つある(次頁【図表1】)。1点目は「機能価値」。健康増進や安全・安心、栄養補給、美容効果など、食べる(飲む)ことによって得られる効果、期待できる効用などが挙げられる。

2点目は「感性価値」。カワイイ、懐かしい、面白いなど人の感情に訴える価値である。顧客は感動・感激・感心という魅力に購買行動を起こすことが多い。3点目は「価格価値」。単なる「低価格」だけでなく、お買い得、節約になるという魅力だ。

4点目は「時間価値」。早(速)い・短い、グッドタイミング、手間いらずなど、時間的コストを感じさせない価値である。5点目は「希少価値」だ。少ない、珍しい、手に入りにくいなど、数が少なく珍しいというプレミアム価値を指す。そして最後の6点目は「社会価値」。エコ(省エネ・環境配慮)、エシカル(倫理的・道徳的)、ソーシャル(社会的)といった自然保護や社会貢献などによる価値である。


自社の魅力創りを「価値の方程式」で実現する

次に、自社の魅力創りである。これは、大きく7つの価値がある(【図表1】)。1点目の「品質価値」は、おいしさや鮮度・舌触り・歯応え・品質保持など。2点目の「機能価値」は、浸透性や低カロリー・無添加・日持ちがよい・簡便性・開発支援。3点目の「効用価値」はネーミング・商品の色調・小分け個装・限定(個数限定・地域限定など)といった価値である。

4点目の「価格価値」はローコストやリベートなど。5点目の「サービス価値」はポイント還元・お届け・キャンペーン・ディーラーヘルプス・プロモーション。6点目の「システム価値」は顧客情報のデータベース化・指定日時配達・トレーサビリティーなど。そして7 点目は「人材価値」で、情報提供力や販売支援など人の働きである。

これらの7つの価値は、どれか1つに絞って打ち出すというものではなく、全てを組み合わせた相乗効果によって自社の魅力を創り上げる必要がある。それぞれの関係性をイメージ的に、方程式で表したものが【図表2】である。

品質は、機能と効用の乗数との掛け算で極大化する。価格は分母に位置し、価格が低ければ、顧客が感じる相対的な品質価値は高く維持できる。そこへサービスの価値が掛け算で働く。このサービス価値は重要である。例えば価格に対する相対的な品質価値がいくら高くても、サービスの価値がゼロならば、品質価値もゼロになる。

さらにシステム価値が加わる。これは文字通り、自社ならではのプラスアルファの差別化価値である。そして最後に「人」。人材の質によって自社の価値は決まる。

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「10年ビジョン」を構築し、魅力ある会社創りを

次に、働く人を魅了するための考え方について述べよう。ほとんどの企業は、社員に対する自社の魅力創りについて以前から取り組んでいるのは間違いない。しかし、その大半は「同質化」という課題に阻まれ、遅々として進んでいないのが実態である。

同質化には、2つの要素がある。1つ目は、「管理職の同質化」である。いくら管理職を集めても、意識や取り組みが同質化しているため、変化を起こすことができない(陳腐化)。2つ目は、「階層の同質化」である。階層別にさまざまな取り組みをしても、組織が同質化しているため過去の成功体験にとらわれ、イノベーションが起こせない(マンネリ化)。

社員にとって魅力のある企業となるためには、次のような対策が必要である。

● 中間層の諦め気味の意識、社員層の漠然とした不安を抱えながら、現状維持という意識を払拭する「創造力」強化を図るための未来を語る場の設定

● 自社や従業員自身の未来の姿・夢・ビジョンを部門横断、階層を超えて語り合う場の設定

● 物事に挑んで可能性を追求することによって、できない理由やないものねだりの考え方から脱却し、「本質」を掘り下げていく「思考力」の強化

● 次世代への承継を「10年単位」で考え、自由に語り合える、従来の研修とは異なる前向きな議論の場の設定

従業員を魅了する会社づくりにおいて、最も重要なことが10年単位で考えること。すなわち「10年ビジョン」を構築することだ。その具体的なメソッドは次の4点である。

①次世代ビジョン・未来を10 年単位で考えるセッション(会議・会合)を設け、伸び伸びと自由にディスカッションする(絶対的な答えがないことに「答え」を出す)

②未来を見据えた上で、10年後の業界動向についてテーマを設定し、研究する(例:「10年後の新時代の価値探求と○○ビジネスの本質的な価値」など)

③業界の未来に対して、"未来の自社"は対応していけるのか、部門を超えて語り合う(「自社の本質的価値とは何か」という問いに対する答えを出す)

④自社の多様性を生かしてイノベーション文化を育む(世代・部門を超えて自社の10 年後を語り合い、10年ビジョンを構築する)

顧客にとっての自社の魅力とは何か。10年というスパンで見据え、誰も答えが出せないことに対し、全社を挙げて思い切って答えを出す。その取り組みこそが、人(従業員と顧客)を魅了する企業を創り上げるのである。

タナベ経営 経営コンサルティング本部 部長 小山田 眞哉
  • タナベ経営
  • 経営コンサルティング本部 部長
  • 小山田 眞哉
  • Shinya Oyamada
  • 開拓、製品開発による事業戦略構築に定評があり、食品メーカーの垂直統合戦略など、多くの中堅・中小企業の未来を共に創ってきた。人事・営業・財務・購買・生産などの経営管理機能のコンサルティングも手掛け、多くのクライアント先を成長に導いている。特に食品ビジネスを中心としたコンサルティングにはタナベ経営随一の実績を持つ。
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