2018.08.03

独自のビジネスモデルで美容業界の発展を支える

全国の美容室に製品を供給するほか、経営支援や人材育成まで手掛ける伸び盛りの企業がある。美容室専売の頭髪用化粧品メーカー「コタ」だ。「美容業界の近代化」へ挑戦を続ける同社のビジネスモデルに迫った。

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2017年11月に新設した研修施設「COTA KYOTOスタジオオフィス」
2017年11月に新設した研修施設「COTA KYOTOスタジオオフィス」

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「コタ アイ ケア」は根強い人気を誇るロングセラー商品


美容室とともに歩み、美容室とともに発展する

京都府久御山町に本社を構えるコタは、美容室向けのシャンプーやトリートメント、整髪料などの製造・販売を手掛ける東証1部上場メーカー。2017年3月期決算では、19期連続増収、経常利益4期連続増益、売上高・利益ともに過去最高を更新し、売上高経常利益率が18.8%と注目の成長企業である。

同社は第2次オイルショックが起きた1979年、「小田製薬株式会社」として設立。翌年に本社工場を竣工し、「COTA」ブランドの頭髪用化粧品の製造を始め、2001年に現社名へ変更した。

創業当時の美容業界は、経営者一代限りの個人事業がほとんどで、美容師の育成は徒弟制度が当たり前。生産性も低く、他の業界と比べ経営の近代化が遅れていた。創業者である初代社長の小田英二氏は、そんな状況を危惧して「美容業界(美容室経営)の近代化」を決意。「美容室とともに歩み、美容室とともに発展する」という考えのもと、独自のビジネスモデルを生み出した。

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コタ CS部CS課企画係 米田 未希氏

旬報店システムで美容室の経営全体を支援

そのコタ独自のビジネスモデルが「旬報店システム」を軸とした「コンサルティング・セールス」と「トイレタリー」の販売を中心とした「店販戦略」である。旬報店システムとは、同社が独自開発した美容室の経営改善システム。同社製品の一括導入を条件に、美容室から旬間(10日間)に1度提出してもらった営業成績を基に、業績向上の経営アドバイスを行う仕組みだ(現在はWebシステムで日々の業績を共有)。旬報店システムを導入している取引先美容室(旬報店)の軒数は全国に1608店舗(2018年3月末現在)ある。

美容室と将来のビジョン(目標)を共有し、そこに至るまでの計画立案と現状分析を行い、目標達成の具体策を提案する。バランスの取れた成長を目指してもらうために、旬報店一軒一軒に対して、年次および月次ペースで売上高や来店客数など11項目において目標を設定し、日々の達成状況を管理してアドバイスを行う。

また店販戦略は、美容師が対面販売を通じて一般消費者(来店客)にトイレタリー(シャンプー・トリートメント)、整髪料、育毛剤などの同社製品を直接販売するもの。店販は小売店やインターネットでの販売とは違い、美容師の接遇やカウンセリング(知識・提案力)、美容室への信頼感などにより高付加価値な美容室専売品を安定的に販売することができる。

美容室にとってもメリットは大きい。美容師は同社の主力製品である「コタ アイ ケア」でシャンプーとトリートメントの18種類もの組み合わせの中から、来店客の髪の状態に合った組み合わせをカウンセリングで導き出す。信頼する美容師が推奨する製品、しかも美容室専売品ならではの品質でリピーターになる顧客は多く、来店頻度が向上する。この店販により、コタ アイ ケアは1999年の発売以来、不動の人気を誇るロングセラー製品となった。

このように、自社製品の製造・販売だけでなく、美容室の経営全体をサポートし、美容室経営者に「技術者から真の経営者へ」と意識改革を促す。そして店販戦略によって美容室の収益が安定的に向上し、来店客の満足度も上がる。これがコタと他社メーカーとの大きな違いである。

コタ CS部CS課企画係 主任 鎌倉 美紀子氏
コタ CS部CS課企画係 主任 鎌倉 美紀子氏

人材育成こそ美容室の成長のカギ

コタは美容室の人材育成にも力を入れている。その一例として、毎年11月から12月にかけての2カ月間、全国の取引先美容室を対象に、シャンプー、トリートメント、整髪料など同社製品の販売高を競う大会「コタ全国店販コンクール」を開催。参加者は楽しみながら売り上げやカウンセリング力、製品販売力、技術力を伸ばす機会に活用しているという。

上位入賞店にはハワイ旅行へご招待という褒賞付きだ。コンクール期間中、参加する美容室スタッフは共通のリストバンドを付け、「みんなでがんばろう」と一致団結して士気を高める。

そのほか、成績優秀な美容室が参加する「優秀サロン会」、旬報店システムにおいて目標を達成した美容室のみが参加できる「オール金賞サロン会」など、美容室スタッフの目標となる表彰イベントも開催。また、アシスタントスタッフを対象とした教育プログラムも充実している。来店客への提案力や接客力を競う「ロールプレイング大会」、スタイリストへの早期育成を行う教育プログラム「コタアカデミー」の開催などである。

人材が根幹となる当業界において、その差が美容室の発展、他店との差別化の鍵となる中、コタのこういった取り組みが多くの美容室の人材育成に一役買っているのは間違いない。「取引先美容室のオーナーさまからは、『コタと取引するようになって他の美容室との横のつながりが増えた』『旬報店システムや他の美容室との交流によって自分の店の居場所が分かり、店の指標になっている』などと評価をいただけています」とコタCS部CS課企画係主任・鎌倉美紀子氏は言う。

美容室軒数の増加による過当競争の激化、美容師人口の減少による採用難や後継者問題など、美容業界を取り巻く状況は厳しい。美容室経営者には今後、技術面だけでなく、経営面でのスキル向上が大きく問われることになる。

美容室とともに、女性を髪から美しくするために

2019年で40周年を迎える同社は、「美容室とともに、女性を髪から美しくする」ため、旬報店の開拓と育成をさらに推進し、美容室経営者のサポートを拡大していく考えだ。販促・企画面については、今後「年齢別提案」を強化していくという。

「例えば10代の中高生は髪を気にする年代ですが、校則もあってヘアカラーなどは難しい。そうした世代にさりげないストレートパーマ『スリムパーマ』を提案しています。いかにもパーマという感じではなく、髪をまとまりやすくするのが特長。校則を気にせず髪の質感を変えることができ、同世代に喜ばれます。年代ごとに求められるニーズや悩みは異なりますから、それぞれに応えられる提案をしていきたいですね」(鎌倉氏)

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コンサルティングセールス推進に向け、コタでは人材採用・育成を強化中

販促キャンペーンで美容室をしっかりサポート

美容室は新たなメニュー提案に加え、集客のための販促キャンペーンが欠かせない。同社はこれまでブランケットやトートバッグ、タンブラー、日傘、ポーチ、お香と、さまざまな販促グッズを製作し、美容室に春夏・秋冬の年2回提案している。特に2018~19年の秋冬シーズンでは全社で「サポートアイテム」として戦略的に展開するという。

コタは販促品製作で、タナベ経営と十数年来の付き合いがある。同社企画係の米田未希氏は「長年の取引があるタナベ経営は相談しやすい存在。『この商品・品番しかない』ということがなく、いろいろな商品を仕入れる対応力はとてもありがたいです」と評価する。

主任の鎌倉美紀子氏は「今後はより細やかな提案を行っていきたい。流行を先取りできる目新しいアイテム、店のブランディングにつながる名入れアイテム、上質ながら価格を抑えた〝コタならではの販促品〟の提案を強化しようと考えています。美容室にも来店客にも喜んでもらえる提案で、『コタに頼めば何とかなる』と頼りにされる存在になりたいです」と期待をかける。

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販促品などの製作で、タナベ経営との付き合いは十数年に及ぶ

PROFILE

  • コタ㈱
  • 所在地:〒613-0036 京都府久世郡久御山町田井新荒見77
  • TEL:0774-44-1681(代)
  • 設立:1979年
  • 資本金:3億8780万円
  • 売上高:65億5200万円(2017年3月期)
  • 従業員数:307名(2017年3月末現在)
  • 事業内容:美容室向け頭髪用化粧品、医薬部外品の製造・販売
  • http://www.cota.co.jp/

コタでは社員一人一人が"どのようにすれば、顧客である美容室のお役に立てるか"を考え、行動している姿勢が明確である。これは同社の経営理念が社員全員にしっかりと浸透しているからに他ならない。

独自のビジネスモデルである「旬報店システム」による経営支援や、店販コンクールと優秀サロン会などによる美容室の人材育成といった「美容室のコンサルティング」。美容業界を取り巻く環境は年々厳しさを増しており、同社の本質的価値が今後より一層高まっていくのは間違いない。2019年に創業40周年を迎える同社の今後の活躍に期待したい。

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SPコンサルティング本部 課長
SPチーフコンサルタント
安永 信司

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SPコンサルティング本部
渡辺 小百合