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今週のひとこと

経営者の人に対するポリシーのない
ところに、人材は育たない。

☆ コミュニケーション戦略という視点から見た「カレンダー」

 ステークホルダーがブランドに触れる接点であるコンタクトポイント。ブランドの構築においては、あらゆるコンタクトポイントでその世界観を演出し、訴求していくことが必要になります。サービス経営の名著「真実の瞬間」でも、従業員が顧客と接する最初の15秒が、その会社全体の印象を決定づけてしまうと記されています。このことは、ブランド構築においても大変参考になる考え方です。ブランドがステークホルダーと接するたびに"真実の瞬間"が発生し、何かしらの価値判断をされてしまう。コンタクトポイントとは恐ろしい場面でもあり、チャンスでもあります。
 年末年始にかけて配布されるノベルティの代表格であるカレンダーも重要なコンタクトポイントの一つです。

 ある企業は100周年の機会に、このカレンダーを見直しました。
 今までは既成の卓上カレンダーにロゴを入れるだけのものだったのを、コーポレートブランディングを意識したカレンダーに変更する決断をしたのです。ただし、コンタクトポイントで適切に機能させるためには工夫が必要です。そこで「数字で紐解く」というコンセプトを発見し、カレンダーのビジュアル面に大きく数字を記し、その数字の意味を文章と絵で紐解いていくという仕組みをカレンダーに取り入れました。例えば、1月のビジュアルでは元日から創業日までの日数である「334」という数字を大きく記し、文章で「あと334日で創業100周年を迎えます」という内容の文章を添えました。他の月では商品の累計販売数を大きく記し、その説明の文章を添えました。
 インナーブランディングになりそうな情報からアウターブランディングになりそうな情報まで幅広い要素で構成され、ビジュアルも各月で趣向が凝らされ、まるで12枚の広告ビジュアルが並んだようなカレンダーとなっていて、丁寧にステークホルダーとコミュニケーションを図ろうという意志が感じられます。

 一つひとつのコンタクトポイントで、真摯にステークホルダーと向き合い、コミュニケーションを図ることでブランドの価値は高まります。そして、高いブランド価値はビジネスを成功に導く原動力になるはずです。

戦略総合研究所
デザインラボ
杉山 顕宏

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「よい医療は、よい経営から」をコンセプトに
日本型ヘルスケアビジネスの完成へ挑む

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医療機関が抱える課題を解決することで持続的成長を続ける総合メディカル。40年前、サラリーマン7人が集まり創業した同社は、売上高1354億3166万円(連結、2018年3月期)、調剤薬局690店舗以上の運営、医業経営コンサルティング、医師招聘事業などを展開し、約30社を率いる企業グループへと変貌を遂げた。2018年10月1日には、単独株式移転により完全親会社(純粋持ち株会社)の総合メディカルホールディングスを設立した。同社代表取締役社長を兼務する坂本賢治氏に、40周年までの歩みとこれからの姿を伺った。

会社は公器 公正な経営を実践

若松 総合メディカルは、医療分野を対象にコンサルティングやリース、調剤薬局など、幅広い事業を展開されています。創業は1978年ですから、今年(2018年)でちょうど40周年を迎えられました。タナベ経営とは創業の早い時期からのご縁であり、心よりお祝い申し上げます。

坂本 総合メディカルは、7人のサラリーマンが集まって起こした会社です。当初は、医療機器のリース業が中心でしたが、医師の要望や医療機関が抱える課題にお応えしていく過程で、医師の開業・継承支援や、調剤薬局、医師の招聘事業などへと、事業が拡大していきました。

若松 タナベ経営との付き合いは古く、30年ほどたちます。約20年前、私が九州に赴任していたころは何度もご一緒させていただきました。その際、いつも感じるのは公正な会社であること。良くも悪くも創業期はワンマン経営になりがちですが、参画型で会社をつくってこられた経営姿勢が伝わってきました。

坂本 私は創業5年目に新卒社員として入社しましたが、当時から公正・中立の意識は非常に高かったように思います。創業メンバーそれぞれがサラリーマンだった経験から、「こんな会社にしたい」という思いを持っていましたし、企業文化にも影響しています。今でこそ、「企業は社会の公器であり、社員は社会からの預かりもの」といわれますが、当時から創業者はそうした意識を持って経営に当たっていました。

若松 今の経営理念や社是は当時からあったのでしょうか。

坂本 最初の社是・社訓ができたのは10期目です。創業者と直接仕事をする中で、普段から創業者が言っていたことを明文化しました。その後、20期に「わたしたちの誓い」ができました。実はそのころ、苦労を共にした社員が辞めていったことに、創業者は大変悩んでいたそうです。「何が足りなかったのか?」「思いが伝わっていない原因は何か?」と考え抜いたことが策定のきっかけとなったそうです。

若松 家業から企業へと移行するのがちょうど10年目ぐらい。この段階でファーストコールカンパニーは「このような会社を目指す」という使命を明文化します。また、株式上場という大きな転換点を迎える前に経営理念を策定されたことで、その後に急成長を迎えても企業グループとしての一体感が保たれています。

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社会、医療、医師が抱える課題を新たなビジネスモデルで解決

若松 現在の事業領域(ドメイン)は多岐にわたります。セグメンテーションやビジネスモデルが生まれた過程をお聞かせてください。

坂本 1つ目のエポックは、10期目に入院患者向けテレビレンタルシステムの事業をスタートさせたこと。その後の30年を支える土台にもなりました。開業支援とリース業との相乗効果でお客さまが増えていくにつれ、医療機関や先生方から相談を受ける機会が増加。その後の新事業につながっていきました。

若松 タナベ経営が提唱するファーストコールカンパニー宣言の第一に「顧客価値のあくなき追求」というものがありますが、総合メディカルの戦略はまさにそれであり、顧客の要望がビジネスになる素直な、自然な流れの中でビジネス領域が広がっている点が素晴らしいですね。調剤薬局の「そうごう薬局」についても、医療機関からの要望でスタートした事業なのでしょうか。

坂本 はい。時代の流れが医薬分業へと向かう中、主に開業医から「患者さんのために、服薬指導については専門家に任せたい」という声が聞かれるようになりました。医療機関や医師が患者の診療に集中できるように、当社が調剤薬局を引き受けることを決断。ただ当時、医療分野に民間企業が参入するのは難しく、1号店は開局まで時間がかかりました。それでも踏ん張ったことが、今の690店舗以上の体制につながっています。

若松 今でこそ調剤薬局の市場規模は7兆円まで拡大していますが、本当にゼロから立ち上げた市場であり、まさにパイオニアと言っていい。ただし、市場が右肩上がりで伸び続けることが難しいのも現実です。

坂本 これまでは地方の民間企業が各地で市場をつくってきたこともあって、一部の企業の寡占状態にないことが調剤薬局市場の特性と言えます。売上高で見ると総合メディカルは5位ですが、トップ企業でもシェアは約2%、トップ10社を合わせても十数%程度にすぎません。ただ、若松社長がおっしゃる通り、日本中に調剤薬局が広がってある程度は行き届きました。今後はグループ化が急速に進んでいくでしょうが、社会における存在感を高めるためにもトップ3を目指すことは必須だと考えています。

全国津々浦々へM&Aでチャネルを拡大

若松 2000年に東京証券取引所第2部、翌年には第1部へ株式上場を果たされました。やはり、会社は公器という考えや中立性を大事にする社風が上場を目指す背景にあったのでしょうか。

坂本 「透明性の証し」と言う方がよいでしょう。私が入社した当時から、「会社を私物化しない」という言葉はよく聞いていました。また、社内では「全国規模で事業展開したい」とも話していました。その手段として上場を意識して事業を進めていたように思います。特に、収益の要であるレンタル事業の拡大は常に重要な経営課題に挙がっていました。そこで、全国に営業拠点を持つ旧オリックス・メディアサプライ※を2001年に買収。これは同年の東証1部上場と合わせて、全国展開の弾みになる出来事でした。1店舗ずつ全国に広げていくには大変なエネルギーと時間がかかりますが、M&A(合併・買収)で一気に全国へ拠点を広げることができました。

若松 チャネル、つまり供給体制が出来上がったわけですね。M&Aは全国展開が一気に現実味を帯びる転換点となりました。ただ、総合メディカルは類を見ないビジネスモデルであり、上場の際には苦労も多かったのではないかと想像できます。調剤薬局やリース業に限定するとビジネスモデルは分かりやすくなりますが、あくまで「よい医療」の実現に向けた医療機関のトータルサポートという事業領域にこだわってこられました。上場後に始まった、医師の転職・開業・継承を総合的にサポートする「DtoD」(Doctorto Doctor)システムもその延長線上にあるビジネスと言えます。

坂本 「DtoD」を始めた2001年には、第4次医療法改正が施行される中で、医師の臨床研修の必修化(2004年4月より施行)が明文化されました。同制度はメリットも多くありますが、研修医がより多くの経験を求めて都市部の研修医療機関に集中する傾向もあり、地域間の医師の偏在が顕著になる事態を招きました。こうした状況下、地方病院から「医師を紹介してほしい」という要望を受けたことから、医師を募集して紹介する仕組みを作ったのが始まりです。よい医師はよい医療の原点であり、医師の招聘は病院のトップが意思決定に関わる重要事項。当社はここから理事長に会う機会が格段に増加しました。

若松 単なる人材紹介ではなく、よい医療を実現するためのビジネスモデル。ここでも企業の根幹がぶれていません。さらに、医療現場のトップと接点が増えれば経営課題が見えやすくなり、次のビジネスにもつながります。

社会変化に合わせた医療システムの構築を目指す

若松 50期ビジョンとして、「日本型ヘルスケアビジネスの完成」を掲げていらっしゃいます。複数の医療機関を集めて連携させる「医療モールの開発」はその1つの取り組みとして大変注目されています。

坂本 世の中が変わる中、医療システムも変わっていかないといけません。例えば、医療分野は医師の専門化が急速に進んでおり、町の中で一軒の診療所が開業する時代ではなくなってきています。全人的に患者を診るためには、複数の医療機関が連携して地域医療に貢献する形がふさわしいのではないかと思います。

若松 あらゆる看板を掲げている医師よりも、特定の分野のスペシャリストを選ぶ人が増えていることは確かです。ただ、症状別に専門の医療機関を回るのは大変ですから、患者の立場からしても医療モールはメリットが大きいですね。医療・ヘルスケアは高度の専門化と高度の総合化を具現化するビジネスモデルです。

坂本 特に、高齢化が進むにつれて自力で外来に行けない人が増えることは確実です。在宅患者の診察が課題となりますが、1人の医師が24時間365日対応するのには限界があります。チームで在宅患者を診る仕組みが、ますます必要になってくるはずです。その実現のために、現状の課題を解決するには、医療モールの考え方が最適だと考えています。

若松 あらゆる医療課題を解決してきた知恵が、医療モールのモデルにつながっています。都市部の高齢化も非常に深刻です。医療は生活上欠かせないインフラですから、早急に全国にステーションをつくっていかないといけません。

坂本 医療は社会性につながります。医療が廃れると町も廃れる。逆に医療を継続していくことが地域の活性化につながります。よい医療が、よい社会をつくるのだと考えています。

若松 社会の変化や医療制度の変化を機敏に捉えて、常に時代に合ったヘルスケアビジネスを開発されている。パイオニアスピリッツがあり、それゆえにビジネスのオリジナリティーが高いことが強さの背景にあります。ただ、企業が大きくなるとパイオニア精神を引き継ぐのは難しくなるものです。

坂本 総合メディカルのビジネスの要は「人財」です。特に、医療に携わるお客さまはそれぞれ社会観、人生観をお持ちです。そういった方と話ができる人財であれば、非常によい関係を築くことができ、新たなビジネスのヒントを得ることができます。そうした人財を育てるために教育を大事にしています。例えば次世代のリーダーを育てる「総創塾」は、タナベ経営に協力をいただきながら、すでに10期目を迎えています。人財育成と新規事業開発を目的に1年間のプログラムで実施していますが、異なる部署の社員と一緒に学び、考える研修を通して大局観が養われていきます。

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0期目を迎える「総創塾」。他社の経営者を講師に招いたり、役員へのプレゼンテーションを実施したりと、若手リーダーのユニークな「学びの機会」だ。

社長の使命は社員を生かす環境づくり

若松 新規事業開発やM&Aで事業を広げた結果、現在はグループ会社が約30社、社員数は連結で7000名(パート含む)を超える企業へと成長されました。坂本社長がこのたび決断したホールディングス化によって、さらなる成長と社会への貢献が期待されます。坂本社長が考える「社長の仕事」とはどのようなものでしょう。

坂本 30期に企業理念を見直した際、社訓の3番目に「社員の豊かな人生を願い、社員とともに成長します。」という条項を入れてもらいました。私自身、この部分に強い思いを持って社長業と向き合ってきました。入社以来35年が過ぎましたが、その経験からも「大事なのは社員がイキイキと仕事に取り組めること」だと痛感しています。もちろん、事業には良い時も悪い時もありますが、「前を向いて夢を持って働いてもらうにはどうすればよいか?」を常に考えていますし、そのような環境づくりこそ、社長が果たすべき一番の使命だと思っています。ホールディングス化に至ったのも、社員にイキイキと働いてもらうためです。社員がイキイキと働くことができれば、結果として会社の成長につながり、株主に対する責任を果たす善循環が生まれます。

若松 対談を通して、医療機関が求める商品・サービスを次々と開発できる理由を、より深く理解できました。特に素晴らしいのは、全ての事業に「日本のヘルスケア業界のインフラをつくっていく」という使命感が根付いていること。他社が簡単にはまねできない総合メディカルの強みです。10年先の「日本型ヘルスケアビジネスの完成」に向けて、タナベ経営も支援していきたいと思います。本日はありがとうございました。

総合メディカル㈱ 代表取締役 社長執行役員 坂本 賢治(さかもと けんじ)氏
1983年総合メディカル入社。東日本支社長、常務、専務、副社長などを経て2016年4月に社長就任。座右の銘は「一隅を照らす」。趣味はスポーツ観戦、ゴルフ。

タナベ経営 代表取締役社長 若松 孝彦(わかまつ たかひこ)
タナベ経営のトップとしてその使命を追求しながら、経営コンサルタントとして指導してきた会社は、業種を問わず上場企業から中小企業まで約1000社に及ぶ。独自の経営理論で全国のファーストコールカンパニーはもちろん金融機関からも多くの支持を得ている。関西学院大学大学院(経営学修士)修了。1989年タナベ経営入社、2009年より専務取締役コンサルティング統轄本部長、副社長を経て現職。『100年経営』『戦略をつくる力』『甦る経営』(共にダイヤモンド社)ほか著書多数。

PROFILE

  • 総合メディカルホールディングス㈱
  • 創立:2018年
  • 資本金:100億円
  • 総合メディカル㈱
  • 所在地:〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神2-14-8 福岡天神センタービル16階
  • TEL:092-713-7611
  • 創立:1978年
  • 資本金:35億1300万円
  • 売上高:1354億3166万円
  • 従業員数(連結):7049名(正社員4579名、パート2470名、2018年10月1日)
  • 事業内容:医業経営コンサルティング、医療モールの開発・運営、医療機関への医師の紹介、医師の転職・開業支援、医業継承支援、保険調剤、一般薬・介護用品の販売、医療機器などのリース・販売、入院患者向けテレビのレンタル
  • https://www.sogo-medical.co.jp/

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効果的な広告を打つための6ステップ

「真の顧客」への広告アプローチ

広告を打ってみたけれど効果がない――。そう感じている企業は、いま一度、自社の広告戦略を見直してほしい。大企業の物まねのような広告戦略を立てていないだろうか。企業規模・事業特性・顧客層などによって、取るべき広告戦略があるのだ。

中堅・中小企業の場合、大企業とは違い、特定のターゲットに向けてサービスを行っていることが多い。その特定ターゲットに効果的な広告を打つ必要があるが、広告成果を得られない企業の多くは、少しでもレスポンス(反応)率を高めようと大きなターゲットに広告を打っている。しかし大切なことは、広告のターゲットを「真の顧客」に絞ることなのだ。

例えば、高級リゾート物件を販売しているA社は以前、大手新聞への出稿や折り込み広告を行っていたが、成果が上がらなかった。そこで目を付けたのが、富裕層向けのクレジットカードの会員誌への出稿だった。確実にターゲットへ届く媒体に絞り、富裕層へのリーチ(広告到達率)向上に成功した。大手紙での広告に比べ、情報にプレミアム感が出て、大幅に契約数が伸びた。

このように、中堅・中小企業は自社の真の顧客へしっかりとアプローチができるメディアを使い、自社をPRする必要がある。次に、中堅・中小企業が成果を上げる広告戦略策定の6ステップを紹介する。

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Step1 ターゲットの選定

まずターゲットの選定である。ここで必要なことは、ロイヤルカスタマー(自社への忠誠度が高い顧客)を選ぶこと。「パレートの法則」(2:8の法則)でいう、売り上げの8割を占める上位2割の顧客を指す。単純に直近の売り上げだけでなく、中・長期間の購入金額、購入頻度、購入期間を調べることだ。つまり、総合的な見地でロイヤルカスタマーを選定する必要がある。

ロイヤルカスタマーの選定が終わったら、次にロイヤルカスタマーの共通点を探る。自社のロイヤルカスタマーはどのような人が多いのか。年齢、性別、家族構成、趣味、ブランド志向か性能重視か、購入のタイミングはいつかなど、さまざまな切り口で共通点を探り、ロイヤルカスタマーになりやすい人を広告ターゲットとして設定する。

例えば、ロイヤルカスタマーの共通点が「関東在住」「40代女性」「ファッションに興味あり」であれば、これに当てはまる層がターゲットとなる。ここで大切なのが、"or"ではなく「and」でターゲットを絞ることだ。ターゲットが狭くなることを恐れずに、できるだけ細かく絞る。少しでも引っかかる可能性がある層に広告を投下したい、という心情は分かるが、広告効果を高めるには「絞る」ことが最も重要なポイントである。


Step2 目的を明確化する

広告を通じて、顧客を何へ誘導したいのかを明確にしなければならない。自社のサービスを知ってもらいたいのか、自社に来店してもらいたいのか、サービスを体験してもらいたいのか、商品を購入してもらいたいのか――。広告のゴールを明確化させる必要がある。


Step3 メディアの選定

メディアを選定するポイントは3点。1点目は、Step1で出たキーワードから選定すること。2点目は、できるだけ広い選択肢からメディアを選定すること。近年は新聞、雑誌、ラジオ、テレビのいわゆるマス4媒体やインターネットに限らず、特定のターゲット向けのフリーマガジン、小・中学校の給食の献立表への広告掲載など、ニッチでユニークな広告手法がある。3点目は、固定観念を外すこと。例えば、化粧品会社が土木業界向け情報誌に広告を出し、ヒットした例がある。その情報誌のメイン顧客は小規模の土木会社で、そのような会社は社長夫人が購買担当であることが多い。社長夫人がその情報誌を見ることも多く、しかも土木業界専門誌の化粧品広告となると目に留まりやすい。そのため、ヒットにつながったというわけである。

このように、意外な組み合わせが成功を収めることもある。「自社には関係ない」と考えず、さまざまな可能性を考えてメディアを選定することが必要だ。


Step4 目標を明確化する

少なくとも次の3つの目標を明確にしてから、広告を打ってほしい。

1点目は、注文客獲得単価(CPO:Cost Per Order)。1人から注文を取るのに、どれくらいのコストをかけるかという指標である。2点目は、見込み客獲得単価(CPA:Cost Per Acquisition)。1人の見込み客を獲得するために、どれくらいのコストをかけるかという指標だ。そして3点目が、引き上げ率である。見込み客がどれくらい発注客になったか、という指標である。

このような指標がなければ、今後改善をしていく上での目標がなくなってしまうので、必ず目標を立てるようにする。


Step5 広告物の作成

広告物の作成で重要なポイントは2点ある。1点目が、ターゲット・目的・メディアを強く意識すること。例えば、幼稚園や保育園に子どもを通わせる親がターゲットなのに、広告でシニア好みの配色を打ち出してはいけない。さらに注意したいのが、つい万人受けを狙ってしまうことである。決めたターゲットにだけ広告を打つことを徹底する必要がある。

2点目は、顧客の「バイイングポイント」を押さえること。セリングポイント(売り手から見た商品・サービスの購入メリット)と、バイイングポイント(買い手から見た商品・サービスの購入メリット)がずれていることは多い。ロイヤルカスタマーにアンケートを取り、なぜ自社商品を選んだのか、あらためて認識する必要がある。


Step6 PDCAサイクルを回す

最も重要なポイントは、それぞれのステップでPDCAサイクルを回し続けることである。広告戦略で成功している企業は、必ずといっていいほどPDCAサイクルを回して広告効果を高めている。ステップごとにPDCAを行い、改良し続けることが大切だ。

これら6つのステップを確実に行い、効果的な広告を打っていただきたい。最後にもう1度強調する。中堅・中小企業の広告戦略で大切なことは、大企業が展開している広告に惑わされず、「ターゲットを厳選」し、「ターゲットのみに広告を打つ」ことなのである。

タナベ経営 コンサルティング戦略本部 チーフコンサルタント 大山 賢一郎
  • タナベ経営
  • コンサルティング戦略本部 チーフコンサルタント
  • 大山 賢一郎
  • Kenichiro Ohyama
  • SPコンサルティング本部において、広報支援活動をはじめノベルティー・販促商品の企画提案などで活躍。コンサルティング戦略本部に異動後は、培った顧客管理手法やコミュニケーション手法を基に営業コンサルティングや教育体系づくりのコンサルティングを展開、クライアントの成長発展に貢献している
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    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所