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今週のひとこと

強い者が生き残るのではない。
環境に合わせ、変化する者のみが
生き残る。

☆ 採用がうまなくいかないのは知名度が無いから?

 先般、2人の経営者と採用状況についてディスカッションする機会がありました。
 A社は、国内外に拠点を持つ中堅規模ではありますが、知名度のあるメーカーです。新卒を7名採用する予定でしたが、6名が内定を辞退し、最終的には1名しか採用できなかったとのことでした。社長からは、「知名度のある大企業と比べると、採用面で不利になるのは仕方ないことか...」という言葉がありました。
 なお、A社の採用体制は、社員5名で、人事・労務、総務などとの兼務で採用業務を行なっており、就職情報サイトへの掲載、合同説明会の実施など、一般的な採用活動を、それなりに行なっている状況でした。

 B社は、地方を中心に展開する卸売関連の中小企業です。採用状況は内定者7名、辞退がなく全員入社です。その内訳は、有名国公立大の卒業生や、運動部での主将経験者など、優秀でバイタリティ溢れる人材が多いとのことでした。
 なお、B社の採用体制は、採用の専門部署を設置し、入社2~3年目の若い社員が、社長の思いを熱く語る代弁者となり、採用活動を主体的に企画・運営しているとのことでした。同社のインターンシップは学生から注目を集める取組みとなっています。

 両社を比較すると、事業規模や知名度ではA社の方が有利です。しかし、採用活動の結果の差は歴然です。両社の違いは、どこにあったのでしょうか。
 ポイントは2つあります。
 1つ目は、「本気で人を採用する体制」であるかということです。A社も、それなりの採用活動をしてはいますが、実際は片手間の業務になっています。
 一方、B社は採用専門のセクションをつくり、人を採用する体制を全社的に構築しています。採用への本気度が違うのです。

 そして、2つ目は、「ヒトを採るヒト」を社内で育成しているかどうかということです。B社では、社歴が浅く、年齢も学生と近い若い社員が、会社や仕事のことについてイキイキと語ります。その言葉や姿こそが、学生にとって、数年後の働いている自らの姿と重なり、「こういう会社で働きたい、こういう社員になりたい」というモチベーションアップにつながっているのです。「ヒトを採るヒトをつくる」ことが、B社の強みです。
 採用がうまくいかないのは、外部環境が悪いから、また、自社は知名度がないからと嘆く前に、今一度、自社が本気で人を採用する体制になっているかを見直してみてはいかがでしょうか。

経営コンサルティング本部
チーフコンサルタント
大裏 宙

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何のために5Sをやるのか

私は今、ある海運会社の職場改善活動に取り組んでいる。現場や事務所の5S、社員の業務効率化など、現場そのものと働き方の両面から、より良い職場づくりを行うことが課題だ。

海運業という業種柄、その対象エリアは広い。例えば、5Sと言っても船着き場近辺や倉庫、車庫、駐車場、詰め所、休憩所と数棟の建屋......など、広範囲に及ぶ外の区域を回らなければならない。シャシーや包装材、コンテナ、鉄くずといった大規模な不要品やストックが日々発生する中で、規則立てて整然と管理していくのは非常に骨が折れるものだ。

特に5S活動は、日々継続していくことが肝要となる。従って現場の作業者の動機付けが非常に重要である。作業現場の清掃活動と捉えられがちな5S活動だが、「何のために5Sをやるのか」を何度も何度も、しつこいほど繰り返し伝え、不備を指摘し、成果を正当に評価していくことで、少しずつ改善への意識が生まれてくる。

そうすると、何も言わなくても現場の一人一人が、自らの創意工夫で現場の不備や非効率さを是正していくようになる。5S活動の精度を上げるだけでなく、「効率的に作業を行うには、どうすればよいか」「皆が喜ぶためにも、何をすればいいのか」など、職場をより良くする意識が生まれる土壌が出来上がる。

本当の"改善"とは、5S活動の結果、「目の前の景色が変わる」ことによる改善体験を積むことで、その人の働き方の意識が変わることにある。そして、目的意識を持った前向きな社員の存在が、職場を明るく変えていく。

その取り組みから、社員の姿が見える?

「カイゼン」と聞くと、どうしてもトヨタ生産方式のような合理化の方法論に終始しがちである。

以前、私はある工場のマネジャーを務めていた。当時は、"カイゼン"と称して合理的な工程組みや歩留まり向上、またロスカットのための施策を主導的に実践していた。貴金属加工の工場だったため、特に「切り粉」(加工時に発生する切りくず)の管理が原価管理上、重要だった。

切り粉は「減り」という用語で管理していた。元の素材である金やプラチナが最終製品になった時、加工前に比べて何パーセント減ったかという管理である。通常は10%ほどだが、これを9%にするだけで利益率が大きく変わってくる。

そのため作業服に付着した切り粉を振動機で落としたり、空気中に舞った粉をエアダクトで集塵したり、下水をろ過したりなど、目に見えない粉まで回収するべく、努力していた。しかし、こうした管理は人の行動を制限することはできても、人の行動自体を変えることはできなかった。

私は試行錯誤をしていた中で、1%の改善は、実は微妙な作業方法や工具の管理・工夫で簡単に実現できるレベルだと気付いた。現場の従業員と向き合い、彼らの意識と行動を変えるだけで、抜本的に解決できるものだと分かったのである。

結局、私はマネジャーとして、そこで働く人たちの姿を見ず、方法論ばかりに目を向けていたのだ。カイゼン活動に取り組む管理者は、実際に現場で働く人たちの姿が見えているだろうか。変えるのは方法論ではなく、実行する従業員の意識と行動にあるという視点をぜひ持ってほしい。

現場の声に耳を傾ける

こうした現場改善活動において壁となるのは、「変わることは面倒」と考えている従業員の意識である。今のままでも、取り立てて大きな問題が起きるわけではない。現状維持が心地良い。そんな惰性が必ず表れるものだ。

しかし、「このままでよい」と考えている従業員ばかりではないことも事実である。「このままでよいはずがない。何かがおかしい、変わらなければいけない」。そう感じている従業員は多い。これは私の経験上からもそう言える。何かを変えたいが、変える方法が分からず、日々の業務に忙殺されているだけなのである。

私は以前、ある会社で現場の声を聞くため、オペレーターの社員と面談を行った。彼女は、「毎日、終業時間間際にお客さまから問い合わせが来るので、残業して対応しています。終業後の予定なんて、入れられないです。友達とも会えない。なんでうちの部署だけって思っちゃいます......」と言う。

この社員を始め、同社の従業員たちは責任感を持って業務に当たっている。しかし、それゆえに無理をしてしまい、誤解を恐れずに言うと「自分の生活を犠牲にしてまで」業務に従事していた。

そこで、なんとしても業務内容の見直しを行い、現場を変えようと経営者は決意した。作業時間の見通しを「見える化」し、残業時間が削減できるよう、経営陣・現場が一体となって改善活動を進めている。

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経営陣と社員をつなぐ改善活動

これはあくまでも一例にすぎないが、どんな現場にも課題は山積みである。企業経営者や管理者は現場を見つめ直し、課題を見つけ、真の改善活動に取り組んでいかねばならない。

私が5S活動で重視している点は、社長を含め経営陣と一緒に現場を回る、ということである。いわゆる「MBWA」(マネジメント・バイ・ウオーキング・アラウンド=歩き回る経営)と呼ばれるものだ。

普段は社外にいることが多い経営陣にとっては、社内をウロウロと歩き回るだけで、現場の改善活動の過程や変化を肌で感じ取れ、従業員のことも知る機会となる。さらに、従業員にとっては現場で改善活動に励む自分の姿を経営陣にアピールできる機会となる。それが何よりの動機付けとなるのだ。

現場の改善活動が、会社のトップと現場をつなぐ。そこから経営陣が新たな気付きを得る可能性は大いにある。トップや経営幹部の目線と、実際に現場で作業を行う従業員の目線は当然、異なる。経営陣は現場と同じ目線で、従業員が抱える課題を共有してほしい。会社は、経営陣だけでは成り立たない。従業員全員で運営していくものなのである。

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  • タナベ経営
  • 経営コンサルティング本部
    コンサルタント
  • 市川 淳
  • Jun Ichikawa
  • 製造メーカーの製造部門にて品質・原価・納期の管理などを幅広く行い、製造全体のマネジメントを経験。その後、営業部門での活躍、海外工場設立などで経営全般のスキルを磨き、タナベ経営入社。日本におけるメーカーの力となり、「ものづくり」から日本を明るく元気にしたいという信条の下、日々コンサルティング活動を展開中。
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2018年に創業80周年を迎えた広島トヨペットは、年間1万台近くの新車を販売し、広島県のモータリゼーションの歴史の一翼を担う存在だ。同社は大変革期を迎えた自動車業界の未来を見据え、社内ブランディングを推進。変化対応力に優れた組織づくりを目指している。

 

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広島大学の跡地に誕生した新店舗「CLiP HIROSHIMA(クリップヒロシマ)」。
イベントスペース(右)やカフェ(左下)は、情報発信拠点や憩いの場として地域住民に活用されている

 

「みんなで幸せになろう」と地域に尽くして80年

 

南川 広島トヨペットの会社概要と沿革からお聞かせください。

古谷 当社は1938年に広島県福山市で創業し、2018年で80周年を迎えました。私の曽祖父・古谷太一が自動車社会の到来を読み、単身ペルーに渡って自動車修理の技術を習得し、帰国後に修理サービスを始めたのが、当社の原点です。フォードのトラックを修理したり、部品を販売しながら、日産自動車と手を組んで自動車販売をスタート。1956年に契約先をトヨタ自動車へ転換しました。現在、広島県内全域を販売テリトリーとし、トヨペット35店舗に加えてレクサス2店舗を展開しています。2017年の新車販売数は約9700台と、1万台に迫る実績を上げ、売上高は約414億円です。

南川 広島県のモータリゼーションの歴史の一翼を担ってこられたのですね。社長は何代目ですか?

古谷 4代目です。

南川 経営理念について教えてください。

古谷 経営理念は「顧客の利益、社員の利益、会社の利益」です。お客さまと社員と会社が三位一体で幸せになることを標榜しています。創業者は戦前から社員一人一人と握手をしながら「みんなで幸せになろう」と語っていたそうです。戦時中は原爆の被害に直接遭っていませんが、福山も空襲を受けて店舗は全焼。どん底の中でも、創業者は「みんなで幸せになろう」と言い続け、事業を育んできました。

南川 古谷社長の代になって「コーポレートメッセージ」を作られたそうですね。

古谷 「Happiness in Your Life」というコーポレートメッセージで、創業者が語り続けた「みんなで幸せになろう」という言葉を今風にアレンジしました。ポイントは「Car life」ではなく「Life」であること。「クルマに限定することなく、お客さまの生活により良い価値を提供したい」というメッセージを込めました。

南川 自動車以外にも思いを広げていこうという、個性的で素晴らしいコーポレートメッセージですね。

古谷 もともと広島はマツダの本拠地なので、あらゆる商品でお客さまから選ばれようという思いやチャレンジ精神が脈々と流れています。自動車保険だけでなく、生命保険や、がん保険を取り扱うようになったのもそのためです。

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広島トヨペット 代表取締役社長 古谷 英明氏
1975 年生まれ。日本大学経済学部卒業後、ゼネラルエアコンテクニカ(現デンソーセールス)入社。2002年広島トヨペット入社後、2010年DON VALLEY NORTH AUTOMOTIVE INC.(現Weins Canada INC.)出向。取締役総務部長、常務取締役管理本部長を経て、2015年代表取締役社長に就任。同年トヨタ部品広島共販取締役、16年トヨタレンタリース広島取締役。公職として広島県自動車販売店協会副支部長などを務める。

 

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広島トヨペット 常務取締役 営業副本部長 嶋吉 敏文氏
1961年大阪府生まれ。関西学院大学経済学部卒業後、トヨタ自動車入社。国内企画部、人事部、役員秘書などを経て、06年から10年間ブランドマネージャーとして、レクサスブランドの国内導入~浸透に奔走。17年トヨペット店営業部地区担当員を経て18年広島トヨペット出向。同年6月に入社、常務取締役営業副本部長兼CRO。

 

 

クルマを売らない革新的な店舗は大賑わい

 

影本 将来へ向けて打たれた手として、新店舗「CLiP(クリップ)」が挙げられます。全国的に注目を集める革新的な店舗ですが、誕生した背景をお聞かせください。

古谷 先代の頃から、ディーラーの枠を超えてお客さまへ多彩な情報を提供する場所をつくろうという動きがありました。私の代になって広島市の中心部に位置する広島大学の跡地を活用した街づくりに参加する機会が到来。大学や市からも「ただの自動車販売店ではなく、学びのある街づくりにマッチした店舗にしてほしい」との要望が寄せられ、周辺に既存店舗が2軒あったこともあって、以前から考えていた情報発信基地をつくってみようと決めました。

影本 具体的にはどのような特徴があるのですか。

古谷 コンセプトは「クルマを売らない、情報発信基地」です。オープンしたのは2016年10月で、約1000坪の土地に建つ店舗は、大きく3つのゾーンに分かれます。1階には広大なイベントスペースがあり、各種イベントが催されます。2階には地域に開かれた会議室となるナレッジルームと、飲食ができるカフェを設置。カフェは有料ですが、イベントスペースとナレッジルームは無料で地域に貸し出し、「地域の皆さまがやりたいことを、当社がお手伝いをしてカタチにする」というスタンスで運営しています。ナレッジルームでは英会話教室やアクセサリーのワークショップなど多様なイベントが行われ、稼働率は100%。毎日、何かが行われ、地域の方々が楽しそうに過ごされています。

南川 CLiPというネーミングの由来を教えてください。

古谷 街づくりの開発コードであった「Car Life Park」の頭文字「C」「L」「P」に、広島トヨペットのシンボルマークを構成する「i」を入れました。「人と人をつなぐクリップになる」という思いを込めています。

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タナベ経営 常務取締役 南川 典大
1993年タナベ経営に入社。西部本部長、取締役を経て2014年より現職。上場企業から中小企業まで数百社のコンサルティング・教育などに従事し、数多くの実績を誇る。経営の視点から、仕組みと人の問題解決を行う"ソリューションコンサルタント"として定評がある。著書に『問題解決の5S』(ダイヤモンド社)ほか。

 

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「+Tプロジェクト」の様子(左)。プロジェクトメンバーが中心になり、広島トヨペットの目指す姿を示す「ブランドブック」(右)を制作中

 

 

「+Tプロジェクト」で社内ブランディングを推進

 

影本 ブランディングへの取り組みもスタートされました。そのきっかけになったのは経営幹部研修だと聞いています。この研修を始めた経緯をお聞かせください。

古谷 2015年に先代が急逝し、私が社長に就任しました。その際、私を支えてくれる経営幹部は全員年上でした。先代のやり方を踏襲すべき部分はありますが、私のやり方もある。私の考えを知って先代との違いを認識してもらい、経営幹部の思いを私の目線にそろえたい、と思いました。

自動車業界は今、100年に一度の大変革期を迎えており、何が起こるか分からない状況です。こうした中、当社がこのままの姿で未来永劫、存続する保証はどこにもないという危機感が強まり、ブランディング強化を推進しようと考えました。存亡を懸けた闘いの中で強みになるのは自社のブランド。「同じクルマを買うなら、広島トヨペットで買おう」と思っていただけることが、生き残るためには不可欠です。「広島トヨペットはこうだ」というブランドを確立するために、プロジェクトを立ち上げました。

竹林 ブランディングには、お客さまに向けた社外ブランディングと、社員に向けた社内ブランディングがあります。社長は社内ブランディングに力を入れたいと思われたのですね。

古谷 その通りです。それによって650人の社員の思いを一つにしたいと思いました。

竹林 社内ブランディングを推進する「+T(プラスティー)」というプロジェクトを2018年1月に立ち上げました。その経緯やメンバーの選定方法などをお聞かせください。

古谷 広島トヨペットに新しいものをプラスしていこうという思いを込め、「+T」と名付けました。メンバーの条件は「これからの当社を担ってくれる、私よりも若い人」。さまざまな視点や意見が欲しかったので、職種や年齢層、性別を限定することなく人選を進めました。

竹林 メンバーに課したミッションは何ですか?

古谷 ブランドを具現化するような新しい切り口で、2019年2月にリニューアルオープンする廿日市店をつくるのが具体的なミッションです。さらに、社員に向けて広島トヨペットの目指す姿を明示するブランドブックの作成も進めています。

竹林 メンバーは紆余曲折しながらもブランディングの理解を深め、特に若手が率先してさまざまなことに挑戦するなどの良好な変化が起きています。嶋吉常務から見て+Tの活動はいかがですか?

嶋吉 プロジェクトが進行するにつれて、若手のメンバーが頻繁に"ボール"を投げ返してくれるようになりました。これまでは「ここからどうしましょう」と指示を待っていたのですが、今では「ここからはこう考えているのですが、どうでしょう」と自主的に相談を持ち掛けてくるのです。自動車ディーラーはどちらかというと受け身の仕事が多く、自発的に議論して企画することをあまり経験していません。若手社員は機会を与えてもらって覚醒した感じですね。

古谷 ブランドブックの原稿を読むと「私が言いたかったのはこういうこと」と感心するところがたくさんあります。

竹林 プロジェクトの立ち上げ前に理念を分かりやすく落とし込むためのディスカッションをした際、「HIROSHIMA+」というスローガンが生まれました。それを聞いた時に社長はどのような思いを抱かれましたか?

古谷 年頭の決起大会で「当社には15万件に及ぶ顧客データがありますが、今後、われわれがアプローチするのはそれだけではありません。約280万人の広島県民にプラスして、広島を訪れるインバウンドの方も対象になります」と話しました。それを一言で表現すると「HIROSHIMA+」になる。まさに「それっ!」という感じでした。

さらに経営理念にも自分たちの考えをプラスし、顧客の利益には「感動」、社員の利益には「成長」、会社の利益には「変化」を付加していました。本当に感動しました。

竹林 2019年1月に全社員へ配布予定です。その後の社内への展開をどのようにお考えですか?

古谷 プロジェクトメンバーから「ブランドブックの配布後、拠点を巡って詳しく説明したい」との要望が出ています。店長会議をはじめ、あらゆる機会を通して読み込むことを促していこうと思います。また、ホームページに「このような冊子を制作しました」と掲載して発信するなど、今年はブランドブックを積極的に露出させるつもりです。

嶋吉 全社員が「社長が常々発する言葉はブランドブックから出ている」と認識したら、自分たちの考えるべきこと、行動すべきことのベクトルが明確になり、効率的な事業展開につながると思います。非常に大切なツールなので、時間はかかるかもしれませんが、全社的な浸透を徹底的に図っていきます。

 

 

新たな価値を提供し顧客の生活を豊かに

 

影本 これからの人材育成についてのお考えをお聞かせください。

古谷 社員教育は何よりも大事だと考えています。入社してくれた以上は一人前の社員に育てる義務が経営者にはあるからです。タナベ経営と相談しながら、さまざまな教育手段の検討・実行を進めていきたいですね。

私自身、タナベ経営の幹部候補生スクールで甘い考えをたたき直された経験があります。そのような機会は人生において絶対に必要です。社員に人生の転換期を与えるような教育をしたいと思います。

嶋吉 各階層で会社のために自分が何を考え、実行すべきかを考えられる人材になってもらいたい。ニーズが多様化し、変化のスピードが加速する時代は社員一人一人が自ら「解」を求めるようにならないと会社は生き残れません。

古谷 多様性への対応も大切ですね。将来の広島トヨペットの社員は日本人だけとは限りませんから。

南川 時代の歯車が大きく動いているとしみじみ感じます。具体的には人口が減る、働く人も減る、生産性を上げるための働き方改革が進められる......。変数ばかりの時代でもファーストコールカンパニー=選ばれる会社になるには、「変化対応力」こそが求められます。この先、2030年にはどのような会社にしたいと思われますか?

古谷 トヨタのディーラーは2025年に全車種併売化が決まりました(レクサスは除く)。それに対応して事業をどう展開していくかは、まだ分かりませんが、当社はクルマを生業として80年の歴史がありますので、クルマを軸とした多様な事業を考えていくことになるでしょう。「Happiness in Your Life」という理念に基づいて、さまざまな角度から広島で暮らすお客さまの生活を豊かにする価値を提供する事業を展開していきたいと思います。

南川 かつて日産からトヨタに転換したようにパートナーを変更する可能性もあるし、よりドラスティックな変革も覚悟しておられるようです。今後生き残れるのは、変化をチャンスに変えることができる会社だけです。社員の力を一つにしてこれからもご発展ください。ありがとうございました。

 

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タナベ経営 経営コンサルティング本部 部長
戦略コンサルタント 影本 陽一
成長ビジョン・戦略構築から人事制度構築、人材育成まで幅広い実績を持つ。事業・組織のブランド化、組織活性化に向けたクライアントと一体となった熱いコンサルティング展開が持ち味。現在は、医療・介護を中心とするヘルスケアビジネス成長戦略研究会のサブリーダーとしても活躍中。

 

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タナベ経営 経営コンサルティング本部 部長
チーフコンサルタント 竹林 剛
「出会った人と組織を元気にする」が信条。クライアントや働く人が本来持つ良さを引き出し、価値に変え、成果に結び付ける。戦略ロジスティクス研究会サブリーダー。「ロジスティクス4.0をテーマとしたビジネスモデル革新」が研究テーマ。

 

PROFILE

  • 広島トヨペット㈱
  • 所在地:〒733-0031 広島県広島市西区観音町7-8
  • TEL:082-503-5151(代)
  • 創業:1938年
  • 資本金:3000万円
  • 売上高:414億1558万円(2018年3月期)
  • 従業員数:622名(2018年10月現在)
  • 事業内容:トヨタ新車販売、中古車の小売・卸販売、自動車修理および車検・法定点検整備代行、トヨタ純正部品販売、自動車用品・機器販売、損害・生命保険代理店業務、レクサス新車・CPO(認定中古車)販売など
    https://www.h-toyopet.com/
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    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所