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今週のひとこと

一業・一品は危ない。
常にリスクの分散を考えて
バランスをとろう。

BCP(事業継続計画)をイノベーションの起点に

 新型コロナウイルスの感染拡大が日増しに世界経済・日本経済に対する影響力を強めている。日本国内の感染者も数千名を数え、4月7日には政府によって緊急事態宣言が発令された。感染された方の1日も早い回復と、今後の感染拡大が止まることを切に願うばかりである。

 さて、経営環境に目を転じると、今回のコロナ禍により、都心部を中心にシフト出勤やテレワークが進んでいる。多様な働き方(ダイバーシティー)やBCP(事業継続計画)の必要性は一気に高まってきたと言えよう。
 中小企業庁発行の「中小企業BCP 支援ガイドブック」によれば、BCPは、「被災後の事業継続を図っていくための経営戦略」とうたっている。感染症のみならず、地震、水害、大規模火災などにより、経営資源(人・モノ・資金・情報)が不足する状況の中で、いかに短時間で課題把握と対策が打ち切れるか。被災後の事業回復、存続は、想定される被害や行動を具体化することが必須である。

 一方で、BCPを策定しても、いざという時に機能しないケースが二つある。
 一つは、BCPの意義や必要性の理解・浸透の弱さによるものである。トップや作成担当者の不在時にトラブルが発生して現場が混乱したり、問い合わせが総務部門に押し寄せたりしている状況では、BCPが機能しているとは言えない。もう一つは、実際の状況に応じて柔軟に判断しながら行動が起こせるように訓練できていない場合だ。災害時は想定していないことが多々発生する。想定外の事象に対してどう動くか。災害を想定し、想定外の事象に対する訓練を繰り返している企業は、その点でも安定感がある。

 決定事項に即し、それを日常活動に落とし込み、実践・実験を通じて改善がなされていくというプロセスは、日常の経営改善と同じである。中期ビジョン、年度方針、会議の決議事項が、発表、作成するだけで形骸化している企業がBCPを策定しても、典型的な絵に描いた餅になってしまうであろう。「まれに起こる事象」は「まれ」な確率で確実に起こる。実行・徹底力、マネジメント力に課題を感じている経営者がおられたら、「決めたことを守る」という風土に問題がないかを、ぜひご留意いただきたい。

 最後になるが、筆者はBCPを「マイナスをゼロに戻すための活動」とは捉えていない。起こった事象の「その先の未来」に対し、経営活動の存続を通じて責任を果たすための、「イノベーションの起点」や「新たなリーダーの誕生のきっかけ」になるものだと信じている。
 そんな「今」だからこそ、手を止めてはいけない。既に始まっているイノベーションを、その先の未来に結実していただきたい。

執行役員
戦略総合研究所 副本部長
奥村 格

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道理に合わない販売不振
良い商品を作ったのに、"なぜ"売れないのか?

 
今、人々の生活や社会、多くの市場にはさまざまな商品(製品・サービス)があふれている。その上、企業を取り巻く環境の変化は目まぐるしい。
 
価値のある商品をせっかく作っても、それを本来、手にするべき消費者へ届かない。「良い商品なのに、なぜ売れないのか?」。そんな道理に合わない販売不振が当たり前のように起きている。
 
従来は有効だったマーケティングやプロモーション、クリエーティブも、時流とともに形を変えて常に進化していく必要がある。そうでなければ、あなたの商品は市場から取り残され、企業自体も生き残ることが困難になる。
 
特に、現在はICT(情報通信技術)を活用した販売促進の手法である「デジタルプロモーション」が、日進月歩を上回る"秒進分歩"で急激な進化を遂げている。スマートフォンの普及やAI(人工知能)の発展で新たな技術やツールが開発され、顧客の購買行動に大きな影響を及ぼすまでになっている。
 
「無機質で温かみに欠ける」「若者にしか効果がない」「費用がかかる割に効果が見えない」。以前はそういわれてきたデジタルプロモーションだが、時代は変わった。資本規模や従業員数にかかわらず、顧客の心に響く、最先端のデジタルプロモーションにフォーカスすべき時代がやって来たのだ。
 
 

市場の成長に応じてプロモーションは
マス(1対n)からワン・ツー・ワン(1対1)へ

 
ターゲットを限定せず、全ての層を対象とする「マス・プロモーション」は、かつて日本における主流の販促手法だった。市場が成長期の場合、需要が供給を上回り、消費者は商品をじっくりと選り好みするよりも、いち早く入手しようとする購買行動をとる。商品の使用経験もそれほどないため、こだわりはさほど持っていない。
 
そのような状況においては、消費者に対するプロモーション手法として「マスコミ四媒体」(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)など、広範囲かつ画一的に情報を流せるマス・プロモーションが有効だった。商品の存在を消費者(市場)にまず認知してもらうことが重要であった。
 
ただ、市場が成熟段階を迎えると、消費者は大抵の商品を体験しており、次第に自分なりのこだわりを持ち始める。需要が頭打ちを迎える一方で、市場の成長性を見込んだ新規参入企業が増えていく。既存企業も、ライバルが増えたからといって、すぐに撤退をするわけではない。その結果、市場は需要よりも供給が多くなる。
 
よって、企業は細分化していく消費者ニーズに応えなければ、自社商品を選んでもらえない。従って、消費者をセグメントし、個々のセグメントに対し、それぞれのニーズに合わせて異なるプロモーションを行う必要がある。
 
すでに商品が消費者の元に行き渡った状態になると、認知だけでは具体的な購買行動へつながらない。興味や関心、こだわりの醸成をプロモーションしていくことが重要になるのである。
 
 

【図表】 メディアの接触時間の時系列推移(1日当たり/週平均): 東京地区
出典 : 博報堂DYメディアパートナーズ「メディア定点調査2019」時系列分析より

出典 : 博報堂DYメディアパートナーズ「メディア定点調査2019」時系列分析より


 
 

顧客接点の変化から見るプロモーション手法の変化

 
プロモーションを実施する際に押さえておかねばならない重要なポイントは、そのターゲットが、どういったプロモーション媒体と接触しているかを知ることだ。
 
【図表】は、主なメディア媒体への総接触時間である。
 
直近4年ごとに、2009年までを「マス主力」、2013年までを「デジタルシフト」、2014年以降を「モバイルシフト」と区切ると、消費者のメディア接触は、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌のマス主力から、PC(パソコン)や携帯電話などへのデジタルシフト、そしてスマートフォンやタブレット端末といったスマートデバイスへのモバイルシフトが進んでいる。このような状況においては、消費者とのコミュニケーションの在り方やプロモーション手法も変化しなければならない。
 
モバイルシフトにより、消費者は気になる商品があれば、即時にさまざまな関連情報を得られるようになった。
 
例えば、ある住宅メーカーがモデルハウスへの集客プロモーションを実施したとする。今の消費者は、来場前にその住宅メーカーやモデルハウスの情報を検索して調べる。そして、自分なりに同業分析を済ませた上で来場する。
 
その事前調査の段階で、知りたい情報が足りなかったり、他社との比較で不足する部分などがあったりした場合、消費者はモデルハウスまで足を運ばない。つまり、リアル商品に触れる前に選ばれない。
 
たとえ、その段階をクリアして来場したとしても、事前に調べた情報とリアルな場面で得られる体験や情報の間に"マイナスの乖離"があると、これも購買にはつながらない。ウェブプロモーションとリアルプロモーションが一体となって、消費者に対し継続的に価値訴求を行っていくことで、初めて個々のニーズに応えられるのだ。
 
逆に言うと、消費者が購入前に自社商品を詳しく知る機会を多く提供すれば、新たな顧客に育つ可能性が高い。
 
そのような学習の場をどう提供し、ファンを増やしていくか。商品を欲する人を探して販売するという従来の手法から脱却し、欲しくなる仕組みとその欲望をかなえる仕組みをオンライン上で構築する企業も出てきている。
 
少し前までの日本の市場は、大量生産・大量消費の時代で、企業とユーザーの接点が限られていた。そのため、マスメディアを使ってたくさんの人にリーチできれば商品は売れた。
 
しかし、インターネットが普及してスマホが登場した現在、企業とユーザーの接点は複数あり、その関係性も複雑化している。これからも企業が勝ち残って行くためには、ユーザーが欲しい商品をリアルタイムに把握して、必要な人に必要な情報や商品を提供することが重要だ。そのためにはデジタルマーケティングが欠かせない。
 
まず企業が実行すべきことは、ユーザーとの接点(タッチポイント)で得られるIPアドレス、Cookie(クッキー)、メールアドレス、ソーシャルアカウントなどのIDや情報を集めて、それらをつなぐことだ※。そのためには、顧客情報などのデータベースを、顧客中心の設計に作り変えていく必要がある。
 
すると、誰がどのような情報に接触したのか、何に興味があるのかといった情報を得られる。それを商品開発やマーケティングに生かすわけである。
 
 
※IPアドレスやCookieなども個人情報と見なし、その取得・利用を制限する「GDPR」(一般データ保護規則)が2018年にEUで導入されて以降、Web上で取得したユーザー情報は慎重に取り扱うことが世界的な流れとなっている。適切なデータ収集・活用に注意したい
 
 

ここで、デジタルマーケティングで何ができるのか、先進事例を紹介する。
 
良品計画が提供する無印良品のアプリ「MUJI passport(ムジパスポート)」。これはポイントカードがアプリになっただけではない。購入前後の行動が可視化され、来店頻度の向上や施策の測定にも役立っているという。

 
店舗に顧客が来店して商品を購入する。この流れで企業が把握できるのは「性別、年代、買ったもの」だけである。購入時にポイントカードを提示してもらえれば「名前、買ったもの」の情報をひも付けられるが、やはりそれだけだ。
 
しかし、企業が本当にマーケティングに使うべきは、なぜ店舗へ来てくれたのか、購入商品の他にどういう商品に興味を持ったのかといった情報である。これを解決したのがMUJI passportだ。
 
このアプリには、購入時に提示してポイントを付与する従来のポイントカード機能に加えて、商品検索機能もある。これによって、購入前の行動が分かる。また、店舗に近づいてアプリ内で「チェックイン」するだけで、実際に来店や購入をせずともポイントが付与される。さらに、商品に関してソーシャル投稿しても付与される。
 
付与するポイントが増えるほど、ディスカウントして商品を売らなければならない。このポイントプログラムの導入には、大きな方針転換が必要だったに違いない。
 
しかし、その結果、顧客の購入前後の行動、行動範囲から想定される勤務先や住まいのエリア、行動時間帯など、これまで分からなかったことが把握できるようになった。ネットとリアルのシームレスな顧客体験が実現できている事例だろう。
 
重要なのは、「より良い」買い物体験そのものである。体験の価値を向上させるためには、テクノロジー偏重に陥らず、リアルな顧客満足を体験させる設計がとても重要になってくる。
 
環境の変化に対し、プロモーション手法も顧客の価値観も変化し、一人一人のニーズを満足させる時代へと突入した。ウェブとリアルの融合モデルを自社プロモーション戦略へ落とし込み、新たな形として価値提供していただきたい。
 
 

タナベ経営 SP コンサルティング本部 副本部長
庄田 順一
Junichi Syouda

販促戦略パートナーとして、顧客創造に向けた"Webとリアルを融合した集客プロモーション"コンサルティング活動を展開。マーケティングの戦略策定から実行・運営までをトータルでサポート。特にプロモーション企画とその推進マネジメントを通じた人材育成で、クライアントから高い信頼を得ている。
 

“刺さる”プロモーション研究会

販促・プロモーションの概要や手法、考え方を学び、最先端プロモーション事例や成果を上げ続けている最新ノウハウを、現場に落とし込みやすい形で提供します。社内に担当人材が育ち、自社のプロモーション施策で打つべき手が見えてきます。

 
 

MARKET STATS


"サイバー革命"が進むプロモーション
広告投資の4分の1は「インターネット」

 
 

GDP(国内総生産)との相関が高く、日本経済の遅行指標の一つである「総広告費」がプラス成長を続けている。主役は新聞・テレビではなくインターネットだ。

 
 
2012年12月以降の景気回復を背景に、広告市場が堅調だ。電通の調べによると、2018年の総広告費(国内で1年間に使われた広告媒体料と広告制作費の合計)は前年比2.2%増の6兆5300億円と、7年連続のプラス成長となった。(【図表1】)
 
広告市場は、媒体別に「マスコミ4媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)」と「インターネット」、広告看板やチラシなどの「プロモーションメディア」という三つで構成される。2018年の内訳は、マスコミ4媒体が前年比3.3%減の2兆7026億円、インターネットは同16.5%増の1兆7589億円、プロモーションメディアが同0.9%減の2兆685億円となった。
 
このうち、まず目につくのがマスコミ4媒体の減少だ。ピークの2000年(3兆9973億円)から約1.3兆円の広告費が消えた。特に減少が著しいのは紙媒体(新聞、雑誌)で、ピーク時に比べ新聞は約3分の1(1990年:1兆3592億円→2018年:4784億円)、雑誌も半分以下(2005年:4842億円→2018年:1841億円)に減った。一方、ラジオはピーク時から半減したものの底入れし、近年は安定した推移を見せている。テレビも衛星放送が地上波の縮小をカバーし、1.9兆円台を維持している。
 
 
【図表1】日本の総広告費の推移

※ 総広告費は2005年以降、推定範囲が拡大されたため、以前の数値と不連続が生じている 出典 : 電通「2018 日本の広告費」(2019年2月28日)

※ 総広告費は2005年以降、推定範囲が拡大されたため、以前の数値と不連続が生じている
出典 : 電通「2018 日本の広告費」(2019年2月28日)


 
 
プロモーションメディアも4年連続の減少と元気がない。「折り込み(新聞チラシ)」(6.2%減)、「DM(ダイレクトメール)」(0.6%減)、「屋外(看板、ビジョン)」(0.3%減)、「フリーペーパー・マガジン」(5.4%減)などが前年を下回った。半面、「交通(中吊り広告や駅看板など)」(1.1%増)、「POP(店頭展示販促物)」(1.3%増)、「展示・映像ほか(イベント関連)」(5.8%増)が堅調だった。デジタルサイネージ(電子看板)の設置需要が伸びたことが要因だ。(【図表2】)
 
頭打ちの既存広告メディアとは対照的に、ネット広告は1996年から22年連続の増加、さらに5年連続の2桁増と好調だった。ネット広告が総広告費全体に占める割合は26.9%となり、シェアが4分の1を超えた。2018年のネット広告費(1兆7589億円)の内訳は、媒体費(広告主がメディアに支出した広告料)が18.6%増の1兆4480億円、制作費が7.7%増の3109億円で、媒体費がほとんどを占めている。
 
 
【図表2】プロモーションメディア広告費の推移
※ DM:ダイレクトメール、FP/FM:フリーペーパー・フリーマガジン、POP:Point of purchase(購買時点)広告 出典 : 電通「2018 日本の広告費」(2019年2月28日)

※ DM:ダイレクトメール、FP/FM:フリーペーパー・フリーマガジン、POP:Point of purchase(購買時点)広告
出典 : 電通「2018 日本の広告費」(2019年2月28日)


 
 
媒体費の約8割は、検索ワードに応じて表示される「検索連動型広告」(5708億円)と、サイトやアプリの広告枠に表示される「ディスプレイ広告(バナー広告)」(5638億円)が占めた。次いでYouTube(ユーチューブ)やニコニコ動画などの「ビデオ(動画)広告」(2027億円)、広告視聴者が何らかの行動を起こすと報酬が発生する「成果報酬型広告(アフィリエイト)」(990億円)などが続く。(【図表3】)
 
なお、電通グループでは2019年のネット広告媒体費が1兆6781億円(前年比15.9%増)に拡大すると予測。うち7割をスマートフォンやタブレット端末などのモバイル向け広告(1兆2493億円)が占めるとみている。このモバイル広告市場で急拡大が予測されているのがビデオ(動画)広告である。
 
 
【図表3】インターネット広告媒体費の広告種別構成比
出典 : D2C/サイバー・コミュニケーションズ/電通 「2018年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(2019年3月14日)

出典 : D2C/サイバー・コミュニケーションズ/電通「2018年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(2019年3月14日)


 
 
サイバーエージェント(オンラインビデオ総研)の推計(【図表4】)によると、国内動画広告市場は2017年の1374億円から、2020年に2900億円、2024年には4957億円(17年比3.6倍)に達するという。「今後1年間で動画広告への投資割合を増やす」と答えた企業の広告宣伝担当者が約半数に達しているとの調査結果もあり、動画広告への投資を増やす企業の動きが加速していくことが見込まれている。
 
 
【図表4】動画広告市場規模推計・予測
出典 : サイバーエージェント(オンラインビデオ総研)/ デジタルインファクト「2018年国内動画広告の市場調査」(2018年11月30日)

出典 : サイバーエージェント(オンラインビデオ総研)/デジタルインファクト「2018年国内動画広告の市場調査」(2018年11月30日)


 
 
その動画広告でいま、新たなプロモーション手法として注目されているのが「YouTuber(ユーチューバー)」の活用だ。ユーチューバーの国内市場規模は313億円(2018年、推計値)で、ユーチューブ広告収入(192億円)とタイアップ広告(95億円)で9割を占める(残りはイベント・グッズ収入の26億円)。ユーチューバー市場は5Gが実用化される2020年に475億円、2022年には579億円に伸びると予想されている。(【図表5】)
 
最近は人間だけでなく、CGキャラクターが動画を配信するバーチャル・ユーチューバー(Vチューバ―)も増えている。Vチューバー数は2019年5月に8000人を突破(ユーザーローカル調べ)し、積極的に活用する自治体や企業が続々と表れている。架空のアイドルや仮想キャラクターとタイアップし、プロモーション動画を制作・配信する中小企業も増えそうだ。
 
 
【図表5】国内YouTuber市場規模推計・予測
出典:CA Young Lab(現Cyber Now)/ デジタルインファクト調べ(2018年1月30日)

出典:CA Young Lab(現Cyber Now)/デジタルインファクト調べ(2018年1月30日)


 
 
SNSやブログを通じて情報発信し、特定の層に強い影響力を及ぼす人を「インフルエンサー」と呼ぶ。オンラインでプロモーションを展開する上では、ユーチューバー、インスタグラマー、ブロガーといったインフルエンサーをマーケティングに活用することも重要である。インフルエンサー・マーケティングの市場規模(デジタルインファクトが推計)は、2018年で219億円、2028年には933億円に達する見込み。広告主の企業規模を問わず幅広い成長が期待されている。(【図表6】)
 
その一方、最近はネット広告需要の高まりとともに、不正な手段で広告効果を水増しするデジタル広告詐欺、いわゆる「アドフラウド(AdFraud)」の被害に遭う企業が増加しているという。適切な広告表記に関するルールの徹底や販促効果の「見える化」など、業界全体で早急な対策を講じることが課題となっている。
 
戦前、売上高の3分の1を広告宣伝に投じ、"日本の広告王"と呼ばれた森下仁丹の創業者・森下博氏は「広告による薫化益世を使命とする」(広告は単なる商売道具ではなく、社会に貢献するものでなければならない)と述べたことで知られる。ネット広告業界は、広告主を広告費の無駄打ちから防ぐためにも、今後はコンプライアンス(法令順守)体制の強化がいっそう求められよう。
 
 
【図表6】インフルエンサー・マーケティング市場規模
出典:デジタルインファクト調べ(2019年3月28日)

出典:デジタルインファクト調べ(2019年3月28日)

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