2020年 年頭指針

1 / 6ページ


2020年1月号

 

 

令和を駆け抜ける、未来経営モデル
サステナブル戦略

 

 

東京オリンピック・パラリンピック開催を控える2020年は、「ポスト2020」への戦略転換のタイミングとなる1年でもある。
しかし、ポスト2020問題の本質は景気動向ではなく、国や企業、個人にとってオリンピックに匹敵するメルクマール(指針)がなくなることだ。社会の持続性と企業の持続性が共存する未来経営モデル「サステナブル戦略」に挑み、2030年に向けた新たなメルクマールをつくろう。それは私たちリーダーの役割であり、責任なのである。

 

 

 

 

 

「ポスト2020」、“祭りの後”は例外なき業界再編が起きる

 

2020年が始まります。今年、開催される東京オリンピック・パラリンピックは、日本が56年ぶりに招致した一大イベントであり、心待ちにされている方も多いのではないでしょうか。思い返せば2013年9月に東京での開催が決定し、その瞬間から「2020年」にはメルクマール(指針)としての特別な意味が与えられました。つまり、2020年をターゲットとするメルクマール経済が始まったのです。

 

そして、ついにオリンピックイヤーを迎えました。しかし、これは同時に「ポスト2020」、すなわち“祭りの後”の日本経済の始まりを意味しています。つまり、メルクマールなき日本経済の始まりであり、まさにポスト2020へ向けた新たな戦略を構築、推進するタイミングに差し掛かっているのです。

 

平成の時代を一言で表現すれば、「昭和の栄光の再来を期待し続けた時代」でした。その思考が多くの変革を遅らせました。令和の時代――ポスト2020は、「新しい時代」の幕開けであると認識すべきです。この時代は、日本の企業経営者に「例外なき業界再編」という厳しい現実を突き付けるでしょう。超少子高齢化と人口減少、記録更新を続ける国の債務残高、アベノミクスの終焉など、国・地域・企業・個人の全てにおいて、かつてないほどの再編が起こります。加えて、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に代表される巨大デジタルプラットフォーマーが、5Gインフラを使って業界の垣根なき市場再編を仕掛け、支配していこうとします。

 

2020年にタナベ経営が提言する「サステナブル戦略」は、その一つの道筋を示すものです。サステナブルとは、簡単に言えば「持続可能性の追求」。今、世界は環境問題や貧困、格差拡大をはじめ、多くの深刻な課題を抱えています。そうした社会課題の解決に貢献するサステナブル経営への関心が、グローバルに高まっています。最近よく聞かれるESG投資※1やSDGs経営※2は、その代表的な取り組みと言えるでしょう。

 

サステナブル経営は欧米を中心に広がっていますが、実は日本では昔から理念と利益を両立させる経営が実践されてきました。日本の資本主義の父と呼ばれた渋沢栄一は、著書『論語と算盤』に「道徳と経営は合一すべき」と記しています。大事なことは、「『理念と利益』『社会性と収益性』の両者を同時に追求する戦略、経営とは何か」を問うことです。それがサステナブル戦略であり、2030年に向けた新しいメルクマールになると私は考えています。

 

 

※1 ESG 投資:財務諸表だけでは測りきれない企業価値(環境・社会・企業統治への配慮など)を重視する投資
※2 SDGs 経営:企業理念や経営戦略にSDGs(持続可能な開発目標)を関連付けた経営

 

 

 

1 2 3 4 5 6