人事考課表を作り込んでも、
「評価のバラツキ」は解消できない!
北東 良之

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2019年3月号


 

人事評価を進める中で、「考課者による評価のバラツキ」が問題となるケースが非常に多い。しょせん「人が人を評価する」ので、ある程度のバラツキが発生するのは仕方ないことではあるが、調整を図ると評価された側の納得度が下がり、モチベーションに悪影響を及ぼすことも少なくない。こうした問題を、徹底した考課者支援の仕組みで回避した事例を紹介する。

 

仕組み100点、成果0点

 

製造業A社の事例である。同社は、10年以上前に構築した人事評価賃金制度を運用していた。制度自体はコンセプトも仕組みもよくできており、必要に応じてマイナーチェンジが施されるなど、しっかりと運用がなされていた。制度構築と継続的なブラッシュアップが、ここまで徹底できている会社は少ない。その意味で「仕組みは100点」である。だが、人事評価の結果が社員のモラール(士気)を下げる要因となっていた。

 

最大の問題は、考課者による評価結果のバラツキが極めて大きいことにあった。5段階評価で「3」の評価が70%以上に達する考課者や、高評価または低評価に集中する考課者が散見されたのだ。こうしたバラツキを2次評価や最終評価で補正していたため、結果的に1次評価とは全く違う最終評価となる。しかも、フィードバックがしっかりと実施されるものだから、1次評価で受けた上司の評価とは全く違う評価結果がフィードバックされることとなる。しっかりとした制度運用が裏目に出てしまったのだ。

 

社員は「上司(考課者)が話していたことと違う!」と憤まんやるかたなく上司に詰め寄るが、上司もその理由を明確に説明できないため「最終的には会社が決めたからなぁ」と、のらりくらりとかわさざるを得ず、せっかくの人事制度がモラールを下げる要因になってしまっていた。仕組みは100点でも「成果は0点」、むしろマイナスですらあった。

 

 

問題の本質はどこか

 

こうした状態は、どうすれば打破できるのであろうか。よく、「評価基準を明確にして考課者によるブレを回避する」という対策が打たれる。しかしA社のケースではどうだろう?評価基準は比較的明確になっている。社員が自ら目標を設定し、その進捗を評価する部分もあり、かなり柔軟な人事考課表が策定されていた。

 

こうした現状で「考課者のブレを少なくするために、人事考課表を作り直しましょう」といって、大変な労力をかけてブラッシュアップしたとしても、結局、同じことが起こるのではないか。

 

そこで私たちはディスカッションを重ね、問題の本質がどこにあるのかを追求した。その結果、「評価表を作り込めば評価できると錯覚し、考課者任せの制度運用となっていた」ことが真因だと結論付けたのである。

 

 

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