社員が自らの手で紡ぎ出す「未来の仕事」
石坂産業

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2020年9月号

 

 

来訪者に環境や廃棄物処理に対する思いを直接書いてもらう「Green Action ストリート」。「この見学通路からグリーンな世界をつくる行動を世界へ広げる」という願いが込められている

 

 

CI推進の主体的な「考動」プロセス

 

バッシングから共感へ。自ら変わることで一石を投じ、自社の価値と存在感を伝える波を起こした石坂産業は、さらに波を広げていくアウターブランディングへ着手する。その第一歩が2016年、自社の姿勢や取り組みに共感し、同じ志を持つ仲間を増やす新卒採用の開始だ。

 

「2020年春も8名入社し、新卒採用の社員さんが全体の2割を占めています。社会課題の解決や地域貢献への関心が高く、新風を吹き込んで既存社員さんの成長にも良い刺激になっています。当時、われわれの活動を反対されていた方のお子さまが入社したときは、ようやく認めてもらえたかなと感じました」(石坂氏)

 

創業50周年を迎えた2017年にはCI(コーポレート・アイデンティティー)プロジェクトがキックオフ。自社の使命を言語化した「コーポレートスローガン」やビジュアル化したロゴマークを作成した。

 

「東京にある夢の島にごみを捨てるトラックの行列を見て、リサイクルの時代がくると創業者が考えてから50年やってきたこと。『自然と共生する、つぎの暮らしをつくる』を使命に、これから先50年にやるべきこと。両方を物語るスローガンとして、社員さんみんなの心に響いたのが『自然と美しく生きる』でした」(石坂氏)

 

CSV経営の旗印となるスローガンはプロジェクトメンバーが紡ぎ出した言葉だ。「社員さんが納得してこそ次代に伝わる」と石坂氏含め経営陣は一切、口を挟まなかった。その後も、新事業は全てプロジェクト化し、就業時間内に実施。社員が自ら考え、行動する「考動」に一任している。

 

「やらせてみて育てる。そんな企業風土や仕組みに変えたいと思っています。経営が波打つような影響が出ない限りは、やりたいことは全て承諾しています。失敗してもそこから学び、次につなげることができますし、失敗を恐れたり隠そうとしたりする方がリスクは高いです」(石坂氏)

 

考動するプロセスはインナーブランディングそのものだ。さらなる強化へ、ミドルマネジメントを対象に部下の声を積極的に吸い上げる教育もスタート。20~30歳代のリーダー層にも拡大し、風通しの良い企業風土を醸成している。さらに、100年企業になるための将来像を共有し、社員と共に目指していくビジョンブック「未来の仕事」も作成した。

 

「仕事と書いて『じぶん』と読みます。20XX年にどんな未来をつくりたいのか。そのために、あなたはいま何をして、どんなキャリアを積んでいくのか。一人一人の姿を可視化することが目的です。近い将来、地域の方々と共に石坂産業の夢をかなえることが地域創生になる、という『地域版ビジョンブック』もつくりたいと考えています」(石坂氏)

 

 

2017年にコーポレートスローガンとロゴマークを一新。持続可能な社会に向けた研究開発や環境教育に力を入れていくという決意を表している

 

 

 

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