潜在的な市場ニーズを
製品化・サービス化する「デザイン経営」
特許庁

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2020年9月号

 

 

市場と向き合うことで生まれるイノベーション

 

「デザイン経営」宣言の発表後、特許庁はデザイン経営を推進するセミナーやシンポジウムへ参加して広報活動を行ってきた。そして2020年3月、デザイン経営に取り組む企業のアンケートなどをまとめた「『デザイン経営』の課題と解決事例」も発表した。

 

この事例集では、デザイン経営を推進する際の課題をピックアップし、その解決策を紹介している。主な課題は「経営陣の理解不足」「全社的な意識の不統一」「用語・理解の不統一」「人材・人事」など8項目で、それに対する事例企業の対応策が短くまとめられている。

 

例えば、経営陣の理解不足という課題に対しては、「経営層向けのワークショップなどでデザインに対する理解を深めてもらった」「デザイン視点を持つ者が経営会議に参加して課題提起を行う」などの解決策が並ぶ。

 

「デザイン経営を推進する上でヒントになるはずですから参考にしていただきたいですね。デザイン経営の推進が、イノベーティブな製品やサービス開発につながり、新しい市場を掘り起こすことに結び付くはずです。イノベーションといっても、技術革新を伴わなければいけないわけではありません。市場やユーザーと向き合うことで、問題の本質を突き止めて新しい価値を生み出すケースもあります」(西垣氏)

 

西垣氏が技術革新なしでイノベーションを起こした事例として挙げるのが、GEヘルスケア・ジャパンの子ども向けのMRI(磁気共鳴画像装置)の開発である。医療現場では、無機質で巨大なMRI機器を見た小さな子どもが検査中に泣き叫んで体を動かしてしまい、画像データを取得できない課題を抱えていた。そこで、子どもにとってもっとストレスの少ないMRIを開発するため、同社では子どもたちにヒアリングを実施。その中で退院後に何をしたいかも聞いたところ、「健康になっていろんなところに行きたい」という答えが多いことに気付いた。

 

 

※「『デザイン経営』の課題と解決事例

 

 

 

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