「価値共創」トヨコンイズムが導いた社内変革
トヨコン

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2021年1月号

 

 

トヨコンの包装資材
物流のトータルソリューション企業として包装設計や梱包、倉庫管理など幅広い物流領域の課題を解決するトヨコン。包装資材の設計では部品包装から特注包装資材まで、1mmにまでこだわるオーダーメードで幅広く対応する。

 

 

会いに行くだけの飛び込み訪問営業から、望まれるタイミングで必要な提案ができる営業スタイルへ。MAを導入して時間の無駄を省き成約率も向上した変革は、顧客が喜び、営業パーソンも働きがいを実感することで、「自主自発」の思考・行動と「一体感」というシナジーを生み出した。

 

 

「モノ売り」からの脱却を目指す

 

「とことん、トヨコン」。語呂のいいキャッチフレーズから始まる自社サイトには月間2万人超が訪問。同1000人程度だった数年前と比べ、問い合わせ件数は約15倍、受注成約率も20%に向上したのが、愛知県・東三河エリアを拠点に総合物流サービスを展開するトヨコンである。

 

同社は大手事務機器メーカーの精密機器の梱包作業の担い手として1964年に設立。段ボールや発泡スチロールなどの包装資材・設計、出荷・在庫管理の物流システム開発、省人化機器の販売など、事業を多角化し物流のトータルソリューション企業に成長を遂げてきた。設立50周年の2014年、事業別企業3社を統合し、新商号・トヨコンの名を旗印にグループを再編したのが、創業者からバトンを受け継いだ代表取締役社長の明石耕作氏である。

 

「人口減少時代を迎え、既存事業では伸びしろが期待できません。モノ売りからの脱却を考え、2015年秋に新事業を創出する『あした共創プロジェクト』を始動しました。統合直後は、創業事業の梱包請負業務中心の会社と、包装資材販売の営業主体の会社と、SE(システムエンジニア)主体のシステム開発会社では働き方も違い、シナジーを感じられませんでした。グループ経営理念に定めた『お客様・社員・社会との価値の共創』を、一丸となって推進する機運を高めたい思いも強かったです」(明石氏)

 

若手社員中心の複数のプロジェクトチームがアイデアを発表し、いったんは終了したが、その後も独自に勉強会を続け、MAツールの活用策にたどり着いたチームがあった。その一員で当時は営業担当だった人事広報課長である浦部将典氏は振り返る。

 

「消化不良というか、やるならトヨコンらしいデジタルツールの活用を突き詰めたいと思いました」

 

浦部氏は既存得意先への営業効率化よりも、新規顧客を開拓するといった、これまでにない顧客接点を創り出したいと考えていた。空振りや移動時間の無駄が多く、顧客にも迷惑がられる飛び込み営業型のスタイルに納得できなかったからだ。

 

「顧客が本当に欲しいときに『ちょうどよかった、来てくれて!』と言われる営業スタイルに変えたかったのです。顧客も営業も達成感が大きい、そんな心地よい瞬間を生み出そうと考えました」(浦部氏)

 

MAは顧客情報・行動データを収集・管理・検証し、関心の高い顧客へ集中的にアプローチして受注へつなげ、さらに優良顧客へ育成する仕組みだ。だが、役員会で導入を繰り返し提案しても、成果が未知数だと経営幹部は首を縦に振らない。最終的に「私が責任を取るからやってみよう!」と明石氏が決断を下した。

 

「他社事例が少なく、多額の投資が必要なため幹部が躊躇したのは当然です。でもチームの視点に立てば、『先例がないからこそやる価値がある』ということ。グループ経営理念を実現する5カ条のトヨコンイズムの筆頭に掲げられている『自主自発』とは、こういうことだなと」(明石氏)

 

顧客の生産計画に合わせて梱包資材を手配する――。下請け的な指示待ち仕事に慣れてしまった社員に、自ら考え行動する自立への変化を促すのがトヨコンイズムだ。

 

「言われたことをきっちりできるだけでは仕事がなくなる危機感がありました。当社には多い投資額でしたが、若手の自主自発の努力に応えてあげたい。失敗しても何かを得られたらいいと私も腹をくくりました」(明石氏)

 

社員による自主自発の提案とトップの決断で、2017年2月にMAツール「Marketo Engage」を導入し、活用に磨きをかけてきたトヨコン。だが、導入が一気に進んだわけではない。

 

 

※マーケティング・オートメーション:マーケティング活動の自動化

 

 

依存を断ち自立した思考、行動によってグループ経営理念「価値の共創」を実現する「トヨコンイズム」。「自主自発・自己責任・自己啓発・自己管理・利他の精神」の5カ条を掲げ、それができる社員を育てたいと、中途・新卒の若手社員の採用も積極的に推進している

 

 

 

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