Vol.49 愛知海運産業

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2019年11月号
 
 
未来の環境に適応できる自律したリーダーへの成長を支援
 
 
「郷土の発展」を願う思いが原動力となって成長
 
「親父以外は誰一人、賛成者がいない。それでも郷土の発展を願い、豊饒の海を埋め立てることを決めた。社是に掲げるその願いを受け継ぐことが、わが社の使命なんですよ」
 
三河湾に面した渥美半島で、港湾運送を中心に複合サービス事業を展開する愛知海運産業。代表取締役社長・山田俊郎氏が「親父」と語るのは、創業者・山田一美氏のことだ。1933年、セメント材料や食料品を海上輸送する汽帆船団を組織して田原回漕店を開業し、戦時下の企業統合を経て1950年に新会社を設立。地元の田原町(現田原市)の町長を務め、三河港田原地区の埋め立て造成や愛知県重要港湾の指定をけん引した、地域のリーダーでもあった。
 
郷土の未来を見据えた決断には、海苔養殖や漁業で暮らす人々の「埋め立て反対」の声と交渉を重ねる苦労があったが、見事にチャンスを呼び寄せる。トヨタ自動車田原工場の誘致(1979年操業開始)を実現し、800ha(ヘクタール)の工業地帯が生まれ、地元産業・経済の活性化へと結び付いていく。苦しかった漁業者の生計も、補償金を元手に畑を買い、トタンにかやを敷く草屋根から立派な瓦ぶきへと、豊かな暮らしに変わった。
 
郷土発展の原動力となることで、愛知海運産業も成長軌道を描き始める。港湾運送に建設、燃料、海洋レジャー、自動車整備などの事業で貢献し、グループ売上高(2019年3月期) は145億9200万円、社員数500名超の「地域ナンバーワン企業」へと発展を遂げている。その道程に、転機となる一つの出会いがあった。
 
「売上高が25億円、社員70名を超えたころ、組織化できていないのに気付き、タナベ経営に相談したのです。おかげで会社の骨格ができましたし、その時の経営診断書は、いまも当社の宝物です」
 
 
計画的な教育を推進し社内異業種交流の成果も
 
経営のバトンを俊郎氏が継承してから28年余り、赤字は一度もない超優良企業。
 
「勢いよく走り続け、狙った仕事は確実に取ってきました。ただ、社員教育がおろそかになってしまった」と振り返る俊郎氏。QC活動や交通安全、営業の研修に加え、3年前から計画的な社員教育を推進し、新たにチームリーダー育成研修や幹部研修がスタートしている。狙いはもちろん、経営幹部候補の育成だが、教育機会の少なかった社員に「研修とは何か」を知ってもらうことも目的だ。
 
「研修で会社のルールを学び、その通りにやれば、仕事が無駄なくスムーズに進み、楽しめるようにもなる。そこから先は、自分で考えて挑戦していくことも大事だぞ、と」(俊郎氏)
 
期待した成果は、着実に表れている。言われたことをやるだけでなく、次の一手のために何が必要で、どう展開すればいいのか。自ら情報をつかみ、生かそうとする姿がその証しだ。
 
さらに、「面白い変化」(俊郎氏)も生まれている。
 
「社名は『海運』ですが、当社は20業種を複合展開しています。各事業の社員が一堂に会することで、社内で異業種交流的に、互いにやっていること、考えていることを分かり合えるようになった。実はそれが一番、うれしいんですよ。タナベ経営の研修はディスカッションも多いし、そこで何か化学反応が生まれるんでしょうね」
 
常務取締役・八木祥綱氏も、手応えを感じている。
 
「グループ間の連携がしやすくなるのは、大きなメリット。1+1=『2+α』の相乗効果が生まれるのが、とても楽しみです」(八木氏)
 
 

愛知海運産業 代表取締役社長 山田 俊郎氏


 
 
 
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