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【コンサル事例】

チームコンサルティング事例

クライアント企業とタナベコンサルティンググループのコンサルチームが取り組んだ経営改善の事例。施策と成果を紹介します。
コンサル事例2020.03.31

中部興産:住まいの未来を提案する沖縄県のナンバーワン企業

 

賃貸管理で沖縄県ナンバーワン

 

1982年に沖縄市で創業した中部興産は、不動産物件の賃貸管理・売買を中心に資産コンサルティング、リフォーム、保険代理店業へと事業を広げ、県内に11店舗133名のスタッフを抱える地域のナンバーワン企業へと成長を遂げた。

 

管理する物件はいまや1万5000軒以上と県内トップの実績を誇る。だが、同社が賃貸管理事業をスタートさせた1980年代の沖縄には、まだ賃貸管理というビジネスモデルすら浸透していなかった。

 

代表取締役社長の新垣博孝氏は、「賃貸管理は形のないサービス。お客さまにご理解いただけるようにゼロから資料を作成し、それを持って1軒ずつご提案に回っていました」と当時を振り返る。こうした地道な営業活動によって賃貸管理業の基盤を固めながら、一方で進めてきたのが事業の多角化だ。

 

現在、グループ会社は6社である。核となる中部興産に加えて、プロパンガスを中心にエネルギー事業を担うエナジー沖縄。LED照明や環境機器の製造・販売を行う沖縄エクセル電器、ウェブ関連事業や家賃保証を行う興産アメニティ。物件オーナー向けの機関誌の発行やイベントの開催、顧問弁護士や公認会計士による講演会や無料相談などを行う財産ドック沖縄。さらに、特定非営利活動法人の介護子育て支援賃貸住宅沖縄NPOセンターから構成される。

 

「沖縄NPOセンターは、生活保護を受けている、身内がいないなどの理由で部屋を借りるのが難しい方を対象とする賃貸住宅事業や、子育て支援などを行っています。沖縄に貢献できる事業であり、自治体などと協力しながら取り組んでいます」(新垣氏)

 

 

 

中部興産 代表取締役社長 新垣 博孝氏

 

 

オーナーに向けて資産管理に注力

 

顧客や地域を大切にする中部興産の姿勢は、経営理念にも表れている。一つ目に掲げられているのは「お客様の身になって事業展開をはかる」こと。二つ目は「地域社会に貢献する」。そして、三つ目が「生活提案企業として『医・食・住』の価値創造と快適な住環境づくりを提供する」こと。特に医療は、同社が参入を目指す有力分野だ。

 

「医療は、快適な住環境に欠かせない要素であり、創業者で代表取締役会長の新垣直彦が強い思いを持つ分野です。門外漢の当社が医療の中心に参入することは難しいですが、例えばセキュリティーや調剤薬局といった周辺領域に携わることで、県民の皆さんの生活をサポートできる企業になりたいと考えています」(新垣氏)

 

また、生活提案企業として力を入れるのが、オーナーの資産管理に関するサポートである。同社が賃貸管理する物件のオーナーは約2800名に上る(2020年1月現在)が、ここ数年で特に増えているのが相続や資産活用に関する相談だ。そうしたニーズに応えるため、新垣氏は社員の資格取得を推奨。現在、日本賃貸住宅管理協会が認定する「相続支援コンサルタント」を取得した社員が5名、うち3名はさらに専門性の高い「上級相続支援コンサルタント」として活躍している。

 

「オーナーさまにご満足いただける掘り下げた提案をするには、専門的な知識とお客さまに共感できる人間力が大事になります。そのために今、必要なのが人材育成です」(新垣氏)

 

 

企業の成長は社員にかかっている

 

人材育成においては、資格取得のほかに外部の講師や研修をうまく組み合わせた社員教育を実施している。例えば、加盟するアパマンネットワークが実施する新人研修や店長研修へ社員を派遣するほか、知人のフリーアナウンサーが各店舗を定期的に訪問して接客マナーなどの指導を直接行う。

 

さらに、タナベ経営が開催する幹部候補生スクールや経営戦略セミナーに中堅社員数名を毎年派遣しているという。

 

「約20 年前に私も幹部候補生スクールに参加しましたが、『もっと早く受けたかった』と思いました。人づくりができる人材を育てることが大事ですから、幹部の育成には重点を置いています。経営戦略セミナーにも参加していますが、教えられることがたくさんあり、テキストを何度も読み返しています。経営者や幹部には大局的な視点が欠かせません。タナベ経営流に言えば、本質を見る力。それが養われる良い機会になっています」(新垣氏)

 

また、2020年2月には人材育成の一環として若手社員2名を米国に派遣。海外の最新動向を学ぶことで、新たなビジネスモデルの開発や社員のモチベーションアップにつながると期待は高い。

 

 

経営理念

1.お客様の身になって事業展開をはかる。
1.地域社会に貢献する。
1.生活提案企業として「医・食・住」の価値創造と快適な住環境づくりを提供する。
1.全社員と家族の「夢と幸福」を追求する企業を目指す。

 

 

アナログとデジタルの融合で顧客の繁栄を支援

 

「ポスト2020」を迎え、経営環境は大きく変化している。その変化を先取りするかのように、同社はVR(バーチャルリアリティ)の活用をはじめデジタル化に積極的に取り組んでおり、今後も最新技術の活用によって顧客の利便性向上を図っていく考えだ。しかし、デジタル一辺倒というわけではない。新垣氏が目指すのは不易流行。「アナログの良さを残し、デジタルの良い部分を取り入れることが重要」と語る。

 

「人間的な絆や温かさといったアナログの部分は変えてはいけません。やはり最終的には、企業は人にかかっています。お客さまの繁栄を願い、そのお手伝いをすることが住まいを提供する私たちの使命。これからもお客さまに共感し、喜んでいただける提案ができるよう取り組んでいきます」(新垣氏)

 

 

 

PROFILE

    • 中部興産㈱
    • 所在地:沖縄県沖縄市仲宗根町24-9
    • 設立:1988年
    • 代表者:代表取締役社長 新垣 博孝
    • 従業員数:133名(2020年1月現在)

 

 

 タナベ担当者より  

1982年に創業し、賃貸物件管理件数で沖縄県内ナンバーワンの中部興産。「信用努力考動実践創造開発」という社是の下、次世代を見据えた人材育成に注力している。

 

社内研修の実施や外部セミナーへの派遣など、社員の教育機会を広げ、会社全体で学ぶ風土づくりを推進。県内初の360度VR内覧をスタートさせ顧客創造に取り組むとともに、店舗数11店舗、グループ計6社へと拡大している。人材を育成し、さらなる成長を遂げようとしている中部興産の今後の展開から目が離せない。

 

タナベ経営
経営コンサルティング本部
沖縄支社長
比嘉 純弥

 

 

 

 

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