vol.28 山形トヨタ自動車 × タナベ経営 SPコンサルティング本部
2018年1月号
〝自ら顧客へ近づく〟戦略で新しい顧客層を開拓
お客さまと接点をつくる社外イベントに注力
小さな子どもの手を引きながら、若いお父さんたちが次々とイベント会場へ足を運ぶ――。ここは山形県天童市にある「イオンモール天童」の駐車場に設置された、山形トヨタ自動車の「U-Car(中古車)フェア」(2017年10月21日、22日開催)。子どもたちが向かうのは抽選会や輪投げ、バスケットボール、工作などが楽しめる縁日コーナーやキッズコーナーである。
一方、お父さんたちの目当ては中古車だ。クラウンをはじめ、エスティマ、プリウス、ランドクルーザーなどトヨタの人気車種がずらりと並ぶ会場内をじっくりと見て回る。こうした店舗外での大規模なイベントを、山形トヨタ自動車では定期的に行っているのだ。
「トヨタ自動車で4系列ある販売店の中でも、当社はクラウンなど上位車種を扱う『トヨタ店』の位置付けです。そのため、残念ながらお客さまには『敷居が高い』というイメージが定着しています。
そうしたイメージを払拭し、気軽に来店していただくためにも、店舗でお客さまを待つだけではなく、私たちがお客さまのそばまで出向いていく販売方針を打ち出しました。お客さまと店外で接点を持つために、5年ほど前からこうしたイベントを開催しています」
そう説明するのは、山形トヨタ自動車の代表取締役社長・鈴木吉徳氏。同社は1946年に設立された老舗カーディーラーとして、山形県民のカーライフを支えてきた。上級車種を扱う同社はこれまで、法人や富裕層の顧客に向けて多数の車を提供してきた。しかし今、多くの地方販社と同様、山形トヨタ自動車も市場縮小という大きな課題を抱えている。
約110万人(2017年10月現在)の山形県人口は、毎年約1万人ずつ減少し、自動車販売市場も緩やかに縮小している。一方、同県の1世帯当たり平均人数は全国トップで、1世帯で車を3~4台保有するケースも珍しくないという。そのため、同じ世帯にセカンドカーなどを購入してもらう販促はもちろんだが、並行して、これまで接点のなかった消費者と出会う場として外部イベントに力を注いできたのだ。