vol.36 住友化学 × タナベ経営 SPコンサルティング本部

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2018年9月号
 
住友の事業精神を受け継ぎ
SDGsを積極的に推進

 
 

「われわれは、地球を救う機会を持つ最後の世代になるかもしれない」。2015年9月の国連サミットで宣言されたメッセージだ。このサミットで注目を集めたのが、SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)。今号では、いち早くSDGsを推進してきた住友化学の取り組みを紹介する。

 

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住友化学が実施する社員参加型のプロジェクト「サステナブルツリー」


 
社会全体の利益を重んじる住友の事業精神
 
 
SDGs(エスディージーズ)は貧困や格差をなくし、持続可能な社会を実現するため、国連加盟193カ国が全会一致で採択した国際目標だ。2030年までに世界で取り組むべきアクションプランとして17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成される。
 
企業の環境・社会・ガバナンス(企業統治)への取り組みを重視するESG投資の広がりや、CSR(企業の社会的責任)の観点からも、SDGsに関心を寄せる日本企業は年々増加している。中でも住友化学は、SDGsの前身であるMDGs(ミレニアム開発目標)から取り組んできた経緯もあり、2016年からいち早くSDGsを推進してきた先駆的企業だ。
 
同社は1915年、住友総本店の直営事業として、愛媛県新居浜市で肥料製造を開始。その後は農薬、染料、医薬品、石油化学など、その時代に応じた事業を行いながら発展を遂げてきた。
 
肥料製造を始めたのには理由がある。住友家の商いは1630年ごろ、京都・烏丸の地で、住友政友が書籍と薬を売る「富士屋」を営んだのが発祥だ。その後は銅の製錬で事業を拡大。特に、1691年に開坑した別子銅山(愛媛県)は1973年までの282年間、地域の経済を支え、雇用を守ることで人々の暮らしを支えてきた。
 
ところが銅の製錬工程では亜硫酸ガスが発生し、採掘量が増えるにつれ、農地をはじめとする環境への影響が深刻化。そのため、有害な排出ガスを原料に肥料を製造する事業を立ち上げ、この問題を解決することになったのだ。
 
肥料製造を工業プロセス化し、事業として確立する過程は容易ではなかった。事業継続の観点では銅の鉱石を輸入し、別子銅山から撤退する選択肢も考えられたはずだが、環境問題を解決しながら別子銅山で採鉱を継続するという困難な道を選んだ背景には、住友の事業精神がある。
 
住友の事業精神とは、取引先や社会の信頼に応えることを最も大切にし、目先の利益のみにとらわれないというものだ。また成文化されてはいないが「自利利他公私一如(じりりたこうしいちにょ)」、つまり「住友の事業は住友自身を利するとともに、社会を利するものでなければならない」という、「公共との調和」を強く求める考えも受け継がれている。
 
この精神のもと、創業時から事業を通じて地域の経済成長と社会的課題の解決をともに実現しながら発展を遂げてきた同社にとって、SDGsへの取り組みは自然な流れとも言えるだろう。
 
 
 
 
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