COLUMN

2023.12.13

企業の成長を加速させる、ホールディング経営への移行

  • ホールディング経営

企業の成長を加速させる、ホールディング経営への移行

そもそもホールディングスとは何か

ホールディングスとは、持株会社により、参加グループ企業(子会社)を統一的に支配する組織形態であり、持株会社とは、書いて字のごとく、会社の株式を保有する会社のことを指します。持株会社は、「事業持株会社」と「純粋持株会社」に大きく分けられます。事業持株会社というのは株式を保有しながらも自らも事業を行う会社であり、純粋持株会社は、自ら事業を行わず、株式を保有するグループ会社の管理・統括に専念する会社であります。
一般的にホールディングス化の際は、経営と事業の完全分離を主としていることが多く、持株会社は純粋持株会社を指すことがほとんどです。

ホールディング経営のポイント

ホールディング経営のポイントは、経営機能と事業推進機能の機能分離であり、持株会社は、グループ全体を継続的に成長させる戦略判断や内部統制、事業会社には事業収益とキャッシュフロー最大化をミッションとする事業運営が必要です。それぞれの機能を完全に分離することにより、期待できる主な効果は以下の通りです。

⑴ グループ経営企画機能強化:グループ全体が同じ方向を向き、グループ全体で成長を加速させることができる
⑵ グループガバナンス機能が強化:意思決定のプロセス・権限の明確化のみならず、コンプライアンス・リスク管理がグループ全体で統一される
⑶ グループマネジメント機能強化:管理会計の統一や経営人材育成の加速
⑷ 持株会社に財務・経理、人事・労務、情報システム(IT)等の統一による、事業会社の内部オペレーションコストの削減
⑸ 事業会社は業績のみに集中することができる

なお、上記の効果を最大限発揮するためのポイントは、完全に経営機能と事業推進機能を分離することです。それぞれに中途半端に役割や権限を残すことで、無駄なコストや時間が浪費されることももちろん、事業会社も機動的な事業運営をすることが出来なくなってしまいます。すべてを即座に移行することは難しい可能性はもちろんありますが、期限を決めて経営と事業の完全な分離を実現することで、ホールディングスの効果を最大限に高めることができます。

持株会社と事業会社それぞれの主な役割

持株会社と事業会社それぞれの主な役割一覧

⑴持株会社の主な役割

 ① グループ理念(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定
 ② グループ経営企画機能(戦略・企画)の発揮
  ・グループビジョンマネジメント
  ・各事業への資源配分を考え、事業ポートフォリオを再構築
  ・グループ事業計画(予算)の策定
  ・グループ全体のブランディング
 ③ グループガバナンス機能(統治・監督)の強化
  ・意思決定プロセス・権限と責任の策定と運用マネジメント
  ・グループ各社のコンプライアンス・リスク管理
  ・事業会社の監査制度を策定し定期的な監査を実施
  ・グループ諸規定の整備・運用
 ④ グループマネジメント機能(管理・評価)の発揮
  ・グループ管理会計システムの策定・運用
  ・グループ業績マネジメントの実施
  ・グループ人材マネジメントによる、人材育成と人材管理
  ・グループ経営人材の育成
  ・グループCMS(キャッシュマネジメントシステム)
 ⑤ シェアードサービスセンター(共通オペレーションインフラ)
  ・グループ全社の財務・経理管理(会計・税務・債権回収)
  ・グループ全社の人事・労務管理(労務管理や給料関係)
  ・グループ全社の情報システム管理(ITインフラやERP等)

⑵事業会社の主な役割

 ① 事業の業績責任
 ② 事業運営における営業戦略の構築
 ③ OJTによる人材育成
 ④ 一定階層以下のスタッフの人事

企業の維持・成長加速のためのホールディングス化

事業承継問題としての2025年問題(第一次ベビーブームで生まれた団塊世代が75歳以上となり、日本が超高齢化社会に突入することに起因するさまざまな問題)では、経済産業省の推計によると、2025年には経営者が70歳以上の企業が約245万社まで増加し、そのうちの約127万社が後継者不在による廃業・倒産の危機に直面することが予想されます。もし、この事業承継問題に何の対策も講じられず127万社が廃業になると、約650万人の雇用が失われて約22兆円ものGDPが消失するという大変な経済的損失を被ることにもなります。

前述した通り、ホールディング経営のポイントは経営機能と事業推進機能の機能分離であり、それぞれの役割を明確にし、事業推進の責任者を社員に任せていくことで、事業推進できる経営人材の育成を加速させることができます。

企業を維持し、企業を成長させるためのホールディング経営について、この機会に今一度考えてみてはいかがでしょうか。

なお、下記にてダイヤモンド社発行の「ホールディング経営はなぜ事業承継の最強メソッドなのか」の一部を試し読みいただけます。実務家ではなく経営者に目線を合わせ、ホールディング経営の原理原則と事例を分かりやすく解説しています。ぜひご一読ください。

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