COLUMN

2024.03.19

経営戦略が面白い企業の事例を紹介 | 経営戦略のポイント解説

経営戦略が面白い企業の事例を紹介 | 経営戦略のポイント解説

経営戦略は、どのように策定されているでしょうか。
今回のコラムではⅠ.経営戦略が面白い企業事例 Ⅱ.経営戦略が面白い企業からみる経営戦略の策定ポイントを解説いたします。

Ⅰ.経営戦略が面白い企業事例

ベースフード株式会社のご紹介

不健康な食事や多忙な仕事に追われ健康に不安を感じました。
栄養バランスの良い食事が大切だと分かっていても、業務に追われ、時間がなく、どうしても気軽に食べられるカップラーメン等に手が伸びてしまい栄養が偏ってしまいます。
そんな中で毎日食べられる、主食だけで手軽に栄養をとれる商品が欲しい、社長の強い想いで設立されたのがベースフード株式会社です。

同社はレッドオーシャン市場の中で、後発ながらニッチ戦略を展開して成功しております。
同社は『完全栄養食のパン』というまだどの企業の知名度も少ないパンの開発に集中して取り組み、後発ながら組織として成長していきました。
同社が参入した市場の一つは製パン業界です。
製パン業界はとても大きな市場で、主要なパンメーカーが所属している日本パン工業会の2021年の情報では、会員のパンの売上高は9,339億円です。
しかし、人口も減少しており大変競争が激しいレッドオーシャンの業界です。
世間の健康食品ブームにより"健康"市場が大きくなるなかで、同社社長は、違う業界出身者だからこそ、固定概念にとらわれない発想と自身の熱い想いから『完全栄養食品のパン』という商品を開発しました。
今では『主食の完全栄養食品』というセグメントでは先発企業となり製パン市場のニッチ市場で一定のポジションを確立しております。

Ⅰ.経営戦略が面白い企業事例

Ⅱ.経営戦略が面白い企業からみる、経営戦略の策定ポイント

『企業価値を最大化する特徴的な収益モデル』

1.業界では珍しいファブレス戦略の採用
従来の日本企業は製造設備に投資する傾向があり、収益構造も固定費が高い体質の企業が多いですが、同社は主食品の業界では珍しくファブレス戦略を採用しています。その理由は、投資を製品開発等に集中させることにより新商品開発に力をいれているためです。その他にも以下のようなメリットがあります。

(1)外部製造事業者を利用することで、生産設備や人材管理にかかる固定費を抑えることができ、コストが削減できる
(2)需要の変動にも対応ができる柔軟性がある
(3)後発ながら、生産・製造の技術を蓄える必要がなくスピード感を持って新事業へ参入することができる

2.業界では珍しいECサイトで絞った販売
皆さんは食品買うとき、どこで買うことが多いでしょうか。恐らく、スーパーやコンビニエンスストアと答える方が多いのではないでしょうか。そんな中で、同社は「ECサイト」をメインの販路としています。
店舗販売ではなく、ECサイトを活用する主なメリットとしては、物理的に店舗を構築し、維持するためのコストを削減することができること、広告やマーケティング活動もオンラインで効率的に実施できることです。
また、上記以外にも以下のようなメリットもあります。

(1)24時間営業できるため、地域や時間に依存せず、売り上げを伸ばせる
(2)ECサイトからの定期購入(サブスクリプション)を可能しているため、安定的な収入が期待できるベースフード株式会社のように、企業価値を最大化するため、収益の観点からの取捨選択が必要です。自社の強みを見つけて伸ばした企業が成長します。

『特徴的なミッションと人的配置で他社との差別化』

1.明確なミッション策定と採用
世間で言われる人的資本への戦略投資をする際に、明確なミッションやビジョンを策定することが大事になります。
その理由は、ミッションやビジョン=会社の進むべき道を、社員の一人ひとりが理解して全社員が同じ方向を向くことで、会社の背骨が形成され、それが組織の土台となるからです。ベースフード社の注目すべきポイントは『主食』と『健康』を際立たせた、特徴的なミッションを策定していることです。
ベースフード社のように、ミッションを具体的に明記している企業は少ないのではないでしょうか。ミッションを具体的に明記することで、社員が理解しやすく、かつ浸透しやすいため、会社の目指したい(目指すべき)目標と社員の想いが一致します。会社が進むべき道を理解したうえで、社員が日々の業務に取り組むことができているため、エンゲージメントが高く、社員の満足度も高いのです。
また、社員の満足度が高いと、組織として強くなり、生産性も向上し、結果としてブランド力も高くなるという好循環が生まれていきます。
また、特徴的なミッションを策定することは採用にも関わっていきます。
ベースフード社はミッションに共感した社員の採用を積極的に行っています。HPや採用ページにもしっかりとミッションを明記し、採用の段階からミッションに共感した方を採用することで、人数が増えても、組織の一体感は崩れることなく成長すると考えます。

2.R&Dチームの人員が正社員の40%以上という特徴的な人員配置
ベースフード社はすでに記載している通り、ファブレス戦略の実施により、生産の人員を削減しています。
また、販売のメインをECサイトに絞ることで余分な営業人員を削減しています。
一方で、R&Dチームに人員が偏っていますが、これはベースフード社の『新商品開発、改良にかける確固たる意志』がこの人的配置に表れていると言えるでしょう。

Ⅱ.経営戦略が面白い企業からみる、経営戦略の策定ポイント

さいごに

今回は、収益モデルやミッションと人的配置が特徴的で人的資本投資に特徴があるベースフード社の紹介をしましたが、他にも、高い付加価値と強い探求心を追求していくためのコーポレート戦略や、組織デザイン、DXを導入することによりデジタル戦略により成長を遂げた企業もあります。
経営戦略の策定において、自社にあった経営戦略を見つけることはとても大切で、自社で眠っている『隠れた価値』の発掘と認識が必要です。『隠れた価値』とは、社内で認識されていない、または顧客が認識していない自社の提供価値を指します。上記の価値を再認識し、磨き上げることでコアコンピタンスとして確立します。
皆さんも自社のコアコンピタンスを認識しつつ、コーポレート戦略、デジタル戦略、人的資本戦略という観点から自社にあった経営戦略を見つけていっていただければと思います。

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング
コンサルタント

堺 亮太

食品メーカー向けに改良剤等の技術営業の経験を経て当社に入社。法人顧客を対象とした既存深耕型営業、業界のトレンドに基づいた課題解決のノウハウを活かし、企業の根本的な経営課題を的確に発見、解決策を提案・実施するコンサルティングを行う。「困った際に真っ先に相談される関係になる」を信条とし、フットワーク軽く、時には泥臭く情報を収集し、お客様の価値を共創するコンサルティングを展開している。

堺 亮太

ABOUT

タナベコンサルティンググループは
「日本には企業を救う仕事が必要だ」という
志を掲げた1957年の創業以来、
66年間で大企業から中堅企業まで約200業種、
17,000社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。

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