COLUMN

2023.07.11

中期経営計画を成功に導く進捗管理のポイント

中期経営計画は企業が将来の目標を達成するために立てる重要な計画です。 その計画を成功に導くためには、進捗管理が欠かせません。 進捗管理とは、計画の達成状況を定期的に把握し、必要な対策を講じることであり、計画の進行状況を適切に管理することによって目標の達成を支援する役割を果たします。 進捗管理は中期経営計画の成功において重要な役割を果たします。 以下に、進捗管理の重要性とそのポイントをご紹介します。

■中期経営計画であげた経営テーマを年度方針・部門方針に落とし込むこと

中期経営計画は3年ないし5年で組むことが多く、近年では外部環境変化が激しいことから、3か年で組まれる企業が多い状況です。ただし、掲げたからと言って組織は勝手に実行してくれないのが実情で、3か年かけて実現していく目標を、単年度の経営方針に落とし込む必要があります。
また、経営方針から部門方針に落とし込むことも必要です。様々な部署が関わり合いながら実現することが多い中期経営計画ですが、各部門の役割分担が明確になって、うまくかみ合っていなければ目標達成には至りません。従って、経営方針の実現に向けた各部門のミッションに応じて部門方針にブレイクダウンすることが必要です。

中期経営計画であげた経営テーマを年度方針・部門方針に落とし込むこと

■四半期に一度のスパンで進捗確認できるよう設計すること

年度方針は1年間単位の経営目標になります。ただ、そのスパンでの目標のみの計画では、当然のことながら進捗管理はできません。 また、ウィークリーやマンスリーで進捗を見ても、かける工数に見合う成果は生まれません。
タナベコンサルティングの経験科学の中での判断ですが、四半期ごとの3か月に1回のスパンで進捗管理をかけることをお勧めします。 3か月に1度であれば、チェックして遅れが出たとしても、次の3か月後までの対策を講じて取り戻すことも可能ですし、仮に、動いた結果が成果に通じるものではないとしても、軌道修正がかけられます。
ただし、四半期で進捗管理をかけるには、四半期ごとの節目のゴールを設定しなければなりません。年度方針を組み立てる際に、四半期ゴールも組み立てることで、バランスのよい進捗管理が可能となります。

■定量的な目標値や行動完了などの具体的な四半期ゴールを設定すること

進捗管理の基礎は、明確な目標設定とそれに基づく指標の設定です。中期経営計画の目標を具体的かつ測定可能な形で設定し、達成度を測るための定量的な指標を定めます。指標は数量的なものだけでなく、品質や顧客満足度・従業員満足度などの質的なKPI指標も含めることが重要です。
もちろん、数値や指標で設定できるとは限りません。そのときには、「〇〇を完了させる」といった行動完了のゴール設定をする必要があります。通年の目標を達成するためには、山登りで例えると1合目2合目といった節目があり、それぞれのタスクがあるはずです。そのタスク完了を四半期ゴールに設定することが重要です。

定量的な目標値や行動完了などの具体的な四半期ゴールを設定すること

■進捗管理会議での部門連携コミュニケーションと関係者の合意形成をすること

進捗管理は組織内のコミュニケーションを促進し、関係者の合意形成を図る効果もあります。 進捗報告や評価の過程で関係者との意見交換が行われることで、目標に向けた共通の理解が深まります。 また、進捗管理の結果や報告を通じて関係者に対して計画の進行状況や課題を明確に伝えることができます。 四半期ごとに「方針コミュニケーション会議」といった各部の責任者が集う会議を設定し、年初に日程を定めておきます。 各部の責任者は、会議が設定されていることで「やらなければならない」といったマインドを持つことができ、結果として成果に繋がります。
また、部内でも部門方針に関する定期的なミーティングや報告会、チーム内の情報共有を通じて、意見やフィードバックを受け入れる文化を醸成しましょう。 報告は具体的かつ客観的なデータや情報に基づいて行われるべきであり、進捗状況を可視化するグラフやダッシュボードの活用も有効です。

■部門評価制度と連動する仕組みをつくること

中期経営計画に掲げるテーマは、「今やらなくても今困るものではない」テーマがほとんどです。 ですので、ついつい優先度が後回しになってしまい、スタートして3か月後にふたを開けると何も進んでいなかった、ということが起きてしまいます。
ただ、中期経営計画テーマにおいては、「今やらないと、未来に影響する」テーマであり、未来軸で考えると非常に重要度が高いです。
そこで、先述した中期経営計画と年度方針・部門方針に繋げたのちに、「部門評価制度と連動する仕組み」を取り入れることをお勧めします。 部門方針で掲げるテーマを定量的に評価し、ある一定の評価を超えると、その部門全体が評価をされ、部門メンバー全体にインセンティブが発生する仕組みです。
この仕組みを取り入れることで、「今やらないとチーム全体が困る」こととなり、やらなくては理由ができることとなります。 人間は弱い生き物ですから、後回しにしてしまう特性を仕組みでカバーするような「経営システム」を構築するといいでしょう。

以上が中期経営計画を成功に導く進捗管理のポイントです。進捗管理は目標達成のための道筋を示し、計画の進行状況を可視化する重要なツールです。 経営者や関係者はこれらのポイントを踏まえて進捗管理を行い、中期経営計画の成功に向けて効果的に進めていくことが求められます。

著者

タナベコンサルティング
エグゼクティブパートナー
中四国支社長

森重 裕彰

大手自動車メーカーの生産技術担当を経て、2012年当社へ入社。2017年に尖端技術研究会を立ち上げ、シリコンバレー視察など、デジタルテクノロジーに関するビジネスへの展開について研究を深める。2022年に中四国支社長へ就任。中堅・中小企業における生産性改善、顧客価値創造を目的とした、DXビジョン構築や業務のデジタル化に向けた戦略立案から実行支援まで一貫したサポートで成果を生み出すコンサルティングを得意とする。

森重 裕彰

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