コンセプトの立案から具体的な施策レベルまでのブランド開発を一貫して支援するブランディング構築ソリューション

インタビュー 2023.04.03

株式会社タナベコンサルティング庄田 順一

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株式会社ジェイスリー
代表取締役社長
足立 功治

ブランディング 各種Web(コーポレート、ブランディング)サイト構築 戦略・計画策定
コンセプトの立案から具体的な施策レベルまでのブランド開発を一貫して支援するブランディング構築ソリューション

ブランディングの潮流と考え方

庄田:

本日はタナベコンサルティンググループ(TCG)の一員である株式会社ジェイスリーの足立功治社長に、昨今のブランディングの潮流とその考え方、企業が抱えるブランディングへの取り組みにおける課題、そして、ジェイスリーが提供するブランディングソリューションについてお伺いします。まずは会社紹介をお願いします。

足立:

ジェイスリーは、「お客さまと価値を共創する『ブランディングパートナー』」となることをビジョンに掲げ、企業の成長や課題解決をブランディングで支援しています。

主な事業として、➀企業の付加価値を見つけてブランド戦略を支援するリサーチ&コンサルティング事業、➁ブランドの言語化やビジュアル化を支援するクリエイティブ事業、➂ブランドの成長を支援するマーケティング&グロース事業という3つを展開しています。

庄田:

ありがとうございます。それでは早速、今回のテーマについてお伺いしていきます。
ブランディングに対する企業もしくは経営者の認識について、ジェイスリーが主にサービスを提供されているブランディング領域のソリューションは最近特に関心が高く、その取り組みが活発化しているのではないでしょうか。ブランディングに対する企業の認識は今、どのようなトレンドと言えるのでしょうか。

足立:

おっしゃる通り、企業のブランディングへの意識は非常に高まっていると感じています。ただ、その半面、ブランディングの成果や効果に懐疑的な経営者もまだ多いと感じています。特にブランディング自体が、デザインや見た目を格好良くするという部分に重きが置かれていますが、本質的にはそれとは異なると私は感じています。

中でも商品や店舗といったハード面は(目に見えるため)非常に分かりやすいのですが、実際のサービスやコミュニケーションといった部分も含めて一貫した付加価値を提供できている企業やサービスはまだまだ少ないのではないかと感じています。

庄田:

ブランディングというテーマに対する国内企業の取り組み状況などはいかがでしょうか。

足立:

昨今、トレンドになっているという意味では、ブランディングの根幹となるパーパスを重視する会社が非常に増えていると思っています。パーパスや社会的な存在意義を起点に自社のサービス、もしくはソリューションを考える会社がかなり増えてきているように感じています。

企業が抱えるブランディングの悩みと本質的な課題

企業が抱えるブランディングの悩みと本質的な課題
庄田:

続いて、ブランディングにおいて企業が抱える悩みと本質的な課題についてお伺いしていきたいと思います。先ほど説明いただいたように、ブランディングと一言で言っても、その手法は数多くあります。どのようにやるか、あるいは、どこまでやるかによっても企業の投資額が変わってくると思います。そういった状況において、企業が陥りやすいブランディング投資に対する落とし穴はどういった部分にあるのかお聞かせください。

足立:

先ほどもお話した通り、経営においてはブランディングに投資する上で成果や効果が求められると思います。しかし、その成果や効果は分かりづらいことが根本にあると思っております。

ブランディング自体の効果としては、本来であれば「高い値付けができる」とか、「(購入の)継続性が高まる」、場合によっては「ファンになって(商品・サービスや企業に対する)愛着が増す」といった効果が求められていると思います。しかし、それらを数値化したり可視化したりすることに課題感を持っている企業はまだまだ多いだろうと思っています。

しかし、同じ製品・サービスだったとしても、ブランドの付加価値が高くなれば、高い値付けができるようになります。

あるデータによると、ブランドによって同じ商品・サービスよりも30%ぐらい高い値付けが可能だという結果が出ています。そういった部分を加味しても、ブランディングに力を入れることは重要だろうと思っています。

逆に、ブランディングに取り組んでいない場合は差別化ができません。単発的な施策だけが実施されて、最終的に投資効果があまり得られないというのも現状だと思っています。

庄田:

私もお客さまとお話する中で感じている部分があります。実際、先ほど足立社長がご指摘された通り、ブランディングを理解している経営者と、理解していない経営者がいらっしゃいます。少し極端な言い方かもしれませんが、両者は一体何が違うのでしょうか。その違いについて、足立社長が思い当たるところはありますか。

足立:

社内においてブランドの付加価値が理解されているのかどうか。もしくは、その価値自体が共有されている会社と共有されていない会社があります。そこが大きく違うのではないかという印象を持っています。

庄田:

そうですね。ある意味、ブランディングは言葉だけが先行してしまっているイメージがあります。私たちも「TCGのブランディングとは、こういったものだ」という価値を打ち出していかなければ、と思っています。

また、ブランディングを推進するとき、実際にどうやってブランディングを進めれば良いのか、という課題に直面します。具体的には、進め方が分からなかったり、推進体制はあるけれども、あまり機能していない、といった課題が出てくると思います。ブランディングを推進するに当たって想定される課題と、それに関する知見をお聞かせください。

足立:

多くの会社には、社内にブランディング専門の人材がいないのではないかと思います。それでも、ブランド自体の責任者を立てることはできると思います。また、各部門からメンバーを集め、一元化したブランディングのチームを立ち上げるのが一番推進しやすいと考えています。

会社によっては、ブランディングのCBO(チーフ・ブランディング・オフィサー)という責任者を立てて権限もすべて与えた上で実施している会社もありますが、そうした会社はほんの一部に過ぎません。まずは責任の範疇を明確化することや、統一したブランディングを推進できる人材をアサインすることが一番適切ではないかと考えています。

庄田:

ブランディングを推進するための課題感を、今の足立社長のお話で整理できたのではないかと思います。そういった課題感に対して、足立社長がお考えになるブランディングを推進する際のポイントや、クリアしなければならない本質的な課題についてはどのようにお考えになっていますか。

足立:

そうですね。先ほどお話しした通り、責任者を立て、各部門から横断的にブランディングを推進するメンバーを集めてチームをつくること。さらに、そのチームで取り組んだことを各部門に浸透させていくことがポイントになると思います。ブランドに対する意識を揃えて、全社の意識を統一していくと、そこからサービスやコミュニケーションといった部分もブランドとして成り立つようになる。そういった全社的なコミットが重要だと考えています。

ブランディングソリューションと成功のポイント

ブランディングソリューションと成功のポイント
庄田:

続いてジェイスリーが提供するブランディングと、その他のソリューションについてお聞きしていきます。成功事例とその成功のポイントを挙げながら解説していただいてもよろしいでしょうか。

足立:

われわれがブランディングを手掛けた取引先の1つに、マーガリンやせっけんなどの原材料を製造しているミヨシ油脂株式会社があります。こちらの会社は、昨年に創業100周年を迎えられましたが、そのタイミングで同社から「ウェブサイトをリニューアルしたい」というご相談をいただきました。BtoB企業ですから、初めからブランディングという話があったわけではなく、当初は「取引先の信頼感や安心感を高めるためにウェブサイトをリニューアルしたい」というご相談でした。

ただ、何度か同社の工場を視察する中で、社員の仕事に対する姿勢やプロ意識を目の当たりにしたことで、私は「BtoB企業こそブランディングが必要ではないか」という思いを抱きました。

それを同社に提案したところ強く共感していただき、ブランディングがスタート。まずは「ミヨシプライド」というコンセプトを掲げて、これを全社に周知していき、その上でコーポレートのブランディングやウェブサイトのリニューアルを実施。さらに、採用サイトのリニューアルに取り組んでいきました。

この案件のスタートはウェブサイトのリニューアルでしたが、最終的にはパーパスを浸透させるためのムービー(動画)を作り、全社でミヨシ油脂の企業価値を共有したという実績があります。

ミヨシ油脂自体は、消費者の目に触れるような製品を作っている会社ではありません。どちらかと言えば、人の価値や、誇り、プロ意識のといった目に見えないものがブランド価値につながっていきました。

実際、取引先からも普段から「非常にプロ意識が高い」という評価が寄せられていましたが、ブランディングによって「家族からの信頼が高まった」という声や、学生向けの求人で「マッチング度が高まった」といった声をいただいており、企業価値を高めることができたブランディングの成功事例だと感じています。

庄田:

ブランディングは「とっつきにくい」「何をしたら良いのか分からない」といったイメージが先行しているように思いますが、この事例ではウェブサイトのリニューアルを起点としてブランディングの活動が始まったのですね。

足立:

その通りです。きっかけはロゴやウェブサイトで全く問題ないと思います。ただ、リニューアルする本質は何なのかといったところを、社員の方々や経営層の方々と話していく。その中でブランド自体の大切さに気づいて取り組みが広がっていく方が、よりリアルに重要性を感じながら推進できるのではないかと感じています。

庄田:

そういった始め方であれば、決まったフレームワークに落とし込んで型決めするブランディングではなくて、その会社に合った会社独自の真のブランディングになるのではないかと思いました。

続いて、ジェイスリーが展開されているブランディングの戦略構築や実装支援について、取り組みや成功のポイントを解説していただけますか。

足立:

ジェイスリーでは企業におけるブランドの評価やブランド推進のチームを立ち上げ、戦略の構築、体験価値の創出といったところまで支援しております。コンセプトの立案から具体的な施策レベルまでをブランド開発と位置づけてトータルで支援しています。

成功のポイントは主に3つあるのではないかという風に考えています。

1つ目は、自分たちの付加価値を全社できちんと共有すること。そのために、付加価値を可視化する、言語化することが必須だと思っています。また、社内でワークショップや研修を実施して付加価値を浸透させていくことが非常に重要だと捉えています。

2つ目が、常に顧客視点で考えること。多くの場合は社内の力関係があります。営業や開発、カスタマーサービスなど部門間のパワーバランスは異なると思いますが、できるだけフラットな関係性を築きながら顧客目線で考えることがポイントになると思っています。

3つ目は、分析した結果を踏まえて改善し、継続させていくこと。ここが非常に重要かなと思っています。一過性の施策はかえって費用だけを使う結果に終わってしまいます。ブランド価値をより高めていくには、社内における付加価値の教育などを地道に続けていくことが重要だと思っています。

庄田:

3つのポイントを挙げていただきましたが、一見すると、当たり前のことを当たり前に実施することが大切なのだと感じました。

足立:

その通りです。特に、3つ目の「継続する」という部分が一番難しいと言えます。毎回ウェブサイトをリニューアルすれば良いというわけではないのに、どうしても見た目を変えるとブランドが変わったという感覚になってしまうのも理解できます。

しかし、そこはやはり「実際の効果はどうだったのか?」をきちんと検証することが大事。良かったところまで変える必要はありませんから、悪かったところをポイントとしてしっかり捉えて、全体のブランド価値を上げる改善施策を採っていくことが重要だと思います。

庄田:

実際の現場を支援されている足立社長だからこそ分かる成功のポイントだと思いました。本日はジェイスリーの足立社長に、ブランディングの潮流と企業が抱える課題、そしてTCG連携によるブランディング構築ソリューションについてお伺いしていきました。足立社長、本日はありがとうございました。

PROFILE経営者紹介
株式会社ジェイスリー
代表取締役社長
足立 功治

インフォメーションデザインを主体にキャリアをスタートし、マルチメディア、インターネット創成期における大手企業サイトやキャンペーンサイトのプロデュースを数多く手掛ける。近年は、企業のブランド戦略から地域ブランディング支援、サービスやマーケティングのDX支援まで多岐にわたる。2020年に株式会社ジェイスリー代表取締役社長に就任。

株式会社ジェイスリー代表取締役社長 足立 功治
COMPANY企業紹介
株式会社ジェイスリー
クリエイティブを中心に500社を超える企業のブランディングパートナーとして、UX、CX (顧客体験価値)の向上、DXを支援。企業の価値をともに創り上げる多数のクリエイターやデザイナーを擁するプロフェッショナル集団です。
株式会社ジェイスリー
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