人事課題解決ノウハウ

卸売業における『活躍』を軸とした人事評価制度策定のポイント

これまでの成長とこれから望まれる成長の軸を再設定する

SCROLL

『社内で飛び交う単位を』を変更し、スケジュールと行動を示す

現在、社内で飛び交う単位や行動は何か?

現在、社内で飛び交う単位や行動は何か?

卸売業における主な評価の対象は、売上高、粗利、粗利率、訪問件数、新規開拓、新規口座開設、既存深耕等がある。業績がどこまで開示されているのかは、企業の考え方によるが、おおよそ粗利益、粗利率までは開示されている。粗利益まで開示されている場合、『利益』と社内で言葉がでれば、大半の社員が思い描く利益は粗利益となる。営業利益まで開示されていれば、利益=営業利益となる。社員に深く考えてもらいたい言葉と単位は、発信し社員と共有しておく必要がある。しかしながら、一足飛びに評価軸に展開されると、"気にして"動く対象となり、理解するというより、数字を合わせに行く意識と行動になりかねない。

これまでの評価された結果と今後求められる結果と評価

これまでの評価された結果と今後求められる結果と評価

卸売業が持つ特性および事業の魅力は、品揃え、対応力、アレンジ力、提案力があり、これらをビジネスモデルの中で顧客価値を創造し、提案につなげている。しかしながら、これらの顧客価値を担当者個人の力で顧客に常時正確に届けることは難しい。難しさを経営目線から表現すると、『個人格差が発生しやすい』と言うことになる。個人格差とは実績格差と実行格差、もしくはその両方となる。現在ではデバイスの発達により、提案時に太くて重いカタログを持ち運ぶ必要がなくなり、デジタルカタログ、デジタルプレゼンツール、デジタルデモ等を組み合わせて提案している。つまり、社員には求められる行動とスキルが変わっている。果たしてわが社の評価軸はこの現実に紐づけられているだろうか?

これまでの行動特性に下駄を履かせた評価軸になっていないか?

これまでの行動特性に下駄を履かせた評価軸になっていないか?

売上高、粗利率、粗利益額の評価軸を否定しているのではない。これらの目標にたどり着くための行動プロセスのスキルやリテラシー(ある分野に関する知識や能力を活用する力)、そしてチーム、組織を活用する力を評価しているのかどうかを検証していただきたい。卸売業で古くから言われておりながら、いまだ解決し切れていない特性として『個人商店の集まり』との表現がある。現象面を表現すると、個人目標達成を最優先し、期間の途中で達成すると安堵して、それ以上の行動を起こそうとしない、部門を助けようとしない、ましてや周囲や部下を助けようとしない等の行動が挙げられる。それも組織破壊を助長する行動である。タナベコンサルティングのクライアントの複数の企業においても同様の現象が見られた。A社は個人目標からチーム目標への切り替えを実行した。B社はデジタル営業の推進策を考課項目に導入した。C社は部門横断営業の回数を考課項目へ導入した。三社とも導入時は戸惑いや抵抗が見られた。しかし一方で、これまでにないコミュニケーションが生まれた。

新たな成功体験とコミュニケーションで目標を乗り越えられることを実感

新たな成功体験とコミュニケーションで目標を乗り越えられることを実感

変化のない考課項目は、ある意味経営側からの『そのままでよい』もしくは『これまでのように頑張ってください。この調子で、次は今の1.5倍やってください。』というメッセージに受け止められる。現実に即しながら、目標の方向性を行動変化に求める方が社員は成長の可能性を感じやすい。数字の1.5倍のみの評価軸は、前述の唯我独尊思考に陥りやすい。これまでの様に、同行営業●件、新規訪問●件だけではなく、これまで同行したことがない部署との同行、コミュニケーションを起こさせ、数字に結び付けられるストーリーが考課内容に入ってくることで、これまでとの違いを感じやすく、また新たな文化を醸成させることに繋げられる。先述の事例の企業は新たな文化を醸成し、この環境下で過去最高の売上高と利益を達成している。

この課題を解決したコンサルタント

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タナベコンサルティンググループは「日本には企業を救う仕事が必要だ」という志を掲げた1957年の創業以来
66年間で大企業から中堅企業まで約200業種、17,000社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。
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