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自社のブランド・ロイヤリティを高め、企業価値向上と持続可能な発展を目指す

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世の中に数多く存在する「ブランド」。「ブランド」とは、決してラグジュアリーブランドだけを指すものではありません。
企業・製品・サービス・・・様々な「ブランド」が世の中には存在し、それらは企業が持つイメージを体現する象徴であり、企業のシンボルであるとも言えます。
高いブランド・ロイヤリティが企業にもたらす恩恵は非常に大きく、企業が発展していくうえで必要不可欠なものです。
そのブランドに惚れ込み、ユーザーであることを誇りに思うロイヤルカスタマーがどのように増えていくかは、企業にとっての生命線となります。その重要性について解説します。

ブランド・エクイティとブランド・ロイヤリティ

ブランド・ロイヤリティはブランド・エクイティを構成する要素の1つ

一番重要なブランド・ロイヤリティ

ブランド・ロイヤリティは、ブランド・エクイティを構成する要素の1つであり、その中でも最も重要な役割を果たす要素です。大きく5つの要素があり、ブランド・ロイヤリティの他に、ブランド認知・知覚品質・ブランド連想・その他のブランド資産、があげられます。
エクイティ(資本)とは、あるブランドが顧客、取引先、または社会全体に対して持つさまざまな無形的な資産価値のことを差しますが、1980年代の米国で企業のM&Aが活発になった時代に浸透された考え方であり、以前はそれほど価値の高いもの、という意識がなかった無名のブランドを、自社の商品やサービスを競合より価値があるものと有利な条件で取引するのに役立つ資産価値のあるものと考え、会計上で無形資産として扱うものです。
つまり、従来は価値を持たないと思われていたブランドに人々が価値を見出し始めたからこそ、生まれた考え方でもあります。
ただ、この発想は、顧客との積み重ねたコミュニケーションや信頼関係がなければ成り立ちません。そもそも、ブランド価値が元から備わっていたわけではなく、文化や歴史、価値観などの時代を越えてさまざまな要素が周囲に認められたことで、初めてブランドに対する価値が生まれます。
そのため、ブランドが価値を持つためには、企業のサステナブル(持続可能)な努力が必要となります。エクイティを確立することは顧客と企業の双方に良好な信頼関係を構築することとも言えます。

5つの要素の中で最も重要なブランド・ロイヤリティは、顧客がブランドに対してどの程度忠誠心や執着心を持っているかということです。
このブランド・ロイヤリティを高めることで、大きく2つのことが実現が可能になってきます。

1.市場で1番に選ばれることによる競争優位性
2.ロイヤルカスタマーの定着と伸長による、確固たるポジションの確立と事業の安定化

ブランド・ロイヤリティを高めるメリット

特定ブランドに愛着を持った顧客は、ブランドに利益をもたらす

4つのメリット

1.新規顧客からリピート顧客への育成
2.口コミが広がり、新規顧客の獲得コストが下がる
3.平均顧客単価の向上
4.新商品の売上が上がる

ブランド・ロイヤリティを向上させるCX(顧客体験価値)

ブランド・ロイヤリティと密接な関係にあるCX(顧客体験価値)

良質な顧客体験の提供

企業にさまざまなメリットをもたらすブランド・ロイヤリティ向上。まず、意識すべきポイントは、CX(顧客体験価値)です。
すぐれた商品・サービスの提供にとどまらず、購入~アフターサービスまですべてのシーンで良質な体験を提供することが、ブランド・ロイヤリティの向上につながります。
また、CX(顧客体験価値)を通じて顧客のブランド・ロイヤリティを把握するためには、MA(マーケティングオートメーションツール)を導入し、見込み顧客の育成促進とマーケティング活動の効率化を図ることが欠かせません。
これによって、購買意欲の高い顧客を可視化し、効率化と売上拡大の両立を実現することができます。
併せてSFA(営業支援ツール)を導入し、顧客情報や案件の進捗状況、営業活動に必要な情報を一元管理することで、顧客ニーズに合った品質の高い提案につなげることも望まれています。

下記に、CX(顧客体験価値)の観点でブランド・ロイヤリティを向上させた成功事例を2つ紹介します。

事例1:紳士服専門のチェーン店を展開するK社は、オーダースーツブランドでのCX再設計に成功。

K社は、店舗での採寸は初回購入時に留め、次回購入時はオンラインで購入できる仕組みを整えました。
生地の質感や色身、仕上がりのイメージはアプリ上で確認ができるため、顧客は好きなときにオーダースーツを購入することができます。
購入後はスーツに合わせたネクタイやシャツの紹介といったフォローアップメールを担当者から受け取るなど、1人ひとりの顧客ニーズを踏まえたサービスを展開することでブランド・ロイヤリティの向上を実現しました。
また、1年間で43もの店舗を増やすなど、売上拡大にもつながっています。

事例2:注文住宅を手がけるH社は、大卒・大学院卒を積極採用し大工に育てる、「人材育成型ブランド」を展開。

H社は、アウトソーシングの分業スタイルが定着する業界の中で初めて、社員を大工や職人に育てる内製化に挑戦し、自社での一貫体制を築くことで顧客満足度が高まりました。
さらに、その取り組みを採用ブランディングにも活かすことで、人手不足と言われる状況の中でも優秀な人材の確保につながっています。
大卒・大学院卒大工の採用を始めてから年商は約5倍となり、大きな飛躍を遂げました。

企業価値向上とサステナブル(持続可能)な発展を目指す

ブランド・ロイヤリティの可視化による適切なアプローチ

「ブランド」は企業の重要なシンボル

自社のブランド・ロイヤリティを高め、企業価値向上とサステナブル(持続可能)な発展を目指すためには、自社のブランド・ロイヤリティをどう可視化し、展開していくかが非常に大切です。
しかし、ブランド・ロイヤリティの絶対的な指標は存在しないことから、自社に見合った測定方法を選択することが重要です。
ブランド・ロイヤリティの測定方法として実務上よく使われる、DWBとNPSという2つの指標をここでは紹介します。

1.DWB(Definitely Would Buy)
「絶対に買いたい」という意味を表わし、商品開発やサービス設計段階で活用されることが多い指標です。
この指標は、「絶対に買いたい」「買いたい」「どちらでもない」「あまり買いたくない」「全く買いたくない」の5段階評価に分けた質問を行い、消費者の「購入意向」を数値化します。
「絶対に買いたい」と回答した人の割合をロイヤルカスタマー(商品、サービスに対して高い愛着心や忠誠心を持つ顧客)とみなします。
一般的に2割のロイヤルカスタマーによって顧客全体の8割の利益を生み出すという「パレートの法則」という考え方もありますが、ロイヤルカスタマーを創出し、維持することは、新規顧客の獲得に対する生産性のアップにも繋がります。

2.NPS(Net Promoter Score)
特定の商品、サービスブランドに対する顧客の「他人への推奨度合い」を数値化する指標です。
自社の商品やサービスを「友人や知人に薦めたい」かどうか、0~10までの11段階で評価をしてもらい、「10~9:推奨者(プロモーター)」「8~7:中立者」「6~0:批判者」と設定します。
NPSは、全体に占める推奨者から批判者の比率を引くことで算出され、-100~100の間で推移します。NPSが高ければ高いほど、推奨度が高く、良い状態であることを意味します。
NPSは売上成長率とも密接に関わっており、収益との相関性も高く質問もシンプルであることから、管理しやすい指標とも言われています。

このように自社の状態を把握することで、ブランド・ロイヤリティを高めるための適切なアプローチを行うことが可能となります。
「ブランド」は企業の大切なシンボルです。
目先の売上に捉われることなく、企業価値向上と持続可能な発展に寄与する重要なテーマとして、ブランド・ロイヤリティ向上にどのように取り組んでいくかが、これからの企業の成功の鍵となることは間違いありません。

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AUTHOR著者

タナベコンサルティング
執行役員
ブランド&PRコンサルティング事業部

松岡 彩

百貨店事業、法人向け外商部での営業実務を経て、当社に入社。外資系ラグジュアリーブランド、化粧品業界、飲料・食品業界、教育出版業界、出版業界、コーヒーショップ、ペットショップなど多岐にわたる大手企業のセールスプロモーション支援に従事。デザインの付加価値でブランドイメージを最大化するべく、ストーリーに沿ったプレミアム、ツール制作を得意とし、企業の売上促進や顧客ファンづくりに貢献している。

松岡 彩
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