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知名度に頼らずとも優秀な人材が集まり、定着する「採用ブランディング」とは?

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「大手に勝てない」「自社には強みがない」多くの経営層、人事担当者が抱える採用の課題です。
若年層の人口が減少する中、採用市場は売り手市場にシフトしています。
今回は、知名度に頼らずとも優秀な人材の確保、定着を実現させる「採用ブランディング」について解説します。

売り手傾向が加速する中で注目される「採用ブランディング」

2022年10月時点の人口推計(※)で、日本の人口は前年比▲55万6千人と、12年連続の減少となっています。
特に15歳未満は前年比▲28万2千人、総人口に占める割合は約11.6%と減少が顕著です。
こうした若年層の人口減少が影響し、採用市場は売り手傾向となっており、「知名度があれば良い人材を迎えられる」「コストをかければ採用人数が担保できる」というのは過去の定説になりつつあります。
また、この数年での価値観の変容に伴い、多様な働き方を求め転職を選択する人も増えているため、企業は新卒・キャリアを問わず、常に比較検討される環境に置かれていると言えます。

※総務省統計局 人口推計

また、採用には至っても、入社後早期にミスマッチが生じれば退職につながりやすく、企業にとっては採用のコストや労力が嵩むことになります。採用者においても、短期間の職歴は場合によってネガティブに捉えられる恐れもあることから、デメリットとなりえます。
そこで、優秀な人材や自社に適した人材を確保し、定着させるために求められるのが、強みを明確にし、採用市場で正しく自社を伝えていく「採用ブランディング」です。

自社の理念、目指す姿を一貫性を持って伝えていく

採用ブランディングは「採用市場におけるファンづくり」

採用ブランディングとは、採用市場という限られた環境で、自社の理念を土台に一貫性のある施策を行っていくことを意味します。
よくブランディングは「売れ続ける仕組みづくり」と例えられますが、採用ブランディングは「採用市場におけるファンづくり」「継続的なエンゲージメント向上の仕組みづくり」に他なりません。
また、Z世代と呼ばれる1990年代後半~2010年代前半に生まれた若い世代は、企業が提供する商品・サービス・体験を選択する際に自身の価値観とマッチしているかを最も重視すると言われています。今後この世代の多くが就職活動を迎えるにあたって、企業は採用において自社の掲げる理念、目指す姿をますます積極的に伝えていくことが求められています。

採用における施策は、大手ナビサイトへの掲載、ホームページ・採用ページでの発信、インターンや採用説明会の開催、リファラルなど様々ですが、個々の施策を単体で捉えては効果を最大限発揮することはできません。
前段でも述べたように、自社の理念に基づく採用コンセプトを軸に、一貫性を持って施策を行うことこそ採用ブランディングです。
すべての施策に一貫性があることで初めて、求職者にそのメッセージが伝わり、自社のイメージの確立につながるのです。

採用ブランデイングには社内の縦と横、2つの観点での一貫性が不可欠

施策に一貫性を持たせるためには、それに取り組む社員、社内に一貫性がなければなりません。
一貫性には「縦の一貫性」と「横の一貫性」の2つの観点があります。

まず縦の一貫性とは、経営理念に基づき方針が策定され、それが現場の隅々まで落とし込まれ浸透していることを指し、企業が持続的成長を図るうえで非常に重要なものです。
一方、横の一貫性とは、異なる部門間や社員同士で十分なコミュニケーションがとられており、同じ目的が共有されている状態を指しますが、多くの企業で見落とされがちとなっています。

求職者にとって、就職活動において目にするもの、耳にするもの、接する社員の印象などが企業イメージに直結します。
そのため、採用に関わるすべてのメンバーの言動・姿勢に一貫性が無ければ、メッセージは正しく伝わりません。
横の一貫性無くして採用ブランディングは成り立たないことを念頭に、社員が自社の理念と強みを正しく理解・共有し、求職者に伝えることができてこそ、確実な成果につながるのです。

採用ブランディンブは採用コストの軽減にもつながる

一貫性や統一感、継続性が強く求められる採用ブランディングは、一見するとコスト面でも困難な取り組みと捉えられがちです。
しかし、採用ブランディングがもたらす次の3つのメリットによって、採用コストの軽減を実現している企業も多数あります。

1.新卒・中途採用の活動を統一化できる
→採用の現場では新卒はこの媒体、中途はこのエージェント等、それぞれの採用を別々に進めると、一貫性のない施策を並べる危険性があり、その分人的コスト、金銭的コストがかかってしまい、1人あたりの採用コストの増加につながってしまいます。採用ブランディングでは、企業理念を軸として採用フローを検討するので、無駄のない採用活動が出来ます。
2.本当に必要な施策のみに投資できるようになる
→理念に基づいた採用方針を策定することによって、求める人材像も明確になります。
そのため、外部で開催される合同説明会などの様々なイベントに闇雲に出展するといったことも無くなります。
エージェントにキャリア採用を依頼する際も、求める人材が明確である程マッチング率も高く、結果的にコストを抑えることができます。
3.リファラル採用の増加
→理念に共感して入社した人材は、高い意識、志を持って働いてくれる傾向にあります。
そういった人材を通じて「活き活きと仕事ができる会社」というイメージが周囲に広がることで、リファラル採用が増えやすくなることも採用ブランディングの成果の1つです。
リファラルでの採用が決まれば、その分新規で人材を探し出すコストを抑えられます。

"採用の勝てる場の発見とブルーオーシャンの開拓へ"

応募が集まるからと言って、媒体での母集団形成を軸とした今までの採用活動をやみくもに続けては、採用のミスマッチを助長するだけで、すぐに退職されて予算と採用活動コストの無駄につながります。
だからこそ大手のやり方である母集団形成至上主義を脱却し、オンリーワンの企業として選ばれる、採用のブルーオーシャンへと舵を切る必要があります。理念で差別化を図り、施策の一貫性を持たせるために採用ブランディングを行う必要があるのです。

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AUTHOR著者

タナベコンサルティング
ブランド&PRコンサルティング事業部
ゼネラルパートナー

安永 信司

クライアントの販促を支援する部門で活躍。企業成長に向けたさまざまな提案で、クライアントの販促・プロモーションを支援。「お客さま視点でのコンサルティング」を信条とし、ひた向きな取り組み姿勢に厚い信頼が寄せられている。

安永 信司
ブランディング・PR/広報に関する相談会

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