"次代へ挑む" ファーストコールカンパニーの取組み

ホームテック株式会社

ホームテック株式会社

  • 代表取締役社長 髙橋 久明 氏
  • 常務取締役 天野 厚 氏

株式会社タナベ経営

  • 取締役副社長 長尾 吉邦
  • 東京本部長 齋藤 正淑

上場を目指して4人の仲間で創業

hometech-1

長尾 タナベ経営の人材育成などをご活用いただき、ありがとうございます。髙橋社長はホームテックの創業者ですが、創業の経緯をお教えください。

髙橋 当社の創業は1991年です。大学時代に、いつか自分の会社を上場したいと思い、就職先として未上場企業を探しました。そして大手住宅メーカー系列のリフォーム会社に就職。そこを選んだのは、当時の副社長が憧れの経営者だったからです。ところが入社7年目のころ、その方が他社へ移ってしまわれました。それを残念に思い、会社を辞めようと思ったのが、独立の直接のきっかけです。

長尾 学生時代から、会社を上場したいと真剣に考える人はあまりいません。その志は、どこからきているのですか?

髙橋 大学生のころ、リュックを背負って米国を歩きました。サンフランシスコに行ったとき、山の上に建つ高級マンションで暮らす富裕層のカップルを見かけました。私が山頂から見た風景は確かにきれいでしたが、「彼らの部屋の窓から見える風景はもっと素晴らしいだろう」と思ったことですね(笑)。

長尾 志が高い、意志が強いというのは、経営者として重要なことです。上場はゴールではありませんが、創業時から上場を目指すと宣言されている髙橋社長に敬意を表します。4人の仲間で創業されたのですね。

髙橋 私と常務取締役の天野、岡澤、取締役部長の石原の4人で会社をスタートしました。私が脱サラするとき、天野たちを誘ったのです。

長尾 天野常務、その時はどんな気持ちでしたか?

天野 実は一度、誘いを断りました。私は上昇志向ではなく、安定した生活ができればよいと思っていたので、大手企業の関連会社に入社できて満足でした。ところが、私たちが務めていた拠点を、利益を出しているうちに他社へ売却するとのうわさを聞き、考えが変わりました。そうした仕組みなら、会社にしがみついても安定や安心は確保できない。ならば、独立してもいいかなと(笑)。
 独立に当たって4人で約束をしました。独立後1~2年すると仲間が分裂してしまう事例を数多く見てきましたから、「5年間は何があっても一緒にやろう」と強く言いました。

長尾 その誓いがあったからこそ、今も共に上場を目指して取り組んでおられるのですね。

企業理念
家族のふれあいが深まる家づくり

難しいリフォーム分野で着実な成長を続ける

hometech-tanabe-1

長尾 リフォーム分野は、毎年ゼロからのスタートになってしまうため、固定費がかさんで赤字化するリスクの高い事業です。差別化も難しい。事業としてかなり難しい分野といえます。それでもホームテックは順調に成長してこられました。現在の業績を教えてください。

髙橋 創業して24期目ですが、私の個人会社だった2年間があるので、実質的には22期目です。前期の売上高は55億3000万円。着工件数は1万8000件に達しました。売上げは毎年少しずつ伸びています。

長尾 リフォーム市場は伸びていますが、顧客から見て業界の信頼感は決して高くありません。企業側も、多くの固定費を抱えながら毎年ゼロスタートを余儀なくされるので、経営が安定しない。一時は創業10年、20年の会社が次々に倒産しました。その中でホームテックが業績を上げたポイントは、どこにあると思われますか?

髙橋 私や役員、社員が、たゆまぬ情熱を持って事業に邁まい しん進してきたことです。加えて、お客さまからの「見え方」を意識したことでしょうか。「良いものをつくれば売れる」という一方的な感覚になってはいけないと自らを戒めています。

長尾 顧客視点でどう映るかを意識されていますね。たびたびテレビ番組で取り上げられ、髙橋社長は書籍も著されています。展示会に積極的に参加し、「テッキー」というイメージキャラクターも展開。この意識は、社長のセンスでもありますね。多摩地区ではナンバーワンという状況ですか?

髙橋 当社のリフォーム専門大型ショップ「リフォームプライス」の知名度はわりと高く、規模も大きい方だと思います。

長尾 今後の成長ビジョンをどう描かれていますか?

髙橋 お客さまからもっと評価されることに関しては、「アウターブランディング」に興味があります。日本では、チャリティーとマーケティングの連動があまり見られません。しかし、本気で地域に密着するなら、その連動が大事だと考えます。

長尾 中期経営計画で掲げている目標をお教えください。

髙橋 進出エリアのイメージとしては、この5年間で政令指定都市への出店を完了させたいです。需要をつくれないと負け組になってしまいますから。

長尾 これからは市場獲得型ではなく、市場創造型のマーケティングが大切です。リフォームする顧客の奪い合いではなく、リフォームして幸せになりたい人を多くつくることです。その視点に立って策定された中期経営計画の実現のポイントを三つ挙げてください。

髙橋 まず、リフォームに興味がない人たちの需要をつくり出すこと。2番目は、粗利益率の高い商材を持つこと。3番目は、社員が楽しいと感じる状況をつくることです。同時に、出店によるエリア拡大を進めます。新築で入居して20年以上が経過しても、必要最低限の工事以外はしたことがない層が約7割もいます。給湯器やガス台、換気扇、洗浄便座、水洗金具などが壊れたとき、必要に迫られてリフォームしているのです。

長尾 需要は「複層化」しています。富裕層やサラリーマン家庭、外国人など、さまざまな客層があって、層ごとにニーズが異なる。最近は必要品ではなく、「必潤品」と言うそうです。消費者に潤いをもたらすリフォーム提案を実現してください。

楽しく働く環境づくりと効率的な人材採用戦略

hometech-2

齋藤 3番目の「社内を楽しい状況にする」ことについて、お聞きします。まず、社員の平均年齢はどれくらいですか?

髙橋 40 歳に達していません。

齋藤 若い社員の方が多いのですね。だからこそ、「Win-Winの関係」「共感」といったキーワードで、社員のモチベーションを上げる仕組みを数多く構築されているのでしょうか?

髙橋 自慢できるほど多くの仕組みはありませんが、工夫しているのは、情報を共有するためのデジタルサイネージを各拠点に設置していることです。大きな画面に表示すると情報の浸透率が格段に高くなります。
 社員が幸せに働くには、四つの要素が必要です。お客さまから褒められる、仲間から褒められる、家族から褒められる、自分で自分を褒められる。デジタルサイネージは、それをどう見せるかに役立っています。例えば、リフォーム後にお客さまと写真を撮り、ここがよかった、満足したという手紙とともに画面に流すことで、各担当者にスポットライトを当てます。顧客から感謝をもらえるよう、担当者がどれほど努力しているかにフォーカスするのです。

齋藤 一人一人に光が当たるような工夫を施しているのですね。全社員が集まる発表会や表彰式は、どのくらいのスパンで行っていますか?

髙橋 3カ月に1回、約150名の全社員が集まります。人事面での課題は、約40名のパートタイム社員との情報共有。同じ部署に勤務しているものの、そこが理念を共有する場になっていないのが現状です。何か手を打つべきだと思っています。

長尾 髙橋社長は、そのあたりをよく考えておられますね。

髙橋 アイデアは、いっぱいありますよ。

天野 私が感心するのは、若い社員とも意欲的にコミュニケーションを取る姿勢です。優しさが表れていると感じます。夏には社員をスキューバダイビング体験に連れて行っていました。それがきっかけでダイビングを始めた社員もいるほどです。

髙橋 今年はスノーボードに行こうかと考えています。目一杯、仕事をしてくれるのはありがたいですが、仕事だけだと人生はつまらない。休日には趣味などを楽しんでもらいたいと思います。本格的にやるといいですね。社外の人と接点を持つことで、世界が広がりますから。

齋藤 現在、建設関連業界は人手不足が深刻ですが、ホームテックは効率の良い採用活動を行っており、優秀な社員が入社されています。採用の工夫をお聞かせください。

髙橋 新卒採用に関しては、自社の見せ方を工夫しています。同業他社に比べると、大型店舗で集客を行い、顧客に選んでもらって押し売りをしない当社のスタイルは理解しやすいでしょう。ファミリー・ムーブメント・サーベイという家族の動線調査を行ったりもしています。利益をいくら出すといった話を聞かせても、建築を専門とする学生はつまらないでしょうから。
 中途採用では、私が人材紹介会社に体系的なプレゼンテーションを行い、大きな効果を上げています。採用計画や予算配分などを詳細に説明し、どのような人材を、どのタイミングで紹介いただきたいのか、人材紹介会社の営業担当者さんが理解しやすいよう心掛けています。

褒められる機会を増やし自発的な学びにつなげる

hometech-tanabe-2

齋藤 社員教育はどのような形で行っていますか?

髙橋 今年は、ミッションの理解、コミュニケーションスキル、建築スキル、計数スキルの四つをベースに教育体制を組み立てました。そしてタナベ経営の中堅クラス向けスクールを受講させました。しかし、私が期待したほどの成果は上がっていません。原因は、教え込もうとしすぎて、学びたいという自発性の芽生えを促さなかったことです。そこで、次は社外から褒めてもらえる環境づくりに投資しようと考えています。褒められる回数を5倍、10倍にする仕掛けがないと、知識や知恵は吸収されないと感じるからです。

齋藤 自分から学びたいと思う状況に持っていくのですね。

髙橋 「リフォームプライスは優れた提案をする。今回の工事は良かった」と毎週、お客さまから言われる状況は、学ぶ意欲の源泉になるでしょう。周囲から褒められることで、もっと伸びたいという意識を醸成できるのではないかと思います。

齋藤 動機づけは重要です。最終的には「より成長したい」と本人が思わなければ、十分な効果を期待できないからです。

長尾 ソニーの創業者・盛田昭夫氏も「アイデアの良い人は世の中にたくさんいるが、良いと思ったアイデアを実行する勇気のある人は少ない」という言葉を残しています。学びの後、すぐに実行させる仕組みをつくれば、社員のフルパワーを活用できるでしょう。

髙橋 タナベ経営に感謝しているのは、当社の会議体系を整理し、議事録を取ってPDCAを回すようにしてくれたことです。以前は、何も決まらない店長会議がほとんどでした。しかし、今は誰が何をするかを決定し、2週間後に実行したかどうかをチェックする体制になっています。

齋藤 最近はタナベ経営の研究会に参加いただく機会が増えました。これも教育体制を整備する取り組みの一つですね。

髙橋 特に「戦略財務研究会」は、担当者に大きな影響を与えるものと期待しています。

長尾 ホームテックは、どのように「ファーストコールカンパニー(顧客から一番に声が掛かる会社)」を目指しますか?

髙橋 その質問には、まだ答えられません。「売上げ規模=お客さまの安心」の方程式は実現できそうなので、まずはそれを大きくしたいですね。リフォームメーカーになって、「ホームテックは要望次第で面白い商品を出す」と言われる存在になりたいとの思いもあります。

長尾 多摩地区ナンバーワンは十分に狙えます。髙橋社長は「自社がどう見えるか」にこだわっておられますが、これは感受性による部分が大きい要素なので、次代にきちんと承継できるかどうかは分かりません。そのため、事業承継までに企業規模を大きくし、開発に力を入れて暮らしを豊かにするリフォームを提案。社員が楽しく働きながら実行力を養成できるように取り組んでいただきたいと思います。それが組織として会社を成長させていくポイントです。ファーストコールカンパニーを目指し、共にホームテックを成長させましょう。

PROFILE

  • 所在地:〒206-0011 東京都多摩市関戸1-1-5 ザ・スクエアE棟6F TEL:042-356-8901
  • 資本金:5000万円 創業:1991年
  • 売上高:55 億3000万円(2014 年3月期) 従業員数:148 名(2013 年10月30日現在)
  • 事業内容:住宅・店舗のリフォーム、住宅用建材・住宅設備機器・インテリアなどの販売、耐震診断および耐震補強に関する業務
    http://www.hometech.co.jp/