DX化を加速するロードマップ策定のポイント

コラム 2023.04.03
DXビジョン&ビジネスモデルDX 戦略・計画策定 プロセス・ロードマップ
DX化を加速するロードマップ策定のポイント
目次

いまや激流ともいうべきスピードで世の中は変化しています。そしてデジタルディスラプション(=破壊的イノベーション)はどんな業種、業界にも起こりうる時代となっています。こうした環境変化に素早く対応するにはデジタルを活用した企業変革、つまりDXへの取り組みを早く行うことが有効であることは言うまでもありません。DXは未来を志向したバックキャスティングで取り組むためにロードマップが必要であります。
ここでは、ロードマップの"魅せ方"や策定ポイント、そしてDX化を加速するポイントについてご覧いただこうと思います。

DXロードマップの"魅せ方"

ロードマップは自社の未来を創造するものであり、全社員と共有し想いをひとつにして推進力を高めるためのツールです。また、社外のステークホルダーにも開示し、自社への信用・信頼を高めることもできるものです。このため文字だけでなく、図や表など用いて視覚的に分かりやすいよう策定するのが良いでしょう。策定に関わるメンバーは、経営者や幹部に加え、視覚的デザインが得意な社員、未来思考の社員、知的好奇心旺盛な社員など多種多様なメンバーでDXロードマップを作成すると良いものに仕上がるのではないでしょうか。

DXロードマップ策定のポイント

(1)自社のパーパス・ミッション・ビジョン・バリューをロードマップ最上段に記載し、全社員のベクトル統一を図ります。自社が目指すゴールをしっかりグリップしておきましょう。

(2)全社および各事業、各部門の達成ゴールを明示し、社員が同じ方向に注力できるようにします。併せて達成基準を定量化しておくと、モチベーションアップにもなります。

(3)自社のビジョン実現に向けた戦略として4つのDX領域におけるDXロードマップを策定します。4つのDX領域とは、①ビジネスモデルDX ②マーケティングDX ③マネジメントDX ④HR(Human Resource)DXとなります。
留意点として、DX(=デジタル実装による企業価値・収益・生産性向上)は設定したゴールを実現するために必要なものとしてバックキャスティングでデジタル実装を組み込んでいきましょう。

(4)タイムスケジュールでは、5か年または10か年フォーマットを設計し、自社のビジョンからバックキャスティングでロードマップを置けるようにします。
以下に示す「DXを加速するポイント」もロードマップのフォーマットに組み込むことをお勧めします。

DX化を加速するポイント

DXの必要性については、多くの方が認識されていることと思います。しかしながら、DXを実装するとなると二の足を踏んでしまい、遅々として進まないケースはたいへん多く見られます。そこで、DX化を加速するポイントについて解説します。

(1)適切なマイルストーンを置く
もしマイルストーンを置くことなく日々のアクションスケジュールを立案し、行動をモニタリングしても、きっと上手くいかないでしょう。DXを加速化するポイントのひとつは、適切なマイルストーンを置くことです。
適切なマイルストーンとは、出来ることから積み上げによるものではなく、未来志向でのバックキャスティングで年度別・四半期別など一定期間単位で定性目標と定量目標を設定することを指します。そして、目標は"ストレッチ目標"となるものがベストです。少し頑張れば達成できる目標・努力を積み上げると達成できる目標よりも、背伸びして英知を結集してこそ達成できる目標、自社単独ではなく外部パートナーとの連携により達成できる目標、すなわちストレッチが効いている目標とすることをお勧めします。

(2)外部のデジタルパートナーとのアライアンスを組み込む
外部のデジタルパートナーとは、たとえばDX戦略を自社と共に練ってくれる社外パートナーや、具体的にデジタル実装をサポートするベンダーなど専門性が高いパートナーを指します。自社だけで取り組むことができる領域でロードマップを策定すると、経営者が期待する推進力には至らないことが多いです。
またロードマップの内容そのものが非常に狭い、こぢんまりとしたものになりがちです。自社で出来ないことは外部パートナーを活用してでもビジョンを達成したい、という良い意味での貪欲さがあって良いのではないでしょうか。

(3)デジタル人材、高生産性マインドを有する人材育成の体制づくりを組み込む
DXを加速するには、社外のパートナーが居るだけでは不十分です。社内にもデジタルパートナーが必要です。社内パートナーとは、"未来志向"の人材、"知的好奇心が旺盛"な人材、現状を良しとせずビジネスの在り方や業務の在り方、組織やコミュニケーションの在り方に問題意識を持ち社内で"創造的破壊"ができる人材を指します。
こうした人材は実は社内に居ることが多いのですが、なかなか発掘されず眠っているケースをよく見受けます。また"デジタル"人材の確保は、2025年の崖問題でも経済産業省が警鐘を鳴らしている課題であり、早期に推し進めたいところです。

(4)DX推進の組織づくりと運用を組み込む
デジタル人材、高生産性マインド人材、外部パートナーそれぞれが単体でアクションを起こしてもDXの推進スピードは期待値に到達しにくいです。こうした人材をひとつに束ねて組織化(プロジェクトなど)し、ロードマップを推進するインフラとして機能させると良いでしょう。

(5)デジタル投資・採算計画を可視化する
ロードマップ策定により、各年度における売上・利益など期待効果も可視化し、ERP基幹システムなどデジタルへの投資回収、採算を計画的に進められるようにしたいところです。

AUTHOR著者
デジタルコンサルティング事業部
マネジメントDX ゼネラルマネジャー
山内 優和

医療機器メーカー、食品メーカーで品質保証・企画業務に従事しながら、開発設計、製造、調達、物流に至るまで、サプライチェーンの課題発見・改善を多数経験。現場で培った知見とデジタル技術を融合し、生産性向上・DX推進コンサルティングを展開。 近年は特に製造・factoryDXを推進し、クライアントのビジョン実現に尽力している。

山内 優和
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