企業がDX化に失敗する共通の理由とは?

コラム 2023.04.03
DXビジョン&ビジネスモデルDX 戦略・計画策定 組織
企業がDX化に失敗する共通の理由とは?
目次

弊社が2021年に全国の経営者・経営幹部1,728名にアンケート調査した中で、「DXに投資しているが成果が出ていない」と答えた企業が全体の48.6%と約半数を占めました(他、「投資していて成果も出ている」が13.4%、「投資していない」が38%)。多くの企業で成果獲得に苦労している実情が伺えます。

企業がDX化に失敗する共通の理由とは?

3つの着眼点から失敗理由を考察

失敗に終わるケーススタディ

実際にクライアントの現場では、DXの重要性を認識しDX化に取り組んでみたものの期待通りの成果が得られず、失敗に終わるケースが散見されます。なお、ここで取り上げる「失敗」とは、「目指す成果・期待通りの成果が得られず、DXの取り組みが止まっている・停滞している事」と定義します。
そこで今回、DX化に失敗した企業を"反面教師"と捉え、成功への第一歩を踏み出していただくために、以下3つの着眼点でその失敗理由を考察します。
1. 戦略面
2. 組織・体制面
3. 実行推進面(戦術面)
順に説明していきます。

1. 戦略面
まず、そもそもの戦略面で、躓いている場合が多いです。
戦略面の失敗理由として、以下が存在します。
(1)DX推進により目指すビジョン・方向性・目的が定まっていない。
(2)目指すゴールへのロードマップやストーリーが無く、どのように進めるか明確でない。
(3)今期・来期の短期的な計画のみで、中長期的な戦略・プランが立てられていない。

1つ事例を紹介します。BtoB製造業A社は、DX化と言えばまずデジタルツールの導入に取り組む事と考えました。戦術から入り、費用を投じてMA(マーケティングオートメーション)を実装しました。顧客へのアプローチを進めていくものの、結局は目指す見込み顧客獲得の成果が得られず、という残念な結末を迎えました。戦略・計画そしてMAを活用したストーリーを策定していない状況で、戦術(MAの実装)に走ってしまい失敗した事例です。
戦略面に関しては、DX化の根幹を成す要素であるため、最初に取り組むべき最優先事項です。そこを認識・理解せず、評判が良い・同業他社も取り組んでいると聞き、デジタルツールに手を伸ばすようでは本末転倒です。

2. 組織・体制面
実際にDX化を推進していくには、組織・体制面が整っていなければ前に進みません。DXを推進する主役は経営トップをはじめとした企業の組織・チームです。
組織・体制面の失敗理由として、以下が存在します。
(1)経営トップにDXへの関心・理解が無いまま進められている。
(2)全社的にDX化のベクトルが定まっておらず、各部門バラバラに思うまま好き勝手に取り組んでいる。
(3)経営トップやプロジェクトメンバーが熱心に取り組んでいるものの、他の現場メンバー間で腹落ちが無くDX化が浸透しない。

建設業B社では、社長がDXに関心が低く、現場任せの状況でした。結果、各部門が「部分最適」でDXを実装し、全社的にシステム及びデジタルツールが連携できておらず、生産性が上がらない非効率な状態を招きました。 B社のように現場任せでは、支離滅裂で期待する成果は到底見込めません。重要な事は、経営トップから現場の各部門まで、同じベクトルを向いて組織一丸になって「全体最適」でDX化に取り組む事です。そのためには、経営トップがDXに理解・関心を持ち、トップ自ら率先して進めていかなければいけません。「自分は理解できない領域だから各部門に任せる」という事では通用しません。

3. 実行推進面(戦術面)
戦略、組織・体制が備わっている事が必須ですが、DX化を推進するには実行に移さなければ成果は出せません。
実行推進面の主な失敗理由として、以下が存在します。
(1)策定した戦略・計画が「絵に描いた餅」になり、そもそも実行出来ていない。
(2)施策PDCAサイクルが回せていない。
(3)結局、旧来の手法・施策に固執して、DX化に踏み出せない。

食品製造業C社では、プロジェクトチームが策定・実装したDX戦略について、いざ実行推進していく段階で頓挫しました。営業部門が旧来型のマンパワー営業に固執して、デジタルを活用した営業にシフト出来ませんでした。デジタルを活用する事の重要性は認識していたものの、先入観が邪魔をして一歩踏み出せませんでした。積極的にプロジェクトチームが後押しをするものの、営業の腰は重く前に進みませんでした。
実行推進段階で躓く場合、その根本原因を精査してください。進め方が分からないのか、進め方は分かっているが先入観・成功体験が邪魔をしているのか。戦略・計画通りに実行しているものの、PDCAサイクルを回せていないのか。原因によって打つ手は変わります。

以上、3つの着眼点からDX化の失敗理由を考察しました。
全体的に言える事は、DXは根本的な「変革・変容」を目指すものであり、未来に向けてのビジョンや創造性・開拓精神が求められます。しかし、社内で少なからず「変革・変容」に対するアレルギー反応が生じやすいです。従来の考え方・方法そして成功体験に縛られ、それが足枷になります。
いざ、取り組むうえでは退路を断ち、強い意思を持って取り組むべきです。
今一度、わが社の状況を振り返ってください。

AUTHOR著者
デジタルコンサルティング事業部
マーケティングDX ゼネラルマネジャー
西井 勝

生活日用品メーカーにて法人営業を経験後、当社へ入社。アウターブランディング戦略、インナーブランディング戦略、コミュニケーション戦略、プロモーション戦略など、立案から実行支援、クリエイティブ領域までワンストップでの提供に携わる。得意なテーマは、ブランドコンセプト策定・アウター&インナーブランディング推進。常に本質を捉え、クライアントに寄り添って課題解決することを信条としている。

西井 勝
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