DXとIT化の決定的な違いとは?

コラム 2023.04.03
マネジメントDX 生産性向上 組織
DXとIT化の決定的な違いとは?
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最近耳にすることが多くなった「DX」と「IT化」。一見すると似た者同士ですが、両者は決定的に違います。ポイントは「IT化はDXの手段である」ことです。

IT化は、デジタル技術を活用して業務を効率化し、生産性を向上すること

ITは「Information Technology(インフォメーションテクノロジー)」の略で、コンピュータやネットワークといったデジタル技術のことを指します。たとえば、消費者が物を買おうとするとき、価格や評判についてインターネットで調べてからお店で実物を見て決める。あるいはスマートフォンで通販サイトへアクセスし、そこで購入・決済する。これらはITのおかげです。ビジネスにおいて、契約書や請求書といった書類を電子化することで、紙からの転記がなくなる、ハンコをもらいにいかなくてもよくなる。これもITのおかげです。共通して言えるのは「便利になる」「効率が良くなる」「生産性が向上する」です。

DXは、IT化を通じてビジネスモデルや組織を変革し、競争優位性を獲得すること

DXは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略で、デジタルによる「変革」を指します。フィルムカメラを使わなくても、スマートフォンで写真を撮って保存できますし、映画館に行かなくてもパソコンやタブレットを使って好きな時間・場所で映画を観ることができます。ビジネスにおいても、膨大な顧客情報を活かして新たな付加価値につなげる、販売や生産に関するデータをリアルタイムで収集し、スピーディーな経営判断につなげる、といったことができます。このように、IT化を通じてビジネスモデルそのものを変革し、それに応じて組織や働き方を変革することで、企業は競争優位性を獲得し、将来も生き残ることができるのです。

IT化はDXの手段である ~DXの実現に向けて、まずはIT化から始めよう~

「IT化はDXの手段である」ことがお分かりいただけたかと思います。DXに向けたIT化に取り組むにあたって、ポイントが3つあります。

①データを電子化すること
DXにおいてはデータをどう活用するかが大きなポイントです。営業マンの活動記録(日報)が紙では、お客様の特徴や、過去に誰がどのような接点を持ったかを一元管理することが難しく、今後どういったアプローチをするかといった取り組みにつなげることも難しくなります。また、工場での生産記録(日報)が紙では、機械の稼働状況を把握するのが難しく、設備投資やメンテナンスの計画を立てるのも難しくなります。こうしたデータを電子化する、つまりIT化することをまず考えましょう。

②リソース(人・時間・予算)を創出すること
DX、つまり変革するためには、人・時間・予算をしっかり確保する必要があります。まず既存の業務のIT化に取り組むことで、業務を効率化し、生産性を向上させ、DXのための原資を創出することを意識しましょう。

③DXに対する企業・社員のマインドの醸成
DXにより、今までの仕事のやり方のみならず、会社の体制自体もガラリと変わることが考えられます。それどころか、変わらないと、将来生き残ることは難しいとも言えます。まず身近なところからIT化を進め、成功体験を積み重ねることで、DXに積極的に取り組もうという雰囲気、つまりマインドを醸成することができます。

IT化もDXも構想が勝負!~わが社にとってのDXを定義しよう~

しかし、だからといって、目の前にあるものから順にIT化するのも良くありません。IT化もDXも、構想が勝負です。IT化の先にはDXがあり、DXの先には企業価値向上があります。DXを通じて私たちは何を実現するのか、そのためのIT化として私たちは何をしなければいけないのか、構想をしっかり描くことが肝心です。
構想の正解は1つではなく、企業の経営理念やビジョンによっても変わってきます。たとえば、コロナ禍をきっかけにして、在宅勤務などの新しい働き方が一気に普及しましたが、今これを元に戻す企業と、継続する企業に分かれています。「リアルのコミュニケーションこそ大切だ」と考えれば元に戻すべきですし、「Web会議を活用すれば多様な働き方ができる」と考えれば継続するべきです(もちろん両立して良いところ取りをする企業もあります)。これらはすべては「目的」や「構想」があってこその判断です。

今一度、自社にとってのDXを定義してください。そのためには何をしなければいけないか、あるべき姿からの逆算でプランを立て、あるべき姿に向けて社員が一枚岩となり、一歩ずつ取り組みを進めていただきたいと思います。

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AUTHOR著者
デジタルコンサルティング事業部
マネジメントDX チーフマネジャー
田崎 修平

大手酒造メーカーで17年間、工場での製造管理・業務効率化、本社での生産管理・原価管理・事業計画策定など幅広い業務に従事し、当社に入社。DXを取り入れながら、現場やバックオフィスの生産性向上を手掛けている。企業の最前線で働く人の気持ちに寄り添い、現場主義で粘り強く課題と向き合い、クライアントとともに解決に当たるコンサルティングが支持されている。

田崎 修平
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