BtoBマーケティングとは?成果を出すための効果的な戦略立案方法

コラム
マーケティングDX 戦略・計画策定 デジタルマーケティング売上拡大市場
BtoBマーケティングとは?成果を出すための効果的な戦略立案方法
目次

1.BtoBマーケティングとは

BtoB(Business to Business)とは、商品・サービスの企業間取引のことを指します。BtoBと対比される言葉としてBtoC(Business to Customer)がありますが、BtoCは個人が顧客であるのに対し、BtoBでは企業が顧客となります。例えば、「ねじ」や「ばね」などの部品を作っている企業が、航空会社や自動車メーカー、工作機械メーカーと取引をして自社の製品を買ってもらうことはBtoBに当てはまると言えます。
すなわち、BtoBマーケティングとは「顧客となる企業」に対して、「商品・サービスが売れるしくみを構築すること」を言います。

2.BtoBマーケティングの特徴

BtoBマーケティングにおいては、BtoBの取引の特徴を知る必要があります。BtoBにおける取引の特徴としては以下のようなものがあると言えます。

(1)1回の取引規模が大きい

企業同士の取引となるBtoBは、一般消費者との取引であるBtoCと比べると、一般的に1回の取引規模が大きいと言えます。
例えば、リンゴを販売する場合を考えるとBtoCであれば1人に対する販売個数は1個や2個となりますが、BtoBのようにスーパー1店舗に卸す場合であれば販売個数は一度に何百個、何千個となります。このようにBtoB取引は、1回の取引規模が大きいという特徴があります。

(2)意思決定に関与する人が多い

BtoBにおける顧客は企業であるためBtoCの顧客のように個人がその製品・サービスを購入するのではなく、企業の購入ルールや予算、仕様に基づいて購入をすることが主になります。そのため、BtoBにおける購入の意思決定においては、1人の社員が意志決定をするのではなく、社員の上司や契約担当社、技術担当者、時には経営陣も意思決定に関与することがあります。
このようにBtoBの購入においては、商品やサービスの購入に多くの人が関与するといった特徴があると言えます。

(3)取引が安定しやすい

BtoBの取引においては、上記のような多くの関与者の意思決定を経て、取引が開始されるため一度取引が開始されると継続した取引になる可能性が高く、安定した取引につながりやすいといった特徴もあります。これは、取引先を変更することにコストやリソースがかかることが理由の一つと言えます。
BtoBマーケティングにおいては、以上のようなBtoB取引の特徴を抑えた上でマーケティング戦略を構築することが重要となります。

3.BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違い

上記に記載したBtoBマーケティングの特徴について、BtoCマーケティングと比較したものが以下の表になります。

  BtoBマーケティング BtoCマーケティング
主なターゲット 企業 一般消費者
1回の取引の規模 大きい 小さい
意思決定関与者 多い 少ない
取引の安定さ 安定しやすい 安定しにくい
購買の傾向 論理的・合理的な購買 感情的・情緒的な購買
購買決定までの期間 長い 短い

(図:BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違い、タナベコンサルティング作成)

BtoBマーケティングにはBtoCマーケティングと異なる点が多くあります。
前述のBtoBマーケティングの特徴に記載した内容に加え、BtoBマーケティングにおける購買の傾向としては「論理的・合理的な購買」がみられ、BtoCマーケティングにおける購買の傾向として「感情・情緒的な購買」がみられます。また、購買決定までの期間がBtoCマーケティングよりもBtoBマーケティングの方が長いという特徴もあります。
なぜこのような違いが表れるかというと、先ほどのBtoBマーケティングの特徴で挙げた「購買において意思決定に関与する人が多い」という点が大きく影響をしているためです。
社員は上司や経営層へ「なぜこの商品・サービスを購入するのか」という論理性や合理性が求められますし、その意思決定のためには個人が商品を購入する場合と比較して、多くの時間や調整が必要となります。
BtoBマーケティングにおいては、このようなBtoCマーケティングとの違いを理解した上で戦略立案を行うことが重要と言えます。

4.BtoBにおける購買行動の変化

新型コロナウイルスなどの外部環境の変化を受け、DX化が進むに伴いBtoBにおける購買行動も変化が表れてきています。
経済産業省が行った「令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書(2023年8月)」によると、2022 年の BtoBのEC 市場規模は、420 兆 2,354 億円(前年比 12.8%増)となり、EC 化率は、前年から 1.9 ポイント増の 37.5%であったと言われています。ここでいうEC(electronic commerce)とは、電子商取引、すなわちインターネット上で行われる物やサービスの取引のことを指します。また、EC化率とは、BtoB の商取引市場規模を分母、BtoBのECの市場規模を分子とした割合のことを示しています。

BtoB-EC 市場規模の推移
※出所:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書(2023年8月)P9」

このような市場規模の変化からBtoBの取引においてもインターネット上での取引が増えてきていることが読み取れます。一方で、2022年のEC化率が37.5%であることから、まだ6割以上はインターネット以外での取引が占めていることを表しています。
以上のことから、BtoBの購買行動は「リアル」、「デジタル」のどちらか一方だけではなく、「リアル&デジタル」の両方を活用する方向へ変化していると考えられます。

5.BtoBマーケティングを成功させるための効果的な戦略立案方法

上記のようなBtoBにおける購買行動の変化を踏まえた上で、BtoBマーケティングを成功させるためには「リアル」だけではなく「リアル&デジタル」を加味した戦略立案が必要となります。
具体的には以下の3つのポイントに注意して戦略立案することが重要と言えます。

(1)自社の強みの明確化
(2)勝てる場の発見(勝ちパターンを見える化とターゲットの絞り込み)
(3)コンテンツ生成

BtoB取引においては購買に係る関与者が多いため、購買に関する意思決定が複雑になるため、製品やサービスの選定において論理性や合理性が求められます。そのため、自社の製品を選んでもらう論理性や合理性を明確にし、それを活かして勝てる場を見つけ、コンテンツ化していくことが大切となります。
ここではそれぞれのポイントについて詳しく説明いたします。

(1)自社の強みの明確化

BtoBマーケティングの戦略を立てる大前提として、自社の強みを明確にする必要があります。これは「なぜ自社の製品がお客様に選ばれているのか」という理由を明確にすることと同様の意味になります。
前述にてBtoBマーケティングにおける購買の特徴として「論理的・合理的な購買」があることをお伝えしました。「論理的・合理的な購買」が必要になる理由としては「購買の意思決定に関与する人が多い」ため購買に関する意思決定が複雑になることがあります。
このような複雑な意思決定においてはお客様に自社の製品を買っていただくために、「購買に関与する多くの関係者全員が理解・納得できる強みや理由」が必要となると言えます。
そのためBtoBマーケティングを成功させるためにはまず「顧客が理解・納得できる強みや理由」として自社の強みを明確化することが大切です。

(2)勝てる場の発見(勝ちパターンを見える化とターゲットの絞り込み)

2つ目のポイントは、勝てる場の発見になります。自社の勝てる場は「勝ちパターンを見える化し、ターゲットの絞り込む」ことで見つかります。
優秀な営業担当者に属人化している「自社の勝ちパターン」を棚卸し、提案方法や活用ツールをコンテンツ化することで、個人に埋没していたバラバラなノウハウを統一します。これにより顧客へ届けるメッセージが統一され、各営業担当者の「力量」による成約率の差を最小化し営業の生産性を向上させることができます。

勝てる場の発見(勝ちパターンを見える化とターゲットの絞り込み)
※タナベコンサルティング作成

またWebサイト上での検索において自社サイトへの流入キーワードや流入キーワードの検索ボリュームを調べることによって、顧客がどのような課題やニーズをもって自社サイトを訪れており、同じような課題やニーズを持った人がどの程度存在するのかを把握することができます。このようにして自社はどういった課題やニーズを持っている企業をターゲットにしていくか、というターゲットの絞り込みが可能になります。
DX化が進む昨今においてはこのようにWebサイトを通じてターゲットの絞り込みをしていくことも効果的な方法と言えます。

(3)コンテンツ生成

自社の強みがわかり、勝てる場を把握することができたら、それらを活かすためのコンテンツを生成していくことが必要になります。自社の強みをPRできるような会社案内やWebサイト、勝てる場にいるターゲットが抱える課題に対して解決した事例のコンテンツ化など様々なコンテンツが考えられます。
このようなコンテンツを通じて、ターゲットに対して、自社の強みが届くように発信していくことも重要になってきます。 

6.戦略立案の具体的な方法、ポイント

ここまで戦略策定の方法について記載してまいりましたが、ではそれぞれのポイントを具体的にどのように取り組めば良いのでしょうか。ここでは各ポイントを実施するための具体策を説明していきます。

(1)自社の強みの明確化

①CSアンケート

CS(Customer Satisfaction)とは顧客満足度を意味する用語で、CSアンケートとは顧客に自社の製品・サービスに対する満足度調査を行うことを言います。
CSアンケートの項目に「自社の製品・サービスを選んでくれた理由」や「自社の製品・サービスとよく比較検討する製品・サービス」などを聞くことによって、自社の強みであり、選ばれている理由を明確化することができます。

(2)勝てる場の発見(勝ちパターンを見える化とターゲットの絞り込み)

①営業メソッドの棚卸し

優秀な営業担当者が普段どのように営業をしているかを棚卸することが重要になります。優秀な営業担当者が営業活動の中で気を付けていることや、製品・サービスに関する説明の順番、また営業活動の中で成功した事例や失敗した事例などを棚卸して見える化することが重要になります。

②競合優位性のあるキーワード抽出

GoogleサーチコンソールやGoogleトレンドなどのツールを活用することで、自社サイトへの流入キーワードや、検索ボリュームを把握することができます。これらにより、自社が競合優位性を有しているキーワードを抽出することができます。

(3)コンテンツ生成

①ブログ、ウェビナー、用語解説、会社案内

Webサイト以外にもビジネスブログの開設やウェビナーの開催などのコンテンツ生成により、新規顧客を開拓することが可能になります。これら以外にもお役立ち情報や業界の用語解説、他社との比較表の作成などコンテンツには様々なものがあります。
自社の強みの把握や勝てる場の発見だけでなく、これらをコンテンツ化して顧客に自社の強みを届けられるよう取り組んでいくことが大切になります。

以上になります。本記事ではBtoBマーケティングとはという基本知識から、BtoCマーケティングとの比較、BtoBマーケティング戦略立案方法について解説をいたしました。
BtoBマーケティングにおいては、デジタルとリアルの両方を活用して「自社の強みを明確化」し「勝てる場を見つけ」「コンテンツを生成」して顧客に届けることが重要となってまいります。これらを意識して効果的な戦略を立て、効果的なBtoBマーケティングに取り組んでいきましょう。

関連資料
AUTHOR著者
デジタルコンサルティング事業部
マネジメントDX
山崎 雄大

地方自治体にて予算・決算調整および長期収支計画策定、飲料メーカーの新ブランド立ち上げ参画、その後、中小企業支援機関にて年間60社以上の経営者へ事業計画立案支援を経験し、当社へ入社。デジタルを活用したブランディング、マーケティング支援に従事し、常に経営者視点を意識したコンサルティングを心掛けている。

山崎 雄大
関連サービス
DXナレッジ

関連記事

ABOUT
TANABE CONSULTING

タナベコンサルティンググループは「日本には企業を救う仕事が必要だ」という
志を掲げた1957年の創業以来、66年間で大企業から中堅企業まで約200業種、
17,000社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。

企業を救い、元気にする。私たちが皆さまに提供する価値と貫き通す流儀をお伝えします。

コンサルティング実績

  • 創業 66
  • 200 業種
  • 17,000 社以上