BtoBデジタルマーケティングの潮流と競合に勝つポイントとは

コラム 2023.04.27
マーケティングDX 戦略・計画策定 デジタルマーケティング
BtoBデジタルマーケティングの潮流と競合に勝つポイントとは
目次

営業のデジタルシフトの重要性が高まる昨今、BtoBデジタルマーケティングのご依頼が増えています。
当社では、大企業・中堅企業をご支援する際、以下のような流れでデジタルマーケティングを支援するケースが増加しています。

①事業分野・商品を限定してデジタルマーケティングを立ち上げ(あるいは改善強化して)成功事例を作る。 ②成功事例を基に、そのエッセンスを凝縮した水平展開用のコンテンツを作り、全社のデジタルシフトとして推進する。

このコラムでは、企業様を支援する中で見えてきたBtoBマーケティングの現在の潮流と競合に勝つポイントについて考察していきます。

BtoBデジタルマーケゲティングの潮流

2000年台はインターネット技術の進化と普及により、多くの企業がデジタルマーケティングの取り組みを開始しました。しかし、営業力や顧客基盤が強い企業(大企業・営業会社・老舗企業)では、 Web活用の効果性に懐疑的な反応が見られ、進化を止めてしまうことが多く、 Web活用の度合いに大きく開きが出た時代でした。

その、流れを以下のように整理しました。 ①多くの企業が会社案内型Webサイトを立ち上げる ②Web制作技術やネット環境が急速に進歩し、商品カタログ型Webサイトへ進化 ③SEOやリスティング広告に取り組むケースが増えてくる ④商品サイト構築が流行。SEOやリスティング広告でリーチを広げ、CV率引き上げを図る ⑤展示会獲得リードに対するメール配信など、メールマーケティングがBtoBでも一般化

2010年台に入るとBtoBデジタルマーケティングは、マーケティングオートメーション(MA)の登場で大きな変革期を迎えました。2013年にOracle社のEloquaが日本で本格販売を開始し、2014年になるとMarketoを販売する現Adobe社が日本法人を設立します。SATORI、Kairos3など国産MAツールの本格展開も始まりました。2016年にはHubSpotが日本法人を設立し、2017年にはセールスフォールス社のPardotが日本語化されています。

マーケティングオートメーションの普及とともに、「デマンドジェネレーション」というグローバルスタンダードのマーケティング手法が日本でも認知されるようになり、大企業が取り組みを開始しました。

デマンドジェネレーションとは、営業部門へ渡すための見込み案件の創出・発掘活動全般のことを意味します。
大きく分類すると、リードジェネレーション(見込み顧客獲得)、リードナーチャリング(見込み顧客育成)、インサイドセールス(関係構築・情報収集)、リードクオリフィケーション(見込み顧客の絞り込み)、セールスと5つのプロセスから成り立っています。

従来型のWEBマーケティングは見込み顧客をいかに効率よく集める、もしくはSEOや広告による施策で見込み顧客を数多く獲得し、直接セールスや成果へつなげる2プロセスの考え方で、上記の育成や絞り込みといった概念はありませんでした。

当社の事例では、コロナ禍におけるデジタルマーケティングで成果を伸ばした企業の特徴として、非対面の顧客体験が仕組み化されていることが重要であると分かりました。

このことから、デマンドジェネレーションとは"非対面での顧客体験の創造"であるとも言えます。

コロナ収束後も非対面営業は一定の割合で残ることを想定すると、"対面営業の顧客体験"に追加して、"非対面の顧客体験の創造"を行っている企業がこれからの"勝ち組"になっていくと考えられます。

ただし、デマンドジェネレーションを進めるにはデータマネジメントが欠かせません。
SFA・CRM・MAツールや、各イベントの参加者リストなど、見込客情報・行動履歴情報が集約できていない場合は一貫したマーケティングができないため、データマネジメントを行い解決する必要があります。

デジタルマーケティングにおけるリード獲得から営業活動までのデータ管理マネジメント体制を構築するにあたり、強力なデマンドセンター(デマンドジェネレーションの推進チーム)づくりが BtoBデジタルマーケティング成功のカギとなります。
社内横断的にコミュニケーションを取り、一定の権限を持って活動する組織が必要になるため、自社のデジタル戦略の中でどのような推進体制にするのかを明確にする必要があります。

デジタルマーケティングで競合に勝つために押さえておくべきポイント

今回、デジタルマーケティングで競合に勝つポイントとして挙げるのは、"課題解決型の提案をデジタル上で実現すること"です。

「モノ売りからコト売りへ」というテーマはBtoB企業の重要トピックになっています。多くのBtoB企業の中期計画でも盛り込まれている経営トレンドであり、コト売りとは言い換えれば「課題解決」とも言えます。
「コト売り」を実現するためには、購買行動の前段階から顧客接点を作っていくことが必要であり、デジタルマーケティングもできる限り前工程から接点を作っていく流れが重要です。

デジタルマーケティングには、"顧客・見込客の課題解決や購買活動においてスムーズでより良い意思決定ができるよう適切なコンテンツを配信し、適切な課題解決や購買活動ができるように支援するマーケティング手法"としてコンテンツマーケティングがあります。
インターネットを駆使して課題解決や購買活動を進める購買担当者に、役立つ情報を提供して結果的に自社の商品を選んでもらうためのアプローチであり、コト売り・非対面営業に対応するアプローチとして有効です。

コンテンツマーケティングを成功に導くポイントは下記の5点です。 ①多数のコンテンツがあるため、検索エンジンでヒットしやすく新規見込客との接点を作ることができる ②顧客の課題解決・購買行動に役立つ情報を提供することで良質な顧客体験を実現し、競合他社と差別化をはかる ③見込客・顧客にメール配信し、サイト内の行動履歴から興味関心を把握する ④興味関心や購買プロセスに合った情報発信を行い、顧客体験を強化する ⑤行動履歴から見込客を抽出し、インサイドセールスから営業へとつなげる

このコロナ禍において成果が出ている企業と出ていない企業の違いとして顕著なのは「保有リード数」と「コンテンツ数」です。短期の費用対効果のみではなく、この2つの"ストック"を先行投資して作ってきた企業は今、大きな成果につながっています。「保有リード数」と「コンテンツ数」が多ければ、より多くの顧客・見込客に、より適切な"非対面"での顧客体験を創造することができます。

また、短期的な成果を求めるのではなく、2~3年を見据えた中⾧期視点で「投資」も必要です。KPIの設定についても「パフォーマンス」だけではなく「資産」を評価していくことが重要です。
最新トレンド・連載記事・事例・ソリューション訴求・社内座談会・イベントレポートなど、より数多くのコンテンツを掲載し、顧客に役立つ情報を発信することが、顧客の課題解決フェーズからの接触(情報獲得)に繋がります。

デジタルマーケティングは今や、広告施策・見込客発掘施策の1手法ではありません。
顧客のインターネット活用が進む中、企業は非対面の顧客体験を "追加設計" し、競合他社よりも、より多くの顧客接点と強力な顧客体験を提供していくことが重要となります。

デジタルマーケティングの技術は急速に進化し、顧客・見込客の購買活動も大きく変化してきています。そして、コロナ禍により、BtoBにおいてもデジタル化が急激に進行しました。
しかしながら、大きな環境変化に直面しながらも、未だにデジタルマーケティングを 2000年代の "Webマーケティング" のイメージで捉えている企業は多く、本質を捉えて投資を重ねてきた企業との間に、既に大きな開きが出てきています。

繰り返しになりますが、企業がデジタル時代に勝ち残るためには、『"非対面の顧客体験"の設計』を追加し、競合他社より『良質な顧客体験を提供』することが大事です。この2点を達成し、強力なデジタルマーケティングの推進と、成果につなげましょう。

AUTHOR著者
執行役員 デジタルコンサルティング事業部
マーケティングDX
庄田 順一

マーケティング戦略パートナーとして、顧客に向けたデジタルとリアルを融合したコミュニケーションの戦略設計コンサルティング活動を展開。顧客創造に向けたWEBとリアルを融合した集客プロモーションコンサルティングにより売上げ拡大を支援。マーケティングの戦略策定から、実行・運営までトータルでサポート。特にプロモーション企画とその推進マネジメントを通じた人材育成で、クライアントから高い信頼を得ている。

庄田 順一
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