DX化フレームワーク構築による業務改革計画策定

コラム 2023.04.03
DXビジョン&ビジネスモデルDX 戦略・計画策定 フレームワーク
DX化フレームワーク構築による業務改革計画策定
目次

DXとは何かを理解する

ここではDXをデジタル技術を用いた経営革新と定義します。その場合、個別業務のデジタル化とは大きく異なることをご理解ください。
経済産業省の定義を見ていくと、DXを
①デジタルトランスフォーメーション
②デジタライゼーション
③デジタイゼーション
の3つの層に区別しています。
デジタイゼーションというのは、アナログデータのデジタル化を指しています。例えば、帳票や請求書など紙ベースのものをデジタルデータに置き換えることをいいます。
デジタライゼーションとは、業務プロセスのデジタル化のことをいいます。これは例えば、電話やFAXなどで行っている受注・請求業務をクラウドシステムなどに移行することが挙げられます。
最後に、デジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術を用いた事業やビジネスモデルの変革を意味します。

デジタルトランスフォーメーションがDX、デジタライゼーション・デジタイゼーションがデジタル化と捉えると良いです。
ここでのポイントは、デジタライゼーション・デジタイゼーションがDXには不可欠であるというところになります。

DXプロジェクトの進め方を、デジタル化との違いも交えて簡単に説明します。
DXでは社内の人材を活用し、全員参加型のプロジェクトになります。これはDXが継続的な活動であり、社内の人材改革が必要であるためです。外部人材を活用して、縦割りで進むデジタル化とは大きく性格が異なる部分があります。システム選定に対しても、現状のシステムや業務を前提とするのではなく、抜本的な改革を目指していくことになります。
投資の性格も大きく異なります。DXは中長期的かつ大規模な投資効果を狙うものです。そのため、投資金額は数百万円~数千万円にのぼることもあり、効果を実感するまでの期間としては、最低3年から場合によっては5年程かかることを想定しております。
これに対してデジタル化は、数万円~数百万円の投資で、短ければ数カ月でも成果を出すことができます。本当の意味でのDXを進めるためには、取り組む時間やコストを覚悟して進めていくことが必要になります。
DXはビジネスモデルやオペレーション、組織改革まで視野に入れた痛みを伴う改革です。
だからこそ、現場に丸投げするのではなく、専門の人材をアサインし、経営トップがコミットしていくことが求められます。

DX推進のポイント

ここからはプロジェクトを進めるにあたり、推進のポイントを解説していきます。
DXのよくある間違いも下記にてあげさせていただきます。
皆様の中で、プロジェクトを推進するにあたり、あてはまる項目はありますでしょうか。
①流行りの技術を調べるところから始める
②スピード重視でプロジェクトを開始する
③付き合いのあるパートナーに声をかける
④壮大な目標を掲げる
⑤プロジェクト完了後、定期的な振り返りレビューを実施していない
⑥次のプロジェクトがなかなか起こらない

これらの観点は、DXを進めていく過程で多くの企業がつまずいているポイントになります。

①流行りの技術を調べるところから始めるや、②スピード重視でプロジェクトを開始するは、「目標設定」におけるつまずきポイント
③付き合いのあるパートナーに声をかけるや、④壮大な目標を掲げるは、「推進方法」におけるつまずきポイント
⑤プロジェクト完了後、定期的な振り返りレビューを実施していないや、⑥次のプロジェクトがなかなか起こらないは、「成果抽出」におけるつまずきポイント となります。

各ポイントに中身について見ていくと、
「目標設定」におけるポイントについてですが、技術はあくまで手段であり、目的に応じて手段が異なる部分の認識が不足していることがあります。
目標設定が甘いと、まずゴールが不明確になり、AIやビッグデータなどの活用を目的としてしまい、そのデータを活用して何を成し遂げるべきなのかがわからなくなってしまいます。
課題を明確にしてから、技術を選定するという順番で意思決定することが大事です。
また、成果を計測できないということも大きな問題になってきます。
いわゆるKGI・KPIというような客観的な目標がないと、成果や進捗を正しく把握することが後々難しくなってきます。
客観的な目標を定めて進捗管理を実施することが必要です。
また、効果が持続しないという状況も生まれてしまいます。現在の課題の解決手段から入ってしまうと、どうしても10年後や20年後の会社としてのあるべき姿を考慮出来なくなります。課題設定は、現在と未来双方の視点に基づき設定し、解決手段を検討する必要があります。

次に「推進方法」についてですが、DXは中長期的な改革であることから最終的には知識の内製化を目指し、具体的な課題から着実に成果を出すことが求められます。
進め方を間違えてしまうポイントとしては、ITベンダーなどにすべてを任せてしまった結果、社内に知見が広がらないといったケースがあります。あくまで協力企業は伴走車であるという前提で進める必要があります。
また、自社のシステムに合わない仕組みが出来上がってしまってからでは、使われないシステムになってしまうので、「業種」の特性や、「システム」双方に明るいパートナーを選定することがポイントとなります。
3点目のポイントとして上げた「成果抽出」についてですが、成果へのこだわりが甘いと、まずDX改革が形骸化してしまうことが発生します。補助金や助成金が出ることで取り組み始める企業も多いですが、「デジタル化」したということだけで成果が終わってしまいます。課題と成果指標を明確化し、手段の目的化を防いでいくことが必要となります。
次に、推進力の先細りということも発生します。デジタル化の先に経営課題の改革であるという本質的な意義が浸透しないうちに、目先の成果が出て安心してしまったり、活動が止まってしまうケースがあります。取り組み事態の本質的な意義を初期段階から周知徹底することと、定期的に振り返りの場面を創り、共有をはかっておくことが大切になります。

ここまでで、「目標設定」「推進方法」「成果抽出」について、つまずきポイントとその改善策について明示しました。
今一度、社内プロジェクトを開始する際や、パートナー企業を選定する際に参考にしていただきたいです。

AUTHOR著者
デジタルコンサルティング事業部
マーケティングDX ゼネラルマネジャー
藤島 安衣

マーケティングやブランディングの戦略策定~戦術の展開まで一気通貫して対応広告制作ディレクター、コピーライター、塾講師、会場運営、モデル・俳優などを経験。誰よりも顧客を理解することに努め、顧客の歩む道を見据えたプランニングを行う。スピーディなPDCAを回し、現場を着実に変えるコンサルティングスタイル。

藤島 安衣
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