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発達段階別の人事制度改革(アンバー組織)

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はじめに

発達段階別の人事制度改革(アンバー組織)

本コラムでは、フレデリック・ラルー氏が著書「ティール組織ーマネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現ー」にて提唱しているティール組織に至るまでの「5つの過程」より、組織の発達段階別の人事制度施策についてまとめていきたい。
※大前提として、どの組織の発達段階が良い悪いという考えは一切無いものとして考察していく。

第2回目は、アンバー組織(メタファー:軍隊)における人事制度改革ポイントである。

アンバー組織とは

アンバー組織とは

アンバー組織とは、厳格なヒエラルキー(階級)に基づく指揮命令系統によってマネジメントを行う組織形態である。
特定の個人が支配的にマネジメントを行うレッド組織とは違い、役職やポジションといった「立場」が重視され、それぞれの立場の中で、価値発揮することを習慣化された集団である。
この組織に集うメンバーは「立場の範囲内」で価値を発揮することに慣れているため、イレギュラーへの対応(階層を超えた対応)や急な環境変化(これまでに経験の無い事象)に対しては、柔軟な対応ができないといった特徴を持つ。

アンバー組織における人事制度

アンバー組織における人事制度

筆者は、組織の発達段階が「アンバー組織」にある企業のコンサルティングを行っているが、評価制度や賃金制度においても、ヒエラルキー(階級)やポジション(立場)が重視されやすい傾向にある。

大阪に本社を構えるA社では、ヒエラルキー重視の人事制度を長年運用した結果、慢性的な役割発揮レベルの逆転現象が至る所で発生している。

一見すると、立場を重ねた方に対して、処遇を手厚くしているため、整合性の取れた制度に見えるものの、
実際には、役割発揮レベルにおいて逆転現象が生じている。

部長と課長では、ヒエラルキー(階級)上は、当然部長が上であるものの、役割発揮レベルでは、必ずしも上とは限らない。
立場に依存し過ぎた結果、役割発揮を疎かにしてしまい、このような事態が慢性的に生じているのである。
等級基準(役職基準)一つとっても、抽象度の高い等級基準(役職基準)となっており、部長と課長の役割発揮レベルの差異が明確でないこともこれらを生じさせた一因であると言える。

また、同じく大阪に本社を構えるB社では、等級基準(役職基準)が具体化されており、立場と役割発揮レベルも統一されているにも関わらず、アンバー組織特有の組織課題が生じている。

それは前段でも述べたような、「立場の範囲内でしか価値発揮しない。」といった極めて硬直的な思想が組織全体に根付いてしまっている事実である。

アンバー組織における人事制度改革ポイント

アンバー組織における人事制度改革ポイント

では、事例企業のようなアンバー組織において、どのような判断基準をもとに人事制度を改革すべきかを掘り下げていきたい。
改革ポイントは①役職主義の廃止、②限定的な役割範囲(ボーダー)の排除、③等級と役職の分離運用である。

①役職主義の廃止
役職主義の廃止については、単に役職そのものを無くすという訳ではなく、それぞれの役職者が担うあるべき役割を明確に定義することを推奨したい。

②限定的な役割範囲(ボーダー)の排除
あるべき役割を明確にしつつも、役割範囲そのものが、限定的にならないよう、線引きし過ぎないことがポイントとなる。
各人の主体性により、新たな役割を発揮すること自体を役割として定義することもおススメである。

③等級と役職の分離運用
多くの企業では、等級=(イコール)役職と重ねた運用に終始しているため、結果的に年齢を重ねた方が等級においても役職においても、上位に位置するケースが多いと言える。
そこで等級と役職の分離運用である。
等級と役職を分離して運用することで、仮に年齢を重ねた方が等級としては上位等級に位置することになったとしても、役職の任命をしなければ、先述のような逆転現象は発生しない。
反対に、若手人材であったとしても、マネジメント適性のある人材であれば、等級を上げずに、役職者として任命することもできる。
等級と役職の分離運用の根幹にあるのは、「役職者」は偉い・偉くないの議論ではなく、「あくまでも役割の一つである。」 といった考え方である。

さいごに

ここまで読み進めていただき、お気づきになった方もいらっしゃるかもしれないが、アンバー組織に対して、ヒエラルキーがもたらす境界線を排除し、「主体的で柔軟な発想」を付加することによって、自ずとオレンジ組織やグリーン組織の片鱗が伺えるのである。

次回はオレンジ組織に焦点を当てて、考察を進めていきたい。

この課題を解決したコンサルタント

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