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発達段階別の人事制度改革(オレンジ組織)

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はじめに

はじめに

本コラムでは、フレデリック・ラルー氏が著書「ティール組織ーマネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現ー」にて提唱しているティール組織に至るまでの「5つの過程」より、組織の発達段階別の人事制度施策についてまとめていきたい。
※大前提として、どの組織の発達段階が良い悪いという考えは一切無いものとして考察していく。

第3回目は、オレンジ組織(メタファー:機械)における人事制度改革ポイントである。

オレンジ組織とは

オレンジ組織とは

オレンジ組織とは、アンバー組織同様に、一定のヒエラルキー(階級)は存在するものの、ヒエラルキーを「単なる年功的な思想」と捉えるのではなく、成果(主に数値)によって、階級や立場を変動させる「実力主義的な思想」と捉えている点に違いがある。
ゆえに、本人の努力や能力向上次第では、報われやすい組織であると言える。

しかし、主たる成果(=実力)の基準は「数値」にあると考える傾向が強く、成果に対するエビデンス(根拠)が多少曖昧だったとしても、気付かず、分別を欠いた状態で主張し合う風土が形成されやすい。
俗に言う「勝てば官軍」のような風土である。

度が過ぎると、特定の数値やスコアのみ追いかける人材が増えるため、全体最適よりも部分最適に陥りやすく、目的と手段を見誤った組織を生み出しかねないため注意が必要である。

オレンジ組織における人事制度

オレンジ組織における人事制度

筆者は、組織の発達段階が「オレンジ組織」にある企業のコンサルティングを行っているが、評価制度や賃金制度においても、「実力主義的な思想」が重視されやすい傾向にある。

大阪に本社を構えるA社では、実力主義重視の人事制度を長年運用した結果、成果(数字による成果)を出した者は報われる仕組みは確立されていた。
しかし、「成果」と「組織成長」との相関関係については一切追求せずに人材配置を行ってきたため、例えマネジメントやリーダーシップの適性が無い人材であったとしても、成果を上げたという理由から、役職登用を繰り返したため、結果的に「組織運営」や「人材育成」に関心を持たない方々がマネジメント層(管理職以上)の大半を占める結果を招いてしまったのである。

また、同じく大阪に本社を構えるB社では、30年以上に渡って年功序列型人事制度を運用してきており、能力や役割に差が付きづらい業種であったにもかかわらず、半ば強引に、実力主義重視の人事制度へ方向転換したため、組織にカルチャーフィットせず、急な制度変更に不満や違和感を感じた社員の人材流出に歯止めがかからないといった問題を抱えることになった症例もある。

オレンジ組織における人事制度改革ポイント

オレンジ組織における人事制度改革ポイント

では、事例企業のようなオレンジ組織において、どのような判断基準をもとに人事制度を改革すべきかを掘り下げていきたい。

改革ポイントは
①自社における成果の再定義
②マネジメント職に対する再認識
③年功と成果の共存
である。

①自社における成果の再定義
先述の通り、自社における成果は何も数字や結果に限らない。
業績への貢献を成果と定義することも当然重要であるが、顧客に対する貢献や組織に対する貢献を成果と定義することも
重要である。大切なことは自社の持続的成長に対する重要成功要因が何かを正確に掴むことである。

②マネジメント職に対する再認識
成果を出した方がマネジメント職を担うという考えに固執する時代ではない。
マネジメントには適性があり、年齢や経験も当然重要であるが、それよりも、本人の適性を最大限に発揮できるかどうかの
観点から、視野を広げ、抜擢人事していく時代に来ていると言える。マネジメント層(役職者)が偉い、偉くないといった
ヒエラルキー的な発想を改めるタイミングに来ていると言える。

③年功と成果の共存
必ずしも「年功序列の思想」が悪い訳ではなく、本コラムで考察を進めてきた「成果主義の思想」が悪い訳でもない。
大切なことは、自社の未来に対して、一体感や共同体感覚を醸成するために、年功の要素と成果の要素をいかに自社独自の
思想として昇華できるかである。

さいごに

ここまで読み進めていただき、お気づきになった方もいらっしゃるかもしれないが、オレンジ組織に対して、ヒエラルキー(数字を中心とした成果主義)がもたらす境界線を拡大し、「成果に対する解釈を広げる発想」と「自社独自の一体感を高める思想」を付加することによって、自ずとグリーン組織の片鱗がうかがえるのである。

次回はグリーン組織に焦点を当てて、考察を進めていきたい。

この課題を解決したコンサルタント

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