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トラックドライバー職の人事評価制度の現状と改善ポイント

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ドライバー職の企業へのエンゲージメントを高め、定着率・パフォーマンス向上を目指す

トラックドライバー職の人事評価制度の現状と改善ポイントのはじめに

はじめに

物流業界における「2024年問題」は業界で働いていない方でも、耳にしたことがあるのではないだろうか。物流の市場規模はECサイトやネットショッピングの普及により年々拡大を続けており、新型コロナウイルスをきっかけに食事や日々の買い物さえも自宅まで配送することが日常となった。さらに「翌日配送」や「時間指定配送サービス」など多様なサービスが普及しており、「物流」は今の生活をする上でなくてはならない存在である。

そうした需要が高まる中、ドライバー不足が深刻な問題となっている。労働力不足だけではなく、働き方改革関連法の一環として「時間外労働の上限規制」が実施され、サービスを維持するための対策が喫緊に求められている。

企業は物流業務の効率化やオペレーションの見直しなどの対策だけではなく、ドライバーの雇用維持に向けた取り組みが必要となる。ドライバーは「時間外労働の上限規制」により、限られた労働時間の中で好条件の企業や働きやすい職場を求める傾向となり、対策を取らなければドライバーの確保がさらに難しくなる。

本コラムでは取り組み事例やポイントについて紹介したい。

ドライバーにおける評価制度の課題

ドライバーにおける評価制度の課題

ドライバーは、荷物の運搬など一人でトラックを運転することも多く、評価者が日々の行動を評価しにくい特徴がある。また交通ルールや積載量にも制限があるため、定量的な成果を追い求めすぎるのもモラルの低下につながる恐れがある。そのため評価結果に差をつけにくい職種であり、ドライバーに対する評価制度を実施してこなかった企業も多い。

また、ドライバーは交通ルールを守り無事故無違反で安全運転すること自体が評価されることは少なく、当たり前に順守すべきことであるため、交通事故や違反については、出来なければマイナスとして減点評価を採用している企業が多い。中には事故を起こした際の修理代の一部を自己負担にしている企業もある。結果的に出来ていない点ばかりに目が向きやすく、評価制度を通して成長を促しにくい状況であった。

今後ドライバー不足や残業時間規制に伴い、今までと同じ評価方法ではなく、ドライバーの主体性や企業へのエンゲージメントを育む評価制度に変更させていくことが求められている。

ドライバーの評価制度における改定のポイント

ドライバーの評価制度における改定のポイント

具体的にどのような点に着目して評価制度を変更していくか、ポイントを紹介したい。

(1)企業理念の理解・浸透
社員が帰属意識を持ち、エンゲージメントを高めていくためには、企業理念の理解・浸透が必要である。理念唱和を行っている会社もあるが、認知だけではなく、理解し行動に結びつけることが重要である。
ドライバーという仕事だけの繋がりではなく、会社が何を大切にし、何を目指しているのか理解することが帰属意識を高め、会社との繋がりを強めていくことに繋がる。

(2)加点評価で主体性を伸ばす
ドライバーの評価方法に関して、減点評価ではなく加点評価を検討していただきたい。減点評価により、できていないことに着目するのではなく、一人ひとりのできていることに着目し伸ばしていきたい。例えば事故せず帰社することが当たり前ではなく、安全運転で無事に業務を遂行したことを評価するといったポジティブな面として捉えていただきたい。会社に貢献することで評価される風土が根付くことにより、配送効率を高めるためのルート確認やドライバー同士の共有、安全に対する意識など能動的な姿勢へと繋がる。

また定期的に面談を実施し、取り組んだことや、出来なかったことの振り返りを行うことで、何を期待され、課題に対してどのように取り組んでいくのかドライバーの成長を促すことができる。ドライバーは配送業務で日頃のコミュニケーションが少なくなる傾向があるため、面談を通してコミュニケーションの機会を増やし、仕事上の悩みや今後のキャリアについて相談しやすい環境を作ることも重要である。

(3)働きぶりを称賛するシステム
最後に貢献度や働きぶりを人事評価や賃金制度以外で報いることである。その一例として、社内称号などを検討したい。例えば走行距離や物量、無事故日数などを数値化し、ゴールドやシルバーなどの称号を付与することである。称号を付与することで、目標設定や仕事に対する誇りを持つようになり、モチベーション向上に繋がる。

さいごに

ドライバー職における評価制度について紹介したが、なにより事故なく安全に業務を遂行することが最優先である。残業時間の上限規制は働き方改革の一環として、社員が無理な働き方ではなく、安全に業務を遂行する上でもポイントとなる。評価制度の改定により報酬だけに着目するのではなく、社員一人ひとりのエンゲージメントを高め、安全で長く働き続けることができる組織づくりについて検討いただきたい。

この課題を解決したコンサルタント

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