人事コラム
エンパワーメント

エンパワーメントの導入

正しくエンパワーメント(権限委譲)を進める上での構築のポイントとは!?

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エンパワーメントにより企業変革のスピードを向上させる

エンパワーメントとは

エンパワーメントとは

皆様はエンパワーメント(empowerment)という言葉を耳にしたことはあるだろうか。昨今ビジネスシーンにおいて注目されている言葉の一つである。言葉自体は社会福祉、教育現場、医療現場など様々な分野で別の定義で使用されているが、共通している意味としては「持っている力を引き出す」、「発揮する」という事である。本コラムではビジネス現場を前提に「部下に一定の権限を委譲し、創造的な意思決定を促し、育む」という意味として定義する。

そもそもエンパワーメントが注目された背景にあるのは以下の3点が挙げられる。
・経営環境の早期化に伴い、迅速な意思決定が求められるようになった
・人材の流動性が高まり、早期に成果を上げやすい職場環境の整備が必要となった
・OODAループに代表されるように刻一刻と変化する現場環境で意思決定を行うことが必要となった

つまり、エンパワーメントの本質的な価値は権限を与え意思決定する事が個人の自律性を促進し、社員一人ひとりの自発的な成長に繋げていく事にある。

エンパワーメントを成功へ導く4つの着眼ポイント

1.組織の目指すべき姿や方向性の共有

権限を委譲する前に意思決定基準が会社の目指すべき方向性になっているかポイントである。方向性や考え方にバラつきがあるまま導入してしまうと個人によって大きく行動が異なってしまう為、適宜対象者に対して、判断基準や求める事等を共有した上で進める事が重要である。

2.サポート体制の構築

これまでは管理職者に一任されていた権限の一部を部下に任せることになるが、当然最初から全てうまくいく訳ではない。部下が正しい判断を尊重しつつも誤った方向に進まない為に適宜サポートすることがポイントである。例えミスしても容認し、次のチャレンジへ活かせる風土を作っていく事が重要である。

3.判断する上で必要な情報を開示する

管理職者に集約されていた情報を部下にまで開示する必要があり、正確な情報が行き届いていないと正しい判断ができない事もある。与えた権限に対して、どのような情報を開示すべきなのかを整理した上でエンパワーメントの導入を進めていただきたい。

4.人事制度を整える

組織にこれらのポイントを根付かせていく為には人事制度を整えていく事が必要である。新たな役割や権限に応じた人事制度を構築し、自律性を持って働くモチベーションを向上する仕組みとしても重要となる。

注意すべき3つのポイント

1.権限の委譲であり、責任の委譲ではない

エンパワーメントの導入後失敗に終わっているケースが多いのは責任まですべて委譲し、全て部下任せになっているケースである。その場合の多くは上司の業務を軽減するためだけにエンパワーメントを導入しており、エンパワーメントを通じて部下を「育成」するという観点が抜け落ちている。部下の判断を尊重しつつも常日頃から上司・部下とのコミュニケーションを取りつつ、判断基準を醸成させていく事が重要である。

2.組織(上司)がチャレンジを容認する風土にない

権限を委譲した当初から、上司と同じぐらいの成果を出すことは難しく一定期間の試行錯誤・失敗を許容できないと、結果的に部下は主体的に仕事を進めにくくなり、上司も権限委譲に消極的になってしまう。上司と部下が共に悩み中長期的な視点で成果を求めていく事がエンパワーメントの成功のカギである。エンパワーメントの導入目的や目指すべき姿を上司にも正しく伝えた上で導入を進めていただきたい。

3.部下のレベルに応じた権限委譲が出来ていない

例えば新卒社員に重要性の高い権限を委譲しても上手くいかない。また、権限を委譲することで過度のプレッシャーを感じてしまい本来のパフォーマンスが発揮出来ない場合もある。つまり個々のスキルやレベルに応じて権限委譲を進めていく必要がある。個別面談等を通じて部下が抱えている業務の内容や本人のキャリア等を把握した上でエンパワーメントを進めていただきたい。

エンパワーメントの本質的な価値とは社員の能力を最大限に引き出し、意思決定のスピードをあげ企業の競争力を向上させることにある。この変化の激しい時代において社員一人ひとりが経営の参画意識を持ち組織を活性化させるためにも、まずは小さな権限を与え反応や効果を観察した上で、自社なりのエンパワーメントについて考えてみてはいかがだろうか。

この課題を解決したコンサルタント

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