人事コラム
人的資本経営

人的資本経営の視点から考える人事・人材戦略
<人事戦略フォーラム>

本コラムは、2022年10月26日開催「人事戦略フォーラム」(タナベコンサルティング主催)の講演「人的資本経営の視点から考える人事・人材戦略」をまとめた記事です。

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本コラムはタナベコンサルティングのTCG REVIEWにて掲載している記事を転載したものです。
※登壇者の所属・役職などは開催当時のものです。

VUCA※の時代においても企業に持続的成長が求められる中、企業が投資すべき対象として「人材」がフォーカスされています。
人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値の向上につなげる経営の在り方です。これまでは人材を資源と捉え、「消費」「使う」という発想が多かったが、今後は資本と捉え、「投資」し、「活躍」してもらう観点で見ていくことが大切です。人材投資は未来投資であり、ひいては自社の競争力強化につながります。
これまで、2018年にISO30414(人材版ISO)、2020年に人材版伊藤レポート、2021年にコーポレートガバナンスの改定が発表され、人的資本経営の流れが強まってきました。
経営環境の変化やステークホルダー(投資家)からの非財務情報(人材)に関する開示要求の高まりにより、人的資本経営が企業における重要課題となっています。

人的資本経営への注目の高まりを受け、取り組みを始める企業が多くなりました(【図表1】)。HR総研の調査によると、大手企業(1001名以上)では「安定的に取り組みを継続中」の企業が18%を占めます。取り組む目的については企業規模別に差異があり、1001名以上の大手の場合「従業員エンゲージメント向上」「組織力の強化」「企業価値の持続的向上」などが中心です。一方、中堅規模(301~1000名)の場合、大手と同様の目的に加え、「従業員のスキル・能力の向上」「採用力の強化」「離職率の低下」、300名以下の場合は「生産性の向上」などが中心となります。

【図表1】人的資本経営の取り組み状況と取り組む目的
出所:HR総研「人的資本経営への取組み状況に関するアンケート結果報告(第1報)」(2022年6月)
【図表1】人的資本経営の取り組み状況と取り組む目的 出所:HR総研「人的資本経営への取組み状況に関するアンケート結果報告(第1報)」(2022年6月)
人的資本経営に関する課題については、「経営戦略に基づく人材要件の明確化」「次世代経営人材の育成」「従業員のスキル・能力の情報把握とデータ化」などを挙げる企業が多い結果でした。(【図表2】)

【図表2】人的資本経営の実践に関する課題
出所:HR総研「人的資本経営への取組み状況に関するアンケート結果報告(第1報)」(2022年6月)
【図表2】人的資本経営の実践に関する課題 出所:HR総研「人的資本経営への取組み状況に関するアンケート結果報告(第1報)」(2022年6月)
人材戦略を考える際の前提として、人材を重要な資本として位置付けることが欠かせません。その上で、人材が活躍できる企業・組織にしていくために投資をしていきます。経営目的達成・企業価値向上のために、自社は何へ投資すべきか、しっかりと要件整理をすることが重要です。
人材戦略を考える上で、①変化への対応・経営目標との連動(戦略人事)、②全従業員の活躍(脱優劣・自律人材)、③それらを推進する施策の検討(人事KPIの設定・推進)がポイントになります。
※「VUCA」とは、社会あるいはビジネスにおいて、不確実性が高く将来の予測が困難な状況であることを示す造語

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