人事コラム
人材採用

ナビ依存から脱却した採用戦略

環境変化に対応した自社に最適な採用手法とは

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今こそ"戦略的採用"を
実現する人材採用のあり方を見直す

採用を取り巻く環境変化に伴うナビ依存からの脱却時代

日本国内においては依然として慢性的な人手不足が続いています。
現在の国内の求人動向を見ますと、来春2023年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1.58倍と、2022年卒の1.50倍より0.08ポイント上昇と求人が求職を上回って推移しています。(参考:リクルートワークス研究所)

また、日本国内の生産労働人口は2023年以降も、減少し続ける見込みであり、労働者不足は中長期にわたって企業が直面する問題となることが予想されます。
これらの状況により、過去、中小・中堅企業中心にお起きていた人手不足・採用難は今や、大手上場企業にも広がり、日本経済全体で考えるべき経営課題となっております。

上記のような環境の変化に加え、採用市場を取り巻くルールの変更に伴う採用活動の長期化・多様化や求職者のWEB・SNS等を使った情報収集能力の向上、求職者の理解・共感を得るための発信するポイント変化への対応など採用活動の難易度は大きく上がっています。
そんな中、会社が持続的成長を実現するために最も大切なことは「わが社の求める人材の採用」です。
筆者のクライアント先でも経営課題のテーマに「採用活動の強化」を挙げる企業も増加傾向にあるものの、「●●ナビに登録してたら採用は大丈夫だろう」と実施してきた求人サイト中心の採用活動では、ターゲットとする学生と巡り合えないという企業が急増することが容易に予測できます。

実際、タナベコンサルティングが実施した採用に関するアンケート調査によると「求める人材からの応募が少ない」31.9%「母集団形成が不十分」24.1%と、採用の初期プロセスにおいて課題を感じている企業は合わせて56%と過半数を占めています。
今後は求める人材像に基づき、組織戦略の一環として採用戦略を見直していくことが必要となっており、まさに「ナビ依存から脱却」した、競合他社と差別化を図るための攻めの自社採用へシフトする時代が来ていると感じています。

自社採用の具体例と実施する際のポイント・注意点

自社採用とは、言葉の通り外部の力を借りることなく、自社の力で採用を進める採用手法です。
求人サイト利用が、応募者を待つ守りの採用手法であることに対して、自社の力で、採用業務を行う事から攻めの採用手法と位置づけられています。

そんな、攻めの採用手法は3つあります。

1.自社採用ページの活用

昨今、求職者の約90%が企業のホームページを確認し、約70%が企業ホームページ内の採用ページを確認していると言われてております。そこで、自社HP上に採用ページを設けたり、採用に特化した別サイトを構えたり、TwitterやInstagramを使って情報発信するなど、会社の求める人材をいかに認知してもらうか取り組まれている企業が増えています。 筆者が自社採用ページを使った採用に注力しているというクライアント先で多い課題として、自社採用ページを使っているが、「応募者が十分に集まらない」、「ターゲット人材からの応募が少ない」という声を大きく聞きます。これらの問題として、ターゲット人材が集まるプラットフォームを選べていない、ターゲットとなる人材像が発信出来ていない可能性があります。ぜひ、取り組まれている先は今一度、わが社がターゲットとする人材像を明確にし発信出来ているか確認をいただきたい。

2.リファラル採用

リファラル採用とは、既存社員などから知人・友人の紹介によって採用する方法である。昔から縁故採用などは存在していたが、ポイントは若手社員を含めた全社員からの紹介を受け入れ、これまで以上に採用成功の可能性を広げていることにあります。
注意点として、全社一斉での実施であれば、「誰かがするだろう」と意識が希薄化し前に進まないことが多いため、能動的かつ熱意を持って自社の魅力や特徴を語れるような自社が大好きなメンバーがを全社一斉ではなく選抜し実施することが重要です。

3.ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングとは、企業が保有する人材データベースの中から求めるスキルと適性を持った人材に直接アプローチする手法であり、多くの学生と会うことが難しい以上、自社の求める人物像と合致する学生だけを効率的に採用するための手法です。

その際、
(1)自社の情報や採用担当者の情報を充実させる(1to1アプローチだからこそ掲載情報を充実させることが効果的)
(2)相手に寄り添った内容を心がける(タイトルは、その学生が「自分だけに宛てて連絡をしてくれているのだ」認識できるようなもの)
上記2点に注意し取り組むことが重要です。

自社サイトを活用した採用のメリット

自社サイトを活用した採用には大きくわけて3つのメリットがあります。

1.採用コストの削減

●●ナビ等採用サイトへの投稿では、ランニングコストが嵩張りますが、自社サイトであればイニシャルコストは発生するものの、ランニングコストは最低限に留めることができます。

2.データドリブンな採用戦略

自社サイトの運営であれば、求職者がどんなワードで検索し、サイトへアクセスしたのか、どのコンテンツをどれくらいの時間かけて読んだのかなど、数値に落とし込み分析・対策することが可能です。

3.自社のターゲットに合わせた表現が可能

採用サイト名等を利用する際、フォーマットが決まっており、自社の魅力を十分に伝えきれない場合がほとんどですが、自社採用ページであれば、求職者に向けて多くの情報を発信することで、他社との差別化が可能となり、わが社が求めるターゲット人材からの応募を得やすくなるほか、自社のブランディングも同時に図ることができます。

自社サイトを活用した採用のデメリット

一方、自社サイトを活用した採用には大きくわけて3つのデメリットがあります。

1.初期投資コスト(時間・費用)が必要

先述の通り、イニシャルコストが発生することや、自社サイトの作成にはそれ相応の時間がかかりますし、社内で制作まで担うのであれば手間も生じます。
また、ある程度自然検索(SEO)にて認知を集めるまでには時間が掛かります。

2.戦略的な継続運用が必須

反応をみながら、データドリブンし、継続的に改良を加えることで成果に繋がります。
一度作成して終わりではなく、継続的に発信内容の加筆・修正などメンテナンスを行う必要があります。

3.一定の広告費が必要

TwitterなどのSNSやコンテンツマーケティングとの連動や、左記を踏まえて、一手数の流入数(リード数)を自社サイトで確保するためには、リスティング広告・リターゲティング広告等の広告費が必要となります。

まとめ

人材不足が顕著に叫ばれる今、「待ち」の採用だけでは自社の求める人材を得にくい状況です。
積極的に企業側から魅力を発信して、他社ではなく「自社が選ばれるための仕組みづくり」を追求していくことが大切です。

この課題を解決したコンサルタント

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