人事コラム
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HRDXの進め方~HRTechの導入ポイントとは~

昨今注目が集まり数々の企業で導入を進めているいるHRTech。
しかし必ずしもすべての企業でにおいて正しく導入し、活用できているわけではない。
本コラムではコンサルティング経験に基づく正しい導入に向けたポイントを解説する。

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HRTechの導入は人事戦略を実現していくものとして捉え、
目的を明文化しておくことがHRDXに向けた第一歩である。

HRTechの注目の背景

HRTechとは人事業務においてテクノロジー(IT)を活用したソリューションの全般を指し、約35年前の1980年代に担当者レベルにPCが普及され始めてから現代に至るまで様々な変貌を遂げている。初めて人事業務にテクノロジーを取り入れたのは「給与計算」の領域である。正確性を求められる給与計算において、短時間かつ効率的に処理出来た事は人事業務にテクノロジーを取り入れる流れを必然的に生み出せたといえる。HRTechは人事トレンドに応じて変貌を遂げており、コロナ禍以降の多様化する働き方への対応や、オペレーション人事から戦略人事など経営における人材に対する考え方の変化や人事業務のあり方の再定義により更なる注目を浴びている。しかし一方で数多くの企業でHRTechの導入を進める中、失敗に終わっているケースや正しく運用できていないケースも数多く起こっている。次項より、導入に向けた基本的なポイントを解説する。

HRTechの正しい導入に向けた押さえておくべき4つのポイント

ポイント①:導入目的の明文化
HRTechの導入に向けてまず実施すべきは、HRTechの導入を通じて何を実現したいのかを明確にすることである。失敗している企業では「システムを導入する」事という手段が目的化してしまっている事があり、本来の目的が明文化されていないケースが多々見られる。システム導入の先に何があるのかを予め検討しておく事が重要である。タナベコンサルティングではHRTechの導入を経営戦略の一部であると捉え、企業としてどのような組織にしていくのか、人事戦略としてどんなメッセージを打ち出していくのかを明確にしていく事をお勧めしている。

ポイント②:制度との整合性
人事制度(評価、教育、賃金など)に関するHRTechを導入する場合、制度そのものに不備があり導入までたどり着けないケースやシステムをすぐに見直さなければならないケースがある。システムに人事制度を合わせていく必要はないが、事前に現状の制度に問題がないかを現状認識しておく必要がある。制度自体が経営戦略や目指すべきビジョンと異なったものになっていないか事前に確認しておく事が重要である。

ポイント③:オペレーションの見直し
大前提認識しておかなければならないことはHRTechは万能なものではないという事である。業務フローや業務ルールなどの見直しも踏まえてシステムの構築を行わなければないない。システムに合わせてすべての業務ルールを組み替える必要はないが、人事ポリシーや戦略人事の目的に立ち返って取捨選択していく事が重要である。またもし、業務フローが複雑化されている場合はこの導入を機に見直すきっかけにしていただきたい。

ポイント④:現場社員も巻き込んだ導入
上記で示す①~③のポイントを守り、導入までたどり着けたとしても現場への落とし込みが不十分であれば失敗に終わってしまうため、検討段階から人事部だけで動くのではなく現場社員を巻き込んだプロジェクト体制をお勧めする。現場での悩みや阻害するポイントをひとつずつ取り除き、最終的には社員が働きやすい環境作りに繋げるという意識をもって推進する事が重要である。

今やHRTechのサービスは多種多様であるため、ベンダーの選定から"何を実現するためのものか"の目的を持ち実運用も見据え、進めていくことが重要である。

さいごに

コンサルティング現場においてHRTechの導入を検討する企業が増えていることを身をもって感じているが、多くの場合「人事業務の効率化」という部分に終始しているケースが多く見られる。様々な対応が人事部門に求められる昨今において、業務を効率化していくことは理にかなっているものの、戦略人事の視点から「効率化により捻出される時間を何に充てるのか」、「今まで分析できなかった人事データの見える化により何を変えていくのか」など導入後のもう一歩先まで見据えて導入を進めていただきたい。そのことが結果的にエンゲージメントの向上、離職率の低下、採用力の強化、専門人材の育成など"人事部課題の改善"から"企業全体の人事課題の改善"に繋がると考える。
ぜひ、注意すべきポイントを押さえた上でHRTechの導入を検討いただきたい。

この課題を解決したコンサルタント

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