人事コラム
人事制度

中堅・中小企業必見!『賃金の決め方』は一律になってしまうの!?

ジョブ型人事制度、メンバーシップ型人事制度・・・様々検討したが、結局一気に上昇なのか。

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賃金の決め方に変化が起こる背景

経営の想いから乖離したライフスタイルと価値観の変化

『人事制度、賃金制度、評価制度の詳細は理解していないが、振り込まれる金額には敏感だ』との声が、コンサルティングの現場で頻繁に聞かれる。賃金上昇圧力と採用環境の大きな変化から、給料の決め方の検討が急務になっている。現在の足元だけを考えれば、世間を横目に見ながら給与アップを図ることが出来るが、これまでの制度設計上、一度上げた給料は下げにくい。『下げにくい』と表現すると誤解を招きやすくなってしまうが、状況に応じて変化させたいのは経営者の本音と考えられる。しかしながら、根底には少しでも多く分配したいという考えがあることは強調しておきたい。

長期ビジョンとの合理性を有するのか?

2021年から2022年そして現在、人事制度、社員教育に関するお問い合わせを多くいただいている。人事制度、賃金制度、評価制度の見直しに迫られている様子が分かる。これまでの要員計画・総額人件費シミュレーションや計画から、大きく乖離していることが実態だと言える。この時期に同時に多くの見直しを図ったテーマにわが社のミッション、ビジョン、パーパスの再設定、及び長期ビジョンがある。『中長期の合理的な継続性が必要』との人事制度における制度設計の原則で言えば、わが社の存在価値、長期ビジョンと、人事制度の設計思想の合理性は、高めておかなければならない。
例えば、要員計画・総額人件費シミュレーションは、毎年営業収益が1~2%アップすることと、賃金を1%アップさせることを前提としていた場合、雇用環境・賃金環境が大きく異なっている。加えて働き方改革により、中小企業の月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引き上げが、直ぐに迫っている。

先述したように、制度設計を行う経営陣と可処分所得や損得感情(勘定)を以て制度設計思想を図ってしまう方とは、大きな乖離が発生する。ただしここまではいつの時代、世代にも少なからず存在してきた感情の乖離である。現在は現実的にコストアッププレッシャー、自身の努力では如何ともし難いライフスタイルを維持させるためのコストアッププレッシャーに苛まれている。換言すれば、基本給が変わらない場合でも、ライフスタイルコストアップによって、自分の意思を持ち込める金額が下がっている状態である。文字で表現するとこれだけの話だが、この状態が日々続くことになると、意欲や意志の減退につながる。どうしても他の方がよく見えてくるという気持ちになりやすくなる。制度そのものの是非もあるが、制度改築に踏み込むかどうかの方が重要とみられている。

トータルリワード(非金銭的報酬)まで陳腐化していないか?

金銭的報酬として最初に挙げられるのが、給与・賞与・福利厚生である。この3点のみで他社を置き去りにして存在価値を高めようとすると、自ずと限界が来る。浪花節やセンチメンタルな理由だけを真ん中に置いての雇用は難しいが、定量的側面だけを際立たせようとすると、限界利益の向上、生産性の向上が合理的に伴っていないと、翌年には即見直しを迫られることになる。つまり、結局従業員にしわ寄せが行く。

トータルリワード(非金銭的報酬)を忘れてはいないだろうか?また対外的、社内的への発信は正しく行われているだろうか?『役に立っている感覚』『必要とされている感覚』『自分の居場所を実感している』『態度や言葉で示している』等を明確に全社的に行うことが必要である。必ずしも金銭的報酬と紐づける必要はない。金銭的報酬と紐づけると半期に1回褒める、年に1回褒めるということに成らざるを得ず、"時間差で褒められる"という奇異的な現象が発生してしまう。

トータルリワードは、事実に基づき迅速に本人に還元することが何よりも重要。これはいつからでも出来る。トータルリワードは文化に昇華させるべきもので、仕組みでは成立しない。限界利益率や労働分配率は簡単にはコントロールできない。金銭的な分配が即座に難しいならば、心理的な幸福感を皆で共有する場を創り、近い将来の分配増加を目指していただきたい。

この課題を解決したコンサルタント

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