人事コラム
エンゲージメント

パーパスを軸とした組織エンゲージメント向上策のポイント

組織と個人の関係性が変化する中、組織エンゲージメントに対する取り組みが強い組織へ繋がる。

SCROLL

トップ自ら、社員に耳を傾け、
一人ひとりと向き合う事がエンゲージメント向上に繋がる

エンゲージメントが注目される背景

エンゲージメントが注目される背景

皆さんは日本に「熱意あふれる社員」がどの程度いるがご存知だろうか。アメリカの調査会社であるギャラップ社が2017年発表した結果によると全体の約6%しかおらず、約70%が「やる気のない社員」であった。つまり多くの企業が社員の仕事に対するモチベーションや仕事への向き合い方に課題を抱えるという事が読み取れる。
そんな中、注目されているのが"エンゲージメント"である。一般的にエンゲージメント(Engagement)には約束、合意、雇用、婚約などの意味を持つ単語である。一方、人事領域におけるエンゲージメントとは「組織(企業)と個人(社員)のつながりの中で育まれる自発的な関係性」のことを指す。つまりエンゲージメントが高い状態というのは組織に対する貢献意欲が高く、離職率低下や生産性の向上に繋がる。
昨今注目を浴びている人的資本経営の観点でもエンゲージメントは重要な要素であり、エンゲージメントを経営指標の一つとして捉え調査ツールとしてエンゲージメントサーベイを通じて定点観測する企業も増えている。
エンゲージメントは社員の仕事そのものに対する心理状態を表す「仕事エンゲージメント」と、会社や組織に対する心理状態を表す「組織エンゲージメント」の2つに分けることができる。その中でも本コラムではパーパスを軸とした組織エンゲージメントにスポットをあて、エンゲージメントの向上ポイントについて考えていきたい。

組織エンゲージメント向上に向けた3つの視点

組織エンゲージメント向上に向けた3つの視点

1点目:パーパスを"周知レベル"から"体感レベル"まで落とし込む
パーパスを掲げているものの周知レベルに留まっており、単なるスローガンや標語としての役割に終始してしまっている企業も多々見受けられる。ここでぜひ取り組んでいただきたいのが、パーパスを軸とした自身の経験を発信する場やコミュニケーションを取って頂きたい。例えばパーパスに掲げられている内容の中で日々気を付けているポイントや仕事を通じて感じた事を発信してもらう事で会社と社員を繋がりを強め、パーパスを体感レベルまで引き上げる事ができる。結果として組織と個人の判断基準を合わせる事が働く納得感や安心感に繋がる。

2点目:パーパスの落とし込みを人材育成の一環として優先度を高く取り組む
新卒・キャリア採用に関わらず入社後すぐにテクニカルスキルや業務遂行力の向上を目的とした研修を実施するケースも多いが、ぜひパーパスの落とし込みを目的とした研修も実施していただきたい。働く目的と企業としての方向性の共感度を早めに高めていくことで、自身が取り組んでいる業務への貢献意欲を育み、自発的に行動する人材の育成に繋がる。

3点目:非金銭的報酬の導入
「金銭的報酬」は給料やボーナスといったお金そのものの報酬を指し、「非金銭的報酬」は表彰や休暇や福利厚生など、お金ではない報酬のことを指す。ぜひ、エンゲージメントの観点で「非金銭的報酬」について検討いただきたい。
一例ではあるが、一定期間勤務した社員に対して数週間単位での長期休暇を与える制度がある。
実際に長期休暇をリフレッシュに充てていただいたり、新たな学びを深める機会にして頂いたりと、効果的に活用いただくことで社員のモチベーションアップに繋げるという側面と、「社員の想いを大切にしてくれる」といった心理的なリワード(報酬)を提供することにも繋がる。

これらの視点で各種施策に取り組んでいく事が結果的に組織エンゲージメント向上に繋がる。

まとめ

組織エンゲージメント向上に繋げる視点について触れてきたが、組織エンゲージメントを向上させる上で最も大切にしていただきたいのがトップ(管理職者含む)自らがパーパスや上位概念と向き合い、社員に耳を傾け一人ひとりと向き合い、社員と並列的な関係性を作ることにある。
元来日本は上層部の意思決定を現場の下部組織が忠実に実行するというトップダウン型の企業が主流であり、ほんの数年前までは部下が上司から指示を受けるためのコミュニケーションが重視されるようなマネジメントスタイルを取る上司も多く見受けられた。しかし、仕事観や働く価値観の変化が進み仕事との関わり方が多様化する現代においては、これまでと同じような上下関係はやマネジメントスタイルは機能しづらくなっている。にもかかわらず、従来型の上意下達の関係性を維持させることは、部下の納得度や情緒的な触れ合いを欠くコミュニケーションにつながり、組織と個人の関係性に悪影響を及ぼしかねない。そのためトップが社員と同じ目線でパーパスを語り、社員と対話を重ね組織として進むべき方向性と個人としての働く目的をつなぎ合わせる取り組みを行っていく事が組織エンゲージメント向上に繋がり、結果的に社員の能動的・自主的な行動や生産性向上やなどのパフォーマンスに繋がると考える。
ぜひパーパスを軸とした組織エンゲージメント向上策を通して組織変革を追求いただきたい。

この課題を解決したコンサルタント


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