人事コラム
エンゲージメント

「仕事」エンゲージメントの基本理解と向上ポイントを解説

仕事エンゲージメントに着目した人材マネジメントの理解

SCROLL

仕事に対する捉え方を常にポジティブにアップデートできる
仕組み作りがポイント

仕事エンゲージメントとは何か?

仕事エンゲージメントとは何か?

仕事エンゲージメントを理解するにあたり、類似する言葉との整理をしておきたい。

まずは、「エンゲージメント」と「社員満足度」との違いである。
従業員満足度(ES)は、社員が仕事内容や環境、働きがいや人間関係などの様々な点において満足しているかどうかを表している指標である。

エンゲージメントと異なる点は、あくまで従業員側の目線で会社・組織に対する満足度を測っている点に留まるため、
それが行動に反映され、成果が上がる状態になっているかは含まれていない。

次に、エンゲージメントであるが、これは、「組織エンゲージメント」と「仕事エンゲージメント」に分けることができる。

組織エンゲージメントは、会社全体や組織に対する信頼度・愛着度であり、組織への貢献活動が表現できる状態のことを指す。

一方、仕事そのものに対する指標が、仕事エンゲージメントであり、オランダ・ユトレヒト大学のシャウフェリ教授らによって、以下のように定義されている。

"ワークエンゲージメントは、仕事に関連するポジティブで充実した心理状態であり、活力、熱意、没頭によって特徴づけられる。

仕事エンゲージメントの重要性と向上メリット

仕事エンゲージメントの重要性と向上メリット

この仕事エンゲージメントが注目されるようになった背景として、労働人口減少、価値観・働き方の多様化に伴い、会社・組織と社員との関係性構築が難しくなってきたことが挙げられる。

人材の流動化が進む市場において、優秀な人材の定着は企業の優先課題であり、そのために自社の仕事に対するエンゲージメントを把握し、向上させる取り組みは事業戦略のアキレス腱と言える。

裏を返すと、この指標を高めることによる会社・組織のメリットは大きく、以下が期待できる。

・自律的に行動できる人材に育つ
・新しいアイデアの創出
・責任感を持って顧客に向き合い成果を上げる
・離職率の低下

各社員の指標が高まり、組織全体の仕事エンゲージメントが高まると前向きでチャレンジングな空気に包まれ、やがて風土になっていくことが期待できる。善循環の理想形と言えるだろう。

仕事エンゲージメントを高める施策

仕事エンゲージメントを高める施策

それでは、この仕事エンゲージメントを高めるための代表的な取り組みをご紹介したい。

1つ目は、機会・環境整備による活躍支援の観点である。
社員が存分に能力発揮ができるよう支援することを指し、これをエンパワーメントという。
例えば、仕事の裁量権を与える、取り組むミッションの多様化・高度化で成長を感じさせるなどが挙げられる。
2つ目は、個人へのアプローチの観点である。例えば、自身の取り組む仕事の意義の見直しを会社・上司が支援し、意義を捉え直すことで、充実感を持って日頃の業務に取り組むことができるよう個人へアプローチしていく。
他には、各社員が自己効力感を高められるようにポジティブなフィードバックや顧客からの感謝の声を届けるなども有効である。

上記は一例であるが、このような取り組みを継続しながら、仕事上の次のステップを考える支援を行うことで、自社でのキャリアイメージを描くことができ、より具体性を高めることに繋がっていくのである。

さいごに

仕事エンゲージメントの基本理解から、その重要性や高めるための施策をご紹介した。これまでは全社員に対して一律の発信・支援を行うことで効果が出る時代背景もあったが、現代社会においては、全体と各個人への細やかなアプローチも必要になっている。そのため、
①個人の仕事への捉え方を本人任せにせず、一人ひとりに合わせた支援を行う
②定点でスコアを把握し、タイムリーに対策を講じる
この2点を押さえておきたい。
社員は目の前の仕事を行う中で、ややもすると近視眼的な目線になりがちである。仕事でミスをした、顧客からクレームがあった等で、自身への自己効力感や仕事自体への意義を見失うこともありえる。そのタイミングで、自力のみで捉え直しをし、エンゲージメントを高めることができる社員は数少ない。一番近くで見ている上司がそのタイミングを逃さずに支援を行えるか、そのための準備を会社ができているか、改めて自社の状況を確認いただきたい。タイムリーな支援があることで、仕事へのエンゲージメントはもちろん、組織・会社エンゲージメントも高まり、信頼関係がより強固なものになる。このような1つずつの積み重ねが、やがては会社の文化(カルチャー)を作り上げることになるのである。

この課題を解決したコンサルタント

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