人事コラム
人的資本経営

人的資本経営から考える人事KPIの設定ポイントとは

企業価値向上を目指した人事KPIの設定について解説

SCROLL

企業規模や組織ステージに応じた人事KPIの設定し、
適宜改善策を講じる事が重要である

人的資本経営における人事KPI設計の重要性

人的資本経営における人事KPI設計の重要性

人的資本経営を一言で表すと人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上に繋げる経営の在り方である。昨今、人的資本経営が注目される背景として大きく2つの要素があると考えられる。


1.外部環境の変化による企業競争力強化
企業を取り巻く環境が急速に変化する中、企業は新たな製品・サービスを生み出す力や、新たなビジネスへの対応力を強化しなければならない。企業価値を向上する源泉として無形資産(付加価値の向上)が注目される中、特に人材価値を向上させていく事は企業の製品・サービスを差別化する新たな価値を提供する主体として最重要課題であると言える。


2.働く価値観の変化による採用力強化
終身雇用の終焉や人生100年時代を迎える中、自らの意志でより良いキャリアを構築する考え方が若い世代の新たなスタンダードになりつつある。


これまでは、企業側が人材を選ぶ事が当たり前だったが、今では企業と人材の立場が対等であり、互いの価値観(ビジョンやパーパス)をすり合わせたうえで、選び合う時代へと変化している。
個人と組織の関係性が変わりゆく中で企業が人材に対する価値を再定義し、人事戦略に反映させていく必要がある。


上記の内容を踏まえると変化の激しい環境下において、人的資本経営に取り組むという事は企業の持続的成長を目指す上では、ごく自然な潮流であると言える。


人的資本経営を具体的に推し進めていくにあたり、まずは自社における人的資本経営で何を実現するのかコンセプトを明確にした上で、中長期的な視点で人的資本マネジメント指標(以下人事KPI)を掲げていくことが人的資本経営の第一歩となる。本コラムでは自社にあった人的資本経営を実現するための人事KPIの設計にスポットを当て解説していく。

人事KPIの設計ポイント

人事KPIの設計ポイント

ポイント①:「ISO30414」の対応を踏まえた設定
人的資本経営を世界基準として定めた人的資本開示ガイドライン「ISO30414」には、全11指標58項目の測定基準が設けられている。「ISO30414」との対応も踏まえて人事KPIを検討いただく事は人的資本の現状と目標を客観的な指標で示し、ステークホルダーに対する企業価値向上に繋がる。「ISO30414」は網羅的に規定されているので、ぜひご確認いただきたい。


ポイント②:可能な限り定量化できる項目の設定
数値に基づいて経営活動や人事施策の成果を定期的に測定する事により、前年と比較してどの程度改善できたのか、どの施策が結果に繋がったか等、定量的かつ時系列で測定することで更なる改善施策を打ち出しやすくなる。元来人事施策は定量的に可視化しづらいものも多くあったが、エンゲージメントサーベイやタレントマネジメントシステムを有効活用し、人事KPIを掲げるだけではなく定点観測から改善に繋げていただきたい。


ポイント③:現状の課題(弱み)と強みを踏まえ上での設定
自社の経営、組織、人材が持つ強みと弱みを把握し、強みを積極的に開示していく事が企業価値向上に繋がるが、情報開示が目的になってはならない。課題項目についてもしっかりと目を向け改善していく事が本質的な人的資本経営への取り組みとなる。まずは自社の強みと弱みを洗い出した上で何から取り組むべきなのか優先順位付けを行っていただきたい。

さいごに

コロナ禍を経て、働く価値観の変化は急速に進み、その結果、これからのキャリアについて主体的に考える求職者が増えつつある。成長意欲の高い働き手(求職者)に対して、教育体系の仕組みや、成果に対して正しく報いる仕組みなど、人的資本の情報開示を通じて、社員の成長を後押ししているという事実を正しく伝える事ができれば、その行為が回りまわって、採用力の向上や企業価値の向上にも繋がると言える。


反対に、人的資本の開示を積極的に行わない企業は働き手(求職者)の企業に対するエンゲージメントを低下させ、離職や採用力低下に直結する状態を招きかねない。
自社の人的資本経営の実現に向けてどのようなポリシーを持って人材を育て、どのように評価し、どのように報いていくのか、充分に検討したうえで、人事KPIを設定いただきたい。

人的資本経営チェックリスト&ディスカッションシート
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