前書き
部下を叱っただけで「パワハラ」。褒めたら「セクハラ」。早く帰れよと声を掛けたら「ジタハラ」。飲み会に誘えば「アルハラ」といったように、ハラスメントの社会的関心が非常に高まっていると同時に、ハラスメントを受けた者(被害者)が、声を上げやすい状況になってきています。
そして時代の変化とともに、上司と部下の関係は昔のようには成立せず、「気合」「根性」だけの精神論で指導をすれば、即ハラスメントの対象になります。
中高年の上司からすると、ハラスメントを起こしやすい立場であり、職場でのコミュニケーションの取り方も、時代とともに変化させる必要があるのです。
また、ハラスメントのトラブルが生じやすい事案は、「グレーゾーン」に由来することが多くあります。
これらのことを踏まえて、社内でハラスメント研修を実施し、ハラスメントに対する目線合わせ・統一した基準を設けることが必要です。
パワハラを事前に防止するために取り組むこと
パワハラに対しての方針を明確に打ち出す
まず取り組むべきことは、経営トップからハラスメントに対する方針を明確に打ち出すことが必要です。
例えば、
「ハラスメントの撲滅には役職・社歴・成績に関係なく、断固対応する」や、
「全社員がハラスメントに対してのリテラシーを高めて取り組み、働きやすい環境を整備す」など、
明確に処罰や取り組み方針を打ち出すことが必要です。
また、同時に就業規則へ明文化し、周知徹底を図ることが必要です。
ハラスメントに対するリテラシーの向上・目線合わせの場として研修を実施
ハラスメントに対して、「方針を打ち出し」「規程に記しただけ」では、社員への浸透(我が事として捉える)にまでには至らないことが大多数です。
そこで、社員への浸透(リテラシー向上)・ハラスメント基準の目線合わせを目的に社員研修を実施することが必要です。
研修もただ一方的に講義を聞く(知識のインプット)のではなく、ハラスメント事例に対する自社のリスクを洗い出したり、同業他社の情報を共有したりするなどのディスカッションや、部下指導のロールプレイング(シーンを設定して実施。例えば、遅刻をして指導をする場面等)を録画して気づきを与えることで、より理解度が深まります。
最終的なゴールとしては「ハラスメントが起きづらい職場環境」を形成する「風土づくり」を目指していただきたいです。
ハラスメント研修のカリキュラム(例)
- 1
- 自身のハラスメント度のチェック
- 2
-
ハラスメント(パワハラ・セクハラ)に対する基本講義
(1)パワハラの定義・要件・判断基準
(2)セクハラの定義・要件・判断基準
(3)ハラスメントの事例共有
(4)ハラスメントの予防・対策
- 3
- ケーススタディ・ロールプレイング
- 4
- 研修のまとめ(質問会)
ハラスメントのある職場では、社員の能力は発揮されず組織は活性化しない
ハラスメントが頻発する会社で働きたいと思う人はいないでしょう。
ハラスメントが明るみになることで、企業の損失は莫大です。
社会的信用の失墜、人材採用への影響、職場生産性の低下、企業イメージの悪化など、あげればキリがありません。
一方で、
働きやすい企業(職場)に優秀な人材が集まり、働きやすい職場だからこそ、社員の能力が最大限に引き出され、組織が活性化する。
ハラスメントの対策が、ゆくゆくは魅力ある企業づくりに向かう第一歩です。
マイナスなイメージで取り組むのではなく、風通しが良く誰もが働きたくなる職場づくりに取り組みませんか?