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「仕事が人を育てる」考えのもと OGINIC開発の夢を目指す

荻野工業株式会社

荻野工業は、1957年に荻野六三之氏が従業員数名の小さな鉄工所として創業。60年以上を経て、日本国内のみならずフィリピン、ベトナムなど海外に拠点を構えるまでに成長した。その成長の原動力は、「至誠一貫」という誠意を貫き通してウソのないものづくりを目指す社是の精神にある。

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取材先様のお役職・タナベ経営社員は、取材当時のもの

自主独立経営で「Challenge333」達成へ

荻野工業
代表取締役社長
荻野 武男氏
荻野工業
常務取締役
堂本 慶彦氏

荻野工業は、1957年に荻野六三之氏が従業員数名の小さな鉄工所として創業。60年以上を経て、日本国内のみならずフィリピン、ベトナムなど海外に拠点を構えるまでに成長した。その成長の原動力は、「至誠一貫」という誠意を貫き通してウソのないものづくりを目指す社是の精神にある。
主な事業は、自動車部品(エンジン・ミッション・ブレーキ関係)の製造と減速機の開発、機能部品(高圧ポンプなど)の開発。創業以来、機械加工と機械部品開発の技術に磨きをかけてきた。
売上高が150億円規模となった現在は、経営ビジョン「Challenge333(以降、トリプルスリー)」を掲げ、さらなる発展を目指している。グループ売上高300億円・経常利益30億円・3事業確立という"トリプルスリー"の達成を見据えたものだ。
トリプルスリーについて、代表取締役社長の荻野武男氏は「売上高だけ300億円になっても、利益が伴わなければダメ。1人当たりの付加価値生産額を伸ばし、経常利益率10%以上の継続を目指したい」と指摘する。また、主力の自動車部品製造を中心に据えながらも、新たな成長ドメインを開発し、3つの事業の柱を打ち立てることでバランス良く会社を成長させたい考えだ。
さらに荻野氏は、自主独立の経営が重要であるとし、「従業員が自分の意思で行動し、その真価を世に問い、結果に対する責任を取れる会社にしたい」という強い思いがある。
新規事業の柱として、また自主独立の経営の基礎として期待しているのが、高精度減速機「OGINIC」の開発だ。
荻野工業が独自に開発している揺動歯車式減速機で、歯数の異なる固定歯車と揺動運動しながらかみ合うことで減速する。従来の減速機に比べ、より精密で壊れにくく、コンパクトであることが特長だ。減速機は自動車部品のみならず電化製品、医療機器、工作機械、産業用ロボットなど広範囲で使用され、医療・福祉など成長分野での活躍も期待されている。
「OGINICは社員と共に未来をつくる挑戦。自社開発で製品化できれば、自主独立の経営に近づく。夢を実現させる努力によって、若い社員が育ってくれる」(荻野氏)

OGINICの研究に憧れ志望学生が増加

創業以来「至誠一貫」のものづくりで、世界基準とも言える荻野ブランドを確立してきた

「OGINICの自社開発を志望動機に挙げる学生は多い」と話すのは常務取締役の堂本慶彦氏。荻野工業は毎年10名程度の新卒者を採用しているが、近頃は応募者が増加傾向にあるという。多くの学生が「OGINIC」をはじめ、開発や研究に積極的な企業であることを重視しているのだ。
採用の際、大切にするのが人間性だという。社是「至誠一貫」に反していないかを大きな判断材料とする。「採用の合否で悩むときも、最終的に荻野社長に『人間性が良いから採用しなさい』と言われることがあります。そうした姿勢で採用するため、至誠一貫の考えが組織に浸透しています」と堂本氏は話す。
人づくりについて、荻野氏は「私が人をつくるのではない。仕事が人をつくる」と断言する。新しいビジネス、難しい仕事に取り組んで成果を出すことで人は育つのである。

成長の原動力は社員みんなで仕事を創造すること

荻野氏は自社の課題について、「教育と人事制度」と話す。克服するために、課題に応じてさまざまなプロジェクトチームを立ち上げたり、荻野氏が理念を語る「社長塾」を開催するなど、人材育成の取り組みを多様に展開してきた。その一環として、タナベ経営の「幹部候補生スクール」も活用している。
「幹部候補生スクールは話を聞いて終わりでなく、長い期間にわたってじっくり考える機会を得られる。他社の人材と交流できるのも良い」と荻野氏は高く評価する。堂本氏は「当社社員の成績がトップだったことが大きな励みになっています。具体的な受講の効果が出るまでには時間がかかるでしょうが、『経営について考えなければならない』と、参加した社員の意識が確実に変わりました。また、タナベ経営の方々は私たちの気付かない部分まで参加者を観察しており、人事配置の参考になります」と話す。
現在、新入社員教育プログラムの再構築にも取り組む同社。社歴を積んだ社員から「こんな教育をしてほしかった」という意見を募り、より実践的な教育を目指している。
次世代を担う社員に対して、堂本氏は「グローバル化を目指す企業として、積極的に海外に出る気持ちを持ってもらいたい」とエールを送る。従業員数を見ると、グループ全体ではすでに海外の従業員の方が日本人よりも多いが、そうした変化に対応し、世界へと羽ばたける人材を求めている。
荻野氏は「『全従業員の成長と幸せを実現すると同時に、心のこもったものづくりを通して社会に貢献する』という経営理念は、社長1人で実現できるものではない。企業は社長が社員をうまく使うから成長するのではない。OGINICの開発など仕事を通じて、社員がいかに育つかが大切。その仕事はお客さまからいただくもの。『会社が発展・成長する原動力は、社員みんなで新しい仕事を見つける活動をすること』というのが私の信念です」と熱く語る。

タナベ コンサルタントEYE

経営コンサルティング本部
部長 チーフコンサルタント
稲岡 真一

荻野工業は「至誠一貫」を社訓に掲げ、「自主独立の経営」を目指し、中期ビジョンである「Challenge333」を推進中だ。2018年度はグループ全体の目標売上高を150億円に設定。その達成も視野に入ってきている。
荻野工業では、事業規模の拡大とともに人材育成も強化。「新しい仕事が社員を育成する」という信念の下、次世代を見据えた人材育成に注力している。また、社長塾や外部研修など、社員の教育機会を広げ、会社全体で学ぶ風土づくりを推進。OGINICの開発をはじめ、新たな取引先の開拓や新しい仕事に取り組むことで人材を育成し、さらなる成長を遂げようとしている荻野工業の今後が楽しみである。

会社プロフィール

会社名
荻野工業株式会社
所在地
広島県安芸郡熊野町平谷1-12-1
創業
1957年
代表者
代表取締役社長 荻野 武男
売上高
158億円(グループ全体、2019年4月期見込み)
従業員数
1651名(グループ全体、2019年2月現在)
URL
http://www.oginokk.co.jp/

ABOUT TANABE CONSULTINGタナベコンサルティンググループとは

タナベコンサルティンググループは「日本には企業を救う仕事が必要だ」という志を掲げた1957年の創業以来
66年間で大企業から中堅企業まで約200業種、17,000社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。
企業を救い、元気にする。私たちが皆さまに提供する価値と貫き通す流儀をお伝えします。

コンサルティング実績

  • 創業 66
  • 200 業種
  • 17,000 社以上