人事コラム
人事ビジョン

わが社に『後輩が先輩を追い越す流れ』をつくる

~人事ビジョンを確立し、成長軌道をつくり活躍を促進する~

SCROLL

成長を鈍化させる現象は、
後輩が先輩を追い抜かなくなる時に始まり、
その結果上司に仕事が逆流する

人事ビジョンについて

人事ビジョンについて

人事ビジョン、人事ポリシーを制定する企業が増えている。ミッション、ビジョン、パーパスを実現するために、社員の行動と決めたことの実行を促進するために、それらが明文化されている。また足元で言うと中期経営計画に連動し策定され、人事考課内容の一部と連動させ、運用している企業が増えている。最も合理的な運用だと考えられる。

人事ビジョンは、自社の社員を自社独自の観点より『プロフェッショナル集団』に育成するビジョンを掲げることが定石である。また人事ビジョンは、社内だけではなく、同時に対外的に発信してゆくことが効果的である。人事ビジョンの構築を通じて、インとアウトのブランディングも同時に追求することに繋げられる。

人事ビジョン策定に向けたディスカッション

人事ビジョン策定に向けたディスカッション

人事ビジョン策定に向けたディスカッションで留意いただきたい点は、現時点の問題点の裏返しを"求める人材像"に置き換えてしまうことだ。これでは堂々巡りが繰り返されるだけで、成長の停滞と人材の流出に歯止めがかけられない。精神論にはなるが、悪習と悪癖を断ち切る段階を意図的に作る必要がある。能動的に過去の人材に対する見方と制度を否定し、建設的にビジョンを練り上げることである。建設的にとは、ミッション、ビジョン、パーパス、中長期ビジョンと連動して、人事ビジョンを制定することである。将来目指す企業に近づくため、そして一部分からでも達成した際にそこにいる社員を描くのだから、連動していなければ辻褄が合わないと言える。

人事ビジョン策定上の注意点

人事ビジョン策定上の注意点

人事ビジョンを策定する上で前提にしていただきたいことは、全社員参加型で実施することである。全員集合することは物理的に難しいと考えられるので、グループ別にディスカッションを行う、アンケート形式で行う等、自社の将来と人材と向き合う機会を創る必要がある。そこで考察するべき内容は、『自社の唯一無二の付加価値の高い仕事』は何かを正しく捉え、『付加価値の高い専門性のある仕事ができる人材』を採用、育成できる社風基盤と仕組みは何かを考察することが重要だ。

直近のテーマである『多様性』の中心に置くべきは異文化を容認する文化である。唯一無二を謳う以上、自分以外と有機的に繋がる、"人を活かし、自分を活かしてもらう"という考え方とキャパシティーを備える必要がある。ここをベースに策定しなければ、最も排除しなければならない『昔は~だった』というカルチャーが蔓延ってしまう。

先輩を追い越す風土と仕組みをつくる

先輩を追い越す風土と仕組みをつくる

組織、企業の停滞は現場や部下の仕事が上司に逆流し、恒常化することが最も分かりやすい現象だ。弊社のトップマネジメントの皆様を対象としたセミナーでは、『部長の仕事を取締役がやっていませんか?』『トップマネジメントとしての時間配分は適切ですか?』とお聞きしている。換言すれば、部下や後輩が現時点の皆様を追い抜いていないことを示していると言える。

コンサルティングの現場では『部下に任せられない』と仰るマネジメントの方々とお会いする。理由、背景は個社によるが、共通しているのは『教えられる人を育めていない』ことだと言える。

ご一緒しているクライアント様との人事考課の判断軸で次のような軸を導入している。1=知らない・できない、2=教えてもらいながらできる、3=一人でできる、4=自分のやり方で教えられる、5=相手に合わせて教えられるという5段階で判断していただいている。また人事KPIでも評価5の社員をいつまでに何名育成するという内容が決まっている。背景は先輩を追い越していく仕組みと文化の醸成である。同時に重要なことは、人事ビジョンを担当部署任せにしないということである。

人事部、管理部、総務部にしか人材に関わるビジョンや方針が記載されていない企業様と会うが、社内の様子をお伺いすると採用、育成、活躍、定着に関して、主担当部門以外の部門の熱が低いことが共通している。例えば人材育成に関するビジョンやKPIで『毛年間研修投下時間』や『研修満足度』を設定している企業があるが、この2点を取ってみても主担当部門のみの推進では改善しないことを考察していただけると考える。数字合わせのために動機づけせず参加させてみたり、自部門で研修前の動機づけ面談やフォローアップを行わなければ研修の主役である参加者自身が放任されていることとなる。後輩や部下が優秀であることは企業としては健全であり、またその様に組織が成長してゆかなければ、社内から崩壊してゆくことは必至である。

人事ビジョンは中長期の先の未来を見据えて、全社員参加でディスカッションを行っていただきたい。

この課題を解決したコンサルタント

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66年間で大企業から中堅企業まで約200業種、17,000社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。
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