人事コラム
人的資本経営

本日のまとめ~人的資本経営に取り組むために~
<人事戦略フォーラム>

本コラムは、2022年10月26日開催「人事戦略フォーラム」(タナベコンサルティング主催)のまとめ講義「人的資本経営に取り組むために」をまとめた記事です。

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本コラムはタナベコンサルティングのTCG REVIEWにて掲載している記事を転載したものです。
※登壇者の所属・役職などは開催当時のものです。

昨今、人材の捉え方が人的資源から人的資本へシフトしています(人的資源:消費の視点で効率重視、人的資本:投資の視点で生産性重視)。人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、データを活用した人材マネジメントにより、その価値を最大限に引き出し、中長期的な企業価値向上につなげる経営の在り方です。
岩本教授の講義では、非財務資本となる人的資本をKPIとして捉え、そこから得られた利益をしっかりと見ていく考え方を学びました(人的資本KPI)。指標となる項目として、ISO30414では11領域があります。まずはすぐに数値化できる指標からモニタリングし、自社のKPIを検証していくことがポイントとなるでしょう。

【図表】人的資本KPI 出所:岩本氏講演資料よりタナベコンサルティング作成

【図表】人的資本KPI 出所:岩本氏講演資料よりタナベコンサルティング作成

人的資本経営実践のポイントは、①事業戦略と連動した人事戦略の策定と一貫性(戦略人事、現場主導の人事)、②データを活用した人材マネジメント(人的資本KPIの設定、DX化)、③組織・個人の自律・多様性を実現する仕組みと風土づくり(意識改革、コミュニケーション、働きがい改革)の3つ。
人事戦略の手法として、①動的な人材ポートフォリオ(量×質による中長期視点のポートフォリオ設計)、②知・経験のダイバーシティー&インクルージョン(多様な人材の能力や価値観を事業成長に生かす)、③リスキル・学び直し(目標と現状のギャップを可視化、デジタル活用)、④エンゲージメント(自発的な意欲の醸成、組織・個人の自律)、⑤時間や場所に捉われない働き方(多様なワークスタイル、ハード・ソフト両面の整備)の5つがあります。

日本オラクルは、「"人事"は部門にあり~人や組織の「自律」を促す人事の仕掛け~」をテーマに講演しました。事業(ビジネスモデル)の変革に対応するためには人材改革(人事改革)が不可欠とし、改革を進めています。「自律」をキーワードに、個人だけでなく組織、チーム・マネジャーの自律を連動させながら、社員の自律・エンゲージメント向上を図っています。HRの役割を変化させ(HRビジネスパートナー)、現場と人事をつなぐ取り組みを強化しています。
日立ソリューションズは、「EX(従業員体験)の向上に舵を切った当社の取り組み」をテーマに講演。「働きやすさ」から「成長」「働きがい」へシフトする様子、ワークスタイル変革ソリューションの自社・クライアントへの展開を紹介いただきました。

全体として自律、挑戦を重視し、それが働きがいにつながるワンストップの仕組みとして施策を展開されています。現場のマネジャーを巻き込みながら展開する手法は日本オラクルと共通する点もありました。ジョブ・クラフティング、文化の醸成(心理的安全性を高める、「つながり」を感じられるコミュニケーション)を取り入れていたのも特徴的であります。
人材マネジメントの考え方は「コスト」から「投資」へシフトしました。人的資本経営の実践においては、①事業戦略と連動した人事戦略との一貫性、②データを活用した人材マネジメント(DX)(※人的資本KPIはまずは数値化できる指標からモニタリングし自社のKPIを検証する)、③組織・個人の自律・多様性を実現する仕組みと風土づくり、の3つがポイントとなります。
「働き方」改革から「働きがい」改革へシフトしています。企業と個人は選び選ばれる関係、そして、共創へ発展しました。現場マネジャーが人事を考える視点と機会をつくる(増やす)ことがポイントになります。

この課題を解決したコンサルタント

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